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「マレーシア政治①:ナジブ政権の苦境」の続きです。 ●UMNOの支配 マレーシアでは、1957年のマラヤ連邦としての独立以来、統一マレー国民組織(UMNO)が多数党の地位を占めています。絶対的優位を保ってきたUMNOに衝撃を与えたのが2008年の総選挙です。 UMNOの獲得議席は3分の2を割り、得票率は51.5%、マレー半島に限ると50%を割るという屈辱的な結果になりました。この歴史的後退を理由に、アブドラ・バダウィ首相(当時)は辞任に追い込まれました(新首相に就任したのが現首相であるナジブ・ラザク副首相(当時))。 選挙後、野党3党(PKR、DAP、PAS)は、野党連合「人民同盟」(…
[ 2015/05/19 00:00 ] コメント(6)
5月24日から、マレーシアのナジブ・ラザク首相が来日します(5月12日付外務省報道発表)。今回は、このナジブ政権の現状について説明します。 ナジブは第6代首相です。父親は第2代首相トゥン・アブドゥル・ラザク、叔父は第3代首相フセイン・オンという超サラブレッド。ちなみに、現在マレーシアで次代の指導者として最も人気のある政治家は、ヒシャムディン・フセイン国防相ですが、彼はフセイン・オンの息子で、ナジブのいとこにあたります。 ついでに述べると、初代首相トゥンク・アブドゥル・ラーマンは、以前ご紹介した『リー・クアンユー回顧録』にも登場しました。ラーマンはマレーシアの王族出身です(マレーシアは立憲君…
[ 2015/05/18 00:00 ] コメント(0)
■ 米国務長官がプーチン大統領らと会談、協力表明も進展見えず(5月11日付ロイター記事) 対独戦勝式典には欠席したケリー国務長官が突然にソチを訪問して、プーチン大統領とラブロフ外相と会談。 これは結構驚きでしたね。ケリーは、ウクライナの危機後、ラブロフとは何度も会っていますが、プーチンと会ったことはありません。今の状況でプーチンと会うことは、それ自体大きな政治的意味合いをもちます(はっきり言えば、米国からの歩み寄りを意味します)から、何の狙いや成果の見通しもなく実行するはずがありません。 しかも、ラブロフとの4時間の会談も含めて、8時間という長時間。裏では何か大きな取引があったのではない…
[ 2015/05/17 00:00 ] コメント(2)
■ サウジ国王、米・GCC首脳会談に欠席―皇太子を派遣(5月11日付ウォールストリートジャーナル記事) ■ 米大統領がサウジ皇太子と会談―GCCとの首脳会談を前に(5月14日付ウォールストリートジャーナル記事) イラン核協議の枠組み合意成立直後、オバマ大統領は湾岸諸国協力会議(GCC)の首脳をキャンプデービッドに招待しましたが、サウジアラビアのサルマン国王は直前でキャンセルという冷たい対応。バーレーン、オマーン、UAEも国王・大統領は出向かず、トップを派遣するのはクウェートとカタールだけだったようです。 なお、バーレーンのハマド国王は、会議を欠席して、英国でエリザベス女王のホース・ショーを…
[ 2015/05/15 00:00 ] コメント(3)
■ ハッカビー元アーカンソー州知事、米大統領選に出馬表明(5月6日付ロイター記事) 今月に入って、カーリー・フィオリーナ、ベン・カーソン、そしてマイク・ハッカビーが共和党候補者として名乗りを上げました。これで、共和党の候補者は、テッド・クルーズ、ランド・ポール、マルコ・ルビオに加えて既に6名。 これから、ジェブ・ブッシュ、スコット・ウォーカーが出馬することは確実で、他にも有力視されている政治家が何人かいますから、果たして何人の候補が出てくることになるのか。さながら戦国時代の様相を呈しています。 フィオリーナとカーソンに共通しているのは、政治経験がまったくないこと。これがプラスと出るかマイ…
[ 2015/05/14 00:00 ] コメント(4)
■ 英総選挙、保守党が実質過半数獲得 スコットランド民族党も躍進(5月8日付ロイター記事) 遅れましたが、英国総選挙、保守党の圧勝という予想外の結果に終わりました。その理由については、保守党の経済政策が概ね支持を得られた、労働党とスコットランド国民党(SNP)の協力可能性に有権者が危機感をもった、労働党の地盤だったスコットランドの票をSNPに奪われたなど、既に色々と論じられているとおりですが、これらに加えて私が感じたのは、労働党のミリバンド党首の選挙パフォーマンスの稚拙さです。 もともとミリバンドは、キャメロン首相以上に人気がない政治家でしたが、今回の選挙戦においては、モーゼの十戒のごとく…
[ 2015/05/13 00:00 ] コメント(8)
「東南アジアの不安定化①」の続きです。 ASEAN原加盟国であるインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ(ASEAN5)は、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)の4か国と比べると経済発展のレベルが高く、「ASEANの先発国」として評価されています。 ●インドネシアの新政権 インドネシアでは、昨年10月に初めての「庶民派」大統領ジョコ・ウィドドの政権が成立しましたが、その支持率が1月時点で42%まで低下しています(コンパス紙の4月の世論調査では81%から61%に低下)。 ジョコ政権は、成立して最初の3ヶ月の間に、経済改革では一定の成果を挙げ、社会保障、外交…
[ 2015/05/12 00:00 ] コメント(1)
前回の記事でご紹介したとおり、リー・クアンユーの死去は東南アジアの一つの時代の終わりを感じさせるものでした。東南アジアでは、これに限らず、本年に入って様々なイベントが発生しています。 これらをもってリスクが顕在化している状況にあると評価して、東南アジアが不安定化していると指摘する報道や識者の意見を見受けるようになりました。たとえば、以下の記事が挙げられます。 ■ Trouble at home - Political instability returns to South-East Asia(3月14日付The Economist) ■ Mekong authoritarianism a…
[ 2015/05/11 00:00 ] コメント(1)
前回の記事では、『リー・クアンユー回顧録』のハイライトである「シンガポールの青春の物語」について書きました。 今回は、他の文献や最近の状況にも依拠しながら、①「CEO」としてのリー・クアンユーと②シンガポールの将来について述べます。…
[ 2015/05/04 00:00 ] コメント(1)
先週はバンコクからシンガポールに入り、週末からジャカルタに来ています。 シンガポールは、よく言われるように、人と情報が集まるところです。ここに来ると、そうした環境を作るために国を挙げて努力していることを実感します。 特に人材育成に対する取り組みが凄い。ここで生きることが幸せなのかは分からないですが、少なくとも教育環境の充実に関しては、感銘を受けるというか、日本ももっと何とかならないものかと思います。 ジャカルタは、ショッピングモールに象徴される内需拡大の動きが目を引きます。バンコクもそうでしたが、中間所得層の成長が大量消費を導きつつあります。社会の変革期にあるのでしょう。 景気の停滞も…
[ 2015/05/01 00:00 ] コメント(4)
JD世界情勢ブリーフィング
国際政治・経済の分析を仕事にしています。 東京大学法学部卒、スタンフォード大学院修了、元外交官。米国、中国、英国に数年間在住。 趣味は現地調査(70か国以上渡航)と適度な筋トレ。 ここでは世界情勢の読み解き方を解説します。 メルマガのご紹介 バックナンバー 総集編 メルマガ配信登録
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