2018/10/25 05:00 | 米国 | コメント(5)
中間選挙のポイント(1):全体像
米国では11月6日に中間選挙が行われます。連邦の上院(定数100)では3分の1、下院(定数435)では全ての議席が改選になります。また、州知事(連邦直轄地含む)と地方議会の選挙も行われます。
中間選挙については、このメルマガで何度も解説してきましたが、選挙が2週間後に迫ったところで、最新の状況を踏まえ、あらためて見所と展望をお伝えします。
説明すべき点が多いので、5回に分けます。第1~2回は総論(全体像と選挙後の展望)、第3~5回は各論(上院、下院、州知事・州議会)とします。
本日は第1回ということで、まず全体像です。はじめに事実関係を確認しましょう。
第一に、上院議員の現議席は共和党51、民主党49(無所属2含む)。改選議席は35。そのうち共和党現職が9、民主党現職が26(無所属2含む)です。民主党は2議席奪還すれば過半数を獲れます。しかし、そのためには35のうち28の選挙で勝利する必要があります。
第二に、下院議員の現議席は共和党235、民主党193、空席7。改選議席は435(全議席)。民主党は23議席奪還すれば過半数(218)を獲れます(空席2は民主党の議席獲得が確実なので「奪還」には含めない)。
共和党は、2010年の中間選挙で下院(178→242)、2014年の中間選挙で上院(45→54)での過半数を奪還し、現在に至ります。なぜこうなったかについては後で解説します。なお、近年の上下両院の議席の推移は以下のとおりです。
〇1992(クリントン1)上院:民57/共43 下院:民258/共176
△1994(クリントン1)上院:民48/共52★ 下院:民204/共230★
〇1996(クリントン2)上院:民45/共55 下院:民206/共228
△1998(クリントン2)上院:民45/共55 下院:民211/共223
〇2000(ブッシュ1) 上院:民50/共50 下院:民212/共221
△2002(ブッシュ1) 上院:民48/共51 下院:民205/共229
〇2004(ブッシュ2) 上院:民44/共55 下院:民202/共232
△2006(ブッシュ2) 上院:民49/共49 下院:民233★/共202
〇2008(オバマ1) 上院:民57★/共41 下院:民257/共178
△2010(オバマ1) 上院:民53/共47 下院:民193/共242★
〇2012(オバマ2) 上院:民55/共45 下院:民201/共234
△2014(オバマ2) 上院:民44/共54★ 下院:民188/共246
〇2016(トランプ) 上院:民48/共52 下院:民194/共241
(注)無所属は省略。ただし10〜16年の民主党は同党系の無所属2を含む。〇は大統領選挙、△は中間選挙、★は奪還。
第三に、州知事の現職は共和党33、民主党16、無所属1。改選州は36。そのうち共和党現職が26、民主党現職が9、無所属が1です。
第四に、州議会は上院と下院があります(ただしネブラスカのみ一院制)。共和党と民主党がそれぞれ多数を占める議会は州上院では共和党36、民主党14、州下院では共和党31、民主党18。46州で選挙が行われ、改選議会は87(全議会99)、改選議席は全議席の82%です。州議会では共和党が圧倒的に強いことが分かります。なぜこうなったかについては後で解説します。
最後に、以下の地図は16年大統領選での選挙結果です。色の濃淡は得票率の差を示しています。
■ 2016 Presidential Election(270towin)
このデータは極めて重要な意味をもっており、これから何度も言及します。また州の位置を確認する上でも便利です。記事を読みながら適宜ご参照下さい。
例によって前置きが長くなりましたが(笑)これで準備ができました。ここから本論に入ります。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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中間選挙のポイント(1):全体像
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●中間選挙のセオリー
●トランプ大統領の支持率
●投票の熱意
●無党派層・穏健層の動向
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あとがき
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■ メラニア夫人、「どうでもいい」ジャケットはメッセージだった(10月15日付BBC)
そうだったのか・・!いや、でもだから何なんだというか・・もはや誰にとっても「I really don’t care」だった気もしますが・・これまた「前の説明と違うじゃないか、嘘つきだ」と突っ込まれて、何とも微妙な展開に。まあ、それもまた「I really don’t care」ですね(笑)。
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5 comments on “中間選挙のポイント(1):全体像”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
中間選挙の集中講義、全5回がスタートですね!待ってました!!
「基本」と「特殊要因」が第1回でここまで整理できるのはとてもありがたいです。
JDさんにしては珍しく、他の識者(と言われる方)の「見方」について言及された箇所もあり、興味深く拝読しました。「どういった視点で見るか?」「何を基に情報を判断するか?」といった点で、今後自分が他の媒体を見る上での参考にもなり有意義でした!
相変わらずJDの分析は模範的・・
安定感がある。
ただ付け加えるとすれば・・
中南米から発した米国へだ目指す・・移民大行進。
さながら・・民族の移動を彷彿させる。
トランプ大統領は・・国境に軍を派遣すると呼応。
国境で紛争が起きないまでも・・イナゴの様に移民が殺到すれば・
中間選挙に何らかのインパクト起こしませんか・??
勿論・・共和党・トランプ大統領に有利に働きませんか・??
冷泉彰彦氏への論評・・同意・!
ただ宮崎さんの国際情報同様・・利用すべきニュースはある。
「冷泉」という姓でトクしているのじゃありませんか・?
我が家の家系に「知隋」という姓があって・・調べたが手掛かり無かった。
ペンネームに使おうと思ったけれど・・大それた姓で諦めた・・・
( ^ω^)
移民の移動も、たしかにトランプにとっては天祐ですね。
ただ、それはそうなのですが、選挙直前のイベントは実はそこまで影響しないという見方もあります。これは明日のメルマガに書きます。
冷泉氏も宮崎氏も、私とテーマがかぶるところ多いので、内容は突っ込みどころ満載ですが、なんだかんだ読んでしまってますね(笑)。
イナゴやバッタの大繁殖じゃあるまいし・・
突然( ^ω^)・・中南米で起るとは考えにくい。
バノン辺りが画策・・大掛かりの戦術を選挙に合わせ・ぶっつける作戦としたら・・甘い見方は捨てておいた方がいいかな・?
パイプ爆弾騒ぎも・・
わざと仕組まれている雰囲気もある。
今度の選挙も・・どちら側もなりふり構わない傾向が顕著になってきましたね・・・
( ^ω^)
選挙などは全く興味もなく
投資にとってはある程度正確な予測方法が
欲しかった私にとって
非常に勉強になるものでした
人の見方はそれぞれであって
私は読んだものを
丸々、信用することなど
まず、ありません
移民とか
今の失業率をみれば
語る気も起きません
現代は
知ったかぶりの連中ばかりで
JDさんの文章でも
疑うのは申し訳ないですが
本当に気を付けないと
すぐにだまされると思うのです
神経を使わずに読める文章が本当に少ないです
いつもありがとうございます
その中でも、
JDさんとぐっちーの
文章は
それなりに根拠はあるだろうと
思うのでだいぶ気が抜けます。
なお
中国の売買停止銘柄は
すいません
長期売買停止銘柄が増えている
ということに
訂正をしておきます