2018/11/05 00:00 | 今週の動き | コメント(15)
今週の動き(11/5~11)
日本シリーズはソフトバンクが優勝。広島はもう少し踏みとどまって欲しかったですが、残念でしたね。しかし迫力のある好試合が多かったと思います。強いチーム同士の戦いというのは見ていて楽しいものですね。ぐっちーさん、お疲れさまでした。
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先週の動き
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10/27(土)
・トランプ大統領が日本が市場を開放しない場合「日本車に20%の関税をかける」と発言(インディアナ)
・ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で銃乱射事件
10/28(日)
・ブラジル大統領選挙の決選投票(ボルソナロ下院議員が勝利)
・ロシアのラブロフ外相が米国と核兵器・ミサイルの保有に関する「戦略的安定に関する新たな条約」の締結を目指す考えを表明
・ドイツ・ヘッセン州議会選挙(与党CDUが大幅に議席減少、第1党は維持)
・インドのモディ首相が訪日(~29日)
10/29(月)
・トランプ政権が11月末の米中首脳会談で進展がなければ中国からの全輸入品への追加関税(制裁関税第4弾)について12月上旬にも公表する方向で準備しているとの報道
・米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が訪韓(~30日)
・ドイツのメルケル首相が12月のCDU党首選への不出馬を表明
・サウジの検事総長がトルコを訪問
・日印首脳会談(東京)
10/30(火)
・トランプ大統領が米国籍の出生地主義を廃止する意向を表明
・FBIがモラー特別検察官に対し虚偽のセクハラを告発させる企てについて捜査を開始したと同検察官のオフィスが発表
・韓国大法院が戦時中の強制徴用に関する新日鉄住金への損害賠償訴訟について請求を認める判決
・NZ政府がTPP11について加盟6か国の国内手続きが終了し12月30日に発効すると発表
・イスラエル地方議会選挙
・パキスタン最高裁がイスラム教に対する冒涜罪に問われたキリスト教徒女性に対する死刑判決を覆す無罪判決
10/31(水)
・トランプ大統領が中米から米国に北上している移民集団の入国を阻止するためメキシコとの国境付近に派遣する米兵を最大1万5000人に増やす可能性を示唆
・トランプ政権が大型減税の第2弾として中間所得層に対する10%の追加減税を実施すると発表
・トルコの検察当局がカショギ殺害事件に関しイスタンブールのサウジ総領事館に入ってすぐ絞殺され遺体が切断・遺棄されたと発表
11/1(木)
・米中首脳電話会談
・米・トルコ首脳電話会談
・トランプ大統領が亡命申請の規制を強化する大統領令に来週にも署名する考えを表明し、中米から米国に北上している移民集団が米兵に石などを投げつけた場合は発砲する可能性もあると警告
・セッションズ司法長官が米半導体大手マイクロンテクノロジーから企業秘密を窃取したとして中国と台湾の企業が起訴されたことを発表
・ボルトン大統領補佐官がキューバ、ニカラグア、ベネズエラ3か国を「独裁のトロイカ」「社会主義の3バカ」と非難し、キューバとニカラグアに対する追加制裁を発表、ブラジルのボルソナロ次期大統領を「同じ考えを共有するパートナー」と評価(マイアミ)
・ブラジルのボルソナロ次期大統領が在イスラエルのブラジル大使館をエルサレムに移転すると表明
11/2(金)
・トランプ大統領が米中は良好な通商協定を締結できると発言
・トランプ大統領が中米から米国に北上している移民集団に対し「撃てとは言っていない」と発言
・ポンペオ国務長官がイラン制裁の適用除外として同国産原油の輸入を一部の国に認める方向で8か国・地域と調整していると表明
・国務省のフック・イラン特別代表がイラン制裁の適用除外として同国産原油の輸入を一部の国に認める期間は180日間になるとの見通しを表明
・トルコのエルドアン大統領がワシントン・ポスト紙への寄稿でカショギ記者の殺害命令はサウジ政府の「最高レベル」から出されたとの見方を表明
・パキスタンのカーン首相が訪中(~5日)
●トランプの出生地主義の廃止発言
移民に対する強硬な発言が相次ぐトランプ大統領ですが、今度は米国籍の出生地主義を廃止する考えを明らかにしました。
出生地主義は憲法に定められているので(修正14条)、その改正が必要になるというのが通説です。ただ親が不法移民の場合は適用されないという少数説もあります。トランプはこの解釈に依拠して、大統領令で対応できる、と主張しています。
憲法改正はまず無理です。米国の憲法は何度も改正されているので可能と思うかもしれませんが、その手続は非常に厳格で、連邦上下両院の3分の2の賛成による発議と4分の3の州議会の承認が必要になります(憲法会議による手続きもあるが実質的にハードルの高さは同じ)。
米国憲法は27回改正されていますが(最初の修正10か条が「権利章典」)、修正21条までは戦前に実現し、直近二つの修正である26条(18歳上の選挙権付与)は1971年、27条(議員の報酬変更)は1992年です。憲法改正の提案は今でも数多く出されていますが、ほとんどは委員会の段階で廃案にされています。
大統領令による対応には共和党議員からも批判の声が上がっています。ポール・ライアン下院議長は大統領の一存ではなく議会で判断すべき事項として公然と異を唱えました(例によってトランプはライアンを激しく攻撃)。
一方、トランプのアイデアは突然の思いつきではなく、スティーブ・バノンのような極右や保守派の一部から主張されていたものです。議会では、トランプ支持発言を連発するリンゼー・グラム上院議員が同調し、そのための立法に取り組むとツイートしています。
トランプが本気で出生地主義の廃止に取り組むのかは定かではありません。おそらく彼にとって実際にアクションをとることは重要ではないのでしょう。「移民キャラバン」に対する一連の挑発的な発言もそうですが、中間選挙に向けて、自らの支持層を鼓舞するためのレトリックであることは明白です。
トランプは最近、ツイッターで以下の動画広告をアップしました。犯罪者と移民を同一視する衝撃的なもので、人種差別そのものではないかと批判されています。
■ Donald J. Trump(10月31日付ツイッター)
とにかく危機感を煽ることによって支持者を動員する・・まあ今まで見てきたとおりのトランプ流ですが、それにしても米国経済がこれだけ好調を誇る中、それをアピールすることはせず、「恐怖」と「怒り」をたきつけるのは驚くべき選挙戦術です。
「中間選挙のポイント」シリーズで述べてきたように、この手法は下院選では裏目に出るリスクがありますが、上院選の接戦州では功を奏する可能性があります。トランプは下院には期待をかけず、上院で勝負をかけるつもりなのでしょう。これは、彼の遊説地が上院選と知事選の接戦州に集中していることからも見てとれます。
また、これらの選挙区で自らの存在感を高めることは、自身の大統領選にもそのまま生きます。すでに述べたようにトランプが狙うのは共和党の勝利ではなく「トランプ党」と自分自身の勝利です。
こういったトランプの思惑を考えると、それなりに合理的な戦術といえるのでしょう。国の分断は深まるばかりで、残念な現実ではありますが。それがどこまで功を奏するかは、まさに中間選挙の結果により明らかになります。
●ブラジル大統領選挙でのボルソナロ勝利
予想どおりジャイル・ボルソナロが55%の得票率で勝利。以下の記事で予想したとおりの結果になりました。
・「ブラジル大統領選挙の決選投票」(10/29)
ボルソナロは来年1月1日に大統領に就任します。新政権の展望については、以下の記事でポイントを説明していますが、近いうち、ブラジル政治の全体像を含め詳しく解説します。
・「ブラジル大統領選挙・議会選挙」(10/15)
●ヘッセン州議会選挙
与党CDUが歴史的大敗。第1党の座を維持しつつも、得票率27%と52年ぶりの低水準に沈みました。連立を組むSPDも20%と大幅に落ち込んでいます。
二大政党に代わって躍進したのが緑の党とAfD。10月14日のバイエルン州議会選挙とまったく同じような結果になりました。
・「バイエルン州議会選挙」(10/22)
選挙後、メルケル首相は12月7日~8日のCDU党首選への不出馬を表明し、首相は任期満了の2021年まで務めるが、次の首相選には立候補しないことを明らかにしました。以下の記事で述べたとおりの展開です。
・「ヘッセン州議会選挙」(10/29)
ついにメルケルの時代が終わった・・などと言われていますが、ただメルケルは追い込まれる前に先んじて手を打ったといえます。メルケルの意図とドイツの今後について解説します(※メルマガに限定)。
●韓国大法院の元徴用工判決
衝撃を与えた判決でした。日本政府の関係者も「ああ、やってしまったか・・」という呆れた気持ちのようです。
この判決が重いのは、今回の被告である新日鉄住金にとどまらず、新たな集団訴訟が次々に起こることが予想されることです。しかも、訴えられた企業が韓国に資産をもっていなくとも、第三国での執行が追求されるおそれもあります。
そもそもこんなことを認めてしまうと、国交正常化の基盤が崩れてしまいます。他の「請求権」の扱いもどうなるのか分からなくなるからです。日本は他の国々とも同じ建付けで国交正常化を実現していますから、それらの条約との整合性も問題になります。将来の日朝国交正常化もどうするのか・・という話になるでしょう。
日韓関係は政治的にも経済的にも大きな打撃を被ります。思わぬ法的リスクが顕在化したことで、日本からの韓国への投資にも悪影響が及ぶでしょう。
一方、日本国内の論調を見ると、やや混乱が見られるような印象を受けています。この話は感情的になる人が多いのであまり取り上げたくないのですが、読者の方の関心も高いと思うので、解説します(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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11/4(日)
・仏領ニューカレドニアでフランスからの独立を問う住民投票
11/5(月)
・イラン制裁法(ISA、ITRSHRA、IFCA)の効力が復活
・ロシアのメドベージェフ首相が訪中(〜7日)
11/6(火)
・米国中間選挙
・中間選挙の「予備選」(ルイジアナ)
・EU財務相理事会(ブリュッセル)
11/7(水)
・FOMC(~8日)
・マダガスカル大統領選
11/10(土)
・独仏首脳会談(パリ)
・アフガン下院選挙の暫定結果発表
11/11(日)
・トランプ大統領が第一次世界大戦の終戦式典に出席(パリ)
・米ロ首脳会談(同)
・ASEAN首脳会議、東アジアサミット(シンガポール、~15日)
●米国中間選挙
いよいよ米国の中間選挙です。これだけ米国民の関心を引き付け、さらに世界の注目も集めた中間選挙はかつてなかったと思います。
中間選挙のポイントはこれまで4回にわたり解説してきました。明日、最後の注目点をお伝えします。
・「中間選挙のポイント(1)/(2)/(3)/(4)」(10/25・26・31・11/2)
なお、ルイジアナの下院選だけは中間選挙と同日に所属政党に関係なく選挙(通称「予備選」)を行い、過半数が取れなければ上位2人が12月8日の本選で争うという変則的な形をとっています。
このため、大接戦になるとどちらの党が多数を獲るかは12月8日で決まらない可能性があります。そういう不確定な状況になると、個人的には色々な人への説明が面倒になって困るので、そうならないことを祈っています(笑)。
●ニューカレドニアの独立投票
ニューカレドニアといえば、私を含む多くの人にとって思い出されるのは角川映画の『天国に一番近い島』(1984年、大林宜彦監督)と思いますが、実は映画撮影当時の1980年代前半から独立運動がさかんになっています。
ニューカレドニアは世界有数のニッケルの産地で、フランス系資本の鉱山開発が進んでいます。しかし、それが土地と資源の収奪、貧富の差の拡大につながり、先住民からの反発を招きました。資源ビジネスに関わる人にとっては注目の政治イベントです。
それにしても原田知世の主題歌が懐かしいですね。世界最大のラグーンを擁するダイビングの名所でもあります。調査と称して出張に行きたいものです。
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あとがき
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■ K・ウエストさん、政治に「利用された」 創作に専念と宣言(11月1日付AFP)
カニエ・ウエストといえば、以下の記事のあとがきで紹介したホワイトハウス訪問とトランプとのハグが記憶に新しいところです。
・「今週の動き(10/15~21)」(10/15)
ところが今度は、自分は政治に利用されていた、「Blexit(アフリカ系に民主党支持をやめさせるキャンペーン)」など関わったことはない、今後は政治と距離を置くとのこと。反トランプに転じたわけではないようですが・・何とも微妙な転向ですね(苦笑)。
ちなみに「Blexit」主導者として記事でも言及されているキャンディス・オーウェンズは、アフリカ系なのにトランプ支持を公言する保守派コメンテーターです。こうしたマイノリティの反リベラルについては追って解説します(すでに草案はできているのですが、他のニュースが多すぎてなかなか掲載できません・・)。
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15 comments on “今週の動き(11/5~11)”
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まぁ・・
JDが推測する「韓国政府が肩代わりすることで対応する」が妥当にしても・・
文政権には出来ない。
関白殿は国際司法に提訴の構えを推し進める・・
文政権が承知しないのは分かっているが・・それ以外手はない。
トランプが手を貸してくれるか・? 関白殿が泣きつくか・?
文大統領の手腕を見せてもらうのが一番賢明・・・
兎に角一番の愚策を採用する・・・
( ^ω^)
いつもお世話になります
ドイツについて
政治的な観点についての見識には
すごいな、と思います
しかし
そもそもドイツは
物価上昇が2.5
一方で所得は0.4
の上昇です
これがメルケルが負ける理由であろうと
私は思っています
物価は今後も上昇し
賃金は停滞だと考えています
ドイツの問題は移民ではなく
移民は
ファイナンスの派生問題だと考えています
経済の側面から考えると
メルケルは相当なピンチと考えています
その辺はどうなのかな
と思います
トルコも同様で
政治の問題は対米戦略で相当な問題があると思いますが
一番の問題は経済だと考えています
その経済は長期金利が低下をしており
尤も、新興国全般ですが
トルコ経済の課題である
金利高が解消しそうです
ただ、本日のCPI次第だと思います
そして
先週、インドの
外貨準備が相当減りましたが
これは
通常の通貨防衛のため
と考えればよいでしょうか
印パバングラの横の関係を考えていますが
単純に理解はできるのですが
むずかしいですね
以下の記事の4ページ目で、韓国のロジックが説明されています。
判決文の要旨も書かれています。
文在寅政権は「現状を打ち壊す」革命政府だ(11.2 日経ビジネスオンライン)
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/110100204/
そもそも、
> さらになお、今回の裁判の原告4人は徴用ではなく日本製鉄(当時)の
> 募集に応じた人たちです。判決にもそう書いてあります。強制的に連
> れて行かれたわけではありません。そもそも裁判を「徴用工裁判」と
> 呼ぶこと自体が間違っています。
ということで、日本製鉄の求人に応募して働いていた人を「強制動員さ
れた人」とすり替えて慰謝料の支払いを命じており、論理的に破綻して
います。
このような判決が成立してしまうと、韓国人を雇用することは後々のリ
スクをかかえることになります。
求人広告に応募してきた韓国人を雇用したら、何十年後かに「強制動員
されたのだから慰謝料を支払え」という類の理不尽な判決が出されるリ
スクが発生するわけですから。
日本国内で韓国人を雇用した場合であっても、その人が韓国の裁判所に
訴えた場合、「不当に強制動員させられたので慰謝料を払え」という判
決が出る可能性も考えられます。
出生地主義について、憲法改正、大統領令いずれも難しい理由よく分かりました。またまたトランプのレトリックに引っかかるところでした(笑)
メルケル女史の辞任も、もっとネガティブな話かと思っていましたが、手が打ってある…とは言え欧州政治は問題山積。こちらでのフォローが頼みです!
ドイツ経済は、正直なところ私のフォローは大づかみなので、最新状況の詳細は貴兄の方が詳しいかと思います。今後はもう少し欧州経済にも目を配るようにします。
トルコは、私も同じ認識で、マクロ経済でも産業でも弱さがあり、その問題は対米関係に尽きるものではありません。長期的な展望はポジティブと評価していますが、時間がかかると思っています。
インドは、ご指摘のとおりです。外貨準備の減少は時おり起こりますが、ファンダメンタルズの改善と資本の流入が続いていることから、かつてのテイパー・タントラムのような危機的状況に陥ることはないでしょう。ただここも経済と産業において構造的な弱さがあり、それはトルコよりもさらに克服が難しい課題です。ルピー安の体質はその表れです。私はインドには期待していますが、知れば知るほど苦労が増える・・という心境です(笑)。
ありがとうございます。ご共有いただいた記事と判決文のサマリーは読んでおりました。ただ、これだけでは大法院の法的構成はよく分かりません。判決文の読み方は非常にテクニカルなので、ハングルの原文を読み込む必要があると思います。念のため述べると、メルマガにも書いているとおり、いずれにしても大法院のロジックには無理があると思っています。ただ、相手の理屈は正確に把握する必要があるということです。
後段部分は私もメルマガで指摘したとおりです。
韓国の判決については、こちらに仮訳がありました。
http://chikyuza.net/archives/88766
また、以前に当時条約局長の柳井氏が1991年8月27日の参議院予算委員会で以下の通り答弁されています。
「ただいまアジア局長から御答弁申し上げたことに尽きると思いますけれども、あえて私の方から若干補足させていただきますと、先生御承知のとおり、いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます。その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」
韓国の判決文が説得的であるかは議論があろうことかと思います。ただ、日韓請求権協定2条1「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益と両締約国及びその国民間の請求権に関する問題が1951年9月8日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたことを含め、完全かつ最終的に解決されたことを確認する。」がそれほどクリアに個人の請求権の消滅を定めているかというと議論の余地があるのではないでしょうか。
もちろん、これで個人の請求権が消滅したとする解釈も成り立つと思いますが、日本の立場として、上記の柳井局長の答弁との整合性について問われた場合にはどう答えることになるのでしょうか。国際法上どうかと言われたらそれほど簡単な問題ではないような気がしますが、いかがでしょうか。
先ほどの補足で、日韓請求権協定には、2条3もありました。
「2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。」
2条1だけで読むよりは、その意味がクリアになりますね。ただ、柳井局長の上記答弁のような考え方はなお排除されないのではないかという問題と、柳井局長の答弁との整合性を日本政府としてどうとるのかいう問題は残る気がします。
鋭いご指摘です。ご指摘の国会答弁は、私がメルマガに書いた「日韓基本条約は政府間の取り決めであって、個人は当事者になっていない」という命題の論理的帰結です。メルマガに書いたとおり、これはこれで一つの立場です。
もっとも、「個人の請求権が消滅していない」ことが100%その請求を認めることに帰結するのか、という点は、国内法と国際法の関係をどうとらえるかにかかっています。これもメルマガに書いたとおりです。この点が争点化すると実はかなり微妙な戦いになります。
一方、私がメルマガで指摘したのは、果たして大法院のロジックが上記の理屈を貫徹したものなのか、判決をきちんと読まないと分からない、ということです。
その後、私も仮訳の全文を読みました。結論をいうと、大法院の法的構成はどうも違うようです。そもそも日韓基本条約に問題があって補償が十分ではなかった、と言っているように読めるからです。つまり上記の理屈とは次元が異なります。
もしそうだとすれば、これは筋悪のロジックです。日本政府はこれなら法的議論で十分に勝てるとみて、積極的にICJ提訴に持ち込み、管轄を受け入れない韓国を国際的に締め上げる、という戦術をとるかもしれません。
個人的な印象ですが、この判決は政府主導のものじゃないでしょうか?
ポイントは、今回の判決前、徴用工訴訟の裁判を遅らせたとして、裁判関係者を訴追したことです。今回の判決には、もともと弁護士で裁判に詳しい文大統領側の圧力が影に日向にかかっていたのではないかと思います。
また韓国の文在寅大統領も弁護士ですが、日本でもこの徴用工訴訟には人権派弁護士さんや、新左翼(民主主義的社会主義運動)系労働組合(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の人たちが支援してます。
日本においては、新左翼の活動の一環になってます。
うまく説明できませんが、一種のイデオロギー的なものも根底にはあるように思います。韓国においても同様の部分があると感じます。
文在寅政権はかなり純粋な、左翼政権だと思います。だから、韓国国鉄の長期化していた労働問題をすぐ解決できたし、社会主義的全体主義国家の北朝鮮とも有効的関係を抵抗なく取ることができる。
平和運動は日本の左翼の行動の主柱です(私が勝手に思ってるだけです、正しいかどうかはわかりません)が、韓国においては慰安婦問題や徴用工問題に対する運動がそれに当たるんだと思います。
文在寅さんという、人権派弁護士さんにとっては人権問題としての徴用工訴訟は自分の政権で解決したいと思うのは自然だと思います。
ただ、日本人的にはこの問題は、従軍慰安婦問題と違って、マジで終わった問題とと捉えられてると思います。はっきり言って、朴槿恵さんのお父ちゃんが中抜きしないで、きちんとお金を配ってればよかったのにって、誰もが多かれ少なかれ思ってるはずです。
これは国際裁判でハッキリさせるしか無いんじゃないでしょうか?
ただ、日本人にとっては薄い問題でも、国際裁判所の人たちには法理はともかく、人権に対する意識や同情はあってもおかしくないように思います。
もうかなり前になりますが、村山由佳先生が従軍慰安婦問題もプロットに入れた作品で直木賞を取られたとき、一部で批判を浴びました。
日本ではそういう空気ありますが、欧米ではナチズムに対する批判が文化的心情的に根付いてます。
法理論的には、日本に分があっても、情状の部分でひっくり返る可能性はあるかと思いますので、裁判対策は相当しっかりやる必要があると思います。
韓国は、表に出る出ないはともかくとして、文在寅大統領自身が指揮を取るのでしょう。国家の力を使えるのだから、裁判準備でも油断できないものだと思います。
んんん、何を書きたいんだっけ、一番書きたいこと、マジで忘れてしまった。(´;ω;`)齢だなあ。
この韓国の問題の先はある程度見えていると思います
JDさんの見解の通り
国際裁判所の仲介を受けることでしょう
たぶん
でも韓国は自国不利な判決が出ても
受け入れないでしょう
法的拘束力があるのかないのか
わかりませんけど
でも日韓両首脳は
両国の発展未来を望んでいます
ここが
ミソの問題だと思っています
かなりセンシティブなところです
たいていの方は
ここまでは見えていると思います
そもそも
私はこの韓国や北朝鮮の問題を
公けの場ではあまり表明したくない
理由はJDさんと一緒
なのになんで
それを何度も何度も書くのかな
と思います。
自由ですが
あまりにも節操がないと思います
自分のページでやってください
と思います
今回の判決も衝撃的でしたが、判決文の中身を見るとさらに衝撃ですね。
請求権協定の適用範囲は補償金であり強制動員慰謝料請求権は適用範囲外だ、なんて、屁理屈ともとれるロジックに素人ながら驚いております・・。日本政府には是非頑張って欲しいですね。
個人的にこの問題に対する関心が世間一般に比べ低めだったのですが、もっと身近に起きている出来事を積極的かつ正確に把握していかなければいけないな・・と改めて感じました。
岩手、それも当時、ちょうど釜石市に住んでいた身としてはそう思います。
何を一番書きたかったのか、まだ思い出せないので、ヅラヅラ書いて思い出せることを期待します。
新日鉄と釜石製鐵所で働いていた韓国人の遺族11名は1997年9月に和解して、訴えを取り下げてます。艦砲射撃にあったということもありますが、当時でも遺族なんですよね。鎮魂社合祀祭への遺族の招待や韓国での慰霊費用の負担とか金銭面だけじゃなく、かなり気を遣っていたと記憶してます。
鉄の記念館の初代館長さんなど、釜石製鐵所OBの方も御遺族と会われて、当時同じ釜の飯を食った「鉄の仲間」だったということで親身になって対応していた記憶があります。
そのとき来ていた御遺族の方ももうお亡くなりになってるということを風の便りに聞きました。鉄の記念館の元館長さんも、東日本大震災の津波でお亡くなりになってますし、顔触れも変わってきてるのかなと思います。
韓国大法院の元徴用工判決を受けての新日鉄本社への弁護士、支援団体の申し入れのニュースを見たのですが、昔は早大全共闘議長だった大口昭彦弁護士さんや若い女性など日本人弁護士さんだけでしたが、今回はみんな若い韓国系の方に変わってましたし、昔から知ってる顔は御遺族の方々と一緒に釜石にも何回か来ていた、支援団体(早大、東大、京大など一流大出身の人ばっかだった)の代表の確か京都大学ご出身という矢野さん一人だけでした。(私は覚えているけど、向こうは覚えていないだろうな。)
釜石ではみなさん、不思議と和やかだった記憶があります。まあ、めしは美味いもんね。
意外と岩手県民と韓国、朝鮮人って、親和性は高いと思います。私もあっちの人嫌いじゃないです。正直、裏表なくわかりやすいので、話はしやすいです。今、こっちに住んでいる在日韓国・朝鮮人の方、経済的にも上手くいってる人多いのであんまり変な偏りもないし、私がパチンコしようとすれば「あんたはダメ」って止めてくれるし、親切です。(ざ~けんじゃね~!って、当時、岩手県の朝鮮総連の代表だった知り合いが経営してるとこで騒いだせいでは決してないと思う。今はその息子が、岩手県本部代表だから私も齢をとるはずだわ。)
あと地方に行けば土地の土建業者さん、韓国朝鮮系の方たまにいます。
岩手はトンネル工事などで徴用工の方が働いていて、その人たちが残ったのでしょうね。正直、そっちの方がかなり問題があったように聞いてますが、なんで新日鉄ばっかりが訴えられるのか、訴えやすい方ばっかりがやられてるのは、なんか気の毒です。
正直、この問題って、仮に官徴用に強制性があったとしても、やっぱり当事者一代、せいぜいその子までの問題じゃないかなって、法律論抜きに思います。
仮に賠償金期待で子孫がそれにこだわっていたら、自分の人生を送れずにそれだけで終ってしまいます。
きちんと和解した、当時の日鉄釜石徴用工訴訟の原告のみなさんも新日鉄も非常に正しい判断ができてたと思います。
全国訴訟の難しさでしょうが、統制が取れないため、より大きな補償金の期待が出てきて、何度も蒸し返しがあるようなのは、おかしいです。
話は少し変わりますが、この元徴用工裁判は偶然ですが、私が覚えてる限りで1997年(新日鉄釜石和解、ILO提訴)・2007年(韓国で「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者など支援に関する法律」成立、1家族あたり2000万ウォンプラス未収金1円あたり2000ウォン換算で支給)・2018年(韓国大法院の元徴用工判決)とほぼ10年周期でヤマがきてるような感じです。
2007年は盧武鉉政権です。文在寅大統領も政権中枢にいたはずです。盧武鉉さんと文在寅さんは弁護士時代からの同志であることは有名ですし、筋の通った一流の人権派弁護士であることは疑いようのない事実です。
文在寅さん、盧武鉉政権のときも含めて、あるいはそれ以前からかもしれませんが、徴用工問題に思い入れがあるように思えてなりません。
朴槿恵前大統領は、心情としても、逆だったと思います。韓国政府の元徴用工(遺族)への支払いを認めることは、そのお金を流用することで成し遂げた「漢江の奇跡」という父親の業績を穢すことです。だから、引き伸ばしや日韓への影響が最小限になるよう模索したんでしょう。
アメリカではトランプさんが、オバマ政権の業績をひっくり返しにかかってますが、韓国で文在寅さんが、朴槿恵さんの政策を否定するのは、外交ルールとしてはともかく、筋的にはわかりやすいです。
那須の山奥の兄ちゃんさんが、「日韓両首脳は、両国の発展未来を望んでいます」と書かれてましたが、本当にそこが最重要ポイントです。
お互いに両国の発展未来を望んでいるのならいいのですが、それぞれ自国のみのことだけを考えてるとすれば、今後、間違いなくこじれ続けるます。
相手の国とともに発展し続ける前提において、問題解決にあたらなければならないと思います。
北朝鮮にはなんの補償もされてないことは事実なので、北朝鮮と韓国が統合した際、再度この問題が蒸し返されることは確実でしょう。
そのことも含めて、この機会にはっきりしてほしいものです。
うう・・・結局思い出せなかった。(´;ω;`)
あたしゃ、自分の頭あきらめる。この程度やん。お休みなさい。
南北朝鮮は外国です。この認識が我が国には欠けている。
請求権をいうなら同じように日本人が我が国政府をうったえればいい。私のおばは身一つで朝鮮から引き上げてきた。それへの補償を我が国政府はしたか?
ばかばかしいに尽きる。
>新日鉄と釜石製鐵所で働いていた韓国人の遺族11名は1997年9月に和解して、訴えを取り下げてます。艦砲射撃にあったということもありますが、当時でも遺族なんですよね。鎮魂社合祀祭への遺族の招待や韓国での慰霊費用の負担とか金銭面だけじゃなく、かなり気を遣っていたと記憶してます
これは日本人側から見たもので、当の韓国人は違うでしょう。この落差を認識していないから、お目でたいということです。
失礼しました。
大東亜戦争の大本は朝鮮ですよ。間違えてはいけない。
甘いと思われるでしょうが、裁判外和解ですので、どちらが応じたかうまく説明できませんが、どちらの心情もこのときは本物だと思いますよ。
なぜそう思うかというと、単純にですが、他の日鉄元徴用工裁判では、和解できていないからです。
人に感謝してもらうのとか、謝るときとかですが、「こんなにしていただかなくても」って、相手が思うくらいやって丁度いいのだと言いますが、和解にまで繋がったというのは、そういうことが自然とできて、釜石に関しては互いに心情が通じ、主張も受け入れることができたのではないでしょうか?
個別請求権問題で個人的に甘かったと思うのは日本政府や日本の裁判所そのものですが、続きはペルドン様の韓国問題のコラムの方に書きますね。
関係ないけど、北方領土問題進展すればいいですね。もし本当にロシアの方から米軍基地設置の有無について米国と確認するように言ってきたとすれば、望みが消えてないと思いたいです。(甘いかな~。おつまみのチョコの食べ過ぎで現在胸焼け中)