2018/06/04 00:00 | 今週の動き | コメント(5)
今週の動き(6/4~10)
早くも6月、今年の折り返し地点に来ました。それにしても時間の流れが速いですね。半分くらいはトランプ政権のせいのような気がしますが・・(苦笑)。
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先週の動き
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5/27(日)
・米朝実務者協議(板門店)
・イタリアの次期首相候補に指名されていたジュセッペ・コンテがマッタレッラ大統領に組閣を断念したと伝える
・コロンビア大統領選挙(ドゥケが1位、ペトロが2位、6月17日に決選投票)
5/28(月)
・米朝実務者協議(シンガポール、~29日)
・イタリアのマッタレッラ大統領がIMFの元高官のカルロ・コッタレリを暫定首相に指名
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・マレーシアのマハティール首相がマレーシア・シンガポール高速鉄道計画の中止を表明
・リビアの東西両政府が大統領選と議会選を12月10日に実施することで合意
5/29(火)
・トランプ政権が中国の知的財産侵害に対する制裁関税の最終案を6月15日までに発表しその後に速やかに発動すると表明
・トランプ政権が予定していた北朝鮮に対する一連の追加制裁措置の実施を見送る
・北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長が訪米
・イスラエル軍がガザの過激派拠点を空爆
・ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席が訪日(~6/2)
5/30(水)
・ポンペオ国務長官と北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長が会談(NY)
・マティス国防長官が米太平洋軍の名称を「インド太平洋軍」に変更したと発表
・ブラジルの石油業界の労働者がスト
・ウクライナのキエフで射殺されたと発表された亡命ロシア人ジャーナリストが容疑者逮捕のために死亡を装ったと発表
5/31(木)
・トランプ政権がEU、カナダ、メキシコから輸入する鉄鋼・アルミに追加関税を発動
・EU、カナダ、メキシコが米国への報復関税を課すと発表
・トランプ大統領が保守派評論家ディネシュ・ドゥスーザに恩赦を与えるとツイートし、マーサ・スチュワートへの恩赦とブラゴジェビッチ元イリノイ州知事に対する減刑を検討していると発言
・イタリアのマッタレッラ大統領がジュセッペ・コンテを次期首相に指名
・ロシアのラブロフ外相が訪朝
・G7財務相・開発相・中央銀行総裁会議(ウィスラー、~6/2)
6/1(金)
・トランプ大統領と北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長が会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領が6月12日にシンガポールで米朝首脳会談を行うと発表
・南北閣僚級会談
・EUとカナダが米国の鉄鋼・アルミの輸入制限についてWTOに提訴
・イタリアでジュゼッペ・コンテが首相に就任
・スペインのラホイ首相の不信任決議案が可決
・フランスの極右政党「国民戦線(FN)」が党名を「国民連合」に変更
・ブラジル国営石油会社ペトロブラスのパレンチCEOがトラック運転手のストの混乱を受け辞職
・アジア安全保障会議(シャングリラ会合)(シンガポール、~3日)
6/2(土)
・ロス商務長官が訪中(~4日)
●米朝首脳会談
トランプ大統領が北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長と会談し、直後の記者会見で6月12日にシンガポールで米朝首脳会談を行うと発表。金正恩からの巨大な親書と元「スパイ・チーフ」で北朝鮮きっての実力者である金英哲の話をよほど気に入ったのか、かなりテンション高めでした。
首脳会談まであとわずか1週間。その間に日米首脳会談とG7サミットがあり、外交実務の常識からすると考えられないようなタイトでスピーディーな日程です。今後の見通しはまずは首脳会談の結果を見てからということになりますが、今の時点でいえるポイントを述べます(※メルマガに限定)。
●EU、カナダ、メキシコへの鉄鋼・アルミの追加関税発動
トランプ政権は3月23日、鉄鋼・アルミの追加関税を発動しましたが、カナダ、メキシコ、韓国、EU、豪州、アルゼンチン、ブラジルの7か国・地域は一時的に関税措置から除外しました。
・「通商拡大法232条(鉄鋼・アルミの追加関税)」(3/26)
その後、二国間交渉を経て、韓国については除外が確定し、豪州、アルゼンチン、ブラジルについては大筋合意が成立し、無期限に除外が適用されることになりました(豪州は無条件に追加関税免除、ブラジルとアルゼンチンは輸出自主規制を受け入れた模様)。
これに対し、EU、カナダ、メキシコについては、交渉がまとまることなく6月1日に除外措置の期限が到来し、制裁が発動されました。いずれも報復関税で迎え撃つことを発表しています。
今までのトランプのやり方は言葉先行で実体が伴わないところがありましたが、グローバリストの退場を経てその動きは先鋭化し、ついに本当の意味での「貿易戦争」に踏み込んできたようです。事態が収束する見通しはなく、悪化の一途をたどると予想されますが、私なりの見方を述べます(※メルマガに限定)。
●中国への制裁発動宣言と第3回米中通商協議
トランプ政権は4月初旬、500億ドル相当額の中国からの輸入品約1300品目に25%の関税を課す原案を公表し、USTRが最終品目の選定を進めていましたが、先週、その結果を6月15日までに発表し、その後すぐに発動すると宣言しました。
・「米中の『貿易戦争』」(4/9)
さらに中国企業の対米投資を制限する新たな制裁案も6月末までに公表し、間もなく施行するとのこと。
5月18日の第2回通商協議後、ムニューシン財務長官が「貿易戦争は当面保留する」と述べていたにもかかわらず、突然に攻撃的な姿勢を示してきた格好です。
・「第2回米中通商協議」(5/23)
発表のタイミングはロス商務長官の訪中(第3回通商協議)の直前でした。このタイミングで制裁発動を強調する意味と貿易戦争の展望について解説します(※メルマガに限定)。
●イタリアの連立政権発足
先週の一週間でめまぐるしく状況が動きました。
まず、五つ星と同盟が推したジュセッペ・コンテはマッタレッラ大統領に反EU強硬派のポール・サヴォナの財務相指名を拒否されて組閣を断念。マッタレッラ大統領はIMF元高官のカルロ・コッタレッリを暫定首相に指名し、19年予算案の通過と来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じました。
しかしコッタレッリも組閣を中断。やはり再選挙になるのか・・と思われました。再選挙となると五つ星と同盟が協力する可能性が高く、そうなればユーロ離脱の是非がシングルイシューとなり、ほとんど国民投票の様相を呈することになります。「Italexit」という言葉も聞かれるようになりました。
ところがその後、五つ星と同盟は閣僚案を修正してマッタレッラの承諾を得ることに成功。3か月の政治空白を経てようやくコンテ首相が誕生しました。
これでとりあえず再選挙は避けられますが、コンテ内閣も不安に満ちています。コンテは実務経験がまったくなく、ディ・マイオの操り人形と揶揄されていることは先週述べましたが、さらに補足します(※メルマガに限定)。
●スペインの政権交代
イタリアがおさまったと思ったら今度はスペイン。汚職問題が引き金になってマリアノ・ラホイ首相の不信任決議が成立し、社会労働党の党首のペドロ・サンチェスが新首相に就任しました。
ギリシャ、イタリア、スペイン・・南欧の不安定は欧州を揺さぶり続けています。しかもイタリアとスペインはユーロ圏で3位と4位の経済規模があり、その混乱が与える影響はギリシャをはるかに上回ります。このあたりの状況と展望もタイミングを見て取り上げます。
●マレーシア・シンガポール高速鉄道の中止
選挙公約の目玉だった大型インフラ計画の見直しが早速に実行されました。
親日家のマハティールが首相になったことで日本の企業連合にも勝ち目が出てきた・・と報道されていた矢先の出来事ですが、今回の中止の意義を説明します(※メルマガに限定)。
●コロンビア大統領選挙
右派のイヴァン・ドゥケ候補と左派のグスタボ・ペトロ候補が決選投票で争うことになりました。
経済政策も反政府左翼ゲリラであるFARC(コロンビア革命軍)との和平合意への取り組み方も好対照で、国を二分する選挙になりますが、3位以下の票がどう流れるかがまったく分からず、不透明な状況です。
●ブラジルのトラック運転手と石油業界のスト
ブラジルでは、ディーゼル価格の高騰に反対するトラック運転手が大規模ストを行っていましたが、先週は石油業界の労働者もストを決行。経済とテメル政権に大きな打撃を与えています。
厳しい話が多いブラジルですが、10月には大統領選挙が予定され、過激な発言から「ブラジルのトランプ」といわれるジャイル・ボルソナロが支持を伸ばすなど混迷が深まっている状況です。近いうち解説します。
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今週の動き
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6/5(火)
・中間選挙の予備選(アラバマ、カリフォルニア、アイオワ、ミシシッピー、モンタナ、ニュージャージ、ニューメキシコ、サウスダコタ)
6/7(木)
・日米首脳会談(ワシントンDC)
・プーチン大統領が国民対話
6/8(金)
・G7サミット(シャルルボワ、~9日)
6/9(土)
・上海協力機構(SCO)首脳会議(青島、~10日)
●上海協力機構(SCO)首脳会議
最も注目すべきポイントは、中国の習近平国家主席とインドのモディ首相の会談です。両首脳は4月下旬に武漢で会談しており、それからわずか1か月後に再び会うことになります。
・「中印首脳会談」(4/30)
武漢での会談に続き、今回も両首脳は関係の改善を強調することになるでしょう。先週はシンガポールで毎年開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ会合)がありましたが、モディ首相が出席し、演説で「インドと中国が協力することアジアと世界の利益になる」と述べ、中国との融和モードを演出しています。
もっとも中国とインドの関係は複雑で、これによって信頼関係が築かれると単純に言い切れるものではありません。
もう一つの注目ポイントは、オブザーバーであるイランからロウハニ大統領が参加することです。米国と関係が悪化している中国、ロシア、パキスタンとともに結束をアピールことになるでしょう。正式加盟の動きも一気に進展するかもしれません。
首脳会議の結果を確認した後、以上のポイントを含め解説します。
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あとがき
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イタリアの政局に絡めて雑談を書いていますが、メルマガのみ掲載します。
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5 comments on “今週の動き(6/4~10)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
豪華なヴァイキング料理・・
お腹が突き出てきませんか・?!
( ^ω^)
あたり前ですが、非核化にしても、通商交渉にしても、奥が深い…
ワシントンで仕事をしてる方、霞が関も同じかもしれませんが、どんな体力と時間の使い方なんでしょうか?
これだけ次々と、さらに複雑でデリケートになってくるものに、日々対応する、すごい仕事ですね。
あとがき(笑)!
意味を調べていたら、近畿地方、近畿大学も苦労されたみたいですね。固有名詞は大変ですね。
6月12日が近づいてきて、どんな「画」が観られるのか、ワクワクしています。
同じ日に、米国在台協会・台北事務所の新庁舎が完工するらしいのですが、このことが今後の米中貿易戦争へ、どういう影響を与えそうなのか、とか、今後波及する変化など、見方・考え方を教えていただきたいです。
以前からJDさんが仰っておられた「台湾旅行法」も絡んでくるようですが、この法案は人目につかない金曜の夜発表されたとかで、今回の新庁舎も世紀のビックイベントに隠れているようにも見えます。
この辺りは、にわか知識と単なる勘繰りです(笑)是非JDさんの解説をお願いいたします!
たしかに台湾情勢は重要で、今もボルトンの訪台が取り沙汰されるなど、色々動いているところでしたが、取り上げる機会が少なかったですね。
タイミングを見て取り上げたいと思います。
ボルトンがシンガポールか台湾、どっちに登場するかということですか!!
なるほど、12日の楽しみが増えました(笑)
11日からの週はJDさん的にもかなりハードそうですが、いろいろ落ち着かれたらご教示ください!