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前回の記事の続きです。前回は米国社会の一つの基層といえる「反知性主義」について説明しました。今回は反知性主義の政治における現れについて述べます。 前回の記事の冒頭で、最近の政権を見ると、知的エリートの登用が常態化していると書きました。なぜこうなっているのか。ホフスタッターは、知識人が尊敬されるのは革新が求められる時代である、と述べています。 社会が進歩と実験を求める時代には、蓄積された知の力が頼りにされるということなのでしょう。たしかに、米国の歴史を見ると、アンドリュー・ジャクソンの時代や19世紀の「金ぴか時代(Gilded Age)」では、社会の進歩よりは分配や既得権の保護が重視されまし…
[ 2015/10/27 00:00 ] コメント(1)
米国は複雑な国です。近代的合理主義の先端にあるかと思えば宗教性が強い。人道主義を掲げる一方で人種差別が根深い。国際的なようで内向的。 非常に多面的ですが、強いて言えば、二元的な対立(その中心にあるのは保守とリベラルの思想)が政治・経済・社会のあらゆる面で顔を出し、その対立の持続を常態をみなす(一つの秩序に固定することを必ずしも求めていない)風土があります。そうした二元性の一つの現れとして、「知識人(intellectual)」に対する尊敬と挑戦があります。 米国のエリートを見ると、非常に学歴が高く、実務能力・専門性と教養・学術性を兼ね備えたスーパーマンのような人たちがいます。政治経済社会ど…
[ 2015/10/26 00:00 ] コメント(4)
■シリアのアサド大統領がロシアを電撃訪問(10月21日付BBC記事) アサド大統領のロシア訪問は2011年の内戦勃発から初めての外国訪問。しかも実際に会談が行われたのは20日で、報道発表されたのはアサドの帰国後という異例のアレンジ。まさに衝撃の電撃訪問でした。 ■US, Russia, Saudi and Turkey to meet to discuss Syria(10月21日付Aljazeera記事) さらに、米国、ロシア、サウジ、トルコの4か国の外相が23日にウィーンで会談を行い、シリアの政権移行について話し合うという流れになりました(米国務省報道官ブリーフィングも参照)。 こ…
[ 2015/10/23 00:00 ] コメント(2)
昨日(2015年10月21日)は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』の主人公が未来にタイムトラベルした日。海外のアナリストのレポートでも、映画の思い描いた未来が実現しているかがネタとなって盛り上がっていました。 さて、本題です。 ■ カナダ総選挙 野党・自由党が圧勝、10年ぶり政権交代へ(10月20日付CNN記事) カナダの総選挙ですが、野党自由党の歴史的な圧勝、そして約10年ぶりの政権交代。首相に就任するジャスティン・トルドー自由党党首はまだ43歳。フランス訛りの英語が印象的ですが、若くて大変なイケメン、大物首相の息子ということで、カナダ政治に注意を払っている人は少ないと思います…
[ 2015/10/22 00:00 ] コメント(1)
「安保法制」で述べたとおり、今回は、最高裁の憲法判断の歴史について紹介します。まず、こちらは憲法判断の歴史を俯瞰するのに便利な一冊です。 ■ 山本祐司『最高裁物語』 法曹でなくとも、法学部出身の方であれば、砂川事件、東大ポポロ事件、全農林警職法事件、自衛官靖国合祀訴訟といった重要な憲法判例を勉強したことでしょう。法学徒としてこれらの判例にあたるときは、関連する条文の順番に沿って、憲法上の論点だけを勉強するので、詳しい事実関係やそのときの世相、最高裁の構成などを気にすることはありません。 しかし、現実には、憲法訴訟の中には、政治性が極めて強いものがあって(上記事件はその例)は純粋に法理論だ…
[ 2015/10/19 00:00 ] コメント(0)
■ 米民主党討論会、クリントン氏が批判に反撃 個人攻撃は避ける(10月14日付ウォールストリート・ジャーナル記事) 共和党のテレビ討論会はすでに2回行われていますが(第1回の記事と第2回の記事)、民主党はこれが初の討論会。15人が乱立する共和党に対し、民主党は、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース、ジム・ウェッブ、マーチン・オマリー、リンカーン・チェイフィーの5人(「民主党候補者の出馬状況」参照)。 トランプにかき回された共和党の討論会と比べると、民主党の討論は平穏に終わった感があります。民主党候補者の成熟した人格のおかげもあるのでしょうが、「民主党候補者の出馬状況」で述べたとおり、…
[ 2015/10/16 00:00 ] コメント(1)
■ イラク、対ISISでロシアやシリアと情報共有(9月28日付CNN記事) シリア問題への対応の連携のため、イラクがバグダッドにロシアとイランと情報を共有するためのセンターを設置したとのこと。 ■ イラン部隊、地上戦に向けシリア入り アサド政権支援=関係筋(10月2日付ロイター記事) かねてよりアサド政権に資金面・軍事面で援助してきたイランが本格的に地上軍投入を開始するとの報道。 ■ How Iranian general plotted out Syrian assault in Moscow(10月6日付Reuters記事) また、イラン革命防衛隊のコッズ・フォース(国外での活動…
[ 2015/10/13 00:00 ] コメント(2)
「英語のスピーキング②」の続きです。前回は、日本語には存在しない英語の音の特徴を理解することの重要性について説明しました。今回は、その具体的な話として、英語の子音を取り上げます。 「発声方法」でも触れましたが、英語は子音を中心とする言語です。このため、子音を理解することが極めて重要です。 今回は、まず基本編として、子音のそれぞれの音の特徴を述べます。とりあえず意識すべき点は、英語の子音の数は日本語の子音の数よりもずっと多い(24個ぐらいある)ということです。 その中には、日本語には存在しない子音が沢山含まれています。これらの子音をまずマスターする(発音は大ざっぱで構わないが、そのポイント…
[ 2015/10/09 07:27 ] コメント(4)
「安保法制と法学者の役割③」へのコメントに対する回答です。 大変考えさせられるコメントが多々あり、言葉が足りていないかもしれませんが、まずは最初のお答えということで、これからより深い意見交換をさせていただければと思っています。 【コメント】 我が意を得たりと言いたいのに その筈なのに、筈なのに、なぜか関東軍は暴走しました。 【回答】 関東軍は独立王国になっていました。三谷太一郎は関東軍の暴走の理由を「体制の遠心化」としていましたが、そもそも実行部隊(プロ)としての役割をはるかに超えた権限をもっていたところに問題があったのだろうと思います。 また、現代においては、自衛隊も米軍も人民解放軍…
[ 2015/10/07 00:00 ] コメント(3)
■ オバマ米大統領、ロシアのシリア空爆を批判(10月3日付ウォールストリート・ジャーナル記事) 1979年のアフガン侵攻以来の他国領域への軍事介入というロシアのシリア空爆ですが、「イスラム国」ではなく他の反政府組織、しかも米国が軍事訓練を提供していた勢力を対象としているということで、米国が激しく反発しています。 そもそもロシアは一貫してアサド政権を支持してきており、今回の空爆もアサド政権支援を目的としていることは明らかでしたから、ある程度予想できた事態ではあります。トルコが「イスラム国」空爆という名目でPKK(クルド)攻撃を行った構図と非常に似てますね。 ロシアの行動原理については、様々…
[ 2015/10/05 00:00 ] コメント(2)
JD世界情勢ブリーフィング
国際政治・経済の分析を仕事にしています。 東京大学法学部卒、スタンフォード大学院修了、元外交官。米国、中国、英国に数年間在住。 趣味は現地調査(70か国以上渡航)と適度な筋トレ。 ここでは世界情勢の読み解き方を解説します。 メルマガのご紹介 バックナンバー 総集編 メルマガ配信登録
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