2017/12/18 00:00 | 今週の動き | コメント(4)
今週の動き(12/18~24)
週末は天気が良くて少し暖かく感じたぐらいでしたね。私は今年はあと2回ゴルフの予定です。
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先週の動き
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12/8(金)
・ディナ・パウエル大統領次席補佐官(国家安全保障・戦略担当)が年明けに辞任と発表
12/11(月)
・NYで爆弾テロ
・プーチン大統領がシリア・エジプト・トルコを訪問
・米議会がイラン制裁の復活を見送り
・サウジ政府が映画館の営業を認める方針を発表
・EU外相理事会(ブリュッセル)
12/12(火)
・アラバマ州上院選補選
・FOMC(~13日)
・韓国の文在寅大統領が訪中(~16日)
・イスラム協力機構(OIC)臨時首脳会議(米国のエルサレム首都認定問題を議論)(イスタンブール)
12/13(水)
・米共和党指導部が両院協議会で税制改革法案について大筋合意
12/14(木)
・FOMCでFRBが利上げ(6か月ぶり、0.25%)を決定
・EU首脳会議(ブリュッセル、~15日)
12/15(金)
・ユーロ首脳会議(ブリュッセル)
12/17(日)
・チリ大統領選決選投票
先週も、米国内政の動きが激しかったです。エルサレム首都認定問題を受けてロシアと中東も動いています。イランも来年に向けて不穏な空気が漂いつつあります。
●アラバマ州上院補選
民主党のダグ・ジョーンズが勝利し、共和党のロイ・ムーアが敗北。
アラバマ州で民主党が上院議席を獲ったのは25年ぶり。大変な衝撃を与えています。
本HP・メルマガでは、9月の補選の予備選の段階からこの選挙をフォローし、この結果に至る可能性も指摘してきました。
・「今週の動き(9/25~10/1)」
・「今週の動き(10/2~8)」
・「今週の動き(11/13~19)」
・「今週の動き(12/11~17)」
重要なポイントはすでに解説していますが、正式な結果が出たことをふまえて、今週、あらためて今後の見通しを説明します。
●税制改革
税制改革法案は、先週から年内成立の可能性が高まっていると述べていましたが、ついに両院協議会で合意が成立し、あとは上下院で採決すれば成立というところにこぎつけました。
土壇場の14日にマルコ・ルビオとマイク・リーの二人の上院議員が変更要求をしましたが、これも調整が完了し、上院で唯一反対票を投じていたボブ・コーカーも最終案を受け入れる旨表明しました。
来週早々、18日と19日に上下院それぞれで採決される見通しです。
共和党としては、ロイ・ムーアの敗北により、年明けから上院の1議席が民主党に奪われることもあり、今まで以上に採決を急ぎたい状況です。トランプも、もともと「クリスマスに減税をプレゼントする」と述べていました。
法人税が35%から21%に下がることの効果は大きく、米国経済はさらに好況になるでしょう。
ただ、これまでの記事でお伝えしているとおり、この法案は、中間層を含む大多数の国民からは非常に不人気です。
トランプ政権と今の共和党指導部が追求しているものは「減税」一点ばり。それさえ実現すれば後は構わないというスタンスで、ビジョンがありません。格差拡大と労働者層の没落という根源的な問題はもちろん、財政規律という共和党のコア・アジェンダすら軽視されています。
マクロ経済をみれば米国はさらに強くなるでしょうが、構造的な問題をむしろ悪化させる制度を導入して、長期的にはどうなるのか。そうした状況を実現してしまう政治システムは機能しているといえるのか。
この問いに対する一つの答えは中間選挙で示されることになるでしょう。アラバマ州上院補選も一つの手がかりになります。
●プーチンのシリア・エジプト・トルコ訪問
プーチンは、かねてより、サウジ、トルコ、シリアなど中東諸国との関係を強化しており、その地域における影響力は米国をしのぎつつあるとも言われます。
シリアへの電撃訪問ですが、これは先週の大統領選出馬を受けて行動とみられます。
シリアへの関与はロシア国内では不人気のため、表向き、戦闘終結と撤退をアピールすることで、国民の支持を得ることを狙ったのでしょう。
エジプトとトルコの訪問は、すでに予定されていたものですが、トランプのエルサレム首都認定宣言を受け、これらの国々と結託して米国を攻撃する絶好の機会となりました。詳しくは以下の記事で述べたとおりです。
●サウジの文化改革
サウジでは、以下の記事などで述べてきたとおり、ムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子の主導により、政治・経済・社会あらゆる面での改革が進んでいます。
そして、今度は映画館の営業を認める決定。
これは、映画というコンテンツの開放よりも、映画館という男女共用の場所を認めることに意義があり、9月の女性の自動車運転の許可と同様、男女差別の解消に向けた措置の一環として評価されています。
もっとも、文化開放の面もあります。こちらも進んでおり、2月には「コミコン」というポップカルチャーのイベント、4月にはクラシック・コンサートが開催されました。
■ 「サウジで初の「コミコン」、ポップカルチャー人気で盛況」(2月20日付CNN)
・「トランプの初外遊(中東・欧州訪問)」
コミコンでは普通にコスプレもやっていたそうで、ちょっと衝撃ですね。あまり羽目を外すと宗教警察に捕まってしまうのでは・・と思うかもしれませんが、4月には宗教警察の逮捕権がはく奪されています。
宗教警察は通報だけを行い、逮捕は一般警察が行うことになりました。サウジというと、宗教警察にいつも見張られているイメージがあり、非常に悪評が高かったのですが、最近は街中であまり見かけなくなったそうです。
さらに、観光ビザの導入も検討されているそうです。サウジは観光ビザを発給しない極めて珍しい国で、このため辺境を愛するバックパッカーにも手が出ないところでした。
イスラム関係の遺産はもちろん、アラビア半島はリゾートしても絶好の場所。未開拓のダイビング・スポットもありますから、観光資源は豊富です。私も、ぜひダイビングに行きたいので、早く進めて欲しいものです(笑)。
このように、サウジは着実に穏健国家に向かっているようです。MbSのリーダーシップならではの成果といえるでしょう。
ただ、MbSの強権の背景には、米国すなわちトランプ政権の強いバックアップがありました。ここで状況を複雑にしているのがエルサレム首都認定宣言です。
エルサレム問題にはMbSとジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が深くかかわっています。
この件は先週解説しましたが、その後の事態の推移をふまえ、今週、もう少し踏み込んだ解説を試みます。
●イラン核合意
イラン核合意については、米国内法上、政府がイランの遵守状況を90日ごとに判断し、議会に報告することが義務付けられています。トランプ政権は過去に2回、イランの合意遵守を認める報告を行ってきました。
しかし、10月15日、3回目の期限を迎えるにあたり、トランプは、イランが核合意を遵守しているとは「認めない」という考えを示しました。この背景と意図については以下の記事で解説しました。
議会は60日以内に制裁を再発動するか判断する必要がありますが、先週、その期限が経過し、議会は何のアクションもとりませんでした。
ここまでは上記記事で述べた見通しのとおりです。では、トランプは次にどのような行動に出るのか。
まず、4回目の議会への報告の期限は来年1月。
さらに、イラン核合意に基づき、大統領はイラン制裁を「一時停止」する大統領令(ウェイバー)に署名していますが、これも120日ごとに更新が必要で、次の期限はこれまた来年1月。
つまり、来年1月のトランプの行動にすべてがかかっています。この展望については追って解説します。
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今週の動き
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12/19(火)
・ペンス副大統領がエジプト、イスラエルを訪問(~21日)
・税制改革法案が成立する見込み
12/21(木)
・カタルーニャ州議会選挙
12/22(金)
・つなぎ予算が失効
●政府閉鎖の回避
12月7日に成立したつなぎ予算は22日に失効するので、今週中に新たなつなぎ予算を成立させなければ政府機関の一部が閉鎖する可能性があります。
まずはつなぎ予算を成立させ、来年に議論を先送りするとみられますが、トランプは政府閉鎖を意に介さないような発言もしており、不透明な状況です。仮に政府閉鎖があっても影響は大きくないでしょうが、とりあえず見守りましょう(笑)。
●カタルーニャ州議会選挙
直近の世論調査では独立支持派と反対派は拮抗しており、わずかに支持派が優勢のようです。
以前の記事で述べたとおり、もともと有権者の多数は独立反対で、住民投票の正当性にも疑問があり、プチデモン州首相(当時)の不当な政治利用という見方がありました。
ただ支持派と反対派の差はわずかで、選挙では何が起こるか分かりません。こちらも、とりあえず見守りましょう(笑)。
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あとがき
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先週のエルサレム3部作①②③には沢山の反響をいただきました。
読者の方からのご要望やご質問も増えています。こうしたフィードバックは大変貴重で、感謝しております。積極的に活用し、今後の記事の参考にします。
このHPは始めてからもう3年近くになり、重要テーマはすでに数多く取り上げていますが、重複した話でも遠慮なくお問い合わせください。素朴な疑問も大歓迎です。今さらこれを聞くのも・・と気にされる必要はまったくありませんので、よろしくお願いします。
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4 comments on “今週の動き(12/18~24)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
メルマガ、毎号楽しみに読んでおります。
メルマガを読めば読むほど、日本はどういう立ち位置にいるのか疑問に感じます。
中国の東南アジア諸国やアフリカなどへの積極的な進出・干渉に対し、日本もODAなどで金は出すけれど自国に有利な誘導はしない、「金だけ出して口は出さない」というお人好し的なイメージを持ってしまいます。
中東に関しても、イスラム圏と宗教的な衝突のない日本だからこそ出来ることもあると思うんですが、日本が何か動いているようにも感じません。
親日国と呼ばれている国も、日本は好きだけど別に外交上は重要視していないような印象です。
日本のマスコミが「日本・アメリカ」(+中韓)の関係しか報道していないだけなのかもしれませんが、その辺どうなのでしょうか。
世界のパワーゲームにおける日本の動きや方針、各国から見た日本の重要度などを取り上げていただけると有り難いです。
個人的には、国内の下らない話題で足を引っ張り合ってる場合じゃないと思うのですがね・・・。
枕元に・・
分厚い財布を置いて寝ていたのかなぁ・?!
( ^ω^)・・・(笑
エルサレムのスピンオフの公開、楽しみです。
税制改革に絡んで、米国の構造的な問題点を示唆されており、とても興味深く読みました。
ぐっちーさんは、かねてより人口動態やマクロ経済などの側面から米国の強さを示されていらっしゃいます。
米国を実体経済から見たみる視点と、JDさんの知見の両方を愉しめる(?)WEB上対談とか、ないのでしょうか?(笑)
ご要望どうもありがとうございます。
お返事を書こうとしたところ、長くなったので、メルマガの記事にして回答することにしました。このためお返事が遅れてしまいました・・大変失礼しました。
年明けになるかもしれませんが、少しお待ちください。