2017/09/13 05:00 | 韓国・北朝鮮 | コメント(4)
北朝鮮と中国、ロシア
■ 北朝鮮、9日のミサイル発射断念も-太陽フレアで電子機器影響の恐れ(9月8日付ブルームバーグ)
■ 社会インフラを壊滅させる電磁パルス攻撃 日本の対策は?(9月8日付ロイター)
■ 国連安保理、北朝鮮への制裁決議を全会一致で採択(9月12日付BBC)
国連安保理決議は、中国とロシアの支持を得て何とか採択されました。
原油の全面禁輸には至りませんでしたが、段階的に北朝鮮のリソースに制限を加えており、「北朝鮮の核・ミサイル問題の補足」(9/8)で予想したとおりの展開です。
今回の制裁は相当の効果が期待できます。まだ最強段階には達していませんが、今の状況でここまで達成できたのは上出来でしょう。
一方、9月9日の建国記念日では北朝鮮に動きはありませんでした。
どういう理由だったのか、北朝鮮の意図は何なのか、推測することはできますが、一つ一つ細かい動きの意図を探ることにあまり意味はありません。国連安保理決議を受けてアクションをとってくることも十分に予想されます。
菅官房長官が電磁パルス攻撃の脅威に言及していますが、こういった非対称型の攻撃はいくらでも考えられます。テロリストと同じで、通常兵器や経済力のレベルで圧倒的に劣位にあっても、米国や日本を自らの土俵に引き込むことはできてしまうのです。
こういう相手ですから、安易に、核とミサイルがあることを認めて共存しよう・・という結論に逃げることはできません。すぐには解決できない問題ですが、プレッシャーをかけ続けることには大きな意味があります。これについては、「北朝鮮の核実験(「ICBM搭載用水爆」の開発)」①/②)(9/5・6)で詳しく述べたとおりです。
今回は、「北朝鮮の核・ミサイル問題の補足」(9月8日)で述べた中朝関係とロシアの動きについて補足します。
※今回の記事は、読者の方からの強い要望に応えて、特別に本ブログでも全文公開します(ただし「あとがき」を除く)。
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北朝鮮と中国、ロシア
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●中朝関係の悪化
中朝関係は極めて悪化しています。その深刻さはかつてないレベルといっても過言ではありません。
先般の核実験はBRICS首脳会議の初日に実行されました。以前には、4月の習近平訪米、5月の一帯一路サミット、7月の習近平ロシア訪問のタイミングでミサイルを発射しています。
明らかに習近平イベントを狙い撃ちにしています。「北朝鮮の核実験(「ICBM搭載用水爆」の開発)②」(9/6)で述べたように、こういう皇帝の顔に泥を塗る挑発行為を中国は最も嫌います。
そもそも、こうしたあからさまな北朝鮮の挑発が始まる前から、両国の関係は悪化していました。
中国と北朝鮮の国営メディアでは、お互いを猛烈に非難する記事を掲載しています。もちろん政府の公式発表ではありませんが、両国のメディアは政府の監督下にありますから、事実上政府の立場を代弁していると言っても過言ではありません。これも、金正日時代からは考えられない現象です。
最近の中国メディアの報道をみると、北朝鮮を非難するというよりは、距離を置く論調が目立つようになっています。つまり、かつて中国と北朝鮮は、ソ連とともに三兄弟の関係にあったが、今はそういう時代ではない、中国と北朝鮮は対等であって、中国が北朝鮮をコントロールすることはできない、という趣旨です。
その主眼は米国に向けてのメッセージであり、だから中国に期待するなと米国に訴えるのが目的であることは明らかです。しかし、これは同時に、北朝鮮からの離脱を本格的に考え始めたメッセージともとれます。
●金正恩と習近平
ここで一つ注目したいポイントは、金正恩の訪中です。金正恩は2011年に権力を承継してからすでに6年になりますが、いまだに中国を訪問していません。これは、先代の金正日の頻繁な首脳外交と比べるまでもなく、異常なことです。
なぜ訪問して習近平と会わないのか、これも色々な推測がありますが、結局のところ金正恩の意思一つにかかっているので、分析には限界があります。
ただ、この異常な状況がいつまで続くのか。今の北朝鮮の振る舞いには何一つ中国にメリットがなく、おそらく中国も困惑しています。中国が本気で北朝鮮の行動を制御したいと考えるならば、大きな手段はトップの対話でしょう。いずれその方向に動き出す可能性は極めて高いとみられます。
そうすると、トップが会ったときに何が起こるのか。これは分かりません。ただ、一説では、金正恩が訪中しない大きな理由は、金正恩の粗暴な振る舞いにあるとも言われています。そのマナーの悪さ、不規則な言動が習近平の逆鱗に触れる可能性がある・・これが北朝鮮がおそれるリスクというのです。
真偽のほどは分かりません。しかし、習近平が金正恩に会ったとき、中国が北朝鮮への態度を最終的に決めることになる・・という見方には十分な合理性があります。このときが、北朝鮮の命運が尽きるときになるのかもしれません。
●ロシアの動き
「北朝鮮の核・ミサイル問題の補足」(9/8)で、ロシアは北朝鮮のことを歯牙にもかけていない・・ということを書いたら、そうだったのか、驚いた!というご意見をいただきました。
たしかにロシアには北朝鮮に対して一定の影響力をもっています。しかし、それはかなり限定されています。また、ロシアとしては北朝鮮が暴れることで地域が不安定になることを恐れていますが、ロシア全体から見れば、たとえば欧州、中東といった重要地域との関係に比べれば、迷惑であっても中核的利益が侵されるほどの危機感はありません。
ただ、だからといって、ロシアが手をこまねいているかというと、それはまた別の話です。
朝鮮半島で有事が起これば、ロシアは一気に介入し、自国の権益の拡大を図るでしょう。それは、第二次大戦末期にドイツが降伏した直後、ソ連が日ソ中立条約を破棄していきなり満州に侵攻したのと同じことです。いわば火事場泥棒ですが、ロシアがこうした動きに出ることは十分に予想されます。
おそらくロシアはすでにそうしたシナリオを検討しており、それを前提にしつつ現在の北朝鮮問題にアプローチしています。
したがって、こロシアの動きに目を離すことはできません。言い換えれば、北朝鮮問題の解決に向けてロシアの役割に高い期待をかけることはできないが、だからといってロシアが重要でないという意味ではありません。状況が動いたときに恐るべき行動に出る可能性があるという意味で、ロシアはキープレイヤーといえます。
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あとがき
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今回は、特別にブログでも公開しましたが、いかがだったでしょうか。このあともプライベートの話を書いていますが、メルマガのみの掲載とします。
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4 comments on “北朝鮮と中国、ロシア”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
このように・・
少しずつストリップしていくのはいいですね・・
週刊誌で不倫相手として・・弁護士も名を挙げる御時世に突入・・
次は週刊誌で名前を拝見したいな・・・( ^ω^)・・・(笑
このような丁寧で詳細な分析をされる方が、どんなプライベートをお持ちなのか興味深いです。ディスクローズ楽しみにしております。
ロシアが北朝鮮に対し、他の重要地域との関係に比べ、中核的利益が侵されるほどの危機感はないという点ですが、過去の朝鮮戦争をきっかけに、同じ共産国でありながら、中国とロシア(ソ連)の仲がギクシャクし対立を招いたことを考えると、朝鮮半島は、中国とロシアにとってのホットポイントであり、ロシアにとっては危機感をもってのぞむ地域だと考えます。それはKGB出身のプーチンも認識しているのではないでしょうか。
北朝鮮北部にある港の利権を中国に独占されるとロシア海軍にとっては危機的な状況になりかねないと思いますし、北朝鮮は、世界最大だと言われている「タングステン鉱脈」をはじめ、様々な地下資源を有しており、これらの利権を考えると、北朝鮮情勢はロシアにとってそれなりに重要な問題だと思われ、「歯牙にもかけていない」というのは少し軽視しすぎではないでしょうか。
実際、北朝鮮が元KGBの軍事顧問を起用した事を考えると、既にロシアが危機感をもって積極的に関与している可能性も否定できないと思うのですが。
今日のぐっちーコラム読むと・・
「1日下手をすると100万PVを超える訳」
だそうですぞ・・
魂消た・・一流新聞並みになっている・・
ここはひとつ・・箔をつける為・・誰も言ってくれないから・・
せめて・・
JDと僕ぐらいは・・先生と付けてお互い呼び合いませんか・?
JD先生・!!
( ^ω^)・・・(笑
おっしゃることはそのとおりです。私の言い方がミスリーディングだったかもしれません。ロシアとしては、最も望ましいシナリオは現状維持と思います。そのための努力をしていることは否定しません。またタイミングを見て取り上げます。