2020/07/13 00:00 | 今週の動き | コメント(1)
今週の動き(7/12~18) 米国の対中制裁、WHO脱退通知、トランプ対名門大、バイデンの政策、カニエ・ウェスト出馬、米墨首脳会談、シンガポール選挙、WTO事務局長選
先週は七夕でしたね。そういえば、昨年の七夕には、ぐっちーさんとかんべえさんと一緒に福島の温泉に行ったものでした(こちらの記事の「あとがき」参照)。
私にとっては、このときがぐっちーさんとお会いする最後の機会になってしまいました。あと2か月で一周忌です。早いものですね・・。
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先週の動き
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7/4(土)
・カニエ・ウェストが米大統領選への出馬をツイート
7/5(日)
・クロアチア議会選挙(保守与党「クロアチア民主同盟」が勝利)
・ドミニカ大統領選挙
・東京都知事選挙
7/6(月)
・トランプ政権がWHOからの脱退を議会とWHOに通知
・ポンペオ国務長官が「TikTok」の利用禁止の検討を表明
・ポンペオ国務長官が香港での言論統制を非難する声明を発出
・米移民税関捜査局(ICE)が大学のすべての授業がオンラインの場合、留学生にビザを発給しないとの規則を発表
・グーグル、フェイスブック、ツイッターが人権侵害の懸念を理由に香港当局への利用者情報の提供を停止
・フランス大統領府が新内閣の閣僚名簿を発表
7/7(火)
・ポンペオ国務長官がチベットへの入域制限に関与した中国当局者へのビザ発給制限を発表(中国は対抗措置として言動が悪質な米国人の入国を制限すると発表)
・レイFBI長官が中国のスパイ活動や在米中国出身者への脅迫をハドソン研究所の講演で説明
・ビーガン国務副長官(北朝鮮担当特別代表)が訪韓(~9日)
・ソウル中央地裁が、朝鮮戦争で北朝鮮軍の捕虜となった元韓国軍人2人による損害賠償請求訴訟について、北朝鮮と金正恩朝鮮労働党委員長に対し、原告1人あたり2100万ウォン(190万円)の支払いを命じる判決
・韓国の李洛淵前首相が8月に行われる与党「共に民主党」の代表選挙に立候補する意向を表明
・英国がサウジへの武器輸出を再開させる方針を表明
7/8(水)
・米・メキシコ首脳会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領が、学校は秋の新学期から再開すべきであり、再開しない場合には予算を打ち切る可能性があるとツイート
・ハーバード大とMITがICEの留学生へのビザ発給制限の差止めを求めてボストンの連邦地裁に提訴
・フェイスブックがトランプ大統領の元側近で長年の盟友であるロジャー・ストーンと同氏に関連するアカウントを削除
・バイデン前副大統領とサンダース上院議員の共同タスク・フォースが医療、刑事司法、気候変動、経済、教育、移民の6分野の政策提言を発表
・WTO事務局長選挙の立候補の締切(ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相、ケニヤのモハメド元外相、エジプトのマムドゥ元WTO高官、メキシコのセアデ外務次官、サウジのトワイジリ元経済企画相、韓国の兪明希・産業通商資源部通商交渉本部長、モルドバのウリヤノブスキ元外相、英国のフォックス前国際貿易相が出馬)
7/9(木)
・ポンペオ国務長官が新疆ウイグル自治区の陳全国・共産党委員会書記ら4人と新疆公安局を同自治区での人権侵害への関与を理由に制裁を科すと発表
・ビーガン国務副長官(北朝鮮担当特別代表)が訪日
・米連邦最高裁がトランプ大統領はNY州の検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出を拒否できないとの判決(下院の調査委員会が求めていた開示は認めず差戻し)
・カリフォルニア州がICEの留学生へのビザ発給制限の差止めを求めて北カリフォルニアの連邦地裁に提訴
・バイデン前副大統領が7000億ドルの製造業強化に向けた行動計画を発表(ペンシルバニア)
・豪州のモリソン首相が香港国家安全維持法の施行を受け、香港との犯罪人引渡条約の停止を発表
・NZのピーターズ外相が香港国家安全維持法の施行を受け、香港との関係の見直しを発表
・ロシアのハバロフスクのフルガル知事が殺人予備罪等の容疑で逮捕
・日豪首脳電話会談
7/10(金)
・トランプ大統領が偽証罪等で禁錮3年4月の実刑が確定していた元側近のロジャー・ストーンの刑を免除
・トランプ大統領が7月11日に予定していたニューハンプシャー州のポーツマス国際空港での選挙集会を安全上の理由(天候不良)で延期
・アマゾンが同社のメールシステムにアクセスするすべての端末から「TikTok」のアプリを削除するよう従業員にメールで指示(直後に誤送信だったと説明)
・朴元淳ソウル市長の遺体が同市北部の山で発見
・韓国の朴槿恵前大統領の差戻審の判決(懲役20年の実刑判決)
・北朝鮮の金与正・朝鮮労働党第1副部長が、現時点では米朝首脳会談は北朝鮮にとって無益だが、米国の対応により非核化は可能、北朝鮮に米国を脅す意図はないと発言したことを国営の朝鮮中央通信が報道
・シンガポール総選挙(与党PAPが勝利)
・トルコのエルドアン大統領がアヤソフィアを博物館からモスクにすると発表
7/11(土)
・トランプ大統領がワシントンDC郊外の米軍医療施設を視察(マスクを公の場で初めて着用)
・香港の立法会選挙に向けた民主派の予備選(~12日)
●米国の対中制裁の強化
トランプ政権の中国への強硬姿勢がさらなる高まりを見せています。先週には、ポンペオ国務長官が中国の代表的なITサービスである「TikTok」の利用禁止の検討を表明すると表明。また、香港についても言論統制を非難する声明を発出。
さらに、新疆ウイグル自治区のトップである陳全国・共産党委員会書記、新疆公安局の王明山長官、元党幹部の朱海侖、元公安幹部の霍留軍、そして新疆公安局に対して、同自治区での人権侵害への関与を理由に、制裁を科すと発表しました。
先月にウイグル人権法が成立し、中国共産党・政府の要人に制裁が科される可能性があることは以下の記事で指摘していましたが、それにしても迅速な動きでした。
・「ウイグル人権法の成立」(6/22)
これらの動きが意味するものと今後の展望について、明日解説します。
●米国のWHO脱退通知
トランプ政権がWHOからの脱退を議会とWHOに正式に通知しました。脱退の効力発生は、米国内の手続きにより、1年後の来年7月6日になります。つまり大統領選を経て、来年1月に新政権が発足した後です。
バイデンは、早速に「大統領としての初日にWHOに再加盟する」とツイートしています。WHO脱退の意義については以下の記事で解説しましたが、今回の通知を踏まえ、あらためてコメントします(※メルマガに限定)。
・「トランプの対中制裁の発表(香港の優遇措置の廃止、WHOとの関係終了)」(6/1)
●トランプ対名門大学
米移民税関捜査局(ICE)が、大学のすべての授業がオンラインで行われた場合、留学生にビザを発給しないとの規則を発表しました。ハーバードやMITは、すでにすべての授業をオンライン化することを決定しており、この規則が適用されると、留学生は国外退去を迫られることになります。
ハーバードとMITはビザ発給制限の差止めを求めて裁判所に提訴しました。その後、スタンフォード(私の母校)、イェールなど名だたる大学が続々と訴訟参加を表明。名門大学の連合軍ができそうな勢いです。
トランプ大統領は、学校は秋の新学期から再開すべきと主張しています。CDCのガイドラインは厳し過ぎると批判し、さらに、学校が再開しない場合には予算を打ち切る可能性があるともツイートしました。
これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●バイデンの政策発表
バイデンがペンシルバニア州ダンモアの金属加工工場で演説し、7000億ドルの製造業強化の行動計画を発表しました。500万人の雇用創出を目指すとしています。財源確保のため、連邦法人税率を現行の21%から28%に引き上げることもあらためて述べました。
また、バイデンとサンダース上院議員の共同タスク・フォースが医療、刑事司法、気候変動、経済、教育、移民の6分野の政策提言を発表しました。
これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●カニエ・ウェストの大統領選出馬表明
ラッパーのカニエ・ウェストが大統領選に出馬するとツイートしました。すかさず親友のイーロン・マスクが支持を表明しています。
以下の記事で述べたとおり、カニエはトランプ支持者として有名ですが、過去に大統領選への関心を示したこともあります。
・「今週の動き(10/15~21)(あとがき)」(18/10/15)
・「マイノリティの反リベラル」(19/1/18)
その後カニエは、Forbesのインタビューにおいて色々なことを語りました。トランプはもう支持しない、しかし民主党候補からアフリカ系の票を奪い、それによってトランプを助ける結果になっても構わない、第3党「バースデイ党」を立ち上げる、出馬手続きはまだしていない、締切を過ぎている州はあるがコロナで特例が認められるのではないか、映画『ブラック・パンサー』の「ワカンダ」をモデルにする、2月にコロナ感染していた・・などです。
カニエの「出馬」の意義について、現時点でのコメントを述べます(※メルマガに限定)。
●米・メキシコ首脳会談
メキシコのロペスオブラドール(AMLO)大統領とトランプ大統領の初会談ですが、無難に終わりました。
以下の記事で述べたとおり、AMLOはトランプを叩くことで大統領になることができた面がありますが、就任後は一転して現実路線で友好関係を構築しています。
・「メキシコ現代史(2):AMLO新政権と新たなる革命の始まり」(18/9/5)
OPECプラスの減産合意ではトランプに助けられました。メキシコ大統領にとって、国民が嫌うトランプの扱いは鬼門ですが(ペニャニエト前大統領はトランプとの会談が凋落の一因になった)、ここまではうまくバランスをとっている印象です。
・「原油の協調減産の合意」(4/20)
●シンガポール総選挙
与党「人民行動党(PAP)」が93議席中83議席を獲得して勝利しました。ただし得票率は前回(15年)の69.9%から61.2%に低下。野党の労働者党は10議席を獲得しました。PAPとしては、満足からほど遠い結果です。
もっとも、得票率が低下したといっても、前回の選挙は「リー・クアンユー追悼」と建国50年という追い風を生かした面がありました。前々回(11年)は60.1%でした。
・「シンガポール総選挙」(15/9/14)
とはいえ、野党候補には優秀な人材も増えており、一党独裁に倦んでいる若い世代を惹きつけ、確実に支持を拡大しています。今回は、与党に有利のグループ選挙区(上記記事参照)において、現有の選挙区に加え、さらにもう一つ勝利したことも注目されます。
今後、野党は連携すれば、さらに議席を伸ばす余地があります。こうした流れは、ポスト・リー・シェンロンという、創業者一族のカリスマが不在となる時代において、さらに強まっていくと考えられます。
●WTO事務局長選挙
WTO事務局長選挙には、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相、ケニヤのモハメド元外相、エジプトのマムドゥ元WTO高官、メキシコのセアデ外務次官、サウジのトワイジリ元経済企画相、韓国の兪明希・産業通商資源省の通商交渉本部長、モルドバのウリヤノブスキ元外相、英国のフォックス前国際貿易相の8人が出馬しました。
この点についてコメントを述べます。国際機関に対する中国の影響力についてもあわせて述べます(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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7/12(日)
・ポーランド大統領選挙決選投票
7/14(火)
・メアリー・トランプの著書『Too Much And Never Enough』(トランプ大統領の暴露本)が発売
・フランスの革命記念日
7/15(水)
・韓国で新型コロナウイルス隔離違反の日本人に判決(ソウル)
7/16(木)
・中国の20年4~6月期の実質GDP成長率の発表
・ECB定例理事会(フランクフルト)
7/17(金)
・EU臨時首脳会議(ブリュッセル、~18日)
7/18(土)
・香港立法会選挙の立候補届出(~31日)
・G20財務相・中銀総裁会議(テレビ会議、~19日)
●トランプの姪の暴露本の出版
トランプ大統領の姪であるメアリー・トランプの暴露本『Too Much And Never Enough: How My Family Created the World’s Most Dangerous Man(多すぎて足りることはない:いかに私の家族が世界で最も危険な男を作り出したか)』が出版されます。トランプの弟ロバート・トランプが出版差し止めを求め訴訟を起こし、差止めの仮処分命令が出ましたが、その後撤回されていました。
すでに内容の抜粋が出ていますが、SATの替え玉受験や、トランプの妹のメリーアン・トランプ・バリー(元判事)が「彼が選挙で勝つことは絶対にあり得ない」と述べていたことが目を引きます。また、トランプの脱税疑惑にも具体的な言及があります。
なお、トランプの脱税疑惑については、先週、連邦最高裁が検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出をトランプは拒否できないとの判決(7対2)を言い渡しました。LGBT、DACA、中絶判決に続く驚きの判断になりました。
・「連邦最高裁のLGBT・DACA判決」(6/22)
反対した判事はゴーサッチとカバノーのみ。保守派のロバーツ、トーマス、アリトが賛成に回ったものの、ここはトランプ指名が分かりやすく機能しました。
もっとも、下院の調査委員会が求めていた開示は認めず下級審に差戻ししており、今後も争われます。11月の選挙までに開示される見込みはありません。したがって、先例としては極めて重要な意義のある判決ですが、トランプの再選との関係では、ほとんど意味がありません。
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あとがき
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■ メラニア夫人の故郷に立つ木像、火つけられ撤去 スロベニア(7月10日付CNN)
スロベニアのメラニア夫人の木像が何者かに火をつけられて撤去されていたとのこと。この像については、こちらの記事の「あとがき」で述べたとおり、像ができたときから物議を醸し、火をつけると脅す人がいたと報じられていました。
独立記念日のタイミングに合わせた放火とも言われていますが、上記記事でも述べたとおり、デザインに問題があったのでは・・とも思います(苦笑)。
なお、スロベニアにはトランプ大統領の木像も建てられていましたが、こちらは今年の1月にすでに何者かに火をつけられて全焼していました。まあ、デザインの問題ですかね・・。
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「バイデンの政策発表」テレビなどでは殆ど目に触れられていない印象でしたが、非常に重要な内容と感じました。しかし、これらのポイントで、トランプとバイデンはちゃんと争えるのでしょうか?(笑)
どんな議論が繰り広げられるのか、興味深いところです。
また、「WTO事務局長選挙」で述べられている、中国の人材が国際機関で活躍する理由。非常に意外というか、なかなか私のような一般人には分からない奥深い世界でした。今後の中国からは、より一層こうした優秀な人材の流出もありそうですが・・・さて?