2019/02/22 05:00 | 米国 | コメント(4)
民主党の左傾化と路線対立のリスク
■ 米民主党のエイミー・クロブシャー上院議員、2020年大統領選出馬を表明(2月11日付BBC)
■ オカシオコルテス米下院議員、グリーン・ニューディール法案を発表(2月8日付ブルームバーグ)
■ アマゾン、NY第2本社計画を断念 候補地探しは現時点で再開せず(2月14日付ロイター)
■ バーニー・サンダース上院議員、大統領選への出馬を表明(2月20日付CNN)
先週、エイミー・クロブシャー上院議員が大統領選への出馬を表明しました。クロブシャーは、弁護士(ウォルター・モンデール元副大統領・駐日大使の下でインターン、それ以来師弟関係)、検察官を経て07年にミネソタ州初の女性上院議員に就任(3期目)。民主党の「ライジング・スター」の一人です。
穏健・中道の立場で、かねてから有力な大統領候補の一人と見られてきたこと、ブレット・カバノーの最高裁判事承認の公聴会で「酒を飲み過ぎて意識不明になることはありますか」と質問し、カバノーから「分かりません。あなたは(酒を飲んで記憶を失うことが)あるんですね?」という発言を引き出したことは以下の記事等でお伝えしてきました。先月はウィリアム・バーの司法長官承認の公聴会でも存在感を見せています。
・「カバノー最高裁判事候補の指名承認」(18/10/8)
・「2019年の展望(1)(大統領選の幕開け)」(1/4)
クロブシャーのような王道タイプが満を持して出馬表明する一方、民主党では急進左派の若手議員が活発な活動を展開し、これにベテラン議員や大統領選の候補者が同調する動きが見えます。それを象徴する例が、29歳の新人下院議員であるアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが提案し、エド・マーキー上院議員とともに議会に提出した「グリーン・ニューディール」決議案(冒頭記事には「法案」とあるが正しくは法的拘束力のない「決議案」)です。
また、アマゾンがNY市に第2本社を建設する計画の撤回を発表しました。アンドリュー・クオモ州知事とビル・デブラシオ市長は、アマゾンに優遇措置を提供するなど積極的な誘致に努めましたが、都市再開発と企業優遇に反発する地元住民と一部の地元の政治家が反対運動を展開。反対運動を主導した一人がオカシオ・コルテスであり、アマゾンの撤回が発表されると「勝利宣言」を出しました。
グリーン・ニューディール決議案とアマゾンの本社建設撤回は、民主党の左傾化と路線対立のリスクが顕在化しつつあることを示すものです。
そして、今週、急進左派の代表格であり、16年大統領選挙で旋風を起こしたバーニー・サンダース上院議員が大統領選への出馬を表明しました。無所属ながら民主党候補の指名を目指すとしています。
現時点での民主党の候補者は、コーリー・ブッカー(ニュージャージー選出上院議員)、ピート・ブティジェッジ(サウスベンド市長)、フリアン・カストロ(元住宅都市開発長官)、ジョン・ディレイニー(元メリーランド選出下院議員)、トゥルシー・ガバード(ハワイ選出下院議員)、キルステン・ジルブランド(NY選出上院議員)、カマラ・ハリス(カリフォルニア選出上院議員)、エイミー・クロブシャー(ミネソタ選出上院議員)、バーニー・サンダース(バーモント選出上院議員)、エリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ選出上院議員)、それに非政治家の2人(作家と青年実業家)を加えて12人。政治家10人のうち女性が5人、LGBTが1人、男性が4人(白人は2人)とかつてなく多様性に富み、左派系が多数を占めます。
これからジョー・バイデン(前副大統領)、シェロッド・ブラウン(オハイオ選出上院議員)、ベト・オルーク(前テキサス選出下院議員)、マイケル・ブルームバーグ(元NY市長)が出馬する可能性があります。この4人の動向が決まればほぼ候補者は出そろうでしょう(ダークホースにオプラ・ウィンフリーがいますが)。以下の記事も参照下さい。
・「中間選挙のポイント(3):上院の展望(2020年大統領選の民主党候補)」(18/10/31)
本日は、来年の大統領選に向けて民主党内で起こっているこれらの重要な動きについて解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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民主党の左傾化と路線対立のリスク
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●エイミー・クロブシャーの出馬表明
●「グリーン・ニューディール」決議案の波紋
●バーニー・サンダースの出馬表明
●エリザベス・ウォーレンの出自問題
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あとがき
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■ アップルウォッチに命を救われたスウェーデン人男性が話題に(18年11月3日付Forbes)
昨年末からアップルウォッチを利用しています。最新版のシリーズ4です。
これまではFitbitで歩数、脈拍数、睡眠時間を図っていたのですが、アップルウォッチでも同じように計測できるということで購入。PCのアドレスにメールが来ると通知が来たり、ゴルフ場で距離が分かったり。重宝しています。ちなみにApple PayでSuicaの支払いもできて、これは超便利と思いますが、私は基本的にPasmoなので残念ながら使えていません。しかし電子マネーとの接続が進めばさらに便利になりますね。
あと、見た目のカッコよさも思った以上に大事ですね。画面のデザインも自分で選べるのですが、クリアーで美しい表示を見るとそれだけで気持ちが良くなるものです。アップルの強さはセクシーなブランド感にあるとスコット・ギャロウェイ『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は喝破しましたが、私もようやく腑に落ちました。
ただ、冒頭記事によれば、事故が起こったときの緊急時の対応にも役立つとのこと。意識を失ったとき自動的に作動するモードもあるらしく、特に高齢者の方に良いですね。ただ、私の親もそうですが、最先端機器を苦手とする方が多いのが難しいところ。ここは見た目のセクシーよりも「かんたんスマートウォッチ」のようなシンプルなものが求められそうです。
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4 comments on “民主党の左傾化と路線対立のリスク”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
まるで、新しい映画の予告編のような楽しさで、金曜日にピッタリです(笑)
各候補のキャリアや政治的なスタンスだけでなく黒歴史まで、様々なバラエティに富んだキャラクターがとてもリアルに、分かりやすく描かれていました。
なにより、グリーン・ニューディールを「幕の内弁当」で片付けておしまいな議論(?)が多い中で、共和党に与える影響や、トランプが突いてくるポイントは、まさに今回のシリーズの肝かと感じました。
総集編4を読んだ後だけに、余韻をそのままに、新シリーズ突入な感じです。
オカシオ・コルテスはとても興味深い女性ですね。初めて彼女の写真を見た時の第一印象が「トラブルメーカーになりそうな人だな・・・」だったのですが、今まさに民主党分断の火種を量産する人として、遺憾なくその力を発揮しているような気がします。(もちろん分断してやろうという魂胆に基づく行動ではないと思いますが・・結果共和党に貢献しているという。本人にその自覚はあるのでしょうか・・)
話が変わりますが、最近若者の社会主義への傾倒について触れている記事を読みました(@2月22日発行の溜池通信)。このネオ・ソーシャリストとでもいうべき若い世代の存在についてJDさんはどう思われていますか?
2月12日のメルマガでは、「社会主義」という言葉を違和感なく使うリベラルの若者がいる、という程度の書き方で、あまり注視してはいらっしゃらない印象を受けたので、やはりこれまでのご説明どおり、米国は「社会主義」への伝統的な忌避感が基本路線であり、若者の社会主義への傾倒も部分的・限定的な現象であるという認識でいれば良いでしょうか。それとも世代によって、その忌避感に温度差がある可能性を頭に入れておいたほうが良いでしょうか。
今後、米国の政治を見ていくうえで、どの程度注視していくべき存在なのかなと少し気になっています。
追伸:先日の「混乱」のくだり・・大変失礼致しました。もちろん悪気は一ミリもありませんのでご容赦を・・。
なかなか難しい問いですね。
少なくとも軽視すべき問題ではないと思います。ただ問題の立て方には工夫が必要な気がします。
吉崎さんの見方にはおおむね同意します。一方、触れられていないポイントもあるように感じます。
少し考えてから、メルマガでお答えしたいと思います。
ライフハックネタ、これまでも色々と参考にさせていただいております。
『睡眠』について時々言及されますが、「起きている時の脳の使い方」などで何か意識されておられることはありますか?
先日、リハビリテーションを専門に行う作業療法士が書いた書籍を読み、「どう脳を休ませるか(睡眠)」の話とともに、「起きている時にどう脳を使うか」を検証したものでした。
脳が高パフォーマンスを出せる時間帯を把握してスケジューリングをする、という”脳ファースト”の発想がとても面白いと思いました。
が、私たちの生活はさすがにリハビリテーションのように進行していくものでもないので、発想の転換、考え方の一つとして理解をしました。
そこで、お仕事上、時差や締め切り、突発的な有事などをかわしながら仕事をされておられるであろうJDさんは、どうやってコントロールされておられますか?
インプット、アウトプット、思考等をするための効率のよい時間帯や脳の使い方はあると思われますでしょうか?もしあれば、JDさんの工夫や習慣の一端を伺いたいな、と思った次第です。