2019/10/07 00:00 | 今週の動き | コメント(2)
今週の動き(10/6~12)
先週の「追悼の辞」に対しては、読者の皆様から沢山のお便りとコメントをいただきました。大変励みになりました。心からお礼申し上げます。
一部には私の健康や身の上(?)を案じてくださる方もいらっしゃいました。忙しい毎日が続いていますが、私自身は健康そのものです。本メルマガも休止する予定はありません。ご安心下さい。
こうした皆様とのつながりも、ぐっちーさんが残してくれたかけがえのないレガシーと思います。だいぶ前にお伝えした懇親会(感謝会)の企画についても、沢山のお問い合わせをいただきました。こちらも検討しています。すぐにというわけにはいきませんが、気長にお待ちいただければと思います。
ということで、平常運転に切り替えます。この1週間も様々な動きがありました。前回の解説をベースにしつつ、さらに踏み込んだ考察を行います。
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先週の動き
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9/29(日)
・香港で政府に対する抗議デモ
・英国の保守党の党大会(マンチェスター、~10/2)
・オーストリア下院選挙(クルツ元首相が率いる中道右派の国民党が大勝)
・モスクワで反プーチン政権の集会で逮捕され実刑判決を受けた人々の釈放を求める大規模なデモ行進
・イエメンのフーシ派がサウジに対して「過去最大の攻撃」をしたとして破壊した車などの映像を公開
9/30(月)
・米下院情報特別委員会がウクライナ疑惑に関しトランプ大統領の顧問弁護士ジュリアーニ元NY市長に召喚状を送付
・トランプ大統領が豪州のモリソン首相との電話協議で16年のロシアゲートの捜査の適切性を検証する調査への協力を求めたとの報道(モリソン首相は要請があった事実を認める)
・トランプ政権が米国から中国への証券投資の制限を検討しているとの報道をナヴァロ通商製造政策局長が「不正確」として否定
・米財務省が18年の中間選挙に介入を試みたとしてプーチン大統領に近い実業家やロシア企業「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」の幹部ら4団体・7個人を制裁対象に指定したと発表
・フランスのシラク元大統領の国喪の日
・ペルーのビスカラ大統領が国会の解散を宣言したが、国会は解散を認めず大統領の職務停止を決議し、野党の支持を受けたアラオス副大統領が暫定大統領への就任を宣言
・韓国の産業通商資源部が日本政府が7月から輸出管理を厳格化した半導体関連材料3品目のうちフッ化ポリイミドの輸出が許可されたと発表
・WTOの紛争処理機関が日本から輸入されたバルブに韓国が課した反ダンピング関税はWTO協定違反と認めた上級委員会の判断を採択(日本の勝訴が確定)
10/1(火)
・ポンペオ国務長官がイタリア、モンテネグロ、北マケドニア、ギリシャを訪問(~6日)
・米民主党の20年大統領選挙の候補サンダース上院議員が動脈閉塞のため選挙活動を当面休止すると発表
・ハーバード大学がアジア系米国人を入試で差別したとして学生団体が起こした訴訟でボストンの連邦地裁が差別はなかったとする判決
・中国国慶節(中国共産党による建国70周年)
・香港で政府に対する抗議デモ(警官が計4か所で6発の実弾を発砲、男子高校生が撃たれる)
・ロシア・イラン首脳会談(アルメニア)
・ウクライナ、ロシア、全欧安保協力機構(OSCE)がウクライナ東部への特別な自治権の付与に関して基本合意(ミンスク)
・イラクで政府に対する大規模な抗議デモ(継続中)
・ペルーのアラオス副大統領が暫定大統領への就任宣言を撤回し辞任
10/2(水)
・トランプ大統領が過去8年分の納税記録の提出を求めたNY州検察当局の召喚状執行を一時的に阻止するよう連邦裁判所に請求
・USTRがWTOの判断に基づきエアバスへの補助金を理由とするEUへの報復関税を10月18日に発動する方針を表明
・北朝鮮が江原道の元山付近から日本海に向けて2発の弾道ミサイルを発射(北朝鮮はSLBMの発射に成功したと発表、米国務省は「北朝鮮は挑発行為を控え国連安保理が求める義務を順守するよう求める」とのコメント)
・英国のジョンソン政権が新たなBREXIT協定案(北アイルランドに限り農産品・工業品の基準についてEUのルール適用を検討、適用の判断は北アイルランドに委ねる)をEUに提示
・イランのロウハニ大統領がマクロン大統領がイランと米国に提示した仲介案はおおむね受け入れられるとの見方を表明
・イスラエルの検察がネタニヤフ首相への事情聴取を開始
10/3(木)
・トランプ大統領がバイデン前副大統領の息子ハンター・バイデンは中国と不正なビジネスをしていた疑いがあるとして「中国政府は調査すべきだ」と発言
・トランプ大統領が米朝実務者協議について「様子を見てみよう。彼らは対話をしたがっている。私たちは彼らと話をするだろう」と発言
・米下院情報特別委員会がウクライナ疑惑に関し国務省のボルカー前ウクライナ担当特別代表から提供を受けた駐ウクライナ代理大使のメールを公開
・米国務省が対戦車ミサイル「ジャベリン」等の兵器のウクライナへの売却を承認したと国防総省が発表
・トランプ大統領かペンス副大統領の納税記録の監査に財務省高官が介入を図ったとする内国歳入庁(IRS)の職員による内部告発があったとワシントン・ポストが報道
・香港当局が警察の実弾発砲を受けて一時重体になっていた男子高校生を暴動罪と警察官を襲った罪で起訴
・韓国のソウルで文在寅大統領の退陣を要求するデモ
・ロシア・フィリピン首脳会談(ソチ)
・サウジのアブドルアジズ・エネルギー相が国営石油会社サウジアラムコの生産量は攻撃前の水準に回復したと発表(モスクワ)
10/4(金)
・トランプ大統領が米中通商協議について「中国は合意締結を試みている国で、合意締結に向けた絶好の機会がある」と述べ、通商合意とバイデン前副大統領に関する調査を結び付けることはないと発言
・米下院の外交・情報・監視の3委員会がウクライナ疑惑に関しホワイトハウスに関連文書の提出を求める召喚状を送付
・ウクライナのリャボシャプカ検事総長がバイデン前副大統領の息子ハンター・バイデンが幹部を務めたガス会社「ブリスマ」に関する捜査が適切に実施されたか監査を行う方針を表明
・米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表がタリバンの代表団と会談(イスラマバード)
・香港政府が行政長官の権限で公共の利益のために必要な規制を制定できる「緊急状況規則条例」を発動し、デモ参加者が顔を隠すのを禁じる「覆面禁止法」を10月5日から施行すると発表(発表直後に大規模な抗議デモ)
・中国の国務院香港マカオ事務弁公室が「香港で起きているのは外部勢力の干渉がつくり出した『香港版のカラー革命』」との談話を発出
・英国のジョンソン政権が10月19日までにBREXIT協定について合意できなければ離脱期限の延期をEUに申請する方針であることを記載した文書をスコットランド上級裁判所に提出したことが判明
10/5(土)
・米朝実務者協議(ストックホルム)(協議後、北朝鮮首席代表の金明吉前駐ベトナム大使は「交渉は決裂した」と表明、国務省は新しい提案を行い良い議論をしたとして再協議に前向きな姿勢を示す声明を発表)
・香港政府が「覆面禁止法」を施行
・香港で政府に対する抗議デモ(禁止されたマスクを着用)
●ウクライナゲートとトランプ弾劾の可能性(補足)
ウクライナ疑惑については、トランプ大統領の民主党とバイデン前副大統領に対する激しい非難(バイデンについては中国も調査すべきと発言)、下院情報特別委員会による駐ウクライナ代理大使のメール公開、下院の3委員会によるホワイトハウスへの召喚状・・とわずか1週間で急ピッチに事態が動いています。
ポイントは以下の記事で述べたとおりで基本的な構図に変化はありませんが、読者の方から大統領選(議会選)への影響とバイデンの疑惑について質問をいただいたので、最新の状況を踏まえつつ説明を補足します(※メルマガに限定)。
・「ウクライナゲートとトランプ弾劾の可能性」(10/2)
●米・イラン関係(補足)
サウジの石油施設に対する攻撃については、読者の方からメールとコメントで「イランはなぜこんなことを行うのか?」との問い合わせを多数いただきました。ポイントは以下の記事で解説しましたが、説明を補足します(※メルマガに限定)。
・「サウジの石油施設に対する攻撃」(9/23)
・「国連総会(イラン)」(10/1)
●中国国慶節と香港デモの混迷
習近平国家主席は、建国70年の国慶節記念式典での演説で、香港の一国二制度を堅持する方針を強調しました。また、記念式典には、7月にデモ隊に銃口を向けたことで有名になった香港の警察官も招かれ、英雄のように扱われました。
香港でのデモと警察との衝突は続き、警官が計4か所で6発の実弾を発砲し、男子高校生が撃たれて重体に陥るという事態も発生しました。この高校生は暴動罪と警察官を襲った罪で起訴されています。
そして、香港政府は、行政長官の権限で公共の利益のために必要な規制を制定できる「緊急状況規則条例」を発動し、デモ参加者が顔を隠すのを禁じる「覆面禁止法」を施行。発表直後に大規模な抗議デモが発生し、覆面禁止法が施行された後も、マスク姿での抗議活動が続きました。
市民と警察の衝突の激化、鉄道の運行停止や商業施設の閉鎖が続き、混迷は深まる一方です。今後の展望についてコメントします(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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10/6(日)
・中朝国交樹立70周年
・香港で政府に対する抗議デモ
・ポルトガル総選挙
・コソボ総選挙
10/7(月)
・米中次官級通商協議(ワシントンDC、~8日)
・パウエルFRB議長が講演(ソルトレークシティー)
・ノーベル生理学・医学賞発表
10/8(火)
・ノーベル物理学賞発表
10/9(水)
・ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)
・ノーベル化学賞発表
10/10(木)
・米中閣僚級通商協議(ワシントンDC、~11日)
・双十節(中華民国の建国記念日)
・朝鮮労働党創立記念日
・EU財務相理事会(ルクセンブルク)
・ノーベル文学賞発表
10/11(金)
・習近平国家主席がインド訪問(~13日)
・RCEP閣僚会合(バンコク、~12日)
・ノーベル平和賞発表
●米中閣僚級通商協議
今週予定されている閣僚級協議は、11月のAPECでの米中首脳会談での「ミニ・ディール」実現に向けて、重要な試金石になると考えられます。ウクライナ疑惑など最新の状況を踏まえてポイントを解説します(※メルマガに限定)。
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あとがき
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■ 【ラグビーW杯】 応援歌、相撲、トイレ・・・来日ファンが驚く8項目(9月18日付BBC)
ロシア、アイルランド、サモアを破り、開催国として文句を言わせぬ快進撃を続ける日本代表ですが、日本開催についてはこんな見方があったようです。
言われてみると、海外でもウォッシュレットは見かけるようになりましたが、あれだけの多機能はまだ日本だけのような気もしますね。私自身もまったく使いこなせていませんが・・(笑)。
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2 comments on “今週の動き(10/6~12)”
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トランプが最近執拗にTwitter攻撃を仕掛けたり、謎の発言をしたり・・・そういった行動が顕著だな、と思っていましたが、その理由納得です。 でももし、バイデンがもっとキレキレだったら、この話ってどう進展していたのだろう、と思います。「大統領」の資質や、「大統領らしさ」を考えさせられる1週間でした。
改めて、JDさんのように、ご自分の仕事にしっかりと責任が持てて、自分の価値を相手に示すことができるというのは、改めてカッコいいことですね。読者としては心強いな、と単純に「頼る」部分もありますが、同世代の方がこうしてプロフェッショナルとして仕事をされている姿は尊敬です。 有益な情報がやり取りできるのも、 長年に渡る相互の信頼関係があってこそ。仕事への向き合い方に背筋が伸びた、月曜日です。
トランプの尋常ならざる怒りはツイッターを見ているだけでも良く伝わってきます。ついにアダム・シフはピノキオにされてしまいました。弾劾に関してはおっしゃる通り本当に嫌なのでしょうね。10月2日フィンランド大統領との共同記者会見では、弾劾関連の質問が連続しトランプがキレた、とニュースになっていましたし、本人も相当ストレスを溜めているのだろうなと思います。
サンダースの件はやはりウォーレンにプラスとなりますか。同レーンに居る2人なのでその流れもそうだなと思うのですが、個人的には今回の件で、サンダース、ウォーレン、バイデン、三人とも年齢的に心配だな・・と思ってしまいました。なので若い世代が台頭してきてくれないだろうか・・ブティジェッジとかハリスとか?と思ってしまいましたね。でも支持率的にはトップスリーが今のところ盤石な数字を維持しているので、余程の事がない限りそれは無いですかね。
イランのお見立て、面白いですね。欧州勢の翻意を受けてイランが方針転換してくるのではないか、等とぬるいことを考えていましたが、なるほど、逆でしたね。さすがです。
確かにロウハニらの発言を見ていても、文言的な微修正の提案はあったりしますが、「制裁緩和の先行」だけは首尾一貫して堅持していますよね。
あと、多様なアクターが異なる利害関係で動いているというご解説も、これまでのイランの言動に関する私の中のモヤモヤを解消してくれたような気がします。イランのブレのようにも感じていた個々の言動の微妙な不一致は、イランの複雑な内情によるものなのですね。
ザリーフのインタビューなどを見ていると、本当にイランは何もしていないのではないか・・と思わされることがあるのですが、実際彼は自分のあずかり知らぬところで起こってしまった事件の後処理を、不本意ながらやっていたのかもしれないですね。イノセントを感じた理由が分かった気がします。
イランと言えば、ペルシャ湾のガス田開発から中国の国有企業が撤退しましたが、これは米中協議と何か関係があるのでしょうか?
もう一つ中東関連で気になっているのが、トランプが米軍のシリア撤退を決めたことです。かねてからシリアやアフガンからの撤退に言及していましたが、このタイミングでそれを決断した理由や、それと合わせるかのようにトルコがシリアへ新たな軍事作戦を実行しようとしている偶然性(?)についてなど、このあたりのご解説をお聞かせ頂けると嬉しいです。
米朝実務協議はあっけなく決裂しましたね。直後に発表された両国の声明に食い違いが見られ、どっちやねん、と思いましたが、北朝鮮国営サイトを見ているとどうやら北朝鮮側の言い分が正しいようにも思えます。間髪入れず談話を発表したことから見ても、北朝鮮は米国の詭弁ともいえる声明発表に相当ご立腹のようですね。
今回も全身全霊をかけて作成されたのであろう米国への抗議文、とても面白いのですが「期待が大きいほど、失望はより大きいものである。」という一文がすべてを物語っているように感じます。めっちゃ怒ってるけど、ああ、あなた期待してたのね、と(笑)。
トイレの記事は『テルマエ・ロマエ』のウォシュレット初体験シーンを思い出してしまいました。海外の方からするとあんな感じなのかな。使い方ガイドで「やわらかい(洗浄)」→「GENTLE SPRAY」と訳されているのが何か面白かったです。札幌ドームの転換作業も初めて見たのでびっくりしました。これは必見ですね。