プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/09/18 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(9/18~24)


三連休はいかがお過ごしでしょうか。米国ではハリケーンが直撃していますが、日本でも台風が本州上陸。ちょっと残念な連休になりましたね。

***********
先週の動き
***********

9/11(月)
・国連安保理が北朝鮮制裁決議を採択
・ハリケーン・イルマがフロリダ上陸

9/12(火)
・米・マレーシア首脳会談(ワシントンDC)

9/13(水)
・安倍首相がインド訪問(〜15日)
・ティラーソン国務長官が訪英

9/14(木)
・日印首脳会談(ガンディナガル)
・トランプ大統領が11月に日中韓を訪問すると発表

9/15(金)
・北朝鮮が弾道ミサイル発射
・ロンドン地下鉄で爆発

●北朝鮮のミサイル発射

またか・・と誰もが思ったミサイル発射。安保理決議を受けての動きと思われますが、これは「北朝鮮と中国、ロシア」(9/13)で予想したとおりです。

北朝鮮問題のポイントはこれまで書いた記事のとおりです。すでに言い尽くされていますので、ご確認下さい。

「トランプ政権の北朝鮮外交」(8/15)
「北朝鮮の弾道ミサイルの日本上空通過と日本政府の対応」(8/30)
「北朝鮮の核実験(「ICBM搭載用水爆」の開発)(1)」(9/5)
「北朝鮮の核実験(「ICBM搭載用水爆」の開発)(2)」(9/6)
「北朝鮮の核・ミサイル問題の補足」(9/8)

●安倍首相のインド訪問

今回はモディ首相のお膝元であり、高速鉄道が建設されるグジャラート州だけを訪問。こういう味のある日程を組めるのが長期政権の強みです。

今週は、「中国とインドの対立(1)」(9/14)の続きを書きますが、そこで日印関係についても説明します。

●ナジブ首相の訪米

外交巧者のナジブ首相、オバマ前大統領とも親密な関係を築いていましたが、トランプ大統領ともがっちり組んで、自らの政治基盤を強化することに成功しています。

米国のメディアは、かねてよりナジブの強権的な統治や1MDBスキャンダルを批判しており、オバマとナジブの良好な関係にも否定的でしたが、いわんや今回のトランプの大サービスには非難の嵐。まあ、ナジブもトランプも、長いことメディアを敵に回しており、今さらこれを気にするタマではないでしょうが。

ナジブとオバマの関係、1MDBスキャンダルについては、古い記事ですが、「マレーシア政治(1):ナジブ政権の苦境」(15/5/18)で解説しています。

一つ気になるのは、ナジブがトランプに対して、ミャンマーのロヒンギャ問題にプレッシャーをかけるよう要請したとのこと。

ロヒンギャ問題はかつてないレベルで国際社会から注目を集めていますが、英国を訪問したティラーソン国務長官もボリス・ジョンソン外相とともに記者会見で懸念を表明したように、トランプ政権でも大きなアジェンダとして浮上しつつあります。今週はこちらも取り上げます。

●トランプ政権の方針転換

トランプ大統領の発言が比較的穏当になっています。具体的には税制改革、DACA見直しにおいて過激な発言を控え、民主党との連携を模索する動きを鮮明にしています。

こうしたトランプの方針転換は「ペローシ・シューマー・トランプ合意」(9/12)から始まったものと考えられます。記事で述べたとおり、トランプは、共和党指導部の構想を完全に無視して民主党との「ディール」に踏み切りました。

この方針転換の狙いと影響については今週解説します。

●ヒラリー回顧録

先週発売され話題を呼んでいます。

Hillary Rodham Clinton, “What Happened”

内容は大統領選の敗北を振り返ったもの。ヒラリーには過去にいくつか著作がありますが、いずれも選挙を見据えたアピールという側面がありました。それに比べると、この本は大統領への野望をすべて捨て去った後の率直な気持ちを述べているということで、政治家の回顧録としてはなかなか面白いと高い評価を得ているようです。

***********
今週の動き
***********

9/18(月)
・安倍首相が国連総会出席のためNY訪問(〜22日)

9/19(火)
・国連総会一般討論演説(トランプ、マクロンら)(NY)
・ミャンマーのアウンサン・スーチー国家顧問兼外相が演説(ネピドー)
・FOMC(~20日)

9/20(水)
・国連総会一般討論演説(安倍首相、メイ、ロウハニら)(NY)

9/22(金)
・英国のメイ首相がBREXITについて演説

9/23(土)
・NAFTA再交渉第3回会合(オタワ、〜27日)

9/24(日)
・ドイツ議会(下院)選挙

●ドイツ議会選挙

今年の欧州における最大イベントと言って良いでしょう。

昨年のBREXITから欧州の混乱が始まり、今年は、3月のオランダ議会選挙、4月と5月のフランス大統領選挙、6月の英国総選挙とフランス議会選挙・・と大型選挙が続きましたが、このドイツの選挙が最後の締めくくりとなります。

オランダ(3/15)
仏大統領(5/7)(解説
英国(6/8)(解説
仏議会(6/11)

マクロンは人気が急落しているとはいえまだこれから、メイ首相は体勢を立て直し意外にも政権長期化の見通しが見え、今回メルケル首相は圧勝の勢い・・ということで、欧州はポピュリズムの嵐を抜けて、少しずつ安定を取り戻しつつあるように見えます。

この安定への動きが本物なのか、やはり欧州は世界最大のリスク要因に戻るのか。今回の選挙はこれを見極める試金石となります。

***********
あとがき
***********

今週から、読者の方からのご要望に応え、バックナンバー配信を始める予定です。追って告知します。

週末のプライベートについて書いていますが、メルマガのみ掲載します。

メルマガ「世界情勢ブリーフィング」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

2 comments on “今週の動き(9/18~24)
  1. 牧神の午後 より
    初歩的な質問です

    首相官邸のフェイスブックには、以下の記述があります。
    ーーー
    年に一度の日印相互訪問も4年目です。
    ーーー

    4年目?

    安倍首相は2006年12月に、シン首相が訪日したとき、毎年交互に、両国の首相が相手国を訪問することを約束した、と記憶しています。

    インド側の首相が交代したので、カウンターを一度ゼロに戻したのでしょうか?

    とすれば、相互訪問は首相同士の個人的約束であって、政府間のものではないと言う事でしょうか?

  2. JD より
    牧神の午後さん

    たしかに、これは政府間の取り決めですから、2006年以来ずっと続いている話ですね。
    「4年目」というのは、ご指摘のとおり、モディ・安倍時代のカウントです。
    正確に言えば、「モディ首相と安倍首相による年に一度の日印相互訪問も4年目です。」でしょう。
    官邸としては、モディ・安倍の個人的関係を日印関係の中核に据えており、また表現を簡易にするためもあって、こういう省略をしたのだろうと思います。

コメントを書く

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。