ブログ記者によるオンライン新聞 グッチーポスト

The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2019/04/01 00:00  | 今週の動き |  コメント(3)

今週の動き(3/31~4/6)

本日から新年度。そしていよいよ新元号の発表ですね。午前11時30分に発表とのこと。30年前の「平成」の発表の瞬間が思い出されます。すでにテレビで「平成を振り返る」という企画を見かけるようになりましたが、私は昔の映像を見るのが好きなので、つい見入ってしまいます。5月までこういう特集が沢山出てくるのでしょうね。

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先週の動き
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3/24(日)
・バー司法長官がモラー特別検察官のロシアゲート捜査に関する報告書の概要を公表
・タイ総選挙(暫定結果ではタイ貢献党が1位)

3/25(月)
・米・イスラエル首脳会談(トランプ大統領がゴラン高原におけるイスラエルの主権を認める宣言に署名)(ワシントンDC、~26日)
・イスラエルがパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるロケット弾攻撃を受けてハマスの施設を空爆したと発表
・EUが英国の合意なき離脱(BREXIT)への準備を完了したと発表
・習近平国家主席がフランスのマクロン大統領と会談(パリ)
・北朝鮮が南北共同連絡事務所に再び職員を派遣したと韓国統一省が発表
・ベネズエラ各地で大規模な停電(継続中)

3/26(火)
・米下院がトランプ大統領の国家非常事態宣言を無効にする決議案を再採決(大統領の拒否権を覆すのに必要な3分の2以上の賛成を得られず)
・米上院が「グリーン・ニューディール」決議案を否決
・米財務省がイランの革命防衛隊の資金調達を支援したとしてイラン、トルコ、UEA等の25個人・団体に経済制裁を科したと発表
・習近平国家主席がドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、EUのユンケル欧州委員長と会談(パリ)
・ボアオ・アジアフォーラム(海南省、~29日)
・北朝鮮の金正恩体制の打倒を掲げる反体制組織「自由朝鮮」が2月22日のスペインの北朝鮮大使館襲撃に関与したとする声明を発表

3/27(水)
・英下院が3月29日に予定されていたBREXITの延期を可決
・英下院がBREXITに関する8つの議員提案の「示唆的投票」(全ての案が否決)
・英国のメイ首相がBREXIT協定案の議会可決後に辞任する考えを保守党の議員委員会(1922委員会)の会合で表明
・国連安保理がトランプ大統領によるゴラン高原でのイスラエルの主権の正式承認について協議するための緊急会合を開催
・中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会による国際刑事警察機構(ICPO)の孟宏偉前総裁の党籍剥奪処分が判明
・インドのモディ首相がミサイルによる人工衛星の撃墜実験の成功をテレビ演説で発表

3/28(木)
・米中閣僚級通商協議(北京、〜29日)
・ベネズエラのアモロソ会計検査院長がグアイド国会議長が公職に就く権利を15年間剥奪すると発表

3/29(金)
・英下院がBREXIT協定案を否決
・トランプ大統領が北朝鮮への追加制裁は「現時点では不要」と表明
・トランプ大統領がマクマホン中小企業局長の辞任を発表
・バー司法長官がモラー特別検察官のロシア疑惑の捜査報告書の詳細を4月中旬までに議会に提出する意向を表明
・USTRが19年版の「外国貿易障壁報告書」を発表

3/30(土)
・タイのワチラロンコン国王がタクシン元首相に与えた勲章の取消しを命じる勅令
・スロバキア大統領選挙決選投票(ズザナ・チャプトバが勝利(初の女性大統領))
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(20週末連続)

●ロシアゲート捜査報告書の概要公表

先週、ウィリアム・バー司法長官がモラー特別検察官のロシアゲート捜査に関する報告書の概要を公表しました。これによれば、モラー報告は、(1)16年大統領選に関するロシアとトランプ陣営の「共謀」については認められず、(2)司法妨害については司法省の判断に委ねるとし、また(3)さらなる起訴は行わないとの結論を下していました。この報告をふまえ、バー長官は、(2)の司法妨害については認められないとの判断を示しました。

先週、以下の記事でポイントを述べましたが、報告書の概要が公表されたことで、状況はさらにクリアーになりました。

「ロシアゲート捜査の終了」(3/25)

今回の発表によりトランプ大統領と民主党にどのような影響が及ぶのか、特に民主党がどのような戦略をもってトランプ政権と対峙し来年の大統領選に臨むのか、またトランプもどのような動きに出るのかが注目されますが、これについて、先週、いくつか興味深い動きが起こっています。一つは以下の記事で解説した「グリーン・ニューディール」決議案の上院採決が行われたこと。もう一つは以下の記事で述べたとおり一度は失敗したオバマケア廃止に向けて(17年7月に法案可決に失敗した後、12月に成立した税制改革法により個人の保険加入義務が撤廃され、その限度で改廃に成功しましたが、公約実現には程遠い内容でした)、トランプが新たな方針に舵を切ったことです。

「民主党の左傾化と路線対立のリスク」(2/22)
「オバマケア改廃の挫折」(17/7/31)
「税制改革」(17/12/25)

こうした最新の動きをふまえ、ロシアゲート捜査に関する報告書の概要発表の意味とそれがトランプと民主党の今後に与える影響について、今週解説します。

●BREXITの「示唆的投票」

先週も激動の一週間でしたが、おおむね先週の記事で述べたとおりの展開になりました。

「BREXITの延期とメイ政権の窮地」(3/26)

まず英下院がBREXITに関する8つの議員提案の「indicative vote(示唆的投票)」(上記記事では「仮の投票」と書いたもの)を実施しましたが、全ての案が否決されました。内容は以下のとおりです。

・合意なき離脱 賛成160、反対400
・単一市場2.0 賛成188、反対283
・EEA・EFTA加入 賛成65、反対377
・関税同盟 賛成264、反対272
・2度目の国民投票 賛成268、反対295
・労働党案 賛成237、反対307
・BREXIT撤回 賛成184、反対293
・モルトハウス妥協案A(現行協定案の国境問題への対応を差し替える) 賛成139、反対422

関税同盟と2度目の国民投票も否決されましたが、僅差でした。この2つの案が議会で最も多数を獲れると見込まれていることは上記記事で述べましたが、そのことが明らかになったといえます。

次に、メイ首相がBREXIT協定案の可決後に辞任する考えを保守党の議員委員会(1922委員会)の会合で表明しました。メイ首相に批判的な保守党議員の支持を得るための取引であり、後述しますが、実際、この決断はある程度功を奏しました。

そして、3度目の議会採決(MV3)は、英・EUの将来関係についての「政治宣言」は切り離し、離脱条件を定めた部分のみを対象にすることにしました。バーコー下院議長に採決を認めさせるための奇策で、これによって手続きを進めることが可能になりました。

こうして実施されたMV3ですが、賛成286票、反対344票で否決。ERG(離脱強硬派グループ)のトップであるジェイコブ・リース=モグ議員、ボリス・ジョンソン前外相、ドミニク・ラーブ前EU離脱担当相ら有力者の支持を得ることには成功しましたが、それでも58票差で届かず。

もはや4月12日のデッドラインまで10日ほどしかありません。どうなってしまうのか。今後の展望を解説します(※メルマガに限定)。

●タイ総選挙の暫定結果

タイ総選挙(下院、定数500)の暫定結果(開票率95%)が即日公表されました。議席数は、(1)タイ貢献党(タクシン派)(137)、(2)国民国家の力党(軍政派)(118)、(3)新未来党(革新派の新政党)(87)、(4)民主党(保守派の伝統政党)(54)、(5)タイ名誉党(中立)(52)となっています。一方、得票数は(1)国民国家の力党、(2)タイ貢献党、(3)新未来党、(4)民主党、(5)タイ名誉党の順で、1位と2位、4位と5位は僅差でした。

議席数こそタイ貢献党がトップに立ったものの、得票数で軍政派が最大数を獲ったのは予想外でした。新未来党の躍進と民主党の凋落も、予想はされていましたが、ここまで変わるとは驚きでした。民主党のアピシット党首(元首相)は敗北の責任をとって辞任を表明しました。

最終結果は5月9日までに発表される予定です。国王の戴冠式が5月4~6日に予定されており、最終結果発表後、新政権発足に向けて様々な動きが予想されるので、戴冠式の後になる可能性が高いとみられます。首相の選出は上下両院(定数750)の議員の投票によって行いますが、軍政は上院250議席を最初から押さえており、下院で126議席獲れば過半数(376)に届くので、プラユット首相の続投の可能性が極めて高いとみられています。ここまでの展望は選挙前に以下の記事で述べたとおりです。

「タイ総選挙」(3/25)

選挙後、タイ貢献党、新未来党を含む7党が連立を組むことに合意したと発表しました。最終結果は出ていませんが、7党は合計で過半数(251)を超える255議席を確保したと主張しています。今後の展望は、近いうち、タイの現代史を振り返りながら、あらためて解説しますが、現時点でのポイントを述べます(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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3/31(日)
・ウクライナ大統領選挙
・トルコ統一地方選挙

4/1(月)
・英下院がBREXITに関する議員提案の「示唆的投票」
・中国・NZ首脳会談(習近平国家主席、李克強首相)(北京)
・北朝鮮の金正男氏殺害事件のベトナム人被告の公判(クアラルンプール近郊)

4/2(火)
・シカゴ市長選決選投票
・ASEAN財務相関連会合(タイ・チェンライ、〜5日)
・日ロ戦略対話(東京)

4/3(水)
・米中閣僚級通商協議(ワシントンDC)
・NATO外相理事会(同、〜4日)
・英下院がBREXIT協定案の採決(未定)

4/5(金)
・G7外相会合(フランス・ディナール、〜6日)
・ユーロ圏財務相会合(ブカレスト)

4/6(土)
・モルディブ議会選挙

●ウクライナ大統領選挙

ポロシェンコ大統領、ティモシェンコ元首相、コメディアンのボロディミル・ゼレンスキーの争いで、世論調査では支持率1位がゼレンスキー(20%)、2位がポロシェンコ(13%)、3位がティモシェンコ(10%)です。いずれの候補も過半数を獲れず、4月21日の決選投票に持ち込まれるとみられます。ゼレンスキーとポロシェンコの一騎打ちというのが大方の予想です。

ゼレンスキーは政治経験がまったくない素人ですが、選挙直前まで支持率トップを維持しました。アウトサイダーであることが強みですが、ドラマで大統領役を演じたことがプラスに働いているという説もあります(笑)。ただ実際にはオリガルヒ(新興財閥)の支援を受けており、その意味では自らがオリガルヒであるポロシェンコとティモシェンコと変わらない、ともいわれています。

大統領選挙を経て、ロシアとの関係に変化が起こるかが最大の注目点ですが、選挙結果を見た上で解説します。ウクライナは、歴史や社会を見ても、とても面白い国です。この国を見るとロシアや中東欧といった、日本にいると縁が少なく、なかなかイメージしにくい国々を多面的に見ることができるようになります。決選投票が終わった後にでも、その歴史や基本構造を説明したいと思います。

●トルコ統一地方選挙

経済の低迷とトルコリラの下落によりエルドアン大統領が率いる与党AKPの苦戦が予想されます。アンカラなどの主要都市の市長を失う可能性があり、特にエルドアンの牙城であるイスタンブールまで落とすことがあれば(可能性は低いですがあり得ます)、エルドアン政権には大打撃になります。エルドアンの不確定な動きは強まり、その娘婿のアルバイラク財務相が進めている経済改革プログラムの進行(以下の記事参照)も遅れる可能性があります。

「トルコリラの下落」(18/8/20)

最近のトルコ政治で注目されているのは、アフメト・ダウトオール元首相、アリ・ババジャン元副首相といった元AKP幹部が新党を立ち上げる動きをしていることです。以下の記事で述べたとおり、ダウトオールとババジャンは全盛期のAKPを支えた有力者たちで、エルドアンの独裁強化に反発して袂を分かちました。その中道・穏健なスタンスは海外で高く評価されています。

「トルコ現代史(1):アタテュルクとエルドアン」(18/7/20)
「トルコ現代史(2):エルドアンの憲法改正」(18/8/3)
「トルコ現代史(3):新たなるエルドアンの時代(米国との衝突と通貨危機のリスク)」(18/8/15)

今回の選挙でAKPの後退が明らかになれば、新党設立に向けた動きが加速するとみられます。

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あとがき
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3 comments on “今週の動き(3/31~4/6)
  1. KB より:
    過渡期

    BREXITとタイが同じくらい詳しく理解できる・・・今更ながら、貴重なメルマガ。ありがたいですね。
    昨年8月にタイについて、ディープなお話を伺ってから、興味を持つようになりました。様々な政策を打ち出し、外国企業も食指を伸ばし、さらに国民もエネルギーに満ちている中で、今後政治はどのように進んでいくのか、興味深いです。
    既得権益に固執するネットワークに風穴を開けることは、やはりなかなか難しいのか?中進国から脱却する過渡期をこのように目の当たりにでき、勉強になります。

  2. china より:
    タラレバ

    BREXITのタラレバは語り始めれば話が尽きなさそうですよね。2017年の総選挙はメイ首相なりの目論見があったのでしょうけれど、結果自分の首を絞める事態を招いてしまいましたよね。でもまあとりあえずはこの正念場を何とか頑張って乗り切ってほしいなと個人的には応援したい気持ちです。

    ワチラロンコン国王はタクシン元首相と仲が良かったとメルマガで言及されていた記憶があるのですが、今はもう仲たがいしてしまったのでしょうかね。ウボンラット王女の件がきっかけなのか、それともそれ以前から関係性が悪化していたのか。
    もともと好意のある関係性の方が嫌いになった際の反動が大きいものだと思うのですが、今回の勅令もその反動の一環だったりするのかしらと勘繰ったり。

    GOT・・拷問・・やはりきますか・・。爽やかな文筆家の甘い言葉にうっかり乗っかって視聴し始めたばっかりに、とんでもないところに足を踏み入れたかもしれませんが、もう引き返せません。頑張ります。

  3. KB より:
    脱・石油依存

    こちらの記事とは無関係ですが、
    アラムコが財務情報を公開したら、とてつもない利益を上げていたようですね。
    財務を公開することがIPOへの足掛かりとなり、「やはりMbSはIPOやる気満々、諦めてない」と思うのは、早合点でしょうか?あの財務を見ると、個人的にはNYでIPOをやってもらいたいですが、上場基準クリアはやはり難しいと考えた方が賢明なのでしょうか?
    石油繋がりで、豪州も、サウジもトップが「脱石油依存」を唱えていますが、そういったシフトは実際のところ起きているのかも、気になります。

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