2018/11/12 00:00 | 今週の動き | コメント(2)
今週の動き(11/12~18)
中間選挙ウィークが終わり、日常が戻りました。それにしても、今回の選挙、日本でも異様なまでに注目を集めた印象があります。私の周りだけでしょうか。あるいは私のせい(おかげ?)でしょうか・・(笑)。
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先週の動き
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11/4(日)
・北朝鮮・キューバ首脳会談(平壌)
・仏領ニューカレドニアでフランスからの独立を問う住民投票(残留支持が多数)
11/5(月)
・イラン制裁法(ISA、ITRSHRA、IFCA)の効力が復活
・ポンペオ国務長官がイラン産原油の禁輸措置について8か国・地域(日本、中国、インド、トルコ、韓国、台湾、イタリア、ギリシャ)を一時的に対象外にすると発表
・ロシアのメドベージェフ首相が訪中(〜7日)
11/6(火)
・米国中間選挙(上院は共和党、下院は民主党が過半数)
・中間選挙の「予備選」(ルイジアナ)
・日・マレーシア首脳会談(東京)
・EU財務相理事会(ブリュッセル)
11/7(水)
・トランプ大統領がセッションズ司法長官の退任を発表(ウィテカー首席補佐官が代行)
・トランプ大統領が日本の自動車輸出と貿易赤字を問題視する発言
・トランプ大統領が記者会見でCNNのジム・アコスタ記者を批判、同記者のホワイトハウス入庁許可証の効力停止が発表
・FOMC(~8日)
・マダガスカル大統領選
11/8(木)
・米財務省がロシアによるクリミア半島の強制編入に関与したとしてロシアやウクライナの3個人・9団体を制裁対象に指定したと発表
・ポンペオ国務長官と北朝鮮の金英哲・党副委員長の会談が延期
・キッシンジャー元国務長官が習近平国家主席と会談(北京)
・ギンズバーグ連邦最高裁判事の入院が発表
・日米電話首脳会談
・中国・キューバ首脳会談(北京)
11/9(金)
・トランプ大統領がメキシコ国境からの不法入国者の難民申請を制限する文書に署名
・米中外交・安保対話(ワシントンDC)
・英国のジョンソン運輸担当閣外相がメイ英首相のBREXIT方針に抗議して辞任
11/10(土)
・米仏首脳会談(パリ)
・独仏首脳会談(同)
・トルコのエルドアン大統領がカショギ殺害事件の発生時の録音テープをサウジ、米国、ドイツ、フランス、英国の5か国に提供したと発表
・アフガン下院選挙の暫定結果発表
●米国中間選挙
まだ集計が終わっていないところもありますが、大勢は判明しました。
上院は共和党が過半数(共和党の場合50)を維持(51)。共和党はネバダを失ったものの、テネシーとテキサスは死守。民主党はモンタナ、ニュージャージー、ウェストバージニアを守ったものの、ノースダコタ、インディアナ、ミズーリで議席を失い、現時点では共和党が2議席増。結果未確定のフロリダでは共和党、アリゾナでは民主党が優勢です。ミシシッピでは11月27日に決選投票が行われる見通しです。
下院は民主党が過半数(218)を奪還(225)。現時点では民主党が32議席増。未確定議席が判明すれば230を超えるかもしれません。
州知事は民主党が7州(イリノイ、カンザス、メイン、ミシガン、ネバダ、ニューメキシコ、ウィスコンシン)を奪還し、民主党23/共和党25とほぼタイに。しかし、オハイオ、アイオワという重要州は共和党が死守しました。フロリダも共和党と思われましたが、再集計の見通しです。ジョージアも決選投票に持ち込まれる見通しです。
州議会は民主党が5議会を奪還しましたが、民主党37/共和党62と共和党が過半数を占める議会が依然として大きく上回っています。
これは、「中間選挙のポイント(5)」(11/6)の「最後の結果予想」で述べた予想(上院:共和党+1~2、下院:民主党+25~35、知事:民主党+7~8、州議会:民主党が伸びるが共和党が過半数維持)のとおりの結果でした。
サプライズがなかったので、結果の評価と今後の展望は基本的には「中間選挙のポイント」シリーズで述べた分析がそのままあてはまります。その分析に照らしつつ、今週、あらためて詳しく解説します。
●セッションズ司法長官の解任
このメルマガで何度も「時間の問題」と伝えてきたジェフ・セッションズ司法長官の解任。選挙への影響を考えて選挙前にはやらない・・ということは分かっていましたが、選挙が終了するや否や容赦なく実行されました。
しかも長官代行に副長官ではなく首席補佐官が就くという驚きの決定。ロッド・ローゼンスタイン副長官はロシアゲート捜査の監督者、マシュー・ウィテカー首席補佐官はロシアゲート捜査を批判していた人物ということで、ウィテカーに捜査をコントロールさせる狙いが明白です。
さすがにここまで露骨な手法だと共和党も見過ごすことはできず、スーザン・コリンズ上院議員が公然と批判、今回の上院選で当選したミット・ロムニーも問題視しています。しかし、中間選挙を経て、共和党がますます「トランプ党」に傾く中、党内においてトランプ批判の声がこれ以上に高まることはおそらくないでしょう。
一方、逆に言えば、トランプがどれだけロシアゲート捜査を恐れているかが明らかになったともいえます。後任はクリス・クリスティ元ニュージャージー州知事などいくつか名前が挙がっていますが、できる限りウィテカーで引っ張り、可能であればモラー特別検察官の解任も狙う・・ということを本気で考えているのかもしれません。
●イラン制裁の完全復活
8月に米国のイラン制裁法の一部(12年国防授権法)が復活しましたが、先週、予定どおり他の制裁法(ISA、ITRSHRA、IFCA)も復活。これで米国の制裁は完全に復活しました。
・「米国のイラン核合意離脱(1):トランプの思惑とイランの対応」(5/15)
・「米国とイランの対立と対話」(8/6)
・「イラン制裁法の復活」(8/13)
8月の制裁は鉄鋼や自動車が対象でしたが、今回は石油、港湾、海運、造船、そして金融が対象になります。石油取引と銀行取引という最重要分野を押さえられることなり、非米国企業でも、ドル決済を必要とする企業は制裁で打撃を受けるので、イランとの取引が困難になります。
イラン経済に与える影響は甚大とみられます(ただしメルマガ限定部分で述べるとおりここは議論があるところです)。
一方、原油輸出禁止の制裁については、8か国・地域(中国、インド、日本、韓国、トルコ、イタリア、ギリシャ、台湾)に180日間の適用除外が認められました。
イラン制裁の完全復活と適用除外の意味、そして今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。
●イスラエルのアラブ外交
先月の動きですが、10月後半にイスラエルのネタニヤフ首相がイスラエルと国交のないオマーンを突然に訪問してカブース国王と会談。世界を驚かせました。
・「今週の動き(10/29~11/4)」(10/29)
アラブ諸国でイスラエルと国交があるのはエジプトとヨルダンのみ。イスラエルの首相がオマーンを訪問したのは1996年のペレス首相以来22年ぶりです。
この他、UAEとの間でも様々な動きが展開され、イスラエルとアラブ諸国の関係が驚くほど急速に変化しつつあります。これは米国のイラン政策と密接な関係があります。この点について解説します(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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11/11(日)
・第一次世界大戦終結100年の記念式典(パリ)
・パリ平和フォーラム(同)
・ASEAN首脳会議関連会合(シンガポール、~15日)
11/12(月)
・米退役軍人の日(ベテランズデー)
・ペンス副大統領が訪日(〜13日)
・RCEP閣僚会合(シンガポール)
11/14(水)
・RCEP首脳会合(シンガポール)
・日ロ首脳会談(同)
・安倍首相がシンガポール、豪州、パプアニューギニアを訪問(〜18日)
11/15(木)
・東アジアサミット(シンガポール)
・APEC閣僚会議(ポートモレスビー)
11/16(金)
・日豪首脳会談(ダーウィン)
11/17(土)
・APEC首脳会議(ポートモレスビー、~18日)
・モルディブ大統領にイブラヒム・ソリが就任
●ASEAN・APEC首脳会議
すでに発表されているとおり、トランプ大統領は出席せず、代わりにペンス副大統領が出席。ペンスはその前にアジアを歴訪するということで、日本へも立ち寄ります。
日米経済対話は行わないとのことですが、FFRで「日米物品貿易協定(TAG)」交渉を行うことが決まったので、ほとんど役割を終えたと言って良いでしょう。なおTAG交渉については、USTRがTPA法に基づき10月16日に議会に通知しており、米国の交渉開始が可能になるのはそれから90日後のため、年明けからになります。
・「日米首脳会談とFTA交渉」(10/5)
トランプが来ないとなると、元々注目度が低いAPECなどはますますどうでもよくなりますね(笑)。やはり世界はトランプを中心に動いている、彼が出てこないと物足りない・・良くも悪しくもそんな感覚になっています。
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あとがき
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四方山話を書いていますが、メルマガのみ掲載します。
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2 comments on “今週の動き(11/12~18)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
米国中間選挙は確実に、JDさんが仕掛人ですね(笑)
そして最近、特に週末も、中東が熱いですが、こちらもJDさんが仕掛けておられますか?(笑)絶妙なタイミングでの総集編第3弾「中東の新時代」!!これはすごい!楽しみですね。
週末には、エルドアンとトランプのツーショット写真を見ましたが、何を話したのか・・・。エルドアンの存在感も大変気になるところですが、総集編を読んで、来る中東の変革に備えることにします。
中間選挙シリーズを拝読し、実際の結果を見まして、改めて丁寧に物事を読み分析するとはこういうことかと感心しております。また、米国特有の選挙の仕組みや潮流を読む「意味」や面白さも体感できました。状況の変化を、過大評価も過小評価もすることない、JDさんの冷静な視点にとても信頼感を覚えました。
ところで、スーチー女史がアムネスティから人権賞を剥奪されたようですね。同氏の立ち位置や軍の在り方など、以前の記事を拝読しましたが、状況が変化しているのか、、お時間があればご教示ください。
それにしましても、JDさんの守備範囲は本当に広く深いですね。インプットとアウトプットの速さに改めて舌を巻いております。