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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/12/04 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(12/4~10)


だんだんと落ち着きを取り戻してきました。今週あたりから普段どおりのペースで更新できると思います。

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先週の動き
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11/26(日)
・民主党のジョン・コンヤーズ下院議員がセクハラ疑惑を受けて司法委員会を一時辞任
・ネパール総選挙

11/27(月)
・米上院が再開
・トランプ大統領が先住民を称える行事で「ポカホンタス」と発言(エリザベス・ウォーレン上院議員を示唆)
・ローマ法王がミャンマー訪問(〜30日)

11/28(火)
・米下院が再開
・民主党のペローシ下院院内総務とシューマー上院院内総務がトランプ大統領との会合を欠席
・パウエル次期FRB議長の指名公聴会
・イヴァンカ・トランプ大統領補佐官がインド訪問
・シリア和平協議(ジュネーブ)

11/29(水)
・北朝鮮が弾道ミサイルを発射、核・ミサイル開発の完了を宣言
・米上院が税制改革法案の本会議審議入りの動議を可決
・トランプ大統領が英極右団体の反イスラム的な動画をリツイート
・米NBCがニュースキャスターのマット・ラウアーをセクハラ疑惑で解雇
・イエレンFBR議長が議会証言

11/30(木)
・ホワイトハウスが年内にもティラーソン国務長官を更迭し、後任にポンペオCIA長官の起用を検討しているとNYタイムズが報道
・ローマ法王がバングラデシュ訪問(〜12/2)
・ミャンマーのアウンサン・スーチー国家顧問が訪中
・中国共産党・世界政党ハイレベル対話(北京、~12/3)
・OPEC総会(ウィーン)

12/1(金)
・モラー特別検察官がマイケル・フリン前大統領補佐官をロシアゲートをめぐる虚偽供述容疑で起訴、フリンは有罪を認める

12/2(土)
・米上院が税制改革法案を可決

米国では税制改革、ロシアゲート、ティラーソン国務長官の更迭報道、さらに政界のセクハラ問題の拡大、アジアでは北朝鮮のICBM発射とロヒンギャ問題が大きなニュースになりました。

●税制改革

ついに上院で可決。先週の記事でお伝えした見通しのとおりです。

「今週の動き(11/27~12/3)」

共和党で反対したのはボブ・コーカー議員だけでした。

ただ、両院協議会での調整が行われますが、上院の法案との隔たりは大きく、以下の記事で述べたとおり難航することは間違いありません。

「今週の動き(11/20~26)」

米下院は12月14日、上院は15日が今年の最終審議日です。トランプ大統領と共和党は年内成立を目指していますが、後述する政府閉鎖回避に向けた措置への審議も必要であり、見通しは厳しい状況です。

●ロシアゲート

マイケル・フリン前大統領補佐官がついに起訴。そして虚偽供述容疑について自白。

フリンの起訴はロシアゲート疑惑を解明する上で大きな手がかりになるとみられています。それは以下の記事で述べたとおりです。

「今週の動き(11/27~12/3)」

もっとも、これがトランプ大統領を含むロシアゲート疑惑との関係でどこまでの意味があるかは、現時点ではまったく分かりません。ホワイトハウスとトランプは、フリンの偽証は現政権にいる人々と関係がないと主張しています(むしろオバマ前政権でフリンが国防情報局長官であったことから前政権との関係、さらにヒラリー・クリントンの偽証の方が問題と主張)。

しかし、フリンは自らより高い地位にあった者の指示があったことを示唆しています。この高い地位にある者とは現政権にいる者であり、おそらくトランプ・ファミリーと関係があるという見方が有力です。この狭いグループの中で高い地位にあった者は限られていますから、ジャレッド・クシュナー上級顧問さらにはトランプ大統領の関与の疑いが濃厚であることを意味します。

また、現政権にいる人々と関係がなかったとすれば、なぜ虚偽供述をしなければならなかったのか・・という素朴な疑問がわきます。

詳しくは追って取り上げます。その他のポイントは上記記事などでこれまで述べてきたとおりです。

●ティラーソン国務長官の去就

11月30日、NYタイムズをはじめとする主要メディアがティラーソン国務長官の更迭とマイク・ポンペオCIA長官の国務長官就任(さらにトム・コットン上院議員がCIA長官に就任)を一斉に報じました。

ティラーソンがトランプといくつかの点で衝突している(公の場でも「ばか」「IQテスト」の応酬があった)こと、国務省で孤立していること、それがゆえに将来的には更迭が予想され、後任にはポンペオCIA長官、コットン上院議員、ニッキー・ヘイリー国連大使、ライアン・ジンキ内務長官、ジョン・ボルトン元国連大使の名前が挙がっていたことは以下の記事で述べたとおりです。

「トランプのアジア歴訪と北朝鮮」
「今週の動き(10/16~22)」
「ティラーソン国務長官の孤立」

これを受けて、トランプは、ツイッターで今回の報道は「フェイク・ニュース」であって「ティラーソンとは意見の不一致があるが、政権を去ることはない」と述べています。

今回のリークはトランプがティラーソンに恥をかかせるために行ったものとの見方がありますが、このツイートなど見る限り、そうは思えません。ティラーソンあるいはトランプ政権に反発する勢力によるものと考える方が合理的です。

北朝鮮をめぐる動きが流動的で、外交の体制が整っていない中で、ティラーソンを外すことには大きなリスクを伴います。このため、上記記事で述べたとおり、近い将来行われる可能性は低いとみられていました。一方、今回の記事が出たことで、即時の退任も否定できなくなりました。

ポンペオとコットンは国内有数の外交タカ派であり、このいずれかが後任になることがあれば、対北朝鮮外交がさらに強硬になることは必定です。詳しくは追って取り上げます。

●米政界のセクハラ問題

この2週間の記事で米国でセクハラ問題が拡大していることを述べましたが、今度はNBCのマット・ラウアー、下院議員のジョン・コンヤーズに波及。

「今週の動き(11/27~12/3)」
「今週の動き(11/20~26)」

セクハラ問題は党派を超えて米国を揺さぶる問題となっています。

また、セクハラではありませんが、トランプの度重なる「ポカホンタス」発言(ネイティブ・アメリカンの血筋を引くといわれるエリザベス・ウォーレン上院議員を揶揄したもの)もついに真正面から批判されました。

いつから米国はこんな低レベルな国になってしまったのか・・今まで明らかになっていなかったものが白日の下にさらされただけか・・と言論人は嘆いているのですが、メディアも例外ではないので、なんだかなあ・・という感じです。

●北朝鮮

以下の記事で、北朝鮮は、9月の核実験と弾道ミサイル発射以降、静かにしているが、このままおさまることはない、次のアクションがとられることは時間の問題であると述べてきました。

「北朝鮮の核実験①
「今週の動き(9/18~24)」

したがって今回のICBM発射も想定の範囲内といえます。

金正恩が核とミサイルの開発を進める最大の理由は、自身の国内における権力基盤の強化です。金正日時代からの実力者である張成沢の処刑、金正男の暗殺に表れているように、金正恩は自らの脅威になり得る存在を排除することに躍起になっています。これは、裏を返せば、その政治基盤が決して強固とはいえないことを示唆しています。

そのような金正恩が自らの威勢を高める最も重要な手段が核とミサイルの開発です。米国に比肩する力をもつことを国内にアピールし、国威を発揚することで体制の正当性を高める・・つまり、核とミサイルの開発は内政問題です。

問題の本質が国内政治であるため、外交交渉は期待できません。どれだけ米国と中国が働きかけようと北朝鮮は止まらないでしょう。米国本土に届くICBMと核搭載技術を開発するのは時間の問題ということになります。

今後の展望についても、上記および以下の記事で述べたとおり、米中の軍事的連携と中朝関係の展開、特に金正恩と習近平のトップ同士の動きが注目点になります。その枠組み自体に変わりはありません。

「北朝鮮と中国、ロシア」

一つ気になるのは、北朝鮮が核・ミサイル開発の完了を宣言したこと。

所期の目的を達成したことで、米国との対話に乗り出すメッセージのようにも読めますが、これだけでは正直よく分かりません。米国も無条件の対話に臨むことはない点は以下の記事で述べたとおりです。

北朝鮮の核実験(「ICBM搭載用水爆」の開発)(2)

そういうわけで、これまで述べた分析から大きな修正はありませんが、状況の推移を見て、適当なタイミングであらためてとりあげます。

●ロヒンギャ問題

ローマ法王のミャンマーとバングラ訪問、アウンサン・スーチーの突然の訪中という大きな動きがありました。

安保理が議長声明を出してミャンマーの対応を批判し、米国もティラーソン国務長官が「民族浄化」という言葉を使うなど、ミャンマー政府への圧力は高まる一方ですが、以前の記事で述べたとおり、包括的な制裁が発動される可能性は低いとみられます。

「今週の動き(10/30~11/5)」

米国は、文民政権と国軍を切り分け、前者は支援するが、後者には圧力をかけるという方針をとっており、それは今なお維持するとみられているからです。

ただし、議会では制裁法案が審議されているので、この動きには注意が必要です。

その一方、11月19日には王毅外相がミャンマーを訪問、さらに先週はスーチーが中国共産党主催の政党間対話に出席するとして、突然に中国を訪問したように、両国の急速な接近の動きがみられます。

これが孤立する国にすり寄る中国の外交戦術であること、中国にはミャンマーに対しては特にロヒンギャ問題が起こっているラカイン州のチャオピュー開発という狙いがあることは、以下の記事で解説したとおりです。

「ロヒンギャ危機と中国・ミャンマー」
「中国のインフラ外交①

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今週の動き
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12/4(月)
・米韓合同軍事演習(~8日、韓国)
・ティラーソン国務長官がブリュッセル、ウィーン、パリ訪問(~8日)
・英国のメイ首相とEUのユンケル委員長が会談

12/5(火)
・NATO外相理事会(ブリュッセル、〜6日)

12/7(木)
・ネパール下院選第2回投票

12/8(金)
・つなぎ予算が失効

●政府閉鎖の危機

9月に「ペローシ・シューマー・トランプ合意」により成立したつなぎ予算は、12月8日に失効するため、それまでに措置を講じなければ、12月9日から連邦政府の一部機関が閉鎖される可能性があります。

「ペローシ・シューマー・トランプ合意」

新たな措置として考えられるのは暫定歳出法ですが、前述の税制改革法案の審議もあり、審議が進んでいません。

しかも、先週、民主党のナンシー・ペローシ下院院内総務とチャック・シューマー上院院内総務がトランプとの会合に欠席しました。これは、トランプがツイッターで移民政策について譲歩しない姿勢を明白にしたのに対し反発したためです。

暫定歳出法案を可決するためには、上院では60名の支持が必要であり、下院にはフリーダム・コーカス(共和党の財政保守派)がいますから、いずれにおいても民主党の協力を得ることが不可欠です。

トランプは、9月のつなぎ予算のときは民主党と連携する動きを見せましたが、今回は、前回とまったく逆の動きを見せています。仮につなぎ予算が成立しなければそれは民主党の責任である、として批判の矛先を向けようとする方針のようです。

また、移民政策については、9月にトランプが議会に対し、DACAの撤廃に向けた法改正を要求していました。

「今週の動き(9/11~17)」

DACAへの対応は、民主党議員と一部の共和党議員がつなぎ予算に関連条項を盛り込むことで対応することを主張しており、これがつなぎ予算の審議を一層不透明なものにしています。

そういうわけで、政府閉鎖の回避についてはリスク要因が多くなっています。今週の動きが注目されます。

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あとがき
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2 comments on “今週の動き(12/4~10)
  1. ベルドン より
    徐々に・・

    毒薬が・・
    回り始めるんだな・・
    ( ^ω^)・・・(笑

  2. KB より
    マクマスター補佐官

    最近、マクマスターが「吠えている」感じがします。(笑)

    とても強いメッセージであるとも思いますが、ここで以前から登場しているヴィクター・チャ氏のスタンスが後ろにあって、軸がぶれていないと思っていてよさそうでしょうか?

    また、折を見てアップデートお待ちしています。

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