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昨日は某大学に行って英語で講義をしてきました。その後の飲み会もあり、結構疲れましたが、やはりフィードバックを得られるのは良いことですね。このHPも色々なコメントをいただいて、大変刺激になっています。いつもありがとうございます。 さて、本題です。 ■ インドネシア、国内取引で外貨の使用禁止へ(6月30日ウォールストリートジャーナル記事) この話は、私が4月にインドネシアを訪問した頃に発表されており、当時、現地の外国企業の間で大きなニュースになっていました。資源、輸入関係の企業はもちろん、多くの外国企業が国内取引でもドル決済をしていましたから、影響は甚大です。 ルピア決済を強いられることは…
[ 2015/08/07 00:00 ] コメント(2)
前回の記事(PKK攻撃、HDPデミルタシュ党首の起訴)の続きです。 クルド人は祖国をもたない最大の民族集団といわれます。トルコ、イラク、シリア、イラン、アルメニア、アゼルバイジャンにまたがって、3,000万人が居住しています。 それぞれの地域の政治勢力は非常に複雑です。私もうまく説明できる自信がありませんが(笑)、以下、トルコ、イラク、シリアにおける状況についてポイントのみ述べます。7月28日付BBC記事の図が分かりやすいので、こちらを見ながら読んでみて下さい。 ●トルコ(PKK、HDP) まずトルコですが、代表的な政治勢力はPKK(クルディスタン労働者党)です。PKKは武装闘争路線の…
[ 2015/08/05 00:00 ] コメント(3)
■ トルコ、米軍による基地利用を容認-対IS攻撃(7月24日付ウォールストリート・ジャーナル記事) ■ トルコ軍、シリア国内のISIS拠点を初空爆(7月25日付CNN記事) トルコが、これまでの方針を転換して、米軍による「イスラム国」攻撃のための基地使用を許可。しかも自らも「イスラム国」に対する空爆を行いました。 「『ゼロ・プロブレム外交』の挫折」でも触れましたが、トルコは、「イスラム国」よりもアサド政権打倒を優先したいこと、「イスラム国」からの報復攻撃を恐れていることから、「イスラム国」への直接攻撃と米軍への協力に対して消極的な姿勢をとってきました。このトルコの方針は非常に固いものだった…
[ 2015/08/03 00:00 ] コメント(1)
■ オバマ米大統領、訪問先のケニアで同性愛禁止を批判(7月26日付CNN記事) 現職の米国大統領として初めてのケニア訪問。意外に思われるかもしれませんが、米国の大統領はアフリカにはほとんど足を運びません。 ジョージ・W・ブッシュがめずらしく頑張っていたという印象です。基本的にアフリカ政策はUSAIDがやるものであって、大統領がやる仕事とは思われていないのでしょう。 さて、今回の訪問では、オバマの父親の故郷であるコゲロ村は訪問しないとのこと。同村の人たちがひどくがっかりしたそうです。この決定は、セキュリティとかロジ上の理由によるもので、それ以上に大きな背景はないと思います。ただ、ここで思い…
[ 2015/07/31 00:56 ] コメント(1)
■ マレーシア首相が副首相を解任-疑惑めぐり対立拡大も(7月28日付ブルームバーグ記事) ナジブ首相が突然のサプライズ内閣改造。これによりムヒディン・ヤシン副首相が更迭されました。マレーシアの投資ファンド「1MDB」の巨額の負債、不正経理疑惑をめぐる問題により、ナジブ首相が批判されきたのは今まで述べてきたとおりです(「ナジブ政権の苦境」、「マハティール、NYタイムズで大暴れ」をご覧下さい)。 さらに、7月2日、WSJが、1MDBからナジブ首相の個人口座に7億ドルが流れたというスクープ記事を出し、同首相に対する非難は激化しました。野党とマハティール元首相からの攻撃はこれまでどおりですが、今回…
[ 2015/07/30 00:31 ] コメント(3)
■ 津上俊哉『巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想』 上海株、また急落しましたね。2007年以来という8%の下落。とはいえ、いまだ年初来からはプラスの水準ですし、そもそも中国経済において株式市場が果たす役割は限定されており、急落の原因は株式売買の急速な大衆化であることから、中国経済に深刻な影響を与えるものではないでしょう。むしろ警戒すべきは過剰なボラティリティです。 もっとも、近年、中国経済がますます厳しい局面に入ってきたことは明らかです。最近では、デビッド・シャンボーのような中国共産党の御用学者が「転向」したことも話題になりました(「終えんに向かい始めた中国共産党」参照)。 では中国…
[ 2015/07/29 00:57 ] コメント(1)
■ ウクライナ:親露派東部2州に大きな自治権…憲法改正案(7月16日付毎日新聞記事) ウクライナ議会が親ロシア派の東部2州(ドニエツク、ルガンツク)の自治権を拡大するための憲法改正案の審議を開始するとのこと。日本語の報道がこれ以外見当たらなかったのですが、それなりにインパクトのあったニュースです。 憲法改正自体は、ミンスク合意に則った措置なので新しい話ではないのですが、注目すべきはイラン核合意の成立直後というタイミングとヌーランド国務次官補がウクライナを訪問し、憲法改正案の審議についてウクライナ議員に働きかけを行ったという点です。イラン最終合意については、ロシアが非常に建設的な役割を果たし…
[ 2015/07/28 00:00 ] コメント(1)
■ 日経のFT買収、海外メディアが相次ぎ報道(7月24日付日経新聞記事) 驚きのニュースですね。FTは、欧州を超えて世界を代表するクオリティ・ペーパーです。 英字紙というとワシントン・ポストやNYタイムズをイメージする方もいるかもしれませんが、この二つの新聞は(扱うテーマが結果的に世界の注目を集めるものになっているとはいえ)基本的にはローカル・ペーパーであり、グローバルな話題の内容はそれほど充実しているわけではありません。 なお、米国の「全国紙」としてイメージされるのはUSAトゥデイですが、大衆紙であり、ビジネスマンや知識人向けの「クオリティ・ペーパ-」からはほど遠いメディアです(ただし…
[ 2015/07/27 00:00 ] コメント(1)
前回の記事の続きです。 今回は、遊牧民と漢族の戦いという観点から、中国の歴史をふりかえってみます。古代中国においては、実際のところ漢民族が中原(華北)を支配した時代はそう多くありません。秦、五胡一六国時代の北朝・隋唐(鮮卑)、五代十国時代の後唐・後晋・後漢(突厥系沙陀族)はいずれも異民族(遊牧民)の王朝です。 中央ユーラシアを支配した帝国についても、遼(契丹)、金(女真族)、元(モンゴル)については、漢文の「正史」が書かれていますが、いずれも異民族によるものです。 中国の歴史が中国人による華北平原(中原)支配の歴史として描かれているのは漢文による正史編纂のマジックです。実際には遊牧民によ…
[ 2015/07/23 00:57 ] コメント(1)
「中国・中央アジア・トルコ②:トルコ系民族の興亡(前編)」の続きです。 今回は、西アジアでのトルコ系民族について。こちらは、主にローマとイスラムの史料から明らかにされます。 西アジアでは、7世紀からアラブ人がイスラム帝国を築き、642年にニハーヴァンドの戦いでササン朝を破って中央アジアに進出します(ちなみにササン朝(ペルシア人)はアラブ人を「ターズィーク」と呼び、中国の史書では「大食」と書かれますが、後にイスラム化した中央アジアの定住民はすべてターズィークと呼ばれるようになります)。 8世紀のアッバース朝の時代から、中央アジアのテュルク系民族が奴隷として輸入されるようになり、特にイラン系…
[ 2015/07/22 00:25 ] コメント(2)
JD世界情勢ブリーフィング
国際政治・経済の分析を仕事にしています。 東京大学法学部卒、スタンフォード大学院修了、元外交官。米国、中国、英国に数年間在住。 趣味は現地調査(70か国以上渡航)と適度な筋トレ。 ここでは世界情勢の読み解き方を解説します。 メルマガのご紹介 バックナンバー 総集編 メルマガ配信登録
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