2015/06/12 00:00 | 米国 | コメント(2)
米国大統領選:ジェブ・ブッシュの出馬
■ 米大統領選、サントラム元上院議員が出馬表明 共和党7人目(5月28日付ロイター記事)
■ 元NY州知事、大統領選共和党指名争いに出馬(同日付ロイター記事)(5月28日付ロイター記事)
■ 米大統領選、共和党グラム上院議員が出馬表明(6月2日付ウォールストリートジャーナル記事)
■ Republican Rick Perry Makes 2016 Presidential Campaign Official(6月4日付Bloomberg記事)
共和党からリック・サントラム、ジョージ・パタキ、リンゼー・グラム、リック・ペリーが相次いで出馬表明。これで共和党候補者は10名。ますます大混戦の様相を呈してきました(「米国大統領選:共和党候補者の乱立」参照)。
サントラムは、元下院議員・上院議員(ペンシルバニア州)で、政策的にも宗教的にも極めて保守的な思想の持ち主として知られます。12年のプライマリー(党の候補者を決める「予備選挙」)では、11の予備選と党員集会(コーカス)を制し、ロムニーに次ぐ2位につける善戦を見せました。ただこのときの活躍がピークだった感は否めません。
パタキは、穏健・中道の共和党員で、1994年に強力な現職だったマリオ・クオモを破ってニューヨーク州知事になった人物です。三選を果たし、知事として9/11も経験しました。もっとも、こちらも過去の人という印象が強いです。
グラムは、軍歴が豊富で、安全保障の論客として名を馳せており、その知見は党派を超えて評価されています。得意分野に偏りがあるのが気にかかりますが、世論調査によれば、共和党支持者の最大の関心事項は安全保障・テロ対策なので、選挙戦の展開次第では彼の強みが活かされるかもしれません。
ペリーは、現職のテキサス州知事です(前任はジョージ・W・ブッシュ)。2012年のプライマリーに出馬しましたが、度重なる失言により支持を失い、撤退を強いられました。このときのイメージの悪さはいまだに尾を引いています。それなりの力をもっている政治家なので、この4年間でどれだけ変わったことをアピールできるかが重要になります。
さらに、15日にジェブ・ブッシュがいよいよ出馬宣言とのこと。
■ ジェブ・ブッシュ氏が大統領選出馬を正式表明へ(6月5日付CNN記事)
言わずとしれたジョージ・W・ブッシュの「よくできた弟(smart brother)」です。知名度、資金力は抜群であり、現時点のフロントランナーと見られていますが、他の候補と比べ突出した地位にあるというわけではありません。
政治思想は穏健・中道なので、ティーパーティーからの支持に関しては、テッド・クルーズ、ランド・ポールのような超保守と比べるとビハインド感があります。また、リンゼー・グラムの紹介で述べたように、共和党支持者は外交・安全保障を重視していると言われますが、ジェブ・ブッシュは、最近、ジョージ・W・ブッシュのイラク開戦の決断の是非について発言にブレを見せており、厳しい批判に晒されました。この点は選挙戦においてもツッコミを受けるおそれがあります。
さらに、次回ご紹介する民主党候補者のマーチン・オマリーが「大統領職はクリントンとブッシュの2つの王家が交互に占めるものではない」と述べたように、世襲政治批判も攻撃材料となるでしょう。
この他、クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事が出馬するとみられています。この2人とジェブ・ブッシュを加えると13名になりますね。
以上のとおり、共和党は大混戦を極めていますが、一方、民主党といえば、相変わらずのヒラリー・クリントンの独走状態。好対照をなしています。次回(明日)は、その民主党候補者の状況について述べます。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
2 comments on “米国大統領選:ジェブ・ブッシュの出馬”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
ブッシュの敵はブッシュ・・
と言われてますね・・
今更・・名前を換える訳にもいかず・・
夏・・良いですね・・
写真・・良いですね・・
横に・・魅力的な女性の・・ビキニ等・・
そりゃ・・大歓迎です・・・(笑
オバマとの選挙戦の時、既に共和党の人材はすっかり払拭していて今回も苦しそう。ティーパーティーが共和党のガンか?ジュリアーニに期待していましたが選挙戦術を間違ったし外交も弱点だったのでしょうか。そもそもモンロー主義は両党にかかわらない米国の傾向に思えますが。