2017/11/06 00:00 | 今週の動き | コメント(9)
今週の動き(11/6~12)
3連休はいかがお過ごしだったでしょうか。久しぶりに素晴らしい天気でしたね。
私も霞ヶ関カンツリーでゴルフ・・というのはもちろん冗談ですが(笑)、都内で練習だけ行きました。日曜の早朝から、警官が多く、ところどころ道路の封鎖などがあり、ついにトランプが来るんだなという空気を感じました。
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先週の動き
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10/29(日)
・カタルーニャ州で100万人が独立反対デモ
・クルド自治政府のバルザーニ議長が辞意を表明
・フィリピンのドゥテルテ大統領が訪日(~31日)
10/30(月)
・モラー特別検察官がトランプ陣営の元選対本部長ポール・マナフォートとリチャード・ゲーツを起訴
・トランプ陣営の顧問を務めたジョージ・パパドポロスが偽証を認めたことが明らかになる
・ロビイング会社「ポデスタ・グループ」のトニー・ポデスタ会長が辞任
・スペイン検察がカタルーニャ州首相を解任されたプチデモン氏を国家反逆罪等で起訴
・日比首脳会談(東京)
・TPP首席交渉官会合(〜1日)
10/31(火)
・カタルーニャ州首相を解任されたプチデモン氏が州議会選挙の12月21日での実施を受け入れると表明(ブリュッセル)
・中韓両政府が関係修復に関する合意文書を発表
・NYマンハッタンでトラックが暴走、8人が死亡
・FOMC(〜1日)
11/1(水)
・第4次安倍内閣が発足
11/2(木)
・トランプ大統領がFRB次期議長にジェローム・パウエルFRB理事を指名(18年2月就任予定)
・下院共和党が税制改革法案を発表
・イヴァンカ・トランプ大統領補佐官が訪日
11/3(金)
・トランプ大統領がハワイ訪問
・シリアのアサド政権が「イスラム国」からデリゾールを奪還
11/5(日)
・トランプ大統領が訪日(〜7日)
米国のアジア外交、ロシアゲート、税制改革、FRB、カタルーニャとクルドの独立問題、ドゥテルテ訪日について述べます。
●トランプのアジア歴訪(訪日)
今年のアジア最大の政治イベントがいよいよ始まりました。北朝鮮をはじめとする主なポイントは先週の記事で述べたとおりです。
まずは訪日ですが、今週、結果を見てコメントしたいと思います。もっとも、以下の記事でお伝えしているように、日米関係は良好で懸案はほとんどありません。
「自由で開かれたインド太平洋戦略」という日本が掲げる構想について日米で一致・・というのも感慨深いことですが、これは以下の記事で述べた米国の南アジア戦略にも沿うものです。
・「中国とインドの対立①/②」
・「今週の動き(10/30~11/5)」
とはいえ、ハイライトは、拉致被害者家族との面会、そして霞が関カンツリーでのゴルフでしょう。まじめな話、私は半年以上前に外務省の友人から、訪日中の最重要イベントはゴルフ・・まずはそこを軸に考える・・と聞いていました(笑)。
それにしても到着直後にいきなりラウンドという強行軍のロジ。齢70にしてこの体力、さすがトランプです。
●中韓関係
トランプ歴訪における主要テーマは、上記記事で解説したように北朝鮮ですが、これに関しては、中国と韓国が、すべての分野での協力・交流を正常化させ、THAAD配備についても意思疎通するとの内容の合意文書を発表し、二国間関係の改善に向けて取組む姿勢を見せました。
中国にとっては、トランプ訪中を控えた状況での米国との連携、韓国にとっては、北朝鮮との緊張緩和と中国との経済関係回復というかねてよりの懸案解決という、それぞれの思惑があり、お互いに譲歩した結果とみられます。合意文書を出すことの外交的な意味は大きく、それなりの成果といえるでしょう。
もっとも、このHPとメルマガでは以下の記事などで何度も述べてきたように、中韓の相互不信は根が深いものです。
中国は韓国の足元を見ており、韓国は朴槿恵時代の親中外交を否定したいという事情もあります。したがって、これによって大きく関係が変わるとみるのは早計でしょう。
●ロシアゲート
ポール・マナフォート、リチャード・ゲーツ、ジョージ・パパドポロスという3人のトランプ関係者が次々に訴追と自白。
トランプは相当に動揺している様子で、「共謀(collusion)」はないと主張するツイッターを連投しました。
ただ、以前の記事で述べたとおり、トランプの共謀を立証するのは容易なことではありません。
マナフォートらの罪状はトランプのロシアとの共謀とは別の問題であり、これを有罪としても共謀の立証につながる保証はありません。
パパドポロスは、まったく無名、誰も知らない人物でした。果たしてトランプとどのぐらいつながりがあるのか分かりません。しかし、このような人物がすでに逮捕され、自白までしたという事実は、誰も知らなかったこともあり、逆に大きな衝撃を与えています。
今後、どこまでモラーがマナフォートらからトランプにつながる情報をとれるか。重要なポイントはこの3人の罪状よりもここにあります。それにはまだ時間がかかるでしょう。
一方、トランプは、ツイッターで続けて、「本当に重要なニュースは、ポデスタが自分の会社から逃げ出したことだ」と述べています。これは何を意味するのか。
トランプが意味するニュースは、マナフォートらの起訴と同日にロビイング会社「ポデスタ・グループ」のトニー・ポデスタ会長が辞任したことです。
ポデスタ・グループはトニーとジョンのポデスタ兄弟が設立したロビイング会社。ジョン・ポデスタはクリントン政権の首席補佐官、オバマ政権の大統領顧問、ヒラリーの選対本部長を歴任し、民主党の中核を担ってきた大物。トニー・ポデスタも民主党の有力資金提供者です。その二人が共同して設立したポデスタ・グループは、民主党系ロビイング会社の代表格といえます。
この民主党系の有力ロビイング会社は、かねてからロシアとの不正なつながりの疑惑が指摘されていました。ロシア最大の金融機関やマナフォートとのつながりが問題視されている親ロシアのウクライナの団体から資金供与を受けていたからです。
今回のポデスタの辞任は、モラーの調査対象にポデスタ・グループが入ったことを意味するとみられます。つまり、民主党側もロシアゲート疑惑を抱えることになったわけです。このため、トランプは、自分ではなく責められるべきは民主党だと主張したわけです。
後述のバージニア州知事選でも述べますが、民主党も苦しい状況が続いています。ロシアゲートが新たな打撃になる可能性もあります。
●税制改革
先月は予算決議案が通り、共和党の法案が発表され、進展をみせています。
とはいえ、これからの議会の審議は大変です。9月の記事で解説したとおり、先送りした予算案と債務上限の引き上げも12月8日までに対応しなければならないからです。
それでも、共和党は何としても中間選挙の前に立法上の成果を生み出したいと考えており、議会では過半数を占めていますから、妥協を重ねても何とか実現するとみられます。減税幅が抑えられたとしても米国経済に与えるプラス効果は大きく、歓迎すべきことです。
ただ、今回の法案には、米国内では強い批判があります。
共和党の伝統的なアジェンダである企業優遇だけを目指すものであって、米国をどうするかというビジョンがない・・つまり、個人税の検討不足、格差是正という視点に欠ける、財政の均衡は軽視されている、財源はメディケア・メディケイドの削減から作り出す・・ということで、本当にこれでいいのか、という不信感があります。
経済面での効果に注目しがちですが、米国がどこに向かうのか、これも分断を深める動きになるのか・・という視点も重要です。
●FRB議長
事前予想のとおり決まりました。これは、ぐっちーさんにお任せします(笑)。
●カタルーニャ州独立問題
12月21日に州議会選挙の実施が決定。
先週、100万人規模の独立反対のデモが起き、また、以前の記事でお伝えしたとおり、世論調査をみても有権者の半分は独立反対ですから、独立反対政党が勝利する可能性は十分にあります。
そうなれば、今回の事態は収束に向かい、結局は海外逃亡したプチデモンというトリックスターの独り相撲に過ぎなかった・・ということで終わりそうです。
しかし、カタルーニャ州の不満自体は残りますから、上記記事でお伝えしたように、将来的には、何らかのかたちで自治権拡大に向けた交渉が始まる可能性は十分にあります。
問題は、選挙で、独立支持政党が勝利する場合です。こうなると問題は再燃します。ただ、そうなったとしても、結局は自治権拡大に向けた交渉が鍵を握ることになります。こちらのシナリオではカタルーニャ州のバーゲニングパワーがより強くなるという点が異なりますが、ポイントは同じです。
●クルド独立問題
クルド自治政府のバルザーニ議長が辞意を表明。
クルド独立問題については以下の記事で詳しく解説しましたが、今週、最新の状況をふまえてあらためてポイントを説明します。
●ドゥテルテの訪日
ドゥテルテの訪日は、もともと6月に予定されていましたが、マラウィ市の占拠事件により延期になっていました。それが何とか年内、それも安倍首相のフィリピン訪問の直前に実現しました。
ドゥテルテについては何度も取り上げていますが、今回も色々と面白い発見がありました。今週取り上げます。
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今週の動き
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11/6(月)
・日米首脳会談
・トランプ大統領が拉致被害者家族と面会
・COP23(ボン、〜17日)
11/7(火)
・トランプ大統領が訪韓(~8日)
・バージニア州知事選
・ニュージャージー州知事選
11/8(水)
・トランプ大統領が訪中(~10日)
・APEC閣僚会合(ダナン、〜9日)
11/9(木)
・BREXIT交渉(ブリュッセル、〜10日)
11/10(金)
・トランプ大統領がベトナム訪問(~12日)
・APEC首脳会議(ダナン、~11日)
・ASEAN首脳会議(~14日)
11/12(日)
・トランプ大統領がフィリピン訪問(~14日)
●トランプのアジア歴訪
トランプ・ウィークですね(笑)。
なお、日程については、先週の記事でお伝えしたように、フィリピンには当初13日までの滞在で、14日に予定される東アジアサミットには出席しない予定だったのですが、先週、ハワイ滞在中、突然14日まで伸ばし同サミットにも出席することにした、とのこと。
そもそも、せっかくマニラに行くのに東アジアサミットに出ないのはなぜか・・きちんとした説明もなく、単にトランプが早く帰りたかっただけでは、とは言われていました。おそらく出発直前に事務方からブリーフを受け、調整がついたので「やっぱり行く」と変更したのでしょう。
ASEANの会議にはティラーソン国務長官も8月に参加しながら他の首脳より早く切り上げ、最終日のASEAN50周年記念式典には欠席していました。
かつてオバマが2013年に欠席したときも、米国の東アジア軽視を示すものと受け止められました。
最終的に東アジアサミットに出るのは、米国のコミットメントを示す上で良いことですが、こういう強引な日程変更や欠席がどう受け止められるかには注意が必要です。
●バージニア州知事選
日本ではまったく報道がありませんが、米国では非常に注目されている選挙です。
バージニアは南部の州ですが、ワシントンDCに隣接していることもあり(私もDCで仕事をしていたときはバージニア州北部のアーリントンに住んでいました)、リベラルも多く、大統領選ではスイング・ステートに位置付けられます。
昨年の大統領選ではトランプは南部の主要州を押さえて勝利しましたが、ただ一つ敗北したのがこのバージニアでした。
しかも、バージニア州では、今年、あのシャーロッツビル事件がありました。
・「シャーロッツビルの衝突」
・「今週の動き(8/21~27)」
・「シャーロッツビル事件と南部の文化」
こうした状況にある中で、今回の知事選では何が起こっているのか。
今後のトランプ政権、共和党と民主党の将来を考える上で大きなヒントになる題材です。今週取り上げます。
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あとがき
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■ 米ネットフリックス、米俳優スペイシー氏主演ドラマの制作中断(11月1日付BBC)
ケビン・スペイシーが米国人男性俳優(当時14歳)に性的暴行をしていたとの疑惑。これを受け、Netflixは『ハウス・オブ・カード』シーズン6の制作を中断したとのこと。
まあ、ケビン・スペイシーには昔からゲイ疑惑があったので、今さら驚くところではありませんが、『ハウス・オブ・カード』の中断はショックでしたね。
一方、ケビン・スペイシーのツイッターを見ると、「今まで自分はバイだったが、これからはゲイとして生きる」という、唐突なカミングアウト。
性的暴行の非難をかわすための目くらましという非難も浴びています。たしかに、ここでこれを告げる真意がよく分からないですが、本人には色々思うところがあったのでしょう。趣深いです。
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9 comments on “今週の動き(11/6~12)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
前カタル―ニア知事が・・
ベルギーに逃げ込んだという事は・・あそこなら様々な法的抵抗が可能・・
という事かな・?ベルギー政府の有力者が背後にという噂もあるし・・
モラー特別検察官・・「FBIは民主党に踏み込め」トランプ閣下が虎吼・・
ヒラリー・クリントン・国務省・・頭痛いかな・?
中韓合意文書・・あぁ簡単に日本との合意を破棄する数枚舌韓国では・?
習近平が北に手を出す心算なら・・韓国は手なずける必要がある・・
14日東南サミット・・関白殿の熱弁とお嬢さんへの熱い寄付金・・効いた・?
ハウス・オブ・カード・・簡単でしょう・・大統領を主にすれば・・強烈に面白くなる・・・( ^ω^)・・・(笑
日本に到着→基地で演説→ランチ→ゴルフ→夕食
どんな体力してるんでしょうか、この71歳。
こんなスケジュール組んでホントにいいの?って思ってしまいました。
バージニア州知事選とロシアゲート、ドラマみたいですね。
ハウス・オブ・カードも中断してしまいましたし、こちらで我慢しますか・・。
JDさんのドゥテルテの新発見、楽しみにしています!
マンスール・ビン・ムクリン王子がヘリコプター搭乗中に墜落死というニュースを見ました。JDさんのメルマガを読んでいるせいか、きな臭さを感じてしまいますが。そのうち寸評をいただけると有難いです。
トランプさん、とても楽しそうですね。
ゴルフ場での、取引、売り込みこそが、スーパービジネスマン、ドナルド・トランプの得意技でしょう。
安倍さん、気持ちよく、乗せてるようで乗せられてる鴨さんに見えます。
まあ、いいけど。どちらも骨休み兼ねて、ストレス発散してほしいもんです。
だけど、本当に意外だったのは、拉致被害者家族と現職大統領との面会が初めてだってこと。今でもちょっと本当かなあって感じです。
それほど、日米、特にアメリカにとって、微妙なニュアンスを持った問題なのか、それとも、アメリカにとっては軽いマターなのか。ちょっと興味があります。
ロシアゲート、本格的な大火事になってきた感じですね。
クリントン夫妻に思いっきり飛び火したのが気がかりです。
岩手日報しか、情報源がないんですが、図で見ると、ロシアの人たちは関連企業を直接所有する単純な形なのに対して、アメリカの人は投資ファンドを二重三重に何枚も噛ませて、関与を薄くしてるところがとってもらしいというか、金持ちにも国民性があるんだなあって思います。
パラダイスレポートなんて出てきましたね。パラダイスなんて、私にとってはイケメンパラダイスとか、パラダイス銀河とかそんな世界でしかないのですが、とってもネーミングが面白いですね。それほど、素敵なことあるのかな?しかし、南ドイツ新聞って凄いなあって思うけど、今、今世紀で一番、ジャーナリストとか、外交官に至るまで、身の安全が保証されない危険な状態になってきてるように見えるので、政府、公安当局はきちんと情報関係者を守る姿勢を見せてほしいなあって思います。
ちょっと、場面は違うけど、キューバのアメリカ大使館が音響攻撃受けるなど、外交官に対する姿勢が今までの歴史では考えられないです。ロシアゲートに関わった、ロシア外務省の人もなんか姿を消したりしてるようだし。
なんか、今までのルールが壊れ始めてる気がします。
リコパパさんに便乗させてください。
サウジアラビアでは昨日も現職の閣僚や政府高官が大量に解任・逮捕されていますね。行方と、思惑が気になります。ぜひ、フォローをお待ちしています!
拉致被害者家族とはオバマやブッシュも会ってますね。
拉致被害者本人と大統領が会うのが初めてだった、ということかと思います。
お忙しいところすいません。
よく調べないで、書き込んで余計な手間取らせてしまいましたね。
やっぱり、オバマさん、ブッシュさんともお会いしてるんですね。
ある意味、セッティングする方も、会えるだけの発言力も凄いなあって、思います。
ただ、北朝鮮に対する効果がどの程度なのか。中国やロシアが物資の抜け道になっているうちは正直、厳しいんだと思います。
つうことで、中国の習近平さん、ロシアのプーチンさんに拉致被害者(家族)を会わせる手立て、ええと中国だったら二階さんあたり、ロシアだったら森さんやムネヲさんに考えてほしいものです。
北朝鮮、地下資源豊富らしいけど、もう殆ど、将来分含めて中国やロシアのものになってしまってるんだろうなあ。代償としてのお金と食料、エネルギーなどの物資で、今の北朝鮮幹部たちくらいは喰っていけるかもしれないけど。
上が太っていられる今はともかく、将来どっかで南北国家統合ありそうに思えてきました。
米中間で2500億ドルの商談が成立しましたが、その契約に拘束力があまりない、という報道を目にしました。
本当に効力のない契約だとしたら、こう言った報道は、今後の米中間にどんな影響があるのか、教えてください。