2019/10/14 00:00 | 今週の動き | コメント(8)
今週の動き(10/13~19)
先週からツイッターを始めました。今さらと言われそうですが(笑)。
これまでツイッターは読むだけだったので、正直なところ慣れていません。手探りの状態ですが、トランプ大統領をお手本にして(笑)、どんどんつぶやいてみたいと思います。アドバイスなどあればお聞かせ下さい。
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先週の動き
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10/6(日)
・米・トルコ首脳電話会談(会談後、ホワイトハウスの報道官はトルコはシリア北部で「安全地帯」を設置する軍事作戦を近く行うが米軍は関与も支援もしないと表明)
・トランプ大統領のウクライナ疑惑について1次情報を得る立場にある情報当局者(2人目の内部告発者)がアトキンソン監察官に事実関係を報告したと1人目の内部告発者の代理人弁護士がABCのインタビューで表明
・中朝国交樹立70周年
・香港で政府に対する抗議デモ
・ポルトガル総選挙(与党・社会党が第1党)
・コソボ総選挙(野党2党が勝利)
・チュニジア議会選挙(与党・イスラム政党「アンナハダ」が第1党)
・イラクで大規模な政府に対する抗議デモ(1日から継続中)
10/7(月)
・トランプ大統領がシリア情勢について「終わりなき愚かな戦争はやめる」「トルコに行き過ぎた行動があればトルコ経済を壊滅させる」とツイート
・米軍がシリア北部から撤退を開始(米政府高官はトルコ国境にいる少数の米兵が数日中にシリアの安全な別の基地に移るだけで駐留規模に変化はないと説明したとの報道、共和党のマコーネル上院院内総務、グラム上院議員らが早急な米軍撤退への反対を表明、シリア北部のクルド人民兵部隊「YPG」を中心とする「シリア民主軍(SDF)」は米軍の撤退を批判)
・トルコのエルドアン大統領がシリア北部でSDFを排除する軍事作戦を開始する準備が整ったと発表
・米下院の外交・情報・監視の3委員会がウクライナ疑惑に関し国防総省と行政管理予算局(OMB)に関連文書の提出を求める召喚状を送付
・NY州マンハッタン連邦裁判所がトランプ大統領の納税記録の提出を求めたNY州検察当局の召喚状執行を阻止するよう請求したトランプ大統領の訴えを棄却(トランプ大統領は直ちに控訴)
・米商務省が中国は新疆ウイグル自治区で少数派民族を弾圧しているとして監視カメラ最大手のハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、センスタイム、メグビーら8企業、ウイグル自治区政府の公安部門など20機関を10月9日に輸出管理規則に基づく「エンティティ・リスト」に追加すると発表
・米中次官級通商協議(ワシントンDC、~8日)
・日米両政府が日米貿易協定に署名(ワシントンDC)
・パウエルFRB議長が講演(ソルトレークシティー)
・エクアドルのモレノ大統領が燃料補助金の廃止に抗議するデモの激化を受け政府を首都キトから南部のグアヤキルに移転させると発表
・ノーベル生理学・医学賞発表
10/8(火)
・トランプ大統領がシリア北部のクルド人勢力について「特別ですばらしい戦闘員のクルド人を見捨てるわけがない」「財政でも武器の面でも支援する」「トルコによる不必要な戦闘はトルコ経済や通貨を壊滅させるだろう」「トルコはNATOメンバーで貿易パートナー」とツイート
・米ホワイトハウスがトランプ大統領の弾劾調査は憲法上無効と主張する書簡を下院に送付
・米国務省がソンドランド駐EU大使のウクライナ疑惑に関する議会証言を拒否したことが判明
・米国務省が中国は新疆ウイグル自治区で少数派民族を弾圧しているとして中国政府高官や中国共産党幹部への査証発給の制限を発表
・日米韓の北朝鮮担当の実務者協議(ワシントンDC)
・安倍首相がテッド・クルーズ上院議員と会談(東京)
・英独首脳電話会談
・ノーベル物理学賞発表
10/9(水)
・トルコ軍がクルド人民兵部隊「YPG」を中心とする「シリア民主軍(SDF)」を排除するためシリア北部に侵攻(トランプ大統領は「支持しない」との声明を発表、EUはトルコの軍事作戦の一方的な中止を求める声明を発表)
・ロシア・トルコ首脳電話会談
・トランプ大統領の顧問弁護士を務めるジュリアーニ元NY市長にバイデン前副大統領に関する調査で協力したウクライナとベラルーシ出身の実業家2人が逮捕(10日に起訴)
・バイデン前副大統領がトランプ大統領は弾劾されるべきと発言(ニューハンプシャー)
・中国・ソロモン諸島首脳会談(北京)
・ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)
・ノーベル化学賞発表(旭化成名誉フェローの吉野彰氏らが受賞)
10/10(木)
・トランプ大統領がトルコによるシリア北部での軍事行動について「ルールに基づいて行動しなければ制裁を通じてトルコに金融面でとても激しい打撃を与える。注視している!」とツイート
・ウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ大統領との7月の電話会談と9月の会談で圧力を受けたことはなかった、バイデン前副大統領の息子が幹部を務めた企業に関する捜査で米国と連携する用意はあるが現時点で捜査共助はしていないと説明(キエフ)
・米下院の外交・情報・監視の3委員会がウクライナ疑惑に関しペリー・エネルギー長官に関連文書の提出を求める召喚状を送付
・米中閣僚級通商協議(ワシントンDC、~11日)
・双十節(中華民国の建国記念日)
・朝鮮労働党創立記念日
・英・アイルランド首脳会談(英国・ソーントン・ホウ)
・ルーマニア議会がダンチラ内閣に対する不信任案を可決
・EU財務相理事会(ルクセンブルク)
・インドネシアのウィラント調整相が刃物を持った男性に襲撃(インドネシア・バンテン州)
・ノーベル文学賞発表
10/11(金)
・トランプ大統領と劉鶴副首相が会談、米中が通商協議の「第1段階」の基本合意に達したと発表(ワシントンDC))
・トランプ大統領がマカリーナン国土安全保障長官代行の辞任を発表
・トランプ大統領がサリバン国務副長官を駐ロシア大使に指名
・エスパー国防長官がトルコによるシリア北部での軍事行動について失望の意を表明し、10月10日にトルコのアカル国防相と電話協議しシリア攻撃の停止を求めたと表明
・シリアのコバニにいた米軍部隊がトルコ側陣地から砲火を浴びたと国防総省が発表
・米国防総省がイランの脅威に対抗するため戦闘機部隊やミサイル防衛システムの運用部隊を中心に3000人規模の米兵をサウジに追加派遣すると発表
・米下院の情報・外交・監視の3委員会でヨバノビッチ前駐ウクライナ大使がウクライナ疑惑に関する非公開の証言
・習近平国家主席がインドを訪問(~13日)
・イランの石油タンカーがサウジのジッダ沖の紅海でミサイル2発の攻撃を受け爆発したとイラン国営メディアが報道(犯行声明は出ていない)
・英国のバークレイBREXIT担当相とEUのバルニエ首席交渉官が会談(ブリュッセル)
・RCEP閣僚会合(バンコク、~12日)
・ノーベル平和賞発表(エチオピアのアハメド首相が受賞)
●米軍のシリアからの撤退とトルコのクルド攻撃
先週1週間で、米国、トルコ、シリア、クルドをめぐり激しく状況が動きました。
まずトランプ大統領とエルドアン大統領が電話会談。会談後、ホワイトハウスの報道官がトルコはシリア北部で「安全地帯」を設置する軍事作戦を近く行うが、米軍は関与も支援もしないと表明しました。
そしてトランプ大統領がシリア情勢について「終わりなき愚かな戦争はやめる」とツイート。同じタイミングで米軍がシリア北部から撤退を開始しました。
これに対し、シリア北部のクルド人民兵部隊「YPG」を中心とする「シリア民主軍(SDF)」が米軍の撤退を「裏切り」と呼んで厳しく非難。米国の議員も、民主党のみならず、トランプと極めて近い関係にある共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務、リンゼー・グラム上院議員らが反対を表明しました。
米政府の説明も乱れました。報道によれば、米政府の高官は、トルコ国境にいる少数の米兵が数日中にシリアの安全な別の基地に移るだけで、駐留規模に変化はないと説明。トランプの発言を事実上修正しました。
そしてトルコ軍は、「平和の泉」作戦と称して、シリア北部に侵攻しました。トルコは、すでに16~17年の「イスラム国」との戦闘(「ユーフラテスの盾」作戦)でアレッポ県のアザズ、アル=バーブ、ジャラブラス、18年1~3月のSDFとの戦闘(「オリーブの枝」作戦)でアフリンを占領しています。今回は、国境からのテロリストの侵入阻止と難民の帰還を実現すべく、シリア北部の国境地帯の東西600キロ、南北30~40キロに「安全地帯」を構築するとして、当該地域を支配するSDFを完全に排除しようとしています。
これに対し、トランプはトルコの軍事行動を「支持しない」との声明を発表。「ルールに基づいて行動しなければ制裁を通じてトルコに金融面でとても激しい打撃を与える。注視している!」とツイートしました。エスパー国防長官も「大変失望した」と述べ、トルコのアカル国防相と電話協議しシリア攻撃の停止を求めたと表明しました。
この問題は、トルコとシリア、中東全体の秩序とともに、米国内政にも大きな影響を与える可能性があります。今週、解説します。これまでの経緯等については、さしあたり以下の記事をご確認下さい。
・「トルコとクルド(2):クルド人の対立・トルコ政局・イスラム国」(15/8/5)
・「トルコによるシリアのクルド攻撃」(18/1/30)
・「シリアとトルコの激突の危機」(18/2/28)
・「シリアでのトルコ進軍」(18/3/26)
・「米・トルコ外相会談とクルド軍の撤退」(18/6/11)
・「2019年の展望(2)(トルコ、サウジ、イランの戦略)」(1/9)
・「シリア撤退方針の迷走(ボルトン大統領補佐官とポンペオ国務長官の中東訪問)」(1/14)
●ウクライナゲートとトランプ弾劾の可能性
ウクライナ疑惑が火を噴き続けています。先週、トランプ政権は、弾劾調査は民主党が主導する政治的な動機に基づくものとして協力しない方針を表明。まず弾劾調査の開始自体が、前例(ニクソン、クリントンの弾劾)と異なり、下院の採決を得ずして行われたものであって無効と主張しました。
以下の記事で、「弾劾の調査開始にも下院の議決が必要との見解もあり、トランプ政権は委員会の調査は単なるルーティーンの監視手続きに過ぎないと主張しています」と指摘しましたが、この指摘に沿った動きです。
・「ウクライナゲートとトランプ弾劾の可能性」(10/2)
ホワイトハウスは弾劾調査を妨害していますが、民主党は立て続けに召喚状を送付することで調査を進めようとしています。
また、2人目の内部告発者が現れたと1人目の内部告発者の代理人であるザイード弁護士がABCのインタビューで明らかにしました。内部告発者は「複数」と言われており、3人目以上が現れることも示唆されています。これも上記記事(10/2)で予想したとおりの展開です。
また、最近、読者の方から、以下のような見方があるようだが、どう思うか?との問い合わせがありました(いずれもそれなりに名のある人が述べているとのことで、名前を挙げても良いのですが、とりあえず伏せます)。
(1)「ウクライナゲートはバイデン前副大統領を守るために民主党とメディアがでっち上げたもの。民主党はウォーレンでは勝てないので、ペローシ下院議長はバイデンのスキャンダルをもみ消し、バイデンをなんとしても大統領候補にしようとした。」
(2)「トランプ大統領が汚職追及を行うのは当然であって、それはむしろ大統領の義務である。電話会談で援助の『見返り』を明示的に要求していない以上、違法性はない。弾劾訴追の憲法上の要件である『反逆罪、収賄罪その他重罪及び軽罪』は立証できない。」
結論から言えば、これらはいずれも極めておかしな見解です。先に述べた弾劾調査の採決と内部告発者の件も含め、解説します(※メルマガに限定)。
●米中通商協議の「第1段階」の基本合意
トランプ大統領、ライトハイザーUSTR代表、ムニューシン財務長官らが劉鶴副首相と会談し、米中両政府は通商協議について「第1段階」の基本合意に達したと発表しました。
基本合意は口頭上の合意です。合意には、中国の農産物の自主的な輸入拡大(400~500億ドル)、為替政策の透明性、対中市場アクセスの改善、知財保護が含まれるとされています。また、トランプ政権は、10月15日に予定していた対中追加関税第1~3弾によって中国製品(2500億ドル相当額)に課している制裁関税の引き上げの先送りを表明しました。
今後、米中は合意の書面化に取り組み、11月13~14日にチリで開かれるAPECでの米中首脳会談で署名を目指すとしています。第1段階の合意に含まれなかった問題は、その後に「第2段階」の交渉で扱うことになります。
今週予定されていた関税引き上げの延期を含め、おおむね以下の記事で述べたとおりの結果になりました。ポイントと今後の見通しを解説します(※メルマガに限定)。
・「米中協議の継続」(9/6)
・「対中追加関税の引き上げの延期」(9/16)
・「米中閣僚級通商協議」(10/7)
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今週の動き
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10/13(日)
・香港で政府に対する抗議デモ
・独仏首脳会談(パリ)
・ポーランド議会選挙
・チュニジア大統領選決選投票(憲法学者のサイードと実業家のカルウィの争い)
10/14(月)
・コロンブス・デー(米市場一部休場)
・プーチン大統領がサウジを訪問
・EU外相理事会(ルクセンブルク)
・IMF・世銀年次総会(ワシントンDC、~20日)
・ノーベル経済学賞発表
10/15(火)
・米財務省が半期為替報告書を公表
・トランプ政権が一定の経済的条件を満たさない移民には米国永住権(グリーンカード)やビザを発行しない新たな規則を実施
・米民主党の大統領候補者の第4回テレビ討論会(オハイオ州ウェスタービル)
・プーチン大統領がUAEを訪問
・EU総務理事会(ルクセンブルク)
・モザンビーク大統領選挙
10/16(水)
・香港立法会が再開(林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が施政方針演説)
10/17(木)
・米下院の情報・外交・監視の3委員会でソンドランド駐EU大使がウクライナ疑惑に関する証言
・EU首脳会議(ブリュッセル、~18日)
・G20財務相・中銀総裁会議(ワシントンDC、~18日)
・ジブラルタル総選挙
10/18(金)
・米国がWTOの判断に基づきエアバスへの補助金を理由とするEUへの報復関税を発動
・IMF・世銀年次総会本会議(ワシントンDC)
10/19(土)
・英国のBREXIT延期法が定めたBREXIT協定案の議会承認の期限(承認が得られなければジョンソン政権はEUに20年1月末までのBREXIT延期を申請)
・国際通貨金融委員会(IMFC)(ワシントンDC)
・アフガニスタン大統領選挙の暫定結果の発表
●BREXIT延期申請の期限
10月19日にBREXIT延期法(通称「ベン法」)が定めたBREXIT協定案の議会承認の期限が到来します。この日までに承認が得られなければ、ベン法の定めに従うと、ボリス・ジョンソン政権はEUに20年1月末までのBREXIT延期を申請しなければなりません。
以下の記事でお伝えしたとおり、ボリスは北アイルランドに限定してEUのルールを継続させることでアイルランド問題を解決することを模索し、10月2日にそれを具体化した案をEUに提示しました。
・「ボリス・ジョンソンのBREXIT交渉」(9/16)
・「英議会の閉会の違法判決」(10/1)
・「今週の動き(10/6~12)」(10/7)
それは、関税同盟からは離脱するが、北アイルランドに限り農産品・工業品の基準についてEUのルール適用することを検討し、その適用の決定には北アイルランド議会の承認が必要(導入後も4年ごとに承認)というものでした。また税関検査は国境から離れたところで行うとしています。
メイ前政権の協定案と比べると、関税同盟に入ることを回避し、かつEUルールに縛られ続けるリスクを取り除いた点に違いがあります。ただ、問題はこれをEU(特にアイルランド)が呑むかどうかです。
先週、ボリスはEUとアイルランドの間で交渉を続け、アイルランドのバラッカー首相からは「合意は可能と思う」という予想外に前向きなコメントが出ました。これを受けてEUもトゥスク欧州理事会議長が(少しだけ)前向きなコメントを出しました。
10月17日のEU首脳会議で最終的な判断が下されますが、実質的にはその前の独仏首脳会談、EU総務理事会が山場になるでしょう。果たしてどうなるのか。解説します(※メルマガに限定)。
●民主党の大統領候補者の第4回TV討論会
今回の参加者は以下のとおりです(参加条件は第3回と同じで、(1)4つの世論調査で2%以上の支持を得る、かつ(2)13万人以上(+20州から400人)の献金を得ること)。数字は支持率(Real Clear Politicsが算定した全米平均支持率)です。
・バイデン前副大統領 27.8%
・ウォーレン上院議員 26.0%
・サンダース上院議員 15.2%
・ブティジェッジ・サウスベンド市長 5.0%
・ハリス上院議員 4.5%
・ヤン(実業家) 2.7%
・オルーク前下院議員 1.8%
・ブッカー上院議員 1.3%
・クロブシャー上院議員 1.3%
・カストロ元住宅都市開発長官 1.0%
・ガバード下院議員 0.7%
・ステイヤー(富豪・アクティビスト) 0.7%
第3回の10人にガバードとステイヤーが加わりました(ただし、ガバードは討論会の参加条件制度を批判し、ボイコットする構えを見せています)。12人に増えましたが、2回には分けず、1回で行うことになりました。
支持率では、一時ウォーレンがバイデンを抜いて首位に立ちました(直近の調査では再びバイデンに抜かれました。また、Politicoの調査ではバイデンは依然として10ポイント以上の差でリードしています)。しかもアイオワとニューハンプシャーで1位(僅差ですが)につけている点が注目に値します。
今回の討論会のポイントを解説します(※メルマガに限定)。
●香港の立法会の再開
今週から香港の立法会(議会)が再開します。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が施政方針演説を行い、「逃亡犯条例」改正案が正式に完全撤回される見通しです。
ただ、もちろんこれでデモが収束することはありません。今後、覆面禁止法に続き、夜間外出禁止令やインターネット制限といった規制強化に踏み込む可能性があります。
今後の見通しについては以下の記事で述べたとおりですが、説明を補足します(※メルマガに限定)。
・「中国国慶節と香港デモの混迷」(10/7)
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あとがき
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■ NBAチームGM、香港支持ツイートで謝罪 中国から批判殺到(10月7日付BBC)
■ 中国、ネットから人気アニメ「サウスパーク」を削除 作者が「謝罪」(10月8日付CNN)
■ ティファニー広告に中国人抗議=片目姿は「香港デモ支持」(10月9日付時事)
■ アップル、香港の地図アプリを削除 デモ隊が警察追跡に使用(10月11日付CNN)
NBAのヒューストン・ロケッツのダリル・モーリーGMの香港デモへの支持が米国と中国で波紋を広げています。
NBAは中国でのビジネスへの影響を恐れてモーリーと距離を置き、モーリーは発言を撤回しました。以前の記事(7/25)の「あとがき」で紹介した映画『トップガン』の予告編を思い出すエピソードです。
ただスポーツに政治を持ち込むのはいかがなものかという見方も当然あります。モーリー自身に深い考えがあったようには見えません。
一方、米議会では、テッド・クルーズ上院議員やアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員らが党派を超えてモーリーの発言を称え、NBAの自粛的な行動を批判しています。意外な面々が対中強硬論でまとまる結果になり、政治的にも無視できない余波を生じさせています。
なおヒューストン・ロケッツは中国出身のスター選手姚明(ヤオ・ミン)が在籍したチームです。それがまた間が悪い感じがしますが、ヤオは現在中国のバスケットボール協会のトップを務めており、今回の騒動では米中の和解を進める外交官的な役割が期待されているそうです。
ちなみにモーリーは、MIT出身で、メジャーリーグの『マネーボール理論』を始めてNBAに持ち込んだことで有名な人物です。その手腕は高く評価されていますが、選手経験がないくせにデータであれこれ口を出してくるという受け止め方をする人もおり、数年前には元スター選手のチャールズ・バークレーが「あいつらはバスケをしたこともない、高校で女と付き合ったこともない、ゲームだけをしていたオタクだ」と罵倒したこともありました。
一方、アニメ『サウスパーク』の制作者は、中国をネタにしたエピソードが中国で削除されると、今度は中国をイジり倒す「謝罪」発表。『サウスパーク』は『シンプソンズ』(米国の『サザエさん』のような国民的アニメ)をものすごく過激(下品)にしたようなアニメで、私も大好きな番組ですが、さすがです。「謝罪」もオシャレだなと感心しました。
最後にティファニーの広告。これはもう事故のようなものと思いますが、ただ興味深いのは、言葉にせずとも、ジェスチャーとテクノロジーを使って、当局の規制をかいくぐりながら、香港内部のみならず、外の世界ともコミュニケーションを続けていることです。これもまた「水の革命」(以下の記事参照)ですね。
・「香港の「逃亡犯条例」改正案の完全撤回」(9/9)
冒頭記事で、警察の動きを追跡する地図アプリが紹介されていますが、これにも驚かされました。アップルが削除してしまいましたが、こうした創造的な市民からのレジスタンスはこれからも続くのでしょう。すごい時代になったものです。
しかし、香港の抗議活動は悲壮な決意を強めています。これについては本文記事をご覧ください。
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8 comments on “今週の動き(10/13~19)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
ツイッター。楽しく活用させていただいております。何よりJDさんの「視点」をカジュアルに感じられる面白いツールです。どういうところに目をつけて物事に切り込んでいかれるのだろう?と興味深く、さらに時事ネタへの突っ込みも味わい深くて楽しいです。ツイ廃にならない程度に、エンタメ、スポーツ、海外ドラマ、トレーニング・・・多方面でトランプ師匠に負けないくらいつぶやいてください!(笑)
米中協議の「温存カード」。双方、なんとか利害をまもりつつ落とし所を探っているところが、非常に分かりやすく興味を持ちました。一方、落とし所がどこなのか全く分からないのが、香港です。メルマガで述べられている現地(特に市民)情報含め、多くの貴重な情報をありがとうございます。
ウクライナゲートの見方(1)は本当にその通りだなと思います。リスクとリターンを考えたらちょっとおかしな発想ですよね。ハイリスクの割にリターンが少なすぎるでしょう、と。きちんと事実を積み上げていけばこんな突拍子もない発想は生まれないと思いますが、結論ありきでそれっぽい事実をかき集めるとこんな感じになるのでしょうか。
タッカー・カールソンからの批判は結構意外でした。根拠はありませんが、何があっても擁護してくれるような気がしていたので。彼もトランプを見放し始めたのでしょうか。それともこれは愛の鞭だったりするのでしょうか。
米中通商協議は10月15日の発動延期及び11月のAPEC、共にお見立て通りでしたね。お見事です。12月の関税第4弾(2)は会見で問われた際トランプも上手くはぐらかしていましたし、(今回の発動延期も)30%には増やさないけれど25%は払い続ける、と言及していたので、おっしゃる通り主導権を握る余地を残しておきたかったのでしょうね。
ニュースで合意内容を見たときは、えらく中国は気前の良い合意をしたものだなと思っていたのですが、やはり密約ありますか。私は香港カードを裏取引したのかなと思っていました。農産物の購入に関しても、トランプはしきりに金額の大きさをアピールしていましたが、中国側の公式発表ではちょっとトーンが異なっていたので、このあたりにもJDさんがおっしゃるようなディールの変容性を感じます。
やはり足元見られますよね。私達ですらトランプがウクライナ問題で心ここにあらずであろうということが何となく推測出来るのですから、中国がそこを突いてこない訳がないですよね。
今やトランプが何の心配もなく交渉事が進められるのは、心の友・英国のボリス首相くらいでしょうか。そのボリスも窮地に立たされていますね。「離脱or NOT」を選挙テーマに掲げることが出来なければ彼的には不利なのでしょうが、どうなりますでしょうか。
テレビ討論会、ウォーレンの数字の伸び方はやはり目を見張るものがありますね。バイデンは上手い切り返しが出来ますでしょうか。頑張って欲しいけれど・・心許ないです。ウクライナゲートもそうですが、シリアからの撤退も海外派兵問題と絡めて話題にされたりするのかなと思っています。エルドアンとの電話会談のダイアログを出すべきだ!とかいう話が出てきたら面白いなと。(飛躍しすぎかな?)
香港のティファニーは完璧もらい事故ですよね。同情します。『サウスパーク』制作者の謝罪は気骨があって良いですね。当事者だったら腹が立ちますけど・(笑)。
NBA問題は確かに政治とスポーツを混同すべきではないと思いますが、それでも事が起きてしまった以上、背に腹は代えられないでしょうから、当事者たちは大人な対応をするしかなかったのかなと思います。JDさんもツイートしていらっしゃいましたが、テンセントはNBAの中継を再開しましたね。10/14中国外交部の記者会見でもこの件に触れており、「重要な前提条件は相互尊重である」と述べています。ただでさえ米国から余計な干渉を受けていて煩わしいのに、これ以上ツッコミどころを与えたくない・・という中国側の政治判断も働いたのかな・・なんて勘繰っています。
ツイッターデビューおめでとうございます
私はアカウントだけある状態で
やっていませんけど(笑)
ところで
香港・・・
完全に本土とおなじようなことになっていると思います
私の邪推になりますが
香港行政府の連中で
土地収用や自動車からみで
何か汚職が発生しているのではないでしょうか
そう考えないと
このデモは理解ができないのです
中国は外部発信と内部発信のニュースが
まるで違うことが
よくありますので
香港も同じことをやっているのではないかな
と思っただけです
本土のデモとおなじようなことしか
やっていないと思うのです
香港デモの背景には、ご指摘のとおり、民主化のみならず、格差の拡大、大陸の中国人の進出による土地価格の高騰、香港と中国との関係への不信といった経済・社会上の不満があります。
また、中国が主張する外国政府の陰謀とまでは言えないにせよ、デモ継続を望む勢力からの資金支援もあるでしょう。
いつもお世話になります
勉強の甲斐と過去JDさんの解説もあり
最近は、なんとなく次のことがわかるようになってきました
ありがとうございます
悲しい出来事のあと
少し、筆致が乱れたような感じもありましたが
戻ってきて安心をしております
事実と論理性を求めると
自分自身がかなり成長をしたように感じます。
最近の報道でも
おかしいでしょ、これ、というのも
よくわかるようになり
まさにJDさんのおかげかと思います。
知性の追及とともに
論理性を求めていき
より日本語の理解を深めていきたいと思います
このことは世界情勢だけではなく
金融の世界も
そのほかいろいろな世界でも
共通したことだとは思います
ITが普及するに従い
言葉の上面しか理解できない人が
本当に増えたと思います
そういうことをも
含めてさまざまな啓もう活動をしていきたいと思います。
>那須の山奥の兄ちゃんさん
そこまでおっしゃっていただけると、私もメルマガ冥利に尽きます。ありがたいことです。
ツイッターでつぶやいていただけると、なおありがたいですね(笑)。
また、お心遣いもありがとうございます。
私も、コメントやご質問をいただきながら、ご一緒に研鑽を重ねたいと思います。
よろしくお願いします。
こんな台詞から始まるサウスパーク(笑)
謝罪記事やJDさんの論評で気になっていたらなんと!Netflixで配信されているんですね。早速観てます。
セリフは最上級の下品&過激のオンパレード、何より超有名どころをいじりまくってるところは、最高です。これを観ると、あの謝罪も納得です。
11/9。一晩明けたら、米中交渉が面白いことになっていました。
そこで、もう一度今回の記事を読み直してみて、なるほど1から3のどの課題で揉めているんだろう?とワクワクしています(笑)
この記事にある、「基本合意は口頭上の合意です」も今となってはとても重い一文です。つまり、「いつでもひっくり返りますよ」という心構えでいる必要があったわけですね。
今回トランプ様はこの件についてちっともツイートをしないのも気になります(私が見落としているのでしょうか?)し、米国側が報道に対してナーバスになっているような報道も目にすると、「足元を見られて落ち着かない」のはやはりアメリカなのでは、という思いも強まります。
今週以降のメルマガを楽しみにしています。