2018/09/17 00:00 | 今週の動き | コメント(3)
今週の動き(9/17~23)
三連休ですが世界情勢に休みなし・・ということでメルマガはいつもどおり配信します。
ちなみに9月11日は今年のイスラム暦の新年(ムハンマドのメディナ移住(ヒジュラ)の日)でした(イスラム歴は太陰暦のため西暦上は年によって前後します)。
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先週の動き
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9/9(日)
・スティーブ・バノン元大統領首席戦略官が制作した映画『Trump at War』が公開
・米CBSがセクハラ疑惑を受けムーンベスCEOの辞任を発表
・北朝鮮建国70周年式典(平壌)
・スウェーデン総選挙
・ロシア統一地方選挙
9/10(月)
・トランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長から2度目の米朝首脳会談の開催を要請する書簡を受け取ったとサンダース大統領報道官が公表
・米国務省がワシントンDCのパレスチナ代表部を閉鎖すると発表
・米・EU閣僚級通商協議(ブリュッセル)
・日ロ首脳会談(ウラジオストク)
・韓国・インドネシア首脳会談(ソウル)
9/11(火)
・米・カナダNAFTA再交渉協議(ワシントンDC)
・ボブ・ウッドワードの新著『Fear: Trump in the White House』が発売
・中間選挙の予備選(ニューハンプシャー)
・東方経済フォーラム(ウラジオストク、~13日)
・中ロ首脳会談(同)
・ロシア軍の軍事演習「ボストーク(東方)2018」(中国とモンゴルの軍が参加)(~17日)
・世界経済フォーラムのASEAN会議(ハノイ、〜13日)
・ブラジルの労働党のルーラ元大統領が大統領選からの撤退を表明
9/12(水)
・トランプ大統領が米国の選挙に介入したと判断される外国の政府や企業、個人に制裁を科す大統領令に署名
・JPモルガン・チェースのダイモンCEOが大統領選挙に出馬すればトランプ大統領に勝つことができると発言し、1時間後に発言を撤回する声明
・中間選挙の予備選(ロードアイランド)
・日中首脳会談(ウラジオストク)
・トルコのエルドアン大統領が政府系ファンドの経営陣全員を更迭し自らを会長に指名
・中国・ベネズエラ首脳会談(李克強首相)(北京)
・南スーダンのキール大統領と反政府勢力を率いるマシャール前副大統領が最終的な和平協定に調印(アディスアベバ)
9/13(木)
・米下院歳入委員会が17年の税制改革で実現した個人向け減税を恒久化する法案を可決
・中間選挙の予備選(NY)
・ワシントンDCのパレスチナ代表部が閉鎖
・トルコ中銀が主要政策金利を6.25%引き上げ(24%)
・ECB理事会(フランクフルト)
9/14(金)
・ハリケーン「フローレンス」がノースカロライナ州に上陸
・トランプ大統領が17年9月のハリケーン「マリア」によるプエルトリコの被害について「3000人も死んでいない」「民主党がやったことだ」とツイート
・ワシントンDCの連邦地裁で16年大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告が資金洗浄や司法妨害の罪を認め、モラー特別検察官の捜査に協力することに同意
・ロシア中銀が政策金利を0.25%引き上げ(7.5%)
9/15(土)
・台風22号(マンクット)がフィリピン北部を横断
・ブータン下院選挙
●トランプの支持率の低下(ウッドワードの新著、ハリケーン問題、マナフォートの司法取引)
先週発表されたCNNの世論調査によれば、トランプ大統領の支持率が42%から36%に低下しています。特に無党派層は47%から31%と就任以来最低の水準に落ち込んでいます。
他の世論調査も軒並み同じような結果を示しています。しかも中西部での支持率が目立って低下していることも明らかになっています。
こうした下落のトレンドは2週間ほど前から見られましたが、特に大きなインパクトを与えたのはボブ・ウッドワードの新著『Fear: Trump in the White House』とNYタイムズの匿名記事の寄稿とみられます。ウッドワードの本は発売前から100万部を突破する売れ行きとのこと。
・「ワシントン・ポストでのボブ・ウッドワードの新著の抜粋とNYタイムズでの匿名の政府高官によるトランプ批判」(9/10)
後で述べるように中間選挙の予備選挙が終わり、いよいよ選挙のシーズン突入というタイミングでこのような結果が出ていることは極めて示唆に富みます。
さらに先週、ハリケーン「フローレンス」がノースカロライナ州に上陸する中、トランプは昨年のハリケーン「マリア」によるプエルトリコの被害の統計発表をフェイクニュース呼ばわりしました。
・「トランプ対プエルトリコ市長」(17/10/2)
また、先週はポール・マナフォート元選対部長の司法取引もありました。これらの点もあわせ、トランプをめぐる新たな状況について今週解説します。
●中間選挙の予備選の終了
先週はニューハンプシャー、ロードアイランド、NYで中間選挙の予備選が行われましたが、いずれの州も波乱はなく順当な結果に終わりました。
以下の記事でもお伝えしたとおり、これで予備選はほぼ終了し、次はいよいよ11月6日の中間選挙です。
・「中間選挙の予備選(NY)」(9/10)
中間選挙の見所については来月に詳しく解説します。他では見られないディープな分析を見せますので、ご期待下さい。
●北朝鮮建国70周年式典と金正恩の書簡
北朝鮮建国70周年式典における軍事パレードでICBMが登場せず、トランプ大統領はこれを前向きなメッセージと評価。式典では反米的なメッセージも抑えられ、金正恩朝鮮労働党委員長も演説を行わない異例の対応を見せました。
また金正恩がトランプに書簡を送り、2回目の米朝首脳会談を希望していると伝えています。これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●日ロ首脳会談
東方経済フォーラムの機会に安倍首相がロシアを訪問してプーチン大統領と会談。
22回目という安倍・プーチン会談ですが、北方領土問題については、まあ予想どおり特に進展なし・・と思ったら、プーチンは、東方経済フォーラムの檀上で「いま思いついた」と前置きした上で、突然に年内で無条件に平和条約を結ぶことを提案。
二国間会談ではなく公開の場で、事前調整もなく発表したことに日本政府は衝撃を受けました。
プーチンの真意は誰にも分かりませんが、ある程度推測することはできます。この点を解説します(※メルマガに限定)。
●中ロ首脳会談
東方経済フォーラムには習近平国家主席も出席。プーチン大統領と会談しました。
■ プーチン大統領と習主席がブリヌイを調理【動画】 (9月12日付Sputnik日本)
両巨頭のエプロン姿、「皇帝」らしからぬ愛嬌を振りまいています。習近平は翌日に安倍首相との会談に臨みましたが、写真を見ると柔和な笑顔で、いつもの仏頂面と比べると格段の進歩(?)が見えますが、それでもこのプーチンとの和気あいあいな雰囲気とはまったく違いますね。
「その通り、私はまるまると太っているんだ」という習近平のユーモラスな言葉、仏頂面と悠然とした振る舞いばかり見ている日本人からすると意外かもしれませんが、実は習近平はこういう親しみのあるイメージを演出するのが得意です。たとえば工事現場を視察したとき、自ら傘をさしたり、長靴を履いたりします。
以下の記事でも少し書きましたが、こうした庶民性ともっさりした雰囲気は知性や威容を強調してきたこれまでの指導者と異なります。それが国内での人気の源泉でもあります。
・「『皇帝』の道を突き進む習近平」(3/9)
先週、中国は初めてロシアの軍事演習にも参加しました。両国は一層緊密に連携しているように見えます。しかし、以下の記事で書いたとおり、基本的に両国の関係は複雑で、にこやかに接しながらテーブルの下で牽制し合っているようなところがあります。
・「上海協力機構(SCO)首脳会議」(6/27)
プーチンは中国の経済力の前にジュニア・パートナーのような存在になってしまうこと、旧ソ連圏と中央アジアのパワーバランスに影響が出ることを警戒しています。両国は安全保障面で警戒を解いておらず、今回の演習の目的は対米牽制とともに信頼醸成にあるとも言われています。対米牽制についても、両国が直面する軍事リスクは異なり、実際の作戦まで念頭に置いたものとは考えにくいところです。
プーチンのリアリズム外交は上記「日ロ首脳会談」で述べたとおりです。習近平との懇親も合同軍事演習も彼なりの冷徹な演出でしょう。
●トルコ中銀の利上げ
トルコ中銀が政策金利(1週間物レポ金利)を6.25%と大幅に引き上げ年24%としました。事前予想を上回る大胆な決定でしたが、マーケットに強いメッセージを出す上で有効ですから、評価できる判断です。利上げの発表を受けトルコリラは急騰しました。
しかし、中銀の発表に先立ち、エルドアン大統領が中銀のこれまでの政策を批判。今回の発表後も、中銀の独立性への批判を示唆した上で、金利に対する自分(エルドアン)の忍耐には限界があるとして、不満の意を明らかにしました。今後、エルドアンがどのような行動に出てくるのか・・大いに不安です。
先週、エルドアンは政府系ファンドの経営陣全員を更迭し自らを会長に指名しました。娘婿のアルバイラク財務相も理事会メンバーに入っています。
これまでもエルドアンは国営企業やメディアの管理を強めてきましたが、巨大な金融機関を掌中に収め、トルコに対する直接支配をさらに強化する姿勢を見せています。何となくマレーシアのナジブ前首相が支配し、経営ミスと腐敗で失敗した政府系ファンド「1MDB」を彷彿させます。
エルドアンのリスクは収まるどころか、さらに深刻になっています。このため、リラの上昇も期待ほどではなく、再び下落が始まりそうです。不安定な状況はこのまま続くでしょう。
●スウェーデン総選挙
暫定結果によれば与党社民党は第1党を維持したものの28.4%と過去最低の得票率。極右ポピュリスト政党のスウェーデン民主党が予想どおり躍進し17.6%の得票率に伸びました(前回は12.9%)。
左派政党の得票率は40.6%、右派政党の得票率は40.3%と拮抗。スウェーデン民主党の連立政権入りの可能性も取り沙汰され、連立協議は難航する見通しです。
一方、20%の得票率を得て第2党になるのでは・・という事前予想には及びませんでした。スウェーデン民主党が支持を得たのは反移民政策であって反EUではなかったようです。このためスウェーデン民主党の中には落胆、穏健な党と国民の間には安堵の雰囲気が漂っているようです。
それでもスウェーデンのように国際協調主義の見本だった国でも極右勢力が台頭し、ある意味で普通の国になったことには相当のインパクトがあります。前回の記事で述べたとおり来年5月には欧州議会の選挙が予定されています。
・「スウェーデン総選挙」(9/10)
昨年12月にオーストリア、今年6月にイタリアで極右政党が連立政権に参加し、スティーブ・バノンも欧州のポピュリズムを鼓舞する運動を行っています。スウェーデンでの極右勢力の伸長がこうした動きをさらに加速させる可能性があります。
・「オーストリアの連立政権」(17/12/25)
・「イタリアの連立政権発足」(6/4)
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今週の動き
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9/17(月)
・米国が中国製品6031品目(2000億ドル相当額)に対する25%の追加関税について正式表明の可能性
9/18(火)
・南北首脳会談(平壌、~20日)
・国連総会(NY、〜30日)
・国連人権理事会の国際調査団がロヒンギャ問題に関する報告書提出
9/20(木)
・EU非公式首脳会議(ザルツブルク、〜20日)
・自民党総裁選
9/21(金)
・第2回日米通商協議(FFRの閣僚級協議)(調整中)
9/23(日)
・モルディブ大統領選挙
●南北首脳会談
文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の南北首脳会談は4月27日、5月26日に続いてこれで3回目。
・「南北首脳会談」(5/2)
・「米朝首脳会談の混沌」(5/29)
これだけ頻繁に会談が実現するのは、「先週の動き」で述べたとおり金正恩の自信の表れかもしれません。一方、文在寅にしてみれば、1回目の南北首脳会談で一気に83%まで上がった支持率がどんどん下降し、9月1週目には49%と就任以来最低の水準に至る中、あらためて国民へのアピールに使いたい・・という思いがあるのでしょう。それが功を奏するかは疑問ですが。
しかし金正恩もすっかり腰が軽い人になりました。神秘性がなくなり、普通の独裁者になってきたというか。これはこれで朝鮮半島の風景も変わってきたのかな、という感じもします。
●日米通商協議(FFR)
8月10日の第1回閣僚級協議に続く2回目の協議が開催される見通しです。前回の記事で述べたとおり、今月下旬に予定される日米首脳会談の直前というタイミングがポイントです。
・「日米通商協議(FFR)」(8/13)
●自民党総裁選
国内政治はこのメルマガの主題ではないのですが、安倍首相に対する私の印象について簡単にコメントします(※メルマガに限定)。
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あとがき
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■ 「ミス・アメリカ」 水着審査を廃止(6月6日付BBC)
先週(9月9日)、ニュージャージー州のアトランティックシティで「ミス・アメリカ2.0」が開催されましたが、長い歴史のあるコンテストで初めて水着審査を廃止したことが話題を呼びました。
元ミスアメリカでFOXニュースのアンカーでもあったグレッチェン・カールソンが運営団体の会長で決定したとのこと。知性や情熱が水着に変わる判断基準になるそうですが・・個人的には何か違和感が・・それならそういうコンテストを別にやればいいのではないですかね?
アジア大会で「eスポーツ」が盛り上がり、それがまた「ゲームがスポーツなのか?」という議論を呼んでいたようですね。ゲーム大会で盛り上がるのは大いに結構と思う一方、それをスポーツ大会で一緒にやる必要があるのかな・・と個人的には思います。将棋や囲碁をオリンピックでやりませんよね。
身体の美と知性の美、TVゲームとスポーツ・・どちらも異なる価値があるのだから、それぞれの大会をやれば良いのでは。なんでそんなに一緒にしたがるんですかね。これも私が古い人間なのかもしれませんが・・。
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3 comments on “今週の動き(9/17~23)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
水着姿なら・・
一目で審美出来る・・
知性とか情熱とかは・・
どう判断するのだろう・?
歩くだけで分かるのか・?
それとも踊るのか・?
ベリーダンスかフラダンスか・?
きっと薄い薄いレオタード姿・・線が出ない様にノーパン・・
よりセクシーになるな・・・
eスポーツ・???
( ^ω^)
世界情勢に休みなし。名言ですね!
東方経済フォーラムでの、安倍首相の苦笑いの裏はそういうことだったのですね。
でも、今回は見所満載なフォーラムで、メルマガでの愉しみも増え、何よりでした!
個人的には、自分で作ったブリヌイを一度も手放さず完食した習近平がかなりの好印象でしたが(笑)
中国内では報道されているのでしょうか?
エルドアンの金リンク発言
金準備をみると
売却した以上に金準備が増えています
政策金利が上昇して
市場金利が下落しています
これらの事象をみると
エルドアンのやっていることが
正解としか思えません
市場金利に関してはまだ日が浅いので
なんとも言えませんが。
すくなくても金ペッグにして
インフレは収まる可能性は歴史から高いと思います
私は世間の意見の逆を行っていますけど、すいません(笑)
マレーシアというよりも
イスラム金融に関して
勉強しましたが
イマイチわかりません
ともかく有望な市場であると思います
私もトルコの先行きをみるのには
マレーシアを参考にするのは
良いのではないかな
とは偶然考えておりました