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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/07/07 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(7/6~12)トランプ政権の関税交渉、トランプ減税法の成立


7月になりました。本日は七夕ですね。先月から真夏のような暑さが続いているので、「夏になった!」という感慨はありませんが・・・東京でもそろそろ梅雨明けでしょうか。

グッチーポストのうにも、漁は大変順調とのことですが、海水温の上昇で早く終わってしまうこともあるそうです。ぜひお早めにお楽しみください。

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さて今週はトランプ政権の外交と内政です。関税交渉の見通しと「トランプ減税法」の成立の意義について、多角的な視点から詳しく見ていきます。

【目次】

1.先週の動き
(1)トランプ政権の関税交渉
(2)トランプ減税法の成立
2.今週の動き
3.近況報告
4.バックナンバー
5.あとがき

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先週の動き
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6/29(日)
・ラトクリフCIA長官とロシア対外情報局(SVR)のナルイシキン長官が電話会談
・カナダがデジタルサービス税の撤回を発表

6/30(月)
・トランプ大統領がシリアへの経済制裁を一部解除する大統領令に署名
・米上院が「1つの大きく美しい法案(OBBB)」法案を可決
・イーロン・マスクが「1つの大きく美しい法案」を批判、「アメリカ党」を結成する意向を表明
・ECBフォーラム(ポルトガル・シントラ、~7/2)

7/1(火)
・トランプ大統領がイスラエルはガザの60日間の停戦の条件に同意したと表明
・トランプ大統領が日本との関税交渉への不満を表明、関税の30~35%への引き上げを示唆
・米ホワイトハウスがウクライナへの兵器供与の一部停止を発表
・日米豪印(クアッド)外相会合(ワシントンDC)
・ルビオ国務長官がUSAIDの廃止を発表
・仏ロ首脳電話会談

7/2(水)
・トランプ大統領が「ベトナムと貿易交渉で合意した」と表明
・トランプ大統領がパウエルFRB議長に辞任を求めると表明
・米国防総省のパーネル報道官が米軍によるイラン空爆でイランの核兵器開発は「1〜2年遅れた」とする最新の評価を表明
・米国防総省がウクライナへの兵器供与の見直しを表明
・中国の王毅外相とEUのフォンデアライエン欧州委員長が会談(ブリュッセル)
・ダライ・ラマ14世が後継者の選出に関する声明
・イランのペゼシュキアン大統領がIAEAとの協力を一時停止する法律を施行したと表明
・ハマスがトランプ大統領によるガザの停戦案について検討しているとの声明

7/3(木)
・米・ロシア首脳電話会談
・米下院が「1つの大きく美しい法案(OBBB)」法案を可決
・中国の王毅外相とドイツのメルツ首相が会談(ベルリン)
・ロシアがアフガンのタリバン暫定政権の承認を発表

7/4(金)
・米独立記念日(米市場休場)
・米国で「1つの大きく美しい法案(OBBB)」法が成立
・トランプ大統領が7月4~9日に各国に新たな関税率を通知すると表明
・米・ウクライナ、米独、米・イタリア首脳電話会談
・カンボジアが米国と貿易協定に関する共同声明案で合意したと発表
・中国の王毅外相とフランスのマクロン大統領が会談(パリ)
・中国商務省がEU産のブランデーへのダンピング調査の最終結果を公表

7/5(土)
・トルコ検察が野党・共和人民党(CHP)に所属するアダナ、アンタルヤ、アドゥヤマンの市長を拘束

●トランプ政権の関税交渉

トランプ政権の「相互関税」の一時停止の期限は今週(7月9日)に到来しますが、トランプ大統領は先週、ベトナムとの間で合意が成立したと表明しました。ベトナムには46%の関税率が設定されていましたが、原則20%に引き下げる(第三国からの「積み替え品」には40%を課す)としています。

ベトナムとの合意は、英国に続く2か国目となります。また、カンボジアも貿易協定に関する共同声明案で合意したと発表しました。しかし、それ以外の国々とは交渉が続けられています。

日本に対しては、トランプは交渉が難航していることに不満を示し、日本には手紙を送って「30%か35%、または我々が決めた数字」を伝えると述べました。ベッセント財務長官も、交渉の難航を認め、日本は参院選を控えているから国内的制約があるのだろうとして、当面は様子を見ると述べました。

そしてトランプは、7月4日から9日にかけて、各国に新たな税率を通知すると表明しました。新たな税率は国によって「60~70%程度、あるいは10~20%程度」に設定され、8月1日から関税を徴収するとしています。まず12か国への通知に署名しており、今週7日に送付・公表すると述べました。

トランプ政権の関税交渉の見通しについては、前回の記事(以下のリンク参照)でもお伝えしましたが、最近の政治・経済情勢の進展を受け、トランプはその方針を急速に変化させています。その意味するところと最新の展望について解説します(※メルマガで解説)。

「米中の貿易合意と米国の関税交渉」(6/30)

●トランプ減税法の成立

米国が7月4日に独立記念日を迎えるタイミングで、トランプ大統領は「1つの大きく美しい法案(OBBB)」法案に署名し、同法(トランプ減税法)が成立しました。独立記念日式典には、イラン核施設への攻撃に使用されたB2ステルス爆撃機が上空を飛行し、トランプはパイロットを称えながら、自らの公約実現を自画自賛しました。

OBBB法の概要は以下のとおりです。

・17年(トランプ政権第1期)に成立し、25年末に失効予定だった減税・雇用法(トランプ減税)の恒久化(子ども税額控除の引き上げ含む)
・税制優遇措置の拡大(チップ、残業手当、高齢者、子ども)
・州・地方税(SALT)控除上限の引き上げ
・クリーンエネルギー、EV税額控除の廃止
・低所得者向け医療保険制度(メディケイド)の就労要件設定
・補助的栄養支援プログラム(SNAP、旧フードスタンプ)の就労要件設定と州の負担の増額
・軍事費の増額
・不法移民対策費の増額
・債務上限の引き上げ(5兆ドル)
※外国税に対する報復税(内国歳入法899条)は削除

議会予算局(CBO)によると、今後10年間(34年まで)の財政赤字は3兆4,000億ドル増える見込みです。

このOBBB法案は、民主党はもとより、共和党内でも一部の議員が支出の増加や低所得層支援の削減に反発し、調整が難航していました。しかし先週、上院は51対50(共和党議員3人が反対、50対50でヴァンス副大統領が議長としての賛成票)、下院は賛成218、反対214(共和党議員2人が反対)と、僅差で可決され、トランプの署名を経て独立記念日での成立にこぎつけました。

先週末の時点では、7月4日までの成立の見通しは厳しいとみられていましたが、トランプが難色を示す議員たちと直接話し、強い圧力をかけたことが状況を変えました。もっともこれはタイミングの問題に過ぎず、仮に7月4日を過ぎたとしても、近日中に成立することは見込まれていたので、いずれにしても当初から想定されていた見通しに影響を与えるものではありません。

OBBB法は、今後の米経済に大きな影響を与えるものになります。特に財政の悪化がもたらす影響については、本メルマガが早くからお伝えしてきたとおりであり、特に目新しいこともなく、メディアや経済系の識者も指摘していることから、付け加えることはありません。

しかし、そうしたすでに明らかになっている経済的な側面だけでなく、重要なポイントとして着目すべきは、政治面での影響です。この点は今後のマクロ経済や経済政策により深い観点から波及していく可能性があります。ここでは、このようなメディアや識者が語っていない、より本質的な意義について詳しく解説します(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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※メルマガをご覧下さい。

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近況報告
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最近の仕事やプライベートについて、徒然なるままに書きます。

※メルマガをご覧下さい。

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あとがき
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テレグラム創業者、100人超の子ども全員に財産残す考え 「みな同じ権利」(6月21日付CNN)

少子化の時代の中でこんなことを考えるのか、そういえば、イーロン・マスクも11人もの子どもがいるそうだが、単なる大家族好きとは違うような・・・?と感じる方もいるかもしれません。

ドゥロフやマスクらがこうした志向をもつ背景には、「プロナタリズム(出生促進主義)」という思想があると言われています。こちらのガーディアン紙の記事にも書かれていますが、多くの子どもを持つことによって人類を救おうとする考え方です・・・(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。

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