2019/04/29 00:00 | 今週の動き | コメント(1)
今週の動き(4/28~5/4)
大型連休が始まりました。いかがお過ごしでしょうか。私の仕事は基本的に日本の休日と関係がないのですが、それでも日本の関係者はお休みをとっている人が多く、世の中の雰囲気にも流されて(笑)それなりにリラックスしています。改元も近づいてきましたね。
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先週の動き
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4/21(日)
・ウクライナ大統領選挙決選投票(ゼレンスキーが勝利)
・北マケドニア大統領選挙(5月5日に決選投票)
・スリランカのコロンボ、バティカロア、ネゴンボのホテル、教会等の8か所で連続爆破テロ
・イランのハメネイ最高指導者が革命防衛隊の新司令官にサラミ副司令官を任命したと発表(ジャファリ前司令官は同隊の別の役職に就任)
4/22(月)
・トランプ政権がイラン産原油の禁輸措置について8か国・地域に認めていた適用除外は5月2日に失効すると発表
・トランプ大統領がFRB理事に指名した元実業家のハーマン・ケインの指名辞退を発表
・トランプ大統領とトランプ・オーガニゼーションが米下院監視・政府改革委員会の要求に基づき会計会社マザーによりトランプ大統領の8年分の納税申告書が提出されることを阻止するため同委員会のカミングス委員長とマザーを相手に訴えを提起
・米下院の司法委員会がマクガーン元ホワイトハウス法律顧問に16年大統領選挙にロシアが介入した疑惑の捜査に対するトランプ大統領の妨害について証言することを求める召喚状を発出
・米民主党のセス・モルトン下院議員が20年大統領選挙への出馬を表明
・安倍首相がフランス、イタリア、スロバキア、ベルギー、米国、カナダを訪問(〜29日)
・スリランカのコロンボの教会で爆発
4/23(火)
・米下院の歳入委員会が内国歳入庁(IRS)に要請したトランプ大統領の納税申告書の提出期限(納税申告書は提出されず)
・エジプトの大統領任期を2期12年に延ばす(シシ大統領は30年までの在任が可能になる)憲法改正案が国民投票で承認
・スリランカが非常事態宣言を発令
・タイの選挙管理委員会が新未来党のタナトーン党首を選挙法違反容疑で告発すると発表
・フィリピンのドゥテルテ大統領がカナダから不法に輸出された大量の廃棄物についてカナダ政府に引き取りを要求し応じない場合は「戦争」も辞さないと発言
・カザフスタンのナザルバエフ前大統領が率いる与党「ヌル・オタン」が6月の大統領選挙の候補にトカエフ大統領を選出
・日仏首脳会談(パリ)
4/24(水)
・英国のスコットランド行政府のスタージョン首相が21年までに英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票を実施する方針を表明
・ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロ派武装勢力が実効支配する地域住民のロシア国籍取得を簡略化する大統領令に署名
・香港の裁判所が14年の民主化デモ「雨傘運動」の発起人らに違法に道路占拠等を計画した罪で禁錮8月~1年4月の実刑判決
・日・イタリア首脳会談(イタリア)
・日・ポーランド首脳会談(スロバキア)
4/25(木)
・米民主党のジョー・バイデン前副大統領が20年大統領選挙への出馬を表明
・日米貿易協定の閣僚級協議(ワシントンDC)
・日米財務相会談(同)
・第2回「一帯一路」国際協力会議(北京、〜27日)
・ロシア・北朝鮮首脳会談(ウラジオストク)
・フランスのマクロン大統領が18年11月から続く反政権デモ「黄色いベスト」を受けた対応策(所得減税、ENA廃止等)を発表
・「V4+日本」首脳会合(スロバキア)
・日・スロバキア首脳会談(同)
・日・EU定期首脳協議(ブリュッセル)
・シリア和平協議が再開(カザフスタン・ヌルスルタン、~26日)
・スリランカのコロンボの近郊の町プゴダで爆発
4/26(金)
・日米首脳会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領が武器貿易条約(ATT)の署名撤回を発表
・米財務省がベネズエラのアレアサ外相に対する経済制裁を発動
・ワシントンDCの連邦地裁が16年大統領選挙においてロシア政府の指示を受けて共和党に影響力を行使しようとしたロシア人女性マリア・ブティナに禁錮18月の有罪判決
・金正恩朝鮮労働党委員長がプーチン大統領との会談においてハノイでの米中首脳会談での米国の対応を不誠実として批判したと北朝鮮国営の朝鮮中央通信が報道
・英国のメイ首相とアイルランドのバラッカー首相が17年1月から機能が停止している英領北アイルランドの自治政府再開に向けた協議を始める旨の共同声明を発表
・スリランカのサインタマルトゥで銃撃戦
4/27(土)
・カリフォルニア州サンディエゴ郊外のパウウェイ市にあるシナゴーグで銃撃事件
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(24週末連続)
●日米首脳会談
トランプ大統領は「5月に貿易協定が締結できるかもしれない」と発言。自動車の数量規制と為替条項には言及がなかったとのこと。以下の記事で述べた展望に沿って動いているようです。農産品関税については完全撤廃を求めているようにも聞こえますが、今後の交渉次第でしょう。
・「日米貿易協定(物品貿易協定(TAG))交渉の初会合」(4/22)
●ジョー・バイデンの米大統領選挙への出馬表明
ジョー・バイデン前副大統領がついに大統領選への出馬を表明しました。民主党の候補者はこれで20人に達しましたが、最有力候補のバイデンが出馬を決めたことでその顔ぶれがそろい、いよいよ本格的な選挙戦が始まったといえます。今週、現時点での大統領選の展望について解説します。
●米国のイラン制裁の適用除外の打ち切り
トランプ政権はイラン産原油の禁輸措置について8か国・地域(日本、中国、インド、トルコ、韓国、台湾、イタリア、ギリシャ)に180日間の適用除外を認めており(以下の記事参照)、その期限が今週(5月2日)に到来するところでしたが、先週、適用除外は更新せず、予定どおり失効すると発表。
・「イラン制裁の完全復活」(18/11/12)
これにより米国の制裁は完全に効力が発生することになりました。以下の記事でお伝えしていたように、適用除外は更新されるだろうとみられていたので、驚きのニュースでした。
・「米国主催の中東の安保問題に関する国際会議」(2/18)
イランは反発し、革命防衛隊はホルムズ海峡の封鎖も辞さないという強固姿勢を見せています。また、これに先立ち、今月初め、米国は革命防衛隊を「外国テロ組織」に指定しています。
・「今週の動き(4/14~20)」(4/15)
こうした動きを含め、今回の米国の決定の背景と影響について解説します(※メルマガに限定)。
●第2回「一帯一路」国際協力会議
習近平国家主席が「一帯一路」を進めるにあたっては相手国の財政の持続性に考慮し、またインフラ投資のルールについては国際基準に則って行うことを強調。劉昆財政相も債務をコントロールするための手段を説明したとのこと。
以下の記事で過剰債務の批判が高まり、パキスタン、マレーシア、ミャンマーで一部計画の縮小が行われていることをお伝えしましたが、中国も相当にこの問題を意識していることが明らかになりました。この点についてコメントします(※メルマガに限定)。
・「第2回『一帯一路』国際協力会議」(4/22)
●ロシア・北朝鮮首脳会談
予想はされていましたが、ほとんど何の成果もない会談でした。その背景にはロシア側の北朝鮮に対する関心の低さがあります。これについては以下の記事で詳しく書いたとおりです。
・「北朝鮮の核・ミサイル問題の補足」(17/9/8)
・「北朝鮮と中国、ロシア」(17/9/13)
金正恩がどこまでロシアに期待をかけていたのかも定かではありません。トランプ大統領、習近平国家主席、文在寅大統領とは何度も会っているので(それもこの2年の急激な動きでしたが)、プーチン大統領とも会うべきだろう、という発想もあったのでしょう。しかしプーチンから米国への圧力や制裁解除に向けた支援について明確な言葉を得ることはできず、文字どおり「会っただけ」に終わってしまったようです。
●スリランカでの連続爆弾テロ
スリランカのコロンボの高級ホテルと教会、東部バティカロアと西部ネゴンボの教会等の8か所で爆発があり、外国人37人(日本人1人)を含む253人が死亡、約500人が負傷しました。09年に内戦が終結して以来最悪のテロ被害です。
この日は復活祭(イースター)にあたり、キリスト教徒が教会に集まって祝福をしていました。高級ホテルには外国人観光客が数多く滞在しています。爆発は自爆テロによるものであり、またこれだけ大規模な攻撃を同時多発的に行うのは相当に高度なテロ技術です。
したがって、外国人とキリスト教徒を狙ったイスラム過激派によるテロで、国際的なテロ組織の関与が疑われていましたが、政府は国内のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」が関与していたと発表。さらに「イスラム国」が犯行声明を出しました。また国防担当大臣は先月にニュージーランドのクライストチャーチで起きたモスクでの銃乱射テロ事件の報復との見方を示しました。
・「ニュージーランドでの銃乱射事件」(3/18)
その後もコロンボ近郊の町プゴダで爆発。さらに自爆テロが起きた東部バティカロア近郊の町サインタマルトゥで銃撃戦が発生。子供6人を含む15人が死亡しました。
今回の事件の背景と意味を解説します(※メルマガに限定)。
●ウクライナ大統領選挙決選投票
前回の記事で述べた予想のとおりゼレンスキーが勝利。得票率は73%に上る圧勝でした。
・「ウクライナ大統領選挙決選投票」(4/22)
ゼレンスキーはコメディアンで政治経験は皆無。出馬してから支持率トップを走りながらも「出馬辞退がジョークではないか」とも言われていました。それが最後までリードを保って圧勝。以下の記事で述べたとおり、結局のところ、ドラマで大統領を演じ、奮闘の末に国家を救う姿を見せたことが大きな勝因になったようです(苦笑)。
・「ウクライナ大統領選挙」(4/1)
ゼレンスキーには腐敗と経済の回復に向けた取り組みが期待されますが、もう一つ注目されるのはロシアとの関係です。マイダン革命を経て成立したポロシェンコ政権とロシアとの関係は最悪でしたが、今回の大統領選後、プーチン大統領は新大統領との間では関係を回復する用意がある、と述べました。同時に、親ロシア派武装勢力が支配するウクライナ東部の住民に対するロシア国籍の付与を簡略化する大統領令に署名しました。
今後の展望については上記記事と以下の記事で述べましたが、あらためて解説します(※メルマガに限定)。
・「ウクライナ大統領選挙」(4/8)
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今週の動き
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4/28(日)
・スペイン総選挙
4/29(月)
・中ロ海軍合同軍事演習(山東省青島沖、~5/4)
4/30(火)
・米中閣僚級通商協議(北京)
・FOMC(~5/1)
・天皇陛下のご退位
5/1(水)
・バー司法長官がロシア疑惑で議会証言(ワシントンDC、~2日)
・米下院司法委員会が司法省に要請したロシア疑惑の捜査報告書の全文の提出期限
・ADB年次総会(フィジー・ナンディ、〜5日)
・皇太子殿下が新天皇に即位(「平成」から「令和」に改元)
5/2(木)
・米国がイラン産原油の禁輸措置について8か国・地域に認めていた適用除外が失効
・米国がキューバ政府が革命後に接収した資産に関する損害賠償請求の対象を外国企業に拡大
・ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジの米国引き渡しに関する審理(ロンドン)
・英国のイングランドと北アイルランドの地方選挙
・次世代高速通信規格「5G」に関する国際会議(プラハ、〜3日)
5/4(土)
・タイ国王の戴冠式(~6日)
●スペイン総選挙
スペインの歴史を左右するかもしれない選挙になると言われています。スペインは78年の民主化後、社会労働党と国民党による二大政党制が続いてきましたが、新たな勢力が台頭することでその体制は崩れ、かつてなく政治の分極化が進行するとみられているからです。
サンチェス首相(社会労働党)は昨年6月、ラホイ前首相(国民党)の不信任決議が成立したことを受けて就任しましたが、社会労働党は下院(定数350)で84議席という少数与党で、政策運営に困難をきたしていました。このためサンチェスは2月に上下両院の解散を決定しました。
・「今週の動き(6/4~10)」(18/6/4)
・「今週の動き(6/11~17)」(18/6/11)
・「今週の動き(2/18~24)」(2/18)
世論調査によれば社会労働党が議席を伸ばし第1党になる見通しですが、閣外協力している急進左派ポデモスと組んでも過半数は獲れない可能性が高いとみられています。サンチェスはカタルーニャ分離独立問題に対して対話路線をとっており、議会の過半数を獲るために分離独立派を取り込む可能性があるといわれています。
一方、中道右派の国民党、中道のシウダダノス、極右のVOXはカタルーニャの分離独立の動きを懸念し、左派政権を厳しく批判しています。VOXは議席をもっていませんが、世論調査によれば今回の選挙で複数の議席を獲得する見通しです。極右政党が国政で複数の議席を獲得するのは初の事態です。左派政権誕生を阻むためにVOXを加えた連立政権が成立する可能性もあります。
いずれにしても分極化が進む形で政権が発足し、カタルーニャ問題をめぐる論争を中心に国家の分断が進行することが懸念されます。超党派の路線がとられるとすれば社会労働党とシウダダノスの中道連合が実現するシナリオですが、党首の仲が悪いので可能性はゼロではないものの低いとみられています。
●皇太子殿下の新天皇即位
平成の時代が終わり、令和の時代が始まります。海外メディアでも取り上げられるでしょう。皇室の国際的なブランド力については以下の記事で取り上げたことがあります。ご関心ある方はご覧ください。
・「天皇、皇帝、ローマ、共和主義」(17/12/29)
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あとがき
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■ トランプ氏、ゴルフで再三の「いんちき」 米スポーツ記者(4月4日付CNN)
スコアをごまかしたり、グリーン上のボールを動かすなど聞いたことがありますが、この記事によると、ラフから蹴り出すとか、他の人のボールをバンカーに蹴り込むとか・・常軌を逸してますね(苦笑)。「Commander in Cheat(ごまかし司令官)」という書名は「Commander in Chief(最高司令官=米国大統領)」のもじりですが、座布団一枚ですね(笑)。
訪日の際に安倍首相とゴルフをするのが恒例になっていることはご存知のとおりですが、12月に予定されている豪州訪問も、メルボルンで予定されるプレジデンツ・カップが目的ではないかと噂されています。
それにしてもこれだけゴルフを愛し、相当の上級者のはずなのに、なぜこんなセコイことをするのか。勝利への妄執でしょうが、常人には理解できないですね。ゴルフも政治もやはり『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界観のようです。
ちなみに私は米国にいた頃、フロリダのドラルというトランプがオーナーのゴルフ場で何度かプレーしたことがあります。連休中はフロリダではありませんが適度にラウンドしています。読者の方々も、リラックスされている方が多いと思いますが、ときどき知的な刺激を受けることも有益でしょうから、メルマガはお届けします。ゴルフや行楽の合間にでもお楽しみください。
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One comment on “今週の動き(4/28~5/4)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
TVドラマのように「国民のしもべ」となることができるのか、ウクライナ情勢、大変興味深く拝読しました。
プーチンも余裕がなくなっている今、積極的に働きかけてくるプーチンのしもべになってしまうのか、あるいは財閥の?、トランプの?・・・どう変化するのか素人には全く見えてこない中で、メルマガ内で様々な可能性が示されていて大変興味を持ちました。
クリミア併合に象徴される、複雑なこの国の基本構造の解説も、ぜひよろしくお願いいたします。