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The Gucci Post [国際政治・経済・金融 × プロフェッショナル]

2020/06/01 00:00  | 今週の動き |  コメント(4)

今週の動き(5/31~6/6)


新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて一週間が経ちました。レストラン、ジムなどの営業も再開に向かい、徐々に日常が戻ってきたようです。リモートワークから職場に戻る方も増えているのではと思います。

感染拡大はおおむね抑えられている一方、一部では増加傾向がみられるようです。第2波の懸念はありますが、個人的には、これまでの日本の状況に照らして考えると、十分な警戒を続ければ、防げる可能性は十分にあると思います。起こったときには、第1波の経験を生かして、再び対策をとることに尽きるでしょう。感染リスクをゼロにすることはそもそも無理ですから、それを前提に、経済活動との両立を追求する他ありません。

感染抑止と経済活動を両立させるためには、我々市民が日常的な習慣として警戒措置を続けることが重要です。個人的には、日本の感染抑止の成功の大きな原因は、こうした細かい習慣の徹底にあるのではと思っています。

その中で重要なのは、やはりマスクの着用と思います。手洗いやこまめな消毒は、自分を守るための措置ですから、多くの人が進んで行っているでしょう。マスクは、それらとは違って、自分ではなく、他者と社会のために行うものです。マスクを着用しないことは、「自分以外の人はどうでもいい」というメッセージを発信していることを意味します。

各国も経済活動の再開を本格化させていますが、多くの国がマスク着用を徹底することで、感染拡大阻止との両立を図ろうとしています。NY州のクオモ知事は、マスクを着用していない客に対しては、店側が入店を拒否できるようにすると表明しました。あれだけマスク着用を嫌ってきた米国でこうした対応がとられるのは、驚くべきことです。

マスクの着用は、自分自身や家族だけではなく、社会全体を守るために、一人一人が何ができるか、という問題意識の一つの現れといえます。一部の人々に過ぎないでしょうが、マスク不着用や対人距離の不足を指摘されて憤慨する例もあると聞きます。一人一人が社会全体を守る意識をもたなければ、経済活動の再開が遅れ、結局自分自身も損害を被ることになります。

日本の場合、そうした社会に対する意識はもともと高いと思いますが、さらに高めることが重要と思います。そうすることによって、ためらうことなく経済活動に邁進することが可能になります。これは一律に「ステイ・ホーム」を続けるよりもはるかに容易で、合理的な対応と思います。

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先週の動き
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5/24(日)
・トランプ政権が新型コロナウイルス対策としてブラジルに滞在した外国人の入国禁止を発表
・中国の王毅外相が米国は中国との関係を「新たな冷戦の瀬戸際」へと押しやっていると発言
・香港で「香港国家安全法」に反対する大規模な抗議デモ
・北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議が開催されたと朝鮮中央通信が報道
・ネタニヤフ首相の汚職容疑に関する初公判

5/25(月)
・メモリアルデー(戦没者追悼の日)

5/26(火)
・トランプ大統領が香港国家安全法の制定への動きを受け、週内にも中国に強力な制裁を発表する可能性を示唆
・トランプ大統領の郵送投票の不正を主張するツイートにツイッターがファクトチェックの警告(トランプ大統領は反発し、規制や閉鎖の可能性に言及)
・米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)がバイデン前副大統領への支持を表明
・アフガン政府がタリバンの捕虜2000人の解放を発表

5/27(水)
・ポンペオ国務長官が香港にもはや自治はないとする声明を発表(議会に報告)
・ポンペオ国務長官がイラン制裁のウェイバーの終了とイラン人科学者2名の制裁対象への追加を発表
・米下院がウイグル人権法案を可決
・ミネソタ州ミネアポリスで5月25日に黒人男性(ジョージ・フロイド氏)が警察官による暴力で死亡した事件について大規模な抗議デモ・暴動
・カナダの上級裁判所がファーウェイの孟晩舟副会長の米国への身柄引渡しの審理において「カナダでの犯罪行為に当たらない」とする主張を退ける判断
・中国人民政治協商会議(政協)の閉幕(北京)
・台湾の蔡英文総統が台湾に保護を求める香港人のため人道的行動計画を策定すると表明
・欧州委員会が欧州経済の復興計画案を公表(ブリュッセル)
・ロシアのプーチン大統領とサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が電話協議

5/28(木)
・トランプ大統領がソーシャル・メディアの規制強化に関する大統領に署名
・ミネソタ州のワルツ知事がミネアポリスでの暴動の激化を受け非常事態宣言
・全米各地(ワシントンDC、NY、LA、シカゴ等)でミネアポリスでの黒人死亡事件を受けて抗議デモ
・米下院が新型コロナウイルスの経済対策として中小企業の給与支払いを補填する雇用維持策の強化(6月末から12月末まで延長、補填対象期間を拡大)を可決
・第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の閉幕(香港国家安全法の制定方針を採択)(北京)
・ベネズエラの国会が暫定大統領を自称する野党指導者フアン・グアイドを国会議長として承認

5/29(金)
・トランプ大統領が記者会見で中国に関する方針を表明(中国の新型コロナウイルスに関する情報の隠蔽を非難、香港の優遇措置の廃止に向けた手続きの開始、WHOとの関係終了、米国市場に上場している中国企業の調査、産業スパイ防止のため中国人学生の入国の停止)
・トランプ大統領のミネアポリスでの暴動に関するツイートにツイッターが「暴力の賛美」の警告
・NY州のクオモ知事が新型コロナウイルス対策として制限していたNY市の経済活動を6月8日から一部再開すると発表

5/30(土)
・トランプ大統領がG7サミットを9月に延期し、ロ豪韓印を招待する意向を表明
・スペースX開発の有人宇宙船「クルードラゴン」打ち上げ(フロリダ州ケネディ宇宙センター)

●トランプの対中制裁の発表(香港の優遇措置の廃止、WHOとの関係終了)

全人代が香港国家安全法の制定方針を採択して閉幕しました。その直後、トランプ大統領は記者会見を開き、中国に関する方針を表明。香港の優遇措置の廃止に向けた手続きの開始を宣言しました。

またトランプは、WHOは中国に支配されているとして、その関係を終了させると宣言。その他にも、中国は「武漢ウイルス」に関する情報を隠蔽していると非難し、米国市場に上場している中国企業の調査や産業スパイ防止のため中国人学生の入国の停止を表明しました。

なお、同じタイミングで、トランプは「CHINA!」とだけツイートしています。これに対して合計100万もの「Like」とリツイートがなされています。説明は何も付されていないのですが・・。

全人代の決定と米国が香港の優遇措置の撤廃に踏み込むことは、以下の記事でお伝えしたとおりの展開でした。それにしてもトランプの発表は、極めて強硬なメッセージのようですが、その実体については、冷静に分析する必要があります。今後の展望を含めて解説します(※メルマガに限定)。

「全人代の開幕(香港の統制強化)」(5/25)

●ミネアポリスでの黒人男性死亡事件(抗議デモと暴動の激化)

ミネソタ州のミネアポリスで、アフリカ系米国人男性(ジョージ・フロイド氏)が白人の警察官に逮捕された際、首をひざで押さえつけられて死亡した事件が発生。逮捕に関わった警察官は解雇され、死亡させた警察官は殺人容疑で逮捕されました。

フロイド氏が暴行を受ける痛ましい動画はSNSで拡散され、激しい抗議デモが起こりました。その一部は商店で略奪や警察署の放火を行うなど過激化し、「暴動」と化しています。

さらに抗議活動は全米各地に拡大。ワシントンDC、NY、シカゴ、LA、SF、アトランタ、デンバー、ミネアポリス、ダラス、コロンバス、ルイビル、ラスベガス、オークランド、サンノゼ、ニューオーリンズ、ボストン、デトロイト、ヒューストン、リッチモンド・・などに広がっています。また、ミネアポリスでは、CNNのアフリカ系記者が逮捕されるという事態(その後釈放)も発生しました。

トランプ大統領は、ツイッターでデモ参加者を「悪党(thug)」と呼び、「略奪が始まれば銃撃も始まる(when the looting starts, the shooting starts)」と投稿。デモを武力で制圧するかのような発言は猛烈に批判され、ツイッター社は「暴力を賛美する」との警告をつけました。

バイデンもツイッターでフロイド氏の事件の追及と抗議・暴動について語り、トランプの対応を非難。テレビでのインタビューにも応じ、積極的な発信を行っています。

情勢はまだ流動的ですが、現時点でのコメントを述べます(※メルマガに限定)。

●トランプ対ツイッター

トランプ大統領の郵送投票の不正を主張するツイートにツイッター社がファクトチェックの警告をつけました。

これに対しトランプ大統領は反発。わずか2日後にソーシャル・メディアの規制強化に関する大統領に署名しました。

しかしツイッター社は再度の警告に踏み切ります。前項で述べたとおり、今度はミネアポリスでの暴動に関するツイートに「暴力の賛美」の警告をつけました。

なお、ツイッター社は、「戦狼」外交官のエース趙立堅報道官のツイートにもファクトチェックの警告をつけています。

この問題もまだ流動的ですが、現時点でのコメントを述べます(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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6/2(火)
・米大統領選挙民主党予備選(ワシントンDC、インディアナ、メリーランド、モンタナ、ニューメキシコ、ペンシルバニア、ロードアイランド、サウスダコタ)

6/3(水)
・イタリアが新型コロナウイルス対策の国内・国外の移動制限を解除

6/4(木)
・天安門事件から31年
・ECB定例理事会(フランクフルト)

6/6(土)
・米大統領選挙民主党予備選(米領バージン諸島)
・台湾・高雄市長のリコールを問う住民投票

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あとがき
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黒川氏処分、首相官邸が実質決定(5月25日付共同通信)

黒川前東京高検検事長の処分について、安倍首相、法相、法務検察関係者の説明が食い違っていることが話題になっていました。

検事長の場合、国家公務員法上の懲戒処分の判断権は内閣、法務省内規上の訓告・厳重注意処分の判断権は検事総長にあります。そうであれば、訓告であれば、検事総長が判断して行ったはずですが、どうしてこのような食い違いが生じるのか。

この謎について、私見を述べます(※メルマガに限定)。

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4 comments on “今週の動き(5/31~6/6)
  1. KB より:
    醍醐味

    ミネアポリスの件については、事件当初「公民権運動」が頭をよぎりましたが、より根が深く、しばしばこうしたことが起きていた、ということを今更ながら再認識しました。歴史的な背景を踏まえて目の前の事象を読み解くというのは、JDさんのメルマガの醍醐味のひとつです。
    また、トランプのツイッターに関する話も、「通信品位法230条」の意味するところから、議会の受け止めまで、これもまた非常に興味深い展開です。
    民間企業と大統領が公開の場でこのようにやりあうなんて、ずいぶんすごい時代ですね。

  2. china より:
    「限界」のその先

    今週の中国の分析も面白いですね。
    WHOからの脱退表明が「ボーナス」になるとは考えもしなかったので感動的な驚きでした。米国の対中制裁発表を受け、「香港の優遇措置はく奪」に注目し香港の重要性を解説する記事やツイートなどは目にしましたが、発表内容以外の部分を重要視されるとは・・、さすがJDさんだなと思いながら読ませて頂きました。ラスト、中国の今後の出方についてはどうなるでしょうね。「限界」と見越した上でどう動くのか、興味深いなと思いました。この辺りは今後の大統領選の戦況なども影響してくるのでしょうか。
    本論から外れますが、「いいね」とリツイート、ではなく「Like」とリツイート、という表記は何故だろう・・と気になったのは、私だけでしょうか。ツイッターを英語表記でご利用なさってるとか?それともトランプのツイートに合わせて?

    ミネアポリス発の暴動は日に日にすごいことになっている感じがしますね。ツイッターのタイムラインにも動画がたくさん流れてきますが、もはや抗議デモではなく完全に暴動なので、周辺エリアに暮らしている人々は怖いだろうなと思います。トランプはアンティファのテロ組織指定についても言及したようですが、問題の本質が「黒人男性の不当な死」「根強くある差別問題」から「テロとの戦い」にすり替えられてしまいそうで心配です。

    ツイッター社のファクトチェックのリンク先、トランプの大嫌いなCNNやワシントン・ポストだったので、その意味でもトランプ自身とても腹立たしかっただろうなと思いました。「暴力賛美」の警告も、おそらくトランプが寝ている間に行われたのだと思うのですが、朝起きて措置られたことを知った瞬間、彼は大激怒したのではないか等と、いろいろと妄想力をフル回転させながら見物しておりました。今後もトランプ対ツイッター社からは目が離せませんね。

  3. 健太 より:
    チャンス

    戦後できた、国連体制の変更をめざすことではないか?アメリカに追随してWHOを脱退することではないか。WHOの背後にマイクロソフトのビルゲイツ氏が出資ているというから難しいかもしれないが、やってみる価値はある。
     わが国は保健に対しては、国際関係は必要ない。
    アメリカの黒人問題は今後も続く。犯罪率も高くそれらは貧困によるという事だったが、どうも違う。これに尽きるが、先はどのようになるかは不明です、その国に国防を依存しているわが国は別の道を考える時ではないか。

     ネットでの中傷について意見をとるという、一番にすることは安倍首相から意見をとることでしょう。それができないようでは、話にならない。安倍首相に対する中傷は多いぜ。
     高が中傷で死ぬようではダメでしょう。
    そのようなものが我が国には多い、これで規制をしたらまた虚構が増えるだけに過ぎない。いつまでこのようなことをしているつもりだろうか。
     戦後体制の変更を目指すことではないか?、
     幸い中共がそれをするつもりだから逆に利用すればいい。

  4. ino より:
    能無し政権

    「6%ぐらいの失業率ですんだらいいな~」って考えてるだろ!
    能無し閣僚ども、特に某西村康稔&某安倍晋三
    せめて「ふり」だけでもいいから真剣にやれよ!
    かーなり甘い&呑気な考えでいるだろ!

    たぶん失業者180~200万人になるかな、たぶん6月末に一発強烈数値がでるね
    100万とか、それに準じる失業者が。
    今年の新卒は大変だと思う就職さえできないイコール失業者にもなれないのだから

    すみません。かなりアルコールが入ってます。

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