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2025/05/12 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(5/11~17)米英の貿易協定合意、印パの軍事衝突と停戦


ゴールデンウィークが終わると、すぐに喧騒の日々が戻ってきました。毎週、本当に色々なことが起こるものです。油断するとあっという間に時間が過ぎてしまうのですが、日々の仕事に埋もれることなく、先まで考えて、様々な手を打っていきたいと思います。

さて、今週は、米英の貿易協定締結の合意と、インドとパキスタンの軍事衝突を取り上げます。諸事情により(詳しくは「近況報告」をご覧下さい)、いつもより短めとなっています(といいつつ、やはり長くなってしまいましたが)。「今週の映画」では、話題のNetflix作品をご紹介します。

【目次】

1.先週の動き
(1)米英の貿易協定締結の合意
(2)インドとパキスタンの軍事衝突と停戦
2.今週の動き
3.今週の映画
4.近況報告
5.あとがき

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先週の動き
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5/4(日)
・トランプ大統領が海外製作映画に関税を課すとSNSに投稿
・トランプ大統領のインタビューをNBCが公表
・イエメンのフーシ派がイスラエルのベングリオン国際空港をミサイルで攻撃
・ルーマニア大統領選挙(1位ルーマニア人統一同盟のシミオン党首、2位ブカレストのダン市長、5/18に決選投票)
・ADB年次総会(ミラノ、~7日)

5/5(月)
・ヘグセス国防長官が4つ星階級(大将級)の将官の20%削減を指示
・米国土安全保障省が不法移民の自主的な国外退去に対し本国への片道航空券と1,000ドルの報奨金を提供すると発表
・米教育省がハーバード大学に新たな助成金の申請を認めないと通告
・イスラエル軍がイエメンのホデイダ港を空爆

5/6(火)
・米・カナダ首脳会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領がイエメンのフーシ派への攻撃を停止すると表明
・米連邦最高裁がトランスジェンダーの米軍入隊禁止命令の差止めを解除する判決
・FOMC(~7日)
・ジョセフ・ナイ・ハーバード大特別功労名誉教授が死去
・ドイツ連邦議会がCDUのメルツ党首を首相に選出
・イスラエル軍がイエメンのサヌアの空港等を空爆

5/7(水)
・トランプ大統領が5月8日を第2次世界大戦の「戦勝記念日」とする布告に署名
・ヴァンス副大統領がミュンヘン安全保障会議主催のイベントで講演(ワシントンDC)
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を据え置き(4.25~4.5%))
・コロンビア大学でパレスチナ支持の抗議デモ参加者が図書館の一部を占拠
・中国人民銀行が7日物の短期金利を引き下げ(1.5→1.4%)
・韓国のソウル高裁が「共に民主党」の李在明前代表の公職選挙法違反容疑の差戻審の初公判を5月15日から6月18日に変更すると決定
・ロシア・ベネズエラ首脳会談(モスクワ)
・独仏首脳会談(パリ)
・フランス・シリア首脳会談(同)
・教皇選挙(バチカン、~8日)
・インドがパキスタン領内とカシミールのパキスタン実効支配地域にあるテロリストの拠点9か所を攻撃

5/8(木)
・米国の第2次世界大戦の戦勝記念日
・米英が二国間貿易協定の締結で合意したと発表
・米独首脳電話会談
・米・ウクライナ首脳電話会談
・トランプ大統領がロシアとウクライナに30日間の無条件停戦を求めるとSNSに投稿
・トランプ大統領がパウエルFRB議長への批判をSNSに投稿
・トランプ大統領がケイシー・ミーンズ医師を公衆衛生局長官に指名
・中ロ首脳会談(モスクワ)
・ロシアが一方的に宣言したウクライナとの一時停戦(~10日)
・北朝鮮が江原道・元山一帯から日本海に向けて多様な種類の短距離弾道ミサイルを発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・教皇選挙(ロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(レオ14世)を選出)(バチカン)

5/9(金)
・トランプ大統領が中国への追加関税は80%が良さそうだとSNSに投稿
・米商務省が通商拡大法232条に基づく商用の航空機と航空機エンジンへの関税に関する調査の開始を官報で公表
・ロシアの対独戦勝記念日式典(プーチン大統領が演説)(モスクワ)
・中国の習近平国家主席とミャンマーのミンアウンフライン国軍司令官が会談(同)
・中・キューバ首脳会談(同)
・ロシア・キューバ首脳会談(同)
・フランスのマクロン大統領とポーランドのトゥスク首相が友好条約に署名(ナンシー)

5/10(土)
・米中閣僚級貿易協議(ジュネーブ、~11日)
・英独仏・ポーランド・ウクライナ首脳会談(キーウ)
・インドとパキスタンが即時停戦で合意したと発表

●米英の貿易協定の締結合意

トランプ大統領は、米国と英国が貿易協定の締結で合意したと発表しました。正式な文書の署名はありませんが、両政府の発表によれば、主な合意内容は以下のとおりです。

・米国は英国に対する10%の「相互関税」を維持する。
・通商拡大法232条に基づく自動車関税については、年間10万台まで10%、10万台を超える分は25%の関税を適用する。
・同法232条に基づく鉄鋼・アルミ関税は撤廃する。
・英国は米国に対する関税率を5.1%から1.8%に引き下げる。
・英国は米国の市場アクセスを拡大し、50億ドル相当の輸出機会を創出する。エタノール、牛肉、果物、野菜、飼料、たばこ、貝類、化学品、繊維製品等の輸出が含まれる。
・英国はボーイング製航空機を100億ドル相当購入する。

貿易協定の詳細はこれから詰められる予定で、トランプは今後「数週間」かかるとの見通しを示しています

今回の合意は、4月2日の相互関税の発表以降、初めて実現した二国間の関税合意です。日本を含む、現在米国と交渉中の他国にとっても示唆に富む内容だったといえます。その意義と今後の関税交渉の展望について解説します(※メルマガで解説)。

●インドとパキスタンの軍事衝突と停戦

インド政府は5月7日、4月のカシミールでのテロへの報復として、パキスタン国内とカシミールのパキスタン実効支配領域にあるテロリストの拠点9か所を攻撃したと発表しました。

インドは今回の攻撃を「シンドール作戦」と名付けました。シンドールは、ヒンドゥー教徒の既婚女性が髪の分け目につける赤色の粉で、今回のテロではヒンドゥー教徒の男性が主な標的となり、犠牲となった男性に寄り添う妻の姿が大きく取り上げられたことから、それを象徴する意図があったとみられます。そして、攻撃の対象は限定されており、パキスタンの軍事施設は標的とされず、作戦を実行するにあたり「相当の自制を示した」と強調しました。

これに対しパキスタンは、インドの攻撃により女性や子どもを含む31人が死亡、57人が負傷したと発表しました。シャリフ首相とパキスタン軍はインドを強く非難し、報復を行う姿勢を示しました。

そして8日、インドは、パキスタン軍がドローンやミサイルを使ってインドの軍事施設を攻撃したとして、インド軍がその対抗措置として、パキスタンの防空レーダー等に「同程度」の攻撃を行ったと発表しました。パキスタンは、シンド州やラホールでドローンによる攻撃があり、民間人1人が死亡したと発表しました。

また、カシミールの実効支配ラインでは銃撃戦が続き、インドはこれまでに16人が死亡したと発表しています。

さらに10日朝、パキスタンは、インドがパキスタンの空軍基地にミサイルを発射したとして、パキスタン軍がインドに対する「軍事作戦を開始した」と発表。インド国内の複数の軍事施設やミサイル保管施設を破壊したと主張しました。シャリフは、核管理を統括する国家指令本部を招集したとも発表。しかしその後、ハワジャ国防相は「会議は実際には開催されていない」としました。

インドとパキスタンの衝突は拡大するかに見えましたが、同日、両国は即時停戦で合意したと発表。インドによれば、12日に両軍幹部が協議する予定です。トランプ大統領は、「米国の仲介によって停戦合意に至った」とSNSに投稿し、シャリフもトランプへの謝意を表明しました。

もっとも、11日未明にはカシミールのインド実効支配地域で爆発音や閃光が確認され、インドは、パキスタンは停戦合意を破っているとして非難しました。これに対し、パキスタンは「インドに対する勝利を祝っていただけだ」として関与を否定しました。

ここまでの展開は、前回の記事(以下のリンク参照)で述べた予想とほぼ完全に一致するものでした。最新の情報を踏まえ、これまでの動きの評価と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。

「インドとパキスタンの軍事衝突の危機」(5/5)
 
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今週の動き
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今週の映画
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最近読んだお勧めの本や印象に残った映画、ドラマなどをご紹介します。

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近況報告
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最近の仕事やプライベートについて、徒然なるままに書きます。

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あとがき
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知日派のジョセフ・ナイ氏死去、88歳 米国のソフトパワー提唱―国際政治の巨星(5月8日付時事)

リチャード・アーミテージ氏に続く(メルマガ第819号(4/21)の「あとがき」参照)、知日派の巨人の訃報。一つの時代が終わっていくことをまた一つ感じさせるニュースでした・・・(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。

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