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■ イラク軍、ラマディ奪還へ攻勢 米副大統領は「犠牲と勇気」評価(5月26日付ロイター記事) シリアではパルミラが陥落しましたが、イラクではアンバール県の県都であるラマディが占領されました。 ティクリートを奪回し、立て続けに重要なターゲットの暗殺に成功し、次の目標は敵の本陣モスルかアンバール県かと思ったところで、シリアとバグダッドをつなぐ要衝を失う衝撃の事態。カーター国防長官が落胆するのも分かります。 もっとも、ラマディの周辺地域では、従来より一進一退の攻防が続けられており、これ自体はそれほどのサプライズではありません。パルミラの制圧のような大きな戦略的転換点というよりは、戦術的な一局面…
[ 2015/05/28 00:00 ] コメント(4)
■ エジプトのモルシ元大統領に死刑判決(5月17日付ウォールストリートジャーナル記事) 「アラブの春」によりムバラク政権が崩壊した後、2012年の選挙により大統領になったモルシーは、2013年、シシ国防大臣を中心とする軍事クーデターにより身柄を拘束されました。4月にデモ扇動の罪で禁固20年の判決を言い渡されていましたが、今回は囚人を脱獄させた罪で死刑判決。まだ確定はしてませんが、そこまでやるのか・・という印象でした。 しかも、モルシーの支持基盤であるムスリム同胞団の精神的指導者モハメド・バディ、アルジャジーラに出演している高名な法学者ユスフ・アル・カラダウィなど含め106名への死刑判決。 …
[ 2015/05/27 00:00 ] コメント(2)
■ 安倍首相がロシア下院議長と会談=プーチン氏訪日へ協議か(5月21日付ウォールストリートジャーナル記事) ■ 岸田外相にモスクワ訪問の意向(5月21日付ロシアNOW記事) ナルイシキン・ロシア下院議長は、欧米の制裁の対象となっており、これらの国々への入国が禁止されている人物です。そのような人物に安倍総理が会うのは相当の検討を要する判断であり、実際、会談が実施されるかは直前まで明らかになりませんでした。 さらに、安倍・ナルイシキン会談と同じタイミングに、岸田外務大臣が、プーチン訪日の準備の一環として、ロシア訪問を計画していると述べたとの報道。何か、少し前まではまったくあり得ないと考えられて…
[ 2015/05/26 00:00 ] コメント(6)
■白石隆 『海の帝国-アジアをどう考えるか』 19世紀に大英帝国が東アジアに築いた「海の帝国」という世界の秩序をベースにして、いかにして現代の「東南アジア」が形成されたかを論じた一冊です。東南アジアと華僑の歴史的なつながりを知る上でも有益な文献です。 ●英国の「海の帝国」 「海の帝国」とは、領土の実効的支配という「公式」な帝国ではなく、交易ネットワークを通じて経済的権益を確保するという「非公式」な帝国秩序であり、大英帝国が構築した統治システムです。この「帝国」の繁栄の核心部分は自由貿易にありました。 英国は、19世紀において、マレーの王が支配する王国の港市であったペナン、マラッカ、シン…
[ 2015/05/25 00:00 ] コメント(4)
■ 平和国家の歩み変わる=柳沢協二元官房副長官補に聞く【戦後70年】(4月27日付時事通信) 安保関連法案が国会審議に入るということで、色々な議論が出てきています。私はこの問題にあまり関心がないのですが(苦笑)、上記記事に出ている柳沢元副長官補のことは、昔、内閣官房にいたときに一緒に働いたことがあり、よく知っています。能力・人格ともに優れた人物であり、周囲から尊敬されていました。 はっきり言ってしまうと、昔の「防衛庁」は、今と違って、自衛隊には災害派遣や国際貢献の任務もなかったところ、自衛隊の維持・管理をするだけの三流官庁とされ、内局には人材がほとんど集まらないと言われていました。それもあ…
[ 2015/05/24 00:00 ] コメント(3)
■ 「イスラム国」、シリア全土の5割制圧か―パルミラも完全掌握(5月22日付ウォールストリートジャーナル記事) パルミラの占領については、世界遺産に認定されている遺跡の破壊が強調されていますが、この都市は、ダマスカスとシリア東部を結ぶ要衝にあり、戦略的に極めて重要な地位を占めています。パルミラが陥落したことによりシリア東部の都市が次々に制圧され、全滅する可能性があります。 また、この地域の油田を奪ったことで、「イスラム国」はシリアの油田の大部分を制圧したと言われており、アサド政権は極めて大きな痛手を負ったことになります。これからイランがどこまで政権を支えるのか注目されます。 パルミラには…
[ 2015/05/23 00:00 ] コメント(5)
■ 米下院、イラン核合意検証法案を可決(5月15日付ウォールストリートジャーナル記事) 「米イラン関係の今後」でご紹介したコーカー・メネンデス法案が上下両院で可決されました。オバマ大統領は拒否権を行使しない方針であるため、法案は成立する見通しです。 これにより、米国政府がイランとの間で最終合意を締結した場合、議会が合意の内容をレビューすることになりますが、実際のところ、仮に議会が最終合意を認めなかった場合であっても、オバマ大統領は拒否権を行使することができます。これに対し、上下両院で3分の2の議決があれば、議会は拒否権を覆す(override)ことができますが、その実現可能性はないと見られ…
[ 2015/05/22 00:00 ] コメント(4)
■ Wan Azizah takes over as Opposition leader(5月19日付The Star記事) 世界情勢ピックアップもマレーシアの話題になってしまい、前回の記事に続いてマレーシア尽くしになっていますが(笑)、野党連合の新指導者がPKR党首のワン・アジザになりました。ワン・アジザはアンワル元副首相の夫人です。 「マレーシア・野党連合の苦境」で書いたとおり、野党連合はアンワルという絶対的指導者を失い、誰がその後を継ぐのか注目されていました。PKR副党首のアズミン・アリ(セランゴール州首相)が有力視されていましたが、結局、党首のワン・アジザに落ち着いたということです…
[ 2015/05/21 00:00 ] コメント(4)
「マレーシア政治①:ナジブ政権の苦境」の続きです。 ●UMNOの支配 マレーシアでは、1957年のマラヤ連邦としての独立以来、統一マレー国民組織(UMNO)が多数党の地位を占めています。絶対的優位を保ってきたUMNOに衝撃を与えたのが2008年の総選挙です。 UMNOの獲得議席は3分の2を割り、得票率は51.5%、マレー半島に限ると50%を割るという屈辱的な結果になりました。この歴史的後退を理由に、アブドラ・バダウィ首相(当時)は辞任に追い込まれました(新首相に就任したのが現首相であるナジブ・ラザク副首相(当時))。 選挙後、野党3党(PKR、DAP、PAS)は、野党連合「人民同盟」(…
[ 2015/05/19 00:00 ] コメント(6)
5月24日から、マレーシアのナジブ・ラザク首相が来日します(5月12日付外務省報道発表)。今回は、このナジブ政権の現状について説明します。 ナジブは第6代首相です。父親は第2代首相トゥン・アブドゥル・ラザク、叔父は第3代首相フセイン・オンという超サラブレッド。ちなみに、現在マレーシアで次代の指導者として最も人気のある政治家は、ヒシャムディン・フセイン国防相ですが、彼はフセイン・オンの息子で、ナジブのいとこにあたります。 ついでに述べると、初代首相トゥンク・アブドゥル・ラーマンは、以前ご紹介した『リー・クアンユー回顧録』にも登場しました。ラーマンはマレーシアの王族出身です(マレーシアは立憲君…
[ 2015/05/18 00:00 ] コメント(0)
JD世界情勢ブリーフィング
国際政治・経済の分析を仕事にしています。 東京大学法学部卒、スタンフォード大学院修了、元外交官。米国、中国、英国に数年間在住。 趣味は現地調査(70か国以上渡航)と適度な筋トレ。 ここでは世界情勢の読み解き方を解説します。 メルマガのご紹介 バックナンバー 総集編 メルマガ配信登録
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