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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/07/23 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(7/23~29)


猛暑が続きますね。沖縄か海外でダイビングしたいのですが、なかなか時間がとれません・・。

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先週の動き
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7/15(日)
・仏ロ首脳会談(モスクワ)

7/16(月)
・米ロ首脳会談(ヘルシンキ)
・コーツ国家情報長官が米ロ首脳会談後にロシアによる16年大統領選への介入は「明白」とする声明を発出
・米司法省がロシア人の女学生をスパイ容疑で7月15日に逮捕したと発表
・EU・中国首脳会議(北京、〜17日)
・英議会がBREXITに関する関税法案を可決
・EU外相理事会(ブリュッセル)

7/17(火)
・トランプ大統領が米国の情報機関に全幅の信頼を置いておりロシアが16年大統領選に介入したとの結論を受け入れていると発言
・中間選挙の予備選(アラバマ決選)
・パウエルFRB議長が上院銀行委員会で証言
・英議会が通商法の修正案を否決
・日EU・EPAの署名式(東京)
・日米原子力協定が30年の期限を過ぎ自動延長

7/18(水)
・トランプ大統領がロシアの選挙介入の可能性はなくなったとの認識を示唆(同日、サンダース報道官が訂正)
・パウエルFRB議長が下院金融サービス委員会で証言
・ロシアのモルグロフ外務次官が訪朝

7/19(木)
・トランプ大統領がロシアのプーチン大統領に今秋のワシントン訪問を要請するようボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)に指示したとサンダース大統領報道官がツイート
・米商務省が通商拡大法232条に基づく自動車への追加関税の調査に関する公聴会を開催(ワシントンDC)
・習近平国家主席がUAE、セネガル、ルワンダ、南ア、モーリシャスを訪問(~28日)
・トルコが非常事態宣言を解除
・英国のラーブEU離脱相とEUのバルニエ首席交渉官が初協議(ブリュッセル)
・EUが何らの合意なくBREXITが実施された場合に備えて域内企業に対応を要請する文書を発表

7/20(金)
・トランプ大統領が7月20日放映のCNBCの番組で中国に対する制裁関税の対象を5000億ドルに拡大する可能性を示唆
・米国はウクライナ東部での住民投票を支持しないとの立場をNSCのマーキス報道官が表明(これに先立ちプーチン大統領が米ロ首脳会談で住民投票を実施する案をトランプ大統領に示していたとの報道)
・韓国銀行(中央銀行)が17年の北朝鮮の実質GDP成長率は前年比▲3.5%と発表
・EU総務理事会(ブリュッセル)

7/21(土)
・G20財務相・中銀総裁会議(ブエノスアイレス、〜22日)
・G7財務相・中銀総裁会議(同)

●米ロ首脳会談

ついに実現したトランプ大統領とプーチン大統領の会談。

両者は昨年7月にハンブルクで会談し、11月にダナンで立ち話をしていますが、いずれも多国間会議(G20サミットとAPECサミット)の機会に実現したものなので、本格的な会談は今回が初めてです。

「米ロ関係」(17/7/10)
「トランプのアジア歴訪」(17/11/13)

今回、1対1(テタテ)の会談は2時間に及びました。何を話したのか・・と誰もが思った中、会談後にトランプは「米ロ関係の悪化は双方に非がある」「ロシアの選挙介入疑惑について聞いたがプーチン大統領は否定した。CIA長官はあったというが、自分(トランプ)は確信がない。介入があったという理由(why it would be Russia)がない。」という爆弾発言。

これには誰もが度肝を抜かれました。当然のことながら、国内では猛反発の大合唱。

反トランプの人々はもちろん、共和党からもミッチ・マコーネル上院院内総務、ポール・ライアン下院議長、ジョン・マケイン上院議員、リンゼー・グラム上院議員ら指導部や有力者が激しい非難。さらにFOXニュースなど普段トランプに好意的な保守系メディアすら厳しく批判しました。

これにはさすがにトランプもまずいと思った(特にいつも見ているFOXの反応が響いた)のでしょう、翌日すぐに方向転換。米国の情報機関に全幅の信頼を置いており、ロシアが大統領選に介入したとの結論を受け入れていると述べました。その際、本当は「介入がなかったという理由(why it wouldn’t be Russia)がない。」と述べるつもりだったのに言い間違えた・・と子どもの言い訳のような弁解をしました。

ところがさらに翌日の18日、今後はロシアの選挙介入の可能性はなくなったとの認識を示唆。同日、すぐにサンダース報道官が「介入の可能性はまだある」と訂正。

そして19日にはプーチンのワシントンDCへの招待が発表されました。これもまた予想されたことではありますが、政権内ではまったく共有がなかった模様。

一連のドタバタはいつものトランプ劇場のようですが、しかし、もしかしたら今回の一件はトランプ政権にとって重大な転換点になるかもしれません。今後の展開次第では、そのぐらいのインパクトを秘めています。今週、この点を解説します。

なお、今回の一件によりトランプが四面楚歌になったことから、昨年8月の「シャーロッツビル事件と状況が似ている」とする論評を見ました。まったくズレた分析です。以下の記事で述べたとおり、シャーロッツビル事件には米国特有の複雑な事情があり、トランプが「孤立していた」と単純に言い切れるものではありませんでした。

「シャーロッツビル事件と南部の文化」(17/8/24)

今のトランプはこのときと比較にならないほど厳しい状況に追い込まれています。

なお、今週は、後述のとおり、ロシアゲートの捜査に絡み脱税や詐欺等の罪で起訴されたトランプ陣営の元選対本部長であるポール・マナフォートの裁判が開始します。このロシアゲート捜査の動きも、トランプとロシアとの間に一体何があるのか(たとえば今回の会談で何を話したのか)という真相の究明に影響を与える可能性があります。

●習近平体制の動揺?

以下の記事で紹介しましたが、今月に入ってから、習近平国家主席の求心力の低下を示唆するような出来事が相次いでおり、チャイナ・ウォッチャーの間では大きな話題になっています。

「米中の『貿易戦争』の激化?」(7/18)

また、米中の「貿易戦争」についても、米国批判のトーンが弱まったかのような動きが見られ、中国は方針を変えてきたのだろうか・・という憶測を呼んでいます。

習近平2期目の体制は、以下の記事で述べたように、習近平に対する権力集中が進み、「強国」路線を打ち出し、欧米が主導してきた秩序に挑戦するかのような、かつてなく自信にあふれたメッセージを打ち出していました。

「習近平体制2期目(1):『皇帝』の誕生」(17/10/31)
「習近平体制2期目(2):新たな『中華』世界の構築」(17/11/1)

その体制と政策路線に動揺が見られ、それが「貿易戦争」に影響を与えている・・そうだとすれば、これは中国共産党体制の今後と「貿易戦争」の見通しを大きく左右する要因になり、最大限注視すべき動きといえます。

8月には北戴河会議(党幹部や長老が毎年夏に集まる非公式の会議)が予定されており、それまでは状況が流動的のため判断が難しいですが、今週、現時点で考えられるポイントを述べます。

●BREXIT交渉とメイ政権の混迷の深まり

日本ではあまり報道されていない印象がありますが、先週の記事でも述べたように、BREXIT交渉とメイ政権が混迷の一途をたどっています。

「BREXITとメイ政権の混迷」(7/16)

先週には、16日に英議会がEU強硬派の修正を受け入れる内容の関税法案を可決。さらに翌日、親EU派が提出した通商法の修正案は僅差で否決。これは19年1月21日までにEUとFTAを合意できなかった場合に関税同盟の交渉を義務付けるという内容の修正案でした。一方、BREXIT後も医薬品規制についてはEUの規則に従うとする内容の修正案は僅差で可決。

また、新たに就任したドミニク・ラーブEU離脱相とEUのミシェル・バルニエ首席交渉官が初協議。その後にEUは何らの合意なくBREXITが実施された場合に備えて企業に対応を要請する文書を発表しました。

これらの動きから見える現在の状況を解説します(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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7/23(月)
・太平洋同盟(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)首脳会議(プエルトバジャルタ、〜24日)
・フィリピンのドゥテルテ大統領が施政方針演説(マニラ)

7/24(火)
・中間選挙の予備選(ジョージア決選)

7/25(水)
・米EU首脳会談(ワシントンDC)
・ロシアゲートの捜査に絡み脱税や詐欺等の罪で起訴されたトランプ陣営の元選対本部長マナフォートの裁判開始
・BRICS首脳会議(ヨハネスブルク、~27日)
・パキスタン下院選挙

7/26(木)
・ECB理事会(フランクフルト)

7/29(日)
・カンボジア総選挙

●米EU首脳会談

NATO首脳会議、米英首脳会談、米ロ首脳会談を経て、欧州と米国の関係が危機的になった状況で行われる会談。

ロシア問題についてはトランプもダメージ・コントロールのため軌道修正を図っており、連携を演出するとみられます。しかし、通商については見通しが厳しく、また米欧の信頼関係についても改善する見通しは立たないでしょう。

●BRICS首脳会議

習近平国家主席が中東とアフリカ、モーリシャスを歴訪。李克強首相が派手に飛び回っているので意外かもしれませんが、習近平にとってはこれが3月に2期目の体制が発足してから初めての外国訪問です。

「先週の動き」で述べたとおり、党内での意見の不一致も影響し、米国との「貿易戦争」を過度に強調しないという方針に舵を切りつつあるように見えます。BRICS首脳会議での習近平の動きはこの点の見通しを考える上で一つのヒントになると考えられます。

●ポール・マナフォートの裁判

トランプ陣営の選対本部長だったマナフォートは、昨年10月に米国に対する謀略や資金洗浄の容疑で起訴されました(今年6月には司法妨害の容疑で追起訴)。

「ロシアゲート」(17/11/6)
「今週の動き(6/11~17)」(6/11)

マナフォートのロシアとのつながりはトランプの選挙チームに加わる前からのものであり、これ自体がトランプの「共謀」につながる可能性は高いとはいえません。

それでも、裁判を通じてトランプとロシアとの関係について新たな事実が明らかになり、「先週の動き」で述べたようにトランプ自身の求心力の低下につながる可能性があります。

●パキスタン下院選挙

下院選挙を目前に控え、以下の記事で述べたとおり、ナワーズ・シャリフ元首相が英国から帰国してラホールの空港で身柄拘束。

「パキスタン元首相の有罪判決と身柄拘束」(7/16)

シャリフの帰国はサプライズでしたが、収監されることによって、自身を軍の陰謀による「殉教者」と演出し、与党PML-Nの選挙戦を有利にする狙いがあったようです。

シャリフの狙いが当たるかは分かりませんが、直近の世論調査ではイムラン・カーン(元クリケットの名選手)率いるPTIが支持を伸ばし、過半数をとれないまでも連立政権を樹立する可能性が高いといわれています。

選挙後の結果を見た上で、パキスタンの最新情勢について解説します。

●カンボジア下院選挙

以下の記事で述べたように、フン・セン首相率いる人民党政権の野党攻撃は激化の一途をたどり、有力野党は解党に追い込まれ、今回の選挙での人民党の勝利は間違いない状況になっています。

「カンボジアの強権政治と米中との関係」(17/10/12)

こちらも選挙後に解説します。

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あとがき
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アラビア語とSNSを駆使、イラク人の心つかんだ日本の大使(7月18日付AFP)

岩井大使は典型的な関西人で、大変に人懐こい人柄で知られ、外務省内でも人望のある方でした。

アラビストとしての語学力を生かし、SNSで発信を続け、イラクでは有名人になりました。記事や動画をアップするたびに多数のコメントが寄せられ、現地メディアが取り上げるなど、大変な存在感を示しています。こうした活躍は大使の理想像といえるでしょう。

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2 comments on “今週の動き(7/23~29)
  1. ベルドン より
    JDさんJDを‥

    少し解説してくれませんか・?
    「圭さん」関係を・・柿さんが上手く発掘してくれたので・・
    あの事務所と関係があるから・話辛い点はあるでしょうが・・
    柿さんの分析・・間違っている点があれば・・訂正してください・・・
    ( ^ω^)

  2. KB より
    国際人

    BREXIT、先週からかなり興味深くなってきました。
    ウルトラCを発動するのかどうか?

    クリフエッジシナリオが週を追うごとに、現実味を帯びてきて、”動き”を感じます。

    トランプも習近平も、重要な局面にいるようなので、今週も楽しみにしています。

    岩井大使のお話、日本人としてとても誇りに思えます。
    ここまで信頼され、指示されるのには、決して簡単ではなく長い道のりがあったと思うのですが、ここまでイラクの人に想われ、慕われ、信頼されるとは、真の国際人なのでしょうね。

    相手に敬意を払われている姿勢など、私たちの日常にも通ずる、とても勉強になる姿勢でした。

    JDさんも幅広い視野と、実際に多くの地に足を運び、その地域・分野のキーパーソンと繋がり、そこから発せられる情報と私たち読者を正しく繋いでくださっている、というのはまさに、真の国際人のDNAを受け継いでおられる一人なのだな、と思わずにはいられませんでした。

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