2022/06/20 00:00 | 今週の動き | コメント(3)
今週の動き(6/19~25)ロシアのウクライナ侵攻、中ロ首脳電話会談、バイデンのサウジ訪問発表、米中協議と対中追加関税、フランス議会選挙
東京もずいぶん蒸し暑くなってきましたが、米国では、多くの都市で最高気温を記録し、テキサス州やジョージア州では40度近い猛暑になったとのこと。私もバージニアやサウスカロライナに夏に行ったことがありますが、米国の南部は本当に暑いんですよね。カリフォルニアなど西海岸も暑いのではと思うかもしれないですが、湿度が低いので、ワシントンDCやNYなど東海岸からやってくると天国のような快適さだったりします。
エネルギー価格が上がる中で猛暑を迎えるのも(冬よりはマシとはいえ)厳しいことですね。ロシア・ウクライナ戦争はもちろん大きな要因ですが、この機会に、現実的なエネルギー政策をあらためて考えることも重要と思います。永田町ディープスロートさんが岸田政権の支持率の高さについて考察を述べていましたが(以下の記事参照)、この人気(雰囲気?)を生かして、原発再稼働など難しい課題にも、さり気なく果敢に取り組んでくれることを願います。
・「キッシーストップ高? + 党員獲得数ランキング」(6月4日付永田町ディープスロート)
通常国会も終わり、参院選が近づいてきました。永田町さんの発信もさらに熱を帯びています。参院選の見どころはもちろん、ディープな政界事情を知りたい方はぜひ永田町さんのメルマガをご覧になって下さい。
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先週の動き
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6/12(日)
・アジア安全保障会議(シャングリラ会合)最終日(シンガポール)
・中豪国防相会談(同)
・日中、日豪、日・NZ、日・フィジー国防相会談(同)
・韓国の朴振外相が訪米(~15日)
・北朝鮮が黄海に向けて放射砲(多連装ロケット砲)を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・ロシアの日(北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記がプーチン大統領に祝電)
・フランス国民議会選挙(第1回投票)
・WTO閣僚会議(ジュネーブ、~17日)
・米上院の超党派の議員団が銃規制法案の枠組みに関する基本合意に達したと発表
6/13(月)
・サリバン大統領補佐官と楊潔チ共産党政治局委員が会談(ルクセンブルク)
・米国の超党派の議員団が国家重要能力防衛法案の改訂版を発表
・リトアニアが今秋に台湾に貿易代表事務所を開設すると発表
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が第2回公聴会を開催
・英政府がBREXIT協定に含まれた英領北アイルランドでの通商ルールの一部を一方的に変更する法案を議会に提出
6/14(火)
・ロシア国営ガスプロムがノルド・ストリーム1を通じたドイツへのガス輸送の制限を発表
・中国共産党が楽玉成外務次官の国家ラジオテレビ総局の副局長就任を発表
・中国の新疆ウイグル自治区のトップだった陳全国政治局委員が党中央農村工作指導小組の副組長として党の会議に出席したと国営新華社通信が報道
・FOMC(~15日)
6/15(水)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・米国がウクライナへの10億ドルの追加軍事支援を発表
・NATO国防相理事会(ブリュッセル、~16日)
・米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間会議(同)
・中ロ首脳電話会談
・サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(サンクトペテルブルク、~18日)
・イスラエル、エジプト、EUが欧州へのガスの安定供給に関する覚書に署名
・バイデン大統領がケイシャ・ランス・ボトムズ前アトランタ市長を大統領上級顧問(公共参画担当)に任命
・ファウチ首席医療顧問の新型コロナウイルス感染が発表
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を0.75%引き上げ(1.50~1.75%))
6/16(木)
・ドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領、イタリアのドラギ首相、ルーマニアのヨハニス大統領がキーウを訪問
・英国がロシア正教会のキリル総主教の制裁対象への追加を発表
・米上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長(民主党)とリンゼー・グラム上院議員(共和党)が「2022年台湾政策法案」を提出
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が第3回公聴会を開催
6/17(金)
・米主催のエネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(オンライン)
・欧州委員会がウクライナとモルドバをEUの「加盟候補国」として認定するよう加盟国に勧告する意見書を公表
・英国のジョンソン首相がキーウを訪問
・プーチン大統領がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで演説(サンクトペテルブルク)
・中国国防部が同国3隻目の空母「福建」の進水を発表
・EU財務相理事会(ルクセンブルク)
6/18(土)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がミコライウ州を訪問
・ウクライナのドニプロペトロフスク州のノボモスコフスクの石油備蓄施設がロシア軍から3発のミサイル攻撃を受けたと同州の知事が発表
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(6月20日)で119日目を迎えました。ちょうど4か月になります。
ロシア軍は引き続きドンバス、特にルハンスク州のセベロドネツクの制圧に力を注いでいます。しかしウクライナ軍は抗戦を続けており、完全制圧には至っていません。スラビャンスク方面などそれ以外の戦場ではロシア軍はほとんど前進できず、南部のヘルソン州、ミコライウ州の支配領域ではウクライナ軍の攻撃と抵抗運動(パルチザン)の圧力を受けています。
バイデン大統領はゼレンスキー大統領と電話会談を行い、対艦ミサイルシステム「ハープーン」、ロケット弾、榴弾砲の弾丸を含む10億ドルの武器支援を表明しました。また、NATO国防相会議の傍らで米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間グループ(ウクライナ・コンタクト・グループ)の第3回会合が開催され、追加的な武器供与が発表されました。ドイツのランブレヒト国防相は、MARS-II多連装ロケット砲の提供を発表し、NATOのストルテンベルグ事務総長は、今月末の首脳会議で軍事支援の新しい総合パッケージに合意すると述べています。
フォンデアライエン欧州委員長は、ウクライナとモルドバをEUの「加盟候補国」として認定するよう加盟国に勧告する意見書を公表しました。今週のEU首脳会議でおそらく承認される見通しです。通常数年かけて行われる正式加盟に向けたプロセスの最初の一歩に過ぎませんが、欧州の強いメッセージが示されたといえます。
一方、プーチン大統領は、習近平国家主席と電話会談を行いました。ロシアのウクライナ侵攻直後の2月25日以来の会談です(以下の記事参照)。また、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムにおいて演説を行いました。
・「ロシアのウクライナ侵攻:制裁、エネルギー、サプライチェーン、中国」(3/1)
こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●中ロ首脳電話会談
前項で述べたとおり、プーチン大統領が習近平国家主席と電話会談を行いました。そのポイントを解説します(※メルマガで解説)。
●バイデンのサウジ訪問発表
バイデン大統領が7月13日~16日にイスラエルとサウジを訪問すると発表しました。以下の記事で述べたとおり、サウジ訪問は当初は今月末の実施が想定されていましたが、延期され、今回正式に決定されたことになります。
・「OPECプラスの増産合意(米・サウジ関係)」(6/6)
これにより、いよいよバイデンがムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MbS)と会うことになる・・と思われましたが、バイデンは、個別に会談する予定はない、ただし湾岸協力会議(GCC)+3(エジプト、イラク、ヨルダン)のサミットで顔を合わせるだろうと述べました。
本件については、上記記事ですでにポイントを説明しましたが、最新の動きを踏まえ、あらためてコメントを述べます(※メルマガで解説)。
●米中協議と対中追加関税をめぐる議論
バイデン大統領がデラウェア州で記者団に対し、習近平国家主席と「近いうちに」協議すると述べました。電話会談ないしオンライン会談であれば、ロシアのウクライナ侵攻から1か月が経った3月18日の会談以来となります(以下の記事参照)。
・「ロシアのウクライナ侵攻」(3/21)
バイデンと習近平の対話が実現する可能性については以下の記事で指摘していました。バイデンの発言に先立ち、先週初めにはサリバン大統領補佐官と楊潔チ政治局委員がルクセンブルクで会談をしていました。
・「ブリンケンの中国政策演説」(5/30)
またバイデンは、対中追加関税の引き下げについては「決断を下す途中過程にある」と述べました。この件については前回の記事(以下のリンク参照)で解説していました。
・「米中国防相会談」(6/13)
さらに上記記事では、中国との競争を念頭に置いた超党派の「米国イノベーション・競争法案(USICA)」と下院が可決した「米国競争法案(America COMPETES Act)」とのすり合わせが議会で行われていることを取り上げました。これについては、先週、超党派の議員団が、対外投資を政府が審査する権限を与える「国家重要能力防衛法(National Critical Capabilities Defense Act, NCCDA)」の改訂版を発表しました。
これらの米中関係の最新のイシューについて、現時点でのコメントを述べます(※メルマガで解説)。
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今週の動き
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(※フランス議会選挙など。メルマガで解説。)
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あとがき
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■ マスクの着用について(厚生労働省)
■ 「マスクは人の目を気にして着用するものではない」現役医師が”マスク離れ”できない人たちに伝えたいこと(6月12日付プレジデントオンライン)
暑くなってきて、会食も多くなってきましたし、私もマスクはもう基本的に着けなくて良いということにして欲しいと思います(上記厚労省のガイドラインによれば、夏場で屋外でマスクが不要な場合には外すことを推奨)。しかし、それはそれとしても、上記プレジデントオンライン記事には違和感をおぼえるところが多々ありました。
>自分で考えて責任を引き受けて行動することを避ける国民性も大きく関係しているように思います。自分で考えず、言われないとやらない。一度言われると考えないで永遠にやりつづける――。マスク着用はまさに、責任回避行動の典型例です。
そうではないでしょう。多くの日本人がマスク着用をやめないのは、マスク着用の目的が自己を守ることではなく、他者を守ることにあるからだと私は思います。
自分の健康のリスクに関わるのであれば自己責任なので、リスクが低下したと考えれば、多くの人は自らの判断でマスクを外すでしょう。しかし他者のリスクに関わるのであれば、そのリスクは自分だけでは判断できません(たとえば店内であれば、多くの人に接する店員のリスクを考えなければならない)。また、自分だけの利益を考えてマスクを外す人が現れると、他人(社会)の利益を考えてマスクを着用する人が損をしてしまうことになります。
要するに、日本人がマスクを外そうとしないのは、優しいからです。他人を傷つけるくらいなら、多少の不便は我慢した方が良い。自分だけの利益を考えてマスクを外せば、まじめにマスクを着用している人が割を食ってしまう。それは不公平なことだ・・おそらく多くの人はこのように考えているので、マスクを外そうとしないのです。
>「テレビでマスク着用は不要です、と言ってくれたらスッキリするのに」とおっしゃる患者さんがいました。
だからこそ、政府が明確に「もうリスクは低いので、屋外ではマスクは要らない。例外的に必要なのはこういう状況だ」という指針を示すべきなのです。そうであれば、他人を危険に晒すことはないと納得でき、皆マスクを外す。マスクを着用している人が割を食うというアンフェアな状況も解消される。これは一種の「調整問題」(社会的利益のために国家が結論を決めるべき問題)です。
>マスクはワクチン同様に、まさに責任回避のための道具に成り下がっている。
>マスクを外すことは、自分に主体性をとりもどして有意義な人生を送っていくすぐにできる第一歩です。
この記事の著者は、こうした問題の構造を理解していません(記事には一言も言及がない)。だからこんな的外れな文章を平然と書いてしまうのでしょう。私は医学の専門家ではありませんが、専門家だからといって事柄の本質を見抜いているとは限りません。こういう考えの浅い人の文章を読んで、あらためてその思いを強くしました。
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ご了承のうえ、ご利用ください。
会談後の発表が両国で異なるケースがよく見られます。これは当事国同士で後のしこりにはならないのでしょうか。私がその立場にいたとしたら「そんこと言ってないぞ」と少々怒ってしまいそうです。互いに国内に向けてのものであることを理解しているので大目に見ている、あるいはそもそも他国の発表は気にしていないということなのでしょうか。大変恐縮ですが、ご教示ください。
コメントどうもありがとうございます。
そうですね、ごもっともな疑問と思います。
次回の記事で回答したいと思いますので、少しお待ち下さい。
解説いただきありがとうございました。
そのような事情を知った上で、改めて発表を読んでみると「ほほう。なるほどね。」と思え、面白みが増しました。また、共同声明の意味もまた違って感じられます。