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2015/08/24 00:00  | 韓国・北朝鮮 |  コメント(6)

北朝鮮・韓国の交戦


北朝鮮の砲撃に韓国が応射、宣伝放送めぐり軍事境界線付近で(8月20日付ロイター記事)

2010年の延坪島砲撃事件以来となる北朝鮮からの砲撃。これに対し、韓国側も北朝鮮の領域に対して直接に砲弾を撃ち込むというという、異例の事態に発展しています。

例によって北朝鮮側の事情を知ることは不可能です。「専門家」も、これまでの経緯から一般的な推測を述べることしかできません。怪しい「インテリジェンス」に惑わされることなく、まずは正確な事実を把握することが大切です。

ところで、北朝鮮が問題にした韓国の「宣伝放送」ですが、私は実際に聴いたことがあります。10年前、38度線(板門店)付近にあるDMZ(非武装地帯)に行ったときのことです。

この「宣伝放送」合戦のように、北朝鮮と韓国は、38度線を挟んで、お互いに、自らの方が優れているという点をアピールする、ということをやっています。DMZ内には、北朝鮮・韓国それぞれの領域に民間人が居住する集落があります。それぞれ、「平和の村」、「自由の村」と名付けられていますが、実態は、相手側の一般市民に対して自らの優位をアピールする拠点であり、言わば「宣伝村」です。

韓国の「自由の村」には、厳重なチェックを経て、一定の条件を満たした国民が様々な特権を受けて住むことができます。北朝鮮の「平和の村」には、私が行ったときには人が住んでいませんでした。

また、板門店にツアーで民間人が行く場合には、ジーパンを履くことは避けるように指示されます。これは、戦後間もない頃、ジーパンが、米国から作業着の支援物資として送られたものだったので、北朝鮮側からジーパンを着ているのを見られると「韓国はこんなに貧しい」と北朝鮮内での宣伝に利用される危険がある、と考えられたからです。もっとも、最近は、さすがに北朝鮮の国民もジーパンがカジュアルな服装であることを知っており、「ジーパン規制」は緩和されているそうです。

他にも、国旗の高さ(160メートルにも及ぶ)や大きさ、建物の高さや大きさなど、目に見えるものは全て見栄え良くして張り合うという、傍目から見ると滑稽にも映るようなアピール合戦をしています。DMZに配備される兵士は選りすぐりのエリートであり、どの兵士も精悍で、ただならぬ迫力が伝わってくるのですが、それにしても、やたらに男前が多い。聞いてみたら、北朝鮮側にアピールするために、わざわざイケメンを選ぶそうです。

しかも、映画のタイトルにもなった板門店に設置されている「JSA(共同警備区域)」では、国境線の向こうにいる北朝鮮の兵士を見ることができるのですが、これもイケメン揃い。どうやら北朝鮮も同じことを考えているようです(笑)。

ただ、違うのは、韓国側の兵士が全員サングラスをかけているのに対し、北朝鮮の兵士は誰もサングラスをしていないところ。サングラスは、目と目が合うことで精神的なプレッシャーを受けるのを回避するためのものですが、北朝鮮の兵士はこれを必要としないわけです。恐るべき精神力です。

JSAには、南北が会談を行う建物(軍事停戦委員会本会場)が38度線をまたがって建設されています。この建物の中にも入ることができます。

(軍事停戦委員会本会場(筆者撮影))

かつては、この建物の中においても、南北の国旗のどちらをより高く置くかで論争になったそうです。そのときは両方の国旗を天井に吊すことで決着したとか・・(笑)。

ちなみに、建物の中では物理的に38度線をまたぐことができます。

(建物の外にある軍事境界線(筆者撮影))

JSAでは、北朝鮮と韓国の兵士が至近距離で対峙するため、異様な雰囲気が漂っています。映画でも描かれたように、小規模の銃撃戦はめずらしくなく、また大量の地雷が埋まっていることもあり、事故も多発しています。

最後に、地図を見れば分かりますが、板門店とソウルとの距離はわずか60キロしかありません。朝鮮戦争の際、北朝鮮は開戦直後わずか2日でソウルを陥落させますが、このときのトラウマはいまでも韓国人に残っています。

北朝鮮からの戦車の侵攻を阻むべく、板門店とソウルとの間の道路には、おびただしい数の障害物とバリケードが置かれ、スラローム状になっており、有事の際のシャッター、爆発物までが仕掛けられています。

朝鮮戦争を知るには、デビッド・ハルバースタムの遺作『ザ・コールデスト・ウインター』がお勧めです。そのうち書評も書いてみたいと思います。

板門店ツアーには(情勢が安定していれば)結構手軽に参加することができるので、機会があればぜひ参加してみることをお勧めします。

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6 comments on “北朝鮮・韓国の交戦
  1. ペルドン より:
    サングラス対スッピン

    >>わざわざイケメンを選ぶ・・
    韓国お得意・・整形手術・・簡単でしょうに・・
    しかし・・サングラススタイル・・顔が隠れるな・・

    今回会談・・韓国側・・側近を名指し・・
    これ・・不味くありませんか・・もっと下からやらなきゃ・・
    女大統領・・怖くて・・血・・登ってるな・・
    日本なら・・あれだけ・・しつこく・・無礼千万にやれるのに・・
    まぁ・・
    お手並み拝見・・
    直行便来るかなぁ・・・(笑

  2. kiki より:
    茶番

    北も南もお互い本気でミサイル打ち込んだらどうなるか分かっているので、
    今回も口だけでうやむやになるんでは?

    不謹慎かもしれないがこの北と南の小競り合いは飽き飽きですな。

  3. ペルドン より:
    厳冬

    注文したぞ・・
    読み比べ・・願い奉る・・・ヒヒヒヒ・・・(笑

  4. ペルドン より:
    宣伝戦

    韓国・・国境線沿いの宣伝スピーカーを中止・・
    北朝・・地雷に関して「遺憾」・・

    良かった・・良かった・・手打・・韓国の負け・・・(笑

  5. JD より:
    茶番の顛末

    今回の顛末で勝ったのは韓国、という見方があります。
    中国が北朝鮮に肩入れせず、等距離のスタンスをとったからです。
    もし衝突に至った場合、中国がどちらに味方したか分からない、その状況までもっていっただけで韓国にとっては大きな成果だろうと。
    中国の報道によれば、朴槿恵は軍事パレードに出席するそうですが(注:韓国側ではまだ発表されていない)、今回の中国のスタンスに対するお礼の意味があるのかもしれません。
    いずれにしても、奇妙な方向には向かってますが・・苦笑

  6. ペルドン より:
    茶番

    どうであれ・・
    小うるさい・・宣伝スビカー・・沈黙させられた・・
    対抗する・・高性能スピーカーが無かった・・

    「沈黙は金」
    であります・・(北にとって)
    中国・・そんなこんまい・・茶番に口出すのは・・面子に係わる・・沽券の問題・・そんな余裕もない・・

    軍事パレードに朴お嬢様御臨席なら・・
    それなりに・・後で歓迎を・・
    JDなら・・ウオン売り・・流石・・元外交官・・・!!(笑

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