2017/06/20 00:00 | 欧州 | コメント(3)
英国総選挙(メイ首相の敗北)
■ 英総選挙、与党保守党が過半数割れ 離脱交渉の行方に不透明感(6月9日付ロイター)
だいぶ遅れてしまいましたが、英国の政治は総選挙後まったく見通しが立たず、毎日毎日どうなっとんねんという状態(笑)。結果的には、しっかりした分析を示す上では、むしろ少し様子をみてよかった、という趣です。
総選挙によってハング・パーラメントが出現。その後、どのような政権が発足するのか。依然として不透明な状態が続きます。現時点で最も有力な見通しは、保守党が民主統一党(DUP)と閣内または閣外で協力すること。
どちらをとるかによって連立政権または少数政権が発足しますが、いずれにしても極めて不安定な政治運営を余儀なくされます。労働党を首班とする連立政権の可能性もゼロではなく、そうなればまさかのBREXITキャンセルにもなりかねませんが、このシナリオの可能性はまずありません。
そういうわけで、不確定要素が多すぎる状況ですが、現時点で指摘できるポイントのみ簡単に述べておきます。
●メイ首相の命運
今回の選挙の敗北の最大の原因がメイ首相のパフォーマンスのまずさにあったことはほぼ一致した見方です。「氷の女王」「メイボット」と言われた孤高の人メイ首相も、総選挙後はよほどこたえたのでしょう、平謝りモードに一変しました。
それでも、厳しい状況にあることは変えようもなく、タイミング悪くタワーマンション火災も発生。このままハング・パーラメントで政権運営は無理ということで、数か月以内に再選挙が行われる可能性は高いとみられています。
そのタイミングでメイ首相辞任・・・というシナリオは十分にあり得ます。選挙直後に辞任という事態は回避しましたが、結局は「6月は5月(メイ)の終わり」ということになりそうです。
●BREXITのソフト化
総選挙で保守党にノーが突き付けられたことで、ハードBREXITにブレーキがかかるとみられます。ここで状況をより複雑にするのが、スコットランド独立を主張するスコットランド国民党の後退とメイ首相を支持するスコットランド保守党の議席増。
スコットランド独立問題がとりあえず沈静化し、メイ首相支持派が増えることはメイ首相にとって朗報です。一方、スコットランド保守党はハードBREXITには反対の立場。そのスコットランド保守党が影響力を増すことで、さらにハードBREXITに歯止めがかかるとみられます。
英国はソフト化の路線に傾き、EUはここぞとばかりに押し込んでくるでしょう。BREXIT交渉の見通しがさらに険しくなると予想されます。
●北アイルランド情勢の不安定化
保守党とDUPの連係が実現すれば、シン・フェイン党がこれに反発し、北アイルランド情勢が不安定化するというリスクがあります。このように、なぜこうなってしまったのか・・・というほどに混迷を深めていく英国政治。BREXITも何もかも、出口が見えません。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
3 comments on “英国総選挙(メイ首相の敗北)”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
May・・Rの付かない月(5~8月)には牡蠣を食べるな・・
とすると・・
八月まではもつか・・
この期間に食べれば・・食当たりするかな・??
相当古い牡蠣みたいだし( ^ω^)・・・(笑
再選挙、BREXITの行方、北アイルランド情勢、今後の注目すべきポイントが分かりました。ありがとうございます。
今日もテロらしき動きがあったイギリス、当分混迷が続きそうですね。
「言動のセコい舛添は許せない」っていう日本人の感情は、
日本国外から見ていると「なんだかよくわからない」現象だっただろうと思うのですが、
メイ首相への逆風も「英国人ならわかる話だが外国人にはよくわからない」という類の話に思えてしまいます。
EU離脱交渉も最初からソフトBrexitなんて言ってたらEU側に突っ込まれるだけですし、火災はただの事故であって別にメイ首相の責任ではありませんし、選挙でコービンにしてやられたとはいえ第一党の地位は維持しているわけで、これほどの逆風というのはどうにもよくわかりません。