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2016/01/08 00:00  | 韓国・北朝鮮 |  コメント(3)

北朝鮮の「水爆実験」


北朝鮮が「初の水爆実験」実施を発表、水爆使用に疑問符も(1月6日付ロイター記事)

従軍慰安婦問題の記事の続きを書くところでしたが、また大きなニュースがあったので、とりあえずこちらを取り上げます。

報道で大体のことは書かれていますが、日本としてまず追求すべきは経済制裁の強化です。今年は国連安保理の非常任理事国ですから、安保理決議においても主体的な役割を果たすことが可能であり、また期待されます。単独制裁も検討するでしょう。

同時に、米国、韓国、中国と連携して、かつての六者協議のような枠組みで対話の場も設定することが求められるでしょう。ただ、この「対話と圧力」は、これまで何度も繰り返してきた状況と変わらず、今回もどこまで実効的な手段をとれるのか疑問はあります。

特筆すべき点は中国に対して事前通報がなかったこと。北朝鮮は過去3回核実験を行っていますが、これは初めてのことです。習近平政権は、前回(2013年)の核実験をはじめとする挑発的な行動に対して自制を促し、経済制裁まで発動したとおり、北朝鮮に対して極めて厳しい姿勢をとってきました。

このため既に両国の関係は悪化していましたが、それでもハイレベルの交流は続けて事態の修復が図られてきました。それが今回の事態。中国としてはメンツをつぶされた格好です。何と言っても北朝鮮が体制を持続する上で最大の役割を果たしているのは中国ですから、ここからの中国の出方には要注目です。

韓国も、昨年8月の交戦はじめ、北朝鮮の脅威がかつてないレベルにまで高まっていましたが、今回の事件を経て、政権も世論もよりハードライナーの姿勢に傾くでしょう。これは朴槿恵政権と4月の総選挙には追い風になります。また、日韓の協力強化にもつながりますから、反射的に、従軍慰安婦問題の合意の履行にもプラスの影響が及ぶかもしれません。

最後に付け加えると、韓国情報当局は今回の実験の爆発量を6キロトンと推定しています。水爆実験を行えば爆発量はメガトン級になるはずなので、この情報が正しければ、水爆の実験は失敗だったということになります。

米国務省報道官も「The U.S. Government judges North Korea to have conducted a nuclear test yesterday. We’re still evaluating the North’s claims about this test, but our initial analysis is not consistent with North Korea’s claim that this was a hydrogen bomb.」と述べ、水爆実験の失敗を示唆しています。

過去の北朝鮮の実験も、小規模の爆発量で終わっており、このへんは北朝鮮の技術力の限界を露呈しています。もっとも、核兵器開発に成功している事実は変わらないので、水爆開発に失敗したからといって喜べるものではありません。日本政府は、岸田外務大臣の会見を見ても、非常に慎重な言い回しをしていますが、水爆実験は失敗だったと言うことで、何か安心させるようなミスリードを危惧したのかもしれません。

それにしても、北東アジアの安全保障環境の深刻化は安保法制の根拠の一つとされていましたが、今回の事態はそれを示す結果となりました。

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3 comments on “北朝鮮の「水爆実験」
  1. ペルドン より:
    JDさん

    北の核ミサイルは・・北京にも飛びますからね。

    そりゃ・・
    慎重になりますよね・・
    中国シンパ・・既に・・全滅では・?
    中国にも情報がないか・・・(笑

  2. MJO より:
    いいね!

    しばらく読んでいませんでしたが、JDさんいいですね。
    世界情勢についてタイムリーに分かり易く書かれています。

  3. アリチン より:
    新年から問題多すぎ

    この問題にしても、ドイツや中国など、年初から悪いニュースばかり。。
    そりゃ日経も下がりますよね。
    今年はどんな一年になるんだろう。

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