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2017/09/01 05:00  | 英語 |  コメント(5)

英語のスピーキング⑨:練習方法


北朝鮮とかトランプとか、重たい記事ばかりになっているので、気分転換にちょっと気楽な話をしたくなりました(笑)。

久しぶりに英語の話です。​英語のスピーキングについては、これまで8回にわたりポイントを解説してきました。 

過去の記事は「英語」アーカイブ、直近の記事は「英語のスピーキング⑧」をご覧下さい。

今回は、これまで述べてきたポイントをふまえて、具体的なトレーニングの方法について述べます。

※今回の記事は、特別に本ブログでも全文公開します(ただし「あとがき」は一部のみ)。

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英語のスピーキングの練習方法
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●音読

まず、最初になすべきトレーニングは、英語のテキストの音読です。

テキストの素材ですが、とりあえずニュースのトランスクリプトが無難でしょう。今の時代、米国のメディアのサイトを見ればいくらでも見つかるので、好みのものを選べばいいですが、私のイチオシはPBS Newshour

これは、米国版NHKともいえる公営放送で、クオリティが非常に高いです。トランプにいわせれば「フェイクニュース」のCNN、「オルタナティブ・ファクト」を量産するFOXよりも、よほどこちらを見た方が勉強になるでしょう(笑)。

内容もさることながら、多くのコンテンツにおいて動画とトランスクリプトがワンセットで掲載されている点が英語の勉強の素材として特筆に値します。

このため、

①動画を見る→②トランスクリプトを見る→③トランスクリプトを読む(音読する)

というプロセスをたどることが非常に容易です。これにより、リスニングとスピーキングを同時に鍛えることができます。

トランスクリプトの音読には、

①リーディング・アラウド(シンプルな音読)
②シャドーイング
③リピーティング

といった方法がありますが、最初は普通に①リーディング・アラウドから始めるのが良いでしょう。

ここでのポイントは、​「英語のスピーキング②」で述べたとおり、文字(特にカタカナ)に縛られないことです。つまり、この文字だからこの音・・という先入観にとらわれることなく、まず音から入るという姿勢をとることが重要です。

ここで、何が正しい音かを知るには、動画のネイティブの発音を確認する必要があります。最初に動画を見るのはこのためです。

理想的には、動画を見るだけで、テキストを見たり、思い浮かべたりすることなく、ただ音だけをサルのように真似することです。それを何度も繰り返すことが最高の訓練になります。

●音の生産ドリル

では、真似をするにしても、音を正しく生産するにはどうすればよいのか。

ただひたすら音読を繰り返すだけでも相当な効果がありますが、これに加え、音を生産するための土台をつくるドリルに取り組むのが良いでしょう。

まず、「英語のスピーキング①」で述べたボイストレーニング。私はボイストレーニングのプロではありませんが、自分なりに感じたポイントは以下の点です。

・深く息を吸う
・腹の底から息を強く、長く出す
・できるだけ息継ぎをせずに一文を言い切る
・最後まで息を吐ききる

基本的にネイティブは長い文章を一息で読みます。途切れることなく一気に読むため、音の強弱も意識され、リズムも生まれます。

一息で読むためには、あらかじめしっかりと息を吸い込むことが重要です。言い終わった後は、息を吐き切って苦しくなるくらいがちょうどよいです。この感覚に十分に慣れて、普段から自然にできるようにしておくだけで、ずいぶん声が変わります。

また、明瞭に発声するために、以下の点に注意すると良いでしょう。

・息を前に出す(声を前方に発射(project)するイメージ)
・舌を奥に丸めない(気道がふさがって声がこもるのを防ぐ)
・広角を上げて、上の歯が唇に隠れないようにする(少し口を突き出すぐらいが良い、もごもごしなくなる)

これを心がけるだけでかなり声がクリアーになり、音の厚みも増します。

ちなみに、これができると、日本語もきれいに響くようになります。日本語でも厚みのある声で話す人がいますよね。クリス・ペプラーのようなDJとか、しっかりした声で話す俳優とか、ぐっちーさんとか(笑)。

私が思うに、こういった人たちは英語式の発声方法で日本語を話しているのです。このため、英語を「勉強」したことがなくとも、英語を読ませると上手に聞こえます。

以前、美空ひばりは、英語の勉強をまったくしたことがなかったのに、その英語の発音は非常にナチュラルに聞こえたというエピソードを述べましたが、その理由はおそらくこれでしょう。当然、こういう人は勉強すれば上達は早いです。

●留意点

ただし、「英語のスピーキング①」でも述べましたが、この音自体がネイティブの発音そっくりそのままである必要はありません。ポイントは、英語に固有の音(日本語にはない音)を識別できて、それを自分が再生できるかです。

きれいな「ネイティブらしい音」を発することがなくとも、この音の区別ができていれば、ネイティブには「ちゃんとした英語の音」として受け入れられます。言い換えれば、気をつけるべきポイントに気づき、意識することさえできれば、発音自体はある程度おおざっぱでも支障ありません。

私も、こんなえらそうなことを書きながら、すべての音について、ネイティブのようなきれいな発音ができるわけではありません。しかし、それを言うのであれば、ネイティブスピーカーですら、それぞれに独自の訛りがあります。すべての人が標準的な発音ができているわけではないのです。

それで問題はまったくありません。ストレスを感じさせない程度に正確な音の識別とそれに基づく発声ができていれば、訛りが問題にされることはありません。

●録音のチェック

自分の話した英語は録音してチェックしてみましょう。自分の声がどう聞こえるかは自分では意外と分からないものです。録音をネイティブの発音と比べるとどこが違うのかもクリアーになります。

ウェブカメラで録画すると口の動きも確認できます。できればネイティブに聞いてもらって感想を聞けるとベターです。

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リスニングとの関係
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スピーキングのトレーニングは、実はリスニングにも役立ちます。日本語にない音を自分が生産できて、それをいつも口に出していれば、ネイティブがしゃべった音もキャッチできるようになるからです。

音の省略・連結を何度も口にして、また、一息でしゃべることに慣れ、リズムもなじんでくれば、ネイティブが高速で話してもフォローできるようになります。

ということで、次回はリスニングについて説明します。

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あとがき
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あっという間に金曜日、しかも、もう9月ですね。

トランプ、北朝鮮のニュースが多く、お伝えしたいことがどんどん出てきます。また、他のトピックが後回しになってしまうのがもどかしいところです。

米国の政府閉鎖とデフォルトの危機も、ハリケーン・ハービーという新しい要素が加わり、がらっと風景が変わりました。来週、アップデートした考察を述べます。

北朝鮮についても、もう少し突っ込んだ話を聞きたいというご要望が多いので、アップデートを兼ねてまた取り上げたいと思います。

中国、インド、東南アジア、中東、欧州なども色々伝えたいことがあります。もっと時間があればと思いますが、来週以降、もれなく取り上げていきたいと思っていますので、ご期待ください。

ちなみに、北朝鮮については、メルマガで、日本政府の対応に関して映画『シン・ゴジラ』が参考になると述べましたが、読者の方から続編は北のミサイルだな・・とのコメント。北朝鮮には、『プルサガリ』という金正日プロデュースの怪獣映画がありますから、続編はこれで決まりでしょうね。

ということで、良い週末を!

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5 comments on “英語のスピーキング⑨:練習方法
  1. ペルドン より
    発音

    奥方は現役の頃・・
    東京六大学英語スピーチコンテストで二位・・
    今でも・・その名残を留め・・ネイティブから褒められる・・
    センター試験も今の中一が受験する頃・・四技能テストに変貌・・
    ただそれに応じられる教師が少ない・・

    奥方に地元の有名中高一貫進学校から・・お声が掛かった。教員免状を持っていないが・・学校が府教育委員会に同等の能力と推薦すれば・・特別枠で認められる。認められて・・目下張り切って教壇・・

    学校側は新センター試験に視点・・ただ問題は父兄側・・長文読解と文法がテストだと信じ・・出来る子も新教育方針に抵抗。特に医学部進学生徒に多い。
    奥方にJDお薦めの米番組教えておきました。
    処で・・JDまだ独身・?

  2. KB より
    気持ち新たに。

    今までは、「どの教材(?)で、飽きずに、続けられるか」とか、「リスニング、スピーキング、リーディングの材料がバラバラ」でなんだかしっくり来なかったり、、、と、試行錯誤していました。
    JDさんのように、流暢に英語を遣えるわけではなく、まだまだ勉強が必要ですが、記事を読んで試しに「PBS Newshour」の動画を見て、下に書いてある文章を読んで、そのあと声に出してみました。
    自分的には割としっくりくる感じで、継続してみよう、という気になっています。まぁ、自分がやらなきゃ、できるようにならないですからね(笑)

  3. oda_susi より
    北アップデート希望

    北朝鮮、JDさん専門範囲でのメルマガ・アップデート希望です(今の米国情勢からは、この程度では北朝鮮への対応は大して変わらないとか)

    交渉材料としては、これ以上のカードはもう無いだろうし、何をしたいのやら(中国首脳への嫌がらせかもとかの話は、このブログの範疇外でしょうね、、、)

  4. ペルドン より
    PBS

    奥方が有難うてさ・・( ^ω^)・・・(笑

  5. 下北のねこ より
    練習の本質

    久しぶりに書き込みします。
    なんか、JDさんのボイストレーニングの呼吸法が息を吐ききることが大切なところなんか、テンポこそ違えど、水泳の呼吸法に似てますね。JDさんご自身がフィジカル系だからなのかな?

    また、正しい発音には、まず音から入るという姿勢、動画のネイティブの発音を確認するというところなんかは、聴くと観るの違いはありますが、書道の習字に似ていますね。いい字が目でわからなければ、動作が頭でわからなければ、それ以上になれません。
    練習の本質は案外、どんな種目でも似たようなところがあるのかもしれませんね。

    関係ないですが、あたしゃ、カタカナ発音がそのまま通用するカンツォーネ、ジリオラ・チンクェッティの雨とか、ウィルマ・ゴイクの花のささやきを歌うのがが好きです。ただ、時代遅れ・・・の曲に、もう誰も反応してくれないのが寂しいです。

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