2017/11/27 00:00 | 今週の動き | コメント(3)
今週の動き(11/27~12/3)
相変わらずバタバタしています。今週も、ウェブ上の更新は少しスローペースになりそうです(メルマガの配信はこれまでどおりのペースを続けています)。
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先週の動き
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11/19(日)
・チリ大統領選(ピニェラ前大統領が暫定首位、12/17に決選投票)
・ドイツでの連立協議が決裂
11/20(月)
・トランプ大統領が北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを決めたと表明
・イラク最高裁がクルド住民投票を違憲とする判決
・ASEM外相会合(ネピドー、~21日)
11/21(火)
・米財務省が北朝鮮の1個人と13団体、20の北朝鮮の船舶を新たに制裁対象に加えたと発表
・プーチン大統領がシリアのアサド大統領と会談(ソチ)
・ジンバブエのムカベ大統領が辞任
・米CBSがジャーナリストのチャーリー・ローズをセクハラ疑惑で解雇
11/22(水)
・ロシア・トルコ・イラン首脳会談(ソチ)
・レバノンのハリーリ首相が辞任を保留
・ジョー・バートン下院議員がヌード写真の流出を受けて女性関係について謝罪
11/23(木)
・サンクスギビング
・NYタイムズがマイケル・フリン前大統領補佐官の弁護士がトランプ大統領の弁護士に今後は捜査についてやり取りをすることができないと伝えたとの報道
11/24(金)
・エジプト北東部のシナイ半島北部アリーシュ近郊で武装集団がモスクを襲撃
11/26(日)
・ネパール総選挙
本日は、中東・アフリカ、米国、欧州の順に取り上げます。
●エジプトでのテロ
死者が300人を超えたとのこと。エジプトでは過去最悪のテロになりました。世界的にもこれだけ大規模なテロはしばらくありませんでした。
犯行声明は出ていませんが、「イスラム国」の同調者によるスーフィズム(イスラム神秘主義)信奉者への攻撃、来年大統領選を控えるシシ政権(13年クーデター、14年大統領就任)への牽制とも言われています。
もう少し状況が分かってきたところで、エジプト情勢も取り上げたいと思います。
なお、シナイ山は、言わずと知れたモーセが十戒を授かった場所。私が学生でバックパッカーをしていた頃は旅行者に人気がある名所だったところです。それが、近年は外国人を狙う過激派が増え、すっかり近寄ることができない場所になりました。
紅海でダイビングしたあと、シナイ山を登る・・というのが私が考えている旅行プランですが、ずいぶん先のことになりそうです。
●ジンバブエ政変
当初は抵抗を見せていたムガベもあっさり降参。37年間の独裁が幕を閉じました。
ムガベは独立運動の闘士として1980年のジンバブエ独立を導き、独立後は優れた統治手腕で国の発展を実現させました。
メルマガでは私のバックパッカー話を書いてますが、私が学生だった頃の90年代には、ジンバブエは安定した発展を続けており、観光資源にも恵まれ、バックパッカー旅行者にはハードなアフリカ旅行の中で数少ない「癒しの国」として人気がありました。
それが政策の失敗から経済が悪化し、白人の土地の強制収用や言論の弾圧など強権的な手法がとられ、国は混乱しました。国際社会からも激しく非難されますが、中国はムガベを支持し、独裁を支える大きな力になっていました。こうした中国のアフリカやアジアにおける経済外交については今週解説します。
国民の支持を失いながらも地位を守ってきたムガベですが、93歳で引退する際に自身の妻を後継者にしようとしたことが決定的な反発を呼びました。反対勢力が決断してからの展開はあっという間で、予想以上にスムーズに進んで何よりだったと思います。
後任となるとみられるムガベに追放されたムナンガグワ前副大統領も、もとはムガベの片腕であり、独裁の懸念があると言われますが、まずはジンバブエにとっては大きな朗報でしょう。国際社会の支持と援助を得るチャンスを生かしたいところです。
●ロシアゲート
マイケル・フリン前大統領補佐官の弁護士がトランプ大統領の弁護士に今後は捜査についてやり取りをすることができないと伝えたとの報道。事実とすれば、フリンが捜査当局に協力しているか、司法取引に応じる準備をしていることを示唆します。
フリンが次のターゲットとなっていることは以前に指摘しました。
フリンは、もともと必要な手続きをふまずにロシアに行って講演したり、トルコ政府に近い企業から金を受け取っていたり、息子が極右主義者だったり、とにかく弱みを沢山抱えている人物です。
しかも、フリンが辞任するときにトランプはジェームズ・コミー前FBI長官にフリンを追及しないよう頼むなど異様な行動をとっており、重要な情報をもっていることを窺わせます。以上の理由から当局にとっては、ロシアゲートの捜査を発展させる上で最重要のキーパーソンといえます。
フリンの動きは、トランプのロシアゲートに重大な影響を与えることはもちろんですが、上記記事でお伝えしたように、トルコとの関係への波及も予想されます。
●米政界の性的スキャンダル
先週お伝えしたように、米国では、政界、メディア、シリコンバレー、ハリウッドなどで性的スキャンダルが相次いでいます。
このスキャンダルの波は止まらず、今度はジョー・バートン下院議員が女性に送った自身のヌード写真(局部のアップ)がツイッターで暴露。これを受けて自身の乱れた女性関係を謝罪するというお寒い展開になりました。
また、メディアでも、NBCのマーク・ハルペリン、CBSのチャーリー・ローズといった大物ジャーナリストがセクハラ疑惑を受けて退任に追い込まれています。
過去に類を見ない大きなうねりが起こっているような状況ですが、女性たちが次々と声を上げるようになった背景には、女性の地位向上や連鎖反応のみならず、おそらく大統領になったトランプの振る舞いもあるのでしょう。
つまり、トランプが女性差別的な発言を続けたにもかかわらず大統領選に勝利したことで、旧来の男尊女卑への共感、ポリティカル・コレクトネス(公平な言葉づかい)への反動が出てきたように見えましたが、やはりそれに対して不愉快だった人は多かったわけで、それが今のうねりにつながっているのではないか・・ということです。
また、犠牲になったといわれる女性の多くは議会やメディアのインターンです。こういう社会に出たばかりの女性が標的になるのはおそらく世界共通の問題でしょう。
●欧州
メルケル首相が連立交渉に失敗し、再選挙に向かう情勢になりました。
これからのドイツ、また欧州、米国を含む世界は、難民・移民にどう向き合うかが大きな軸になることが鮮明になっています。かつて移民・難民排斥は、特にドイツではナチズムと結び付けられタブー視された面がありますが、昨年からのポピュリズムの勢いにより、この風景は一変しました。
ポピュリズム、ナショナリズム、反グローバリズムについては、近いうち私なりに整理してお伝えする予定です。
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今週の動き
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11/27(月)
・米上院が再開
・ローマ法王がミャンマー訪問(〜30日)
11/28(火)
・シリア和平協議(ジュネーブ)
・パウエル次期FRB議長の指名公聴会
11/29(水)
・イエレンFBR議長が議会証言
11/30(木)
・ローマ法王がバングラデシュ訪問(〜12/2)
・OPEC総会(ウィーン)
●税制改革
今週から連邦議会が再開し、上院で税制改革案が票決にかけられる見通しです。共和党にはボブ・コーカー、ジェフ・フレーク、ジョン・マケイン、スーザン・コリンズ、ロン・ジョンソンら反対する議員がいますが、おそらく可決はできるという見方が有力です。
問題はそのあとの両院協議会での審議で、これはかなり難航が予想されます。
以下の記事でも述べたように、今回の税制改革法案は、大企業と富裕層を優遇し、財源確保のため中低所得層を犠牲にするものとして、シンクタンクや有識者から厳しい批判を浴びています。
非常に不人気ゆえに、公聴会すら開かず、おそらく今後も開かないという異例の議事がとられています。これだけ一般市民の支持を得られない法案を成立させて大丈夫かという懸念は共和党議員にも生じています。
また、これも上記記事などでお伝えしているように、12月にはつなぎ予算の失効もあるので、政府閉鎖を回避するためにあらたな措置をとる必要があります。
トランプ政権と共和党指導部は年内の成立を目指すと述べていますが、おそらくそれは不可能でしょう。いずれにしても来年初めが勝負のタイミングになると予想されます。
また、年内での成立にこだわって税制改革の審議に集中すると、政府閉鎖のリスクが再浮上します。最近はこの可能性も十分にあるという予測も高まっています。
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あとがき
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四方山話を書いていますが、メルマガのみ掲載します。
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3 comments on “今週の動き(11/27~12/3)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
砂糖水を飲みながら・・
頑張って下さい・・
トランプにも関白殿にも・・習近平にも・・
この格言を・・
勿論JDにも・・・(笑
政界スキャンダル連発、公聴会なしの税制改革議論、フタを開けたら大した減税額じゃないかもしれない上に、ロシアゲートはJDさんの見通し通りの展開に。
まだ年内に、米国政界にもう一波乱くらいはありそうですね?
是非、米国の新潮流についてのご見解も楽しみにしています!
しかし、本当に世界中の動きをきちんとチェックしているJDさん凄いですね。
エジプトの事件は日本ではあまり話題にならないですが、深刻なんですね。
私にはどうして、同じイスラム教徒相手にテロをやるのか、本当に理解できないです。
ジンバブエつうと、なんといってもハイパーインフレとウユニ塩湖ってイメージですが、安定してた時期もあったんですね。ちょっと、そちらのほうが驚きました。
男性が自分のヌードを送るのってどういう思考なんだろう??
なんかわからないですが、男性の力のある人が自分の欲望のままに行動に出る事件が今世紀、特に2010年代に入ってから異常に多くなってるように思います。
表に出るようになっただけなのかな。
ぐっちーさんの評価はとても厳しいですが、それでもメルケルさんには頑張って欲しいです。筋を貫いて頑張り続ける姿は政治というものの良心を信じさせてくれます。
アウンサンスーチーさんもなんとか、国際社会の力を借りて、輝きを取り戻してほしいものです。