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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/08/14 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(8/14~20)


メルマガを開始して2週間が経ちました。

更新のペースがほぼ毎日の上、毎回記事が結構長いので、どうかなと思ったのですが、ありがたいことに、読み応えがあるということで、好評をいただいているようです。

更新のペースがすごいですね、とのご意見もいただいていますが、トランプ政権に関しては取り上げるネタが尽きず、その他書きたいテーマもたまっており、毎日の配信でも追いついていないのが私個人の実感です。これが自然体なので、当面はこのペースで続けたいと思います。

コメント欄でも、励ましのお言葉から興味深いご指摘までいただき、大変ありがたいことです。

少しだけ簡単にコメントします。

●ロシアとトランプ

「ロシアによる選挙干渉の脅威」のコメント欄で、Zucciさんが、トランプ大統領がプーチン大統領に接近するのはなぜか?と聞かれていますが、おそらく最大の要因はビジネスです。

トランプのロシアでのビジネスには、ずいぶん昔から、脱税からマネロンに至るまで、相当に黒い噂がありました。これもモラー特別検察官の捜査対象となっています。

●米国と中国

「ロシアによる選挙干渉の脅威」のコメント欄で、JFKDさんは、中国が米国の敵であると述べておられますが、これは重要な指摘で、米国では、中国に対するフラストレーションが相当に積み重なっています。

それは、トランプの言う貿易不均衡にとどまる狭い議論ではなく、投資、知財、技術、モラルを含めた、より構造的なものです。

このフラストレーションを言い表しているのがピーター・ナヴァロ『米中もし戦わば』であり、トランプ政権の交渉に反映させようとしているのがウィルバー・ロス商務長官です。

もちろん安全保障面での脅威もありますが、これは、米国との直接衝突というよりは、上記ビジネス上の問題との絡みや、航行の自由、一帯一路などに関連するグローバルな制度における主導権争いの文脈でとらえる方が、より喫緊の課題として認識されています。

この辺の話はかなり深いので、ここではこの辺にとどめて、突っ込んだ分析は追い追いしたいと思っています。

●国務省

「ティラーソンの孤立」のコメント欄では、JFKDさんからご意見がありましたが、国務省の文化については、レックス・ティラーソンのスタイルとの対立という次元を超えて、もっと根深い面があります。

ティラーソンは、国務省の「再編」を唱えています。これは、遅かれ早かれ、誰かが手を付けるところだったのかもしれません。

私は国務省の人たちとは長年にわたり付き合っており、基本的にシンパシーをもっていますが、色々思うところがあります。これも書き出すと長くなるというか、ここでは書けないような話も多いので、適当な機会を考えます。

●民主党

民主党は「クリントン王朝」からの決別を最大の課題とし、四苦八苦しています。

クリントン・ファミリーの党内における力はあまりに絶大で、それが国民との乖離を生じさせました。一方で、共和党は「ブッシュ王朝」と分極化が国民との乖離を生じさせ、トランプによる「乗っ取り」を許す結果になりました。そのトランプと対峙したクリントンは、自らの負の資産から敗北に追い込まれました。

この状況の中で、民主党はいまだポスト・クリントンの展望を描くことができていません。私自身にとっては重要なテーマですが、いまだ途上にあるので、明快な答えを出すのは(米国の一流の専門家含め誰にとっても)難しいところです。常に問題意識をもって、日々の変化をしぶとくフォローする必要があると思っています。追い追い述べてきたいと思っています。

長くなりましたが、本題です。

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先週の動き
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8/6(日)
・米・ASEAN外相会議、中・ASEAN外相会議、日・ASEAN外相会議(マニラ)
・米ロ外相会談(同)
・日比外相会談(同)
・カンボジアのフンセン首相が訪日(〜9日)

8/7(月)
・ASEAN+3外相会議(マニラ)
・東アジアサミット外相会議(同)
・ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合(同)
・日米外相会談、日中外相会談、日韓外相会談、日ロ外相会談、日米韓外相会談、日米豪外相会談(同)
・ドゥテルテ大統領がティラーソン国務長官と会談(同)

8/8(火)
・トランプ大統領が北朝鮮は「炎と怒りに直面する」と発言(ニュージャージー)
・米国防情報局が北朝鮮が核弾頭小型化に成功したと分析しているとの報道
・ティラーソン国務長官がタイとマレーシアを訪問(〜9日)
・FBIが7月にマナフォート元選対本部長の自宅をロシアゲートの関連で捜査したとの報道
・ASEAN創設50周年記念式典(マニラ)
・日越外相会談、日尼外相会談(同)
・南ア議会がズマ大統領の不信任案を否決

8/9(水)
・北朝鮮の国営メディアが北朝鮮はグアムへのミサイル攻撃を検討と報道
・トランプ大統領が米国の核兵器強化についてツイート
・マティス国防長官が北朝鮮に核・ミサイル開発中止を求める声明

8/10(木)
・トランプ大統領が北朝鮮に警告(ニュージャージー)
・米軍が南シナ海で「航行の自由」作戦を実施

8/11(金)
・トランプ大統領が北朝鮮問題の軍事的解決についてツイート
・トランプ大統領が北朝鮮問題の軍事的解決について発言(ニュージャージー)
・米中首脳電話会談

8/12(土)
・米上院が夏季休会(~9/4)

●北朝鮮

トランプ大統領は17日間の夏季休暇に入りましたが、予想していたとおり、静かな休暇を過ごすことはありませんでした。米朝間でかつてなく激しい言葉が交わされ、緊張が高まり、マーケットにも影響が出ています。

今週は、読者の方々の高い関心にこたえて、トランプ政権の北朝鮮外交について解説します。

●ドゥテルテとトランプ政権

今回のASEAN関連会合は議長国のフィリピンで行われたため、外相レベルの会合であったにもかかわらず、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領がそこかしこで姿を現しました。ティラーソン国務長官とも会談しましたが、トランプ政権の閣僚と会うのはこれが初めて。

トランプ政権になり、米比関係には変化の兆しが見られます。5月から続いているマラウィ市でのテロリストとの戦闘も両国にとって重要なイシューです。

ドゥテルテとトランプ政権の関係について、今週あるいは来週に解説します。

●ASEAN50周年

東南アジアは、観光地としても、ビジネスの上でも、日本とは非常に関係の深い地域ですが、ASEANとは何なのか、と言われると、ピンとこないというか、分かりにくいイメージがあるかと思います。

今週は、私なりの「ASEAN論」を提示したいと思っています。

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今週の動き
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8/14(月)
・トランプ大統領が休暇先からワシントンDCに日帰りで帰還

​8/15(火)
・北朝鮮の祖国解放記念日
・終戦記念日

8/16(水)
・NAFTA再交渉の第1回会合(ワシントンDC、~20日)

8/17(木)
・日米外務・防衛担当閣僚協議(2+2)(ワシントンDC)

●NAFTA再交渉

トランプ政権にとって最重要課題の一つがNAFTA再交渉です。

メキシコまでサプライチェーンを広げる日本企業(特に自動車産業)にとってはビジネスに直接の影響を与える問題であり、グローバルな通商政策との関係でも、また今後の中国、韓国、日本との通商交渉に与える示唆という意味でも、極めて重要なイシューです。

これは専門的・技術的な話が多く、説明が難しいところがありますが、ある程度、展望は見えています。タイミングを見て、できるだけわかりやすい形で解説したいと思います。

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あとがき
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2 comments on “今週の動き(8/14~20)
  1. ペルドン より
    北朝鮮ミサイル

    グアムと米本土周辺に・・
    北ミサイル予告・・
    JDの分析が是非欲しい処・・
    何故日本は沈黙するのか・・
    南鮮はどうするか・?
    興味津々・・よろしくJD・・( ^ω^)・・・(笑

  2. 牧神の午後 より
    バノン首席戦略官 危し?

    白人至上主義者のデモとその後の混乱に対するトランプ大統領の発言に批判が集まっています。

    共和党からも少なからぬ議員が声を上げているようです。

    批判の矛先がバノン首席戦略官に集まりつつあるようで、特に、ケリー首席補佐官が急先鋒のようです。

    大統領は思わぬ決断を迫られる事になってしまったようです。

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