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2022/03/21 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(3/20~26)ロシアのウクライナ侵攻、イラン核合意交渉、ゼレンスキーの国会演説


ウクライナ戦争が始まって1か月になろうとしています。ここまで戦闘が長期化し、世界中の注目を集め続けることになるとは、米欧もロシアも、日本にいる人たちも、予想できなかったことでしょう(私もそうです)。

しかし、ゼレンスキー大統領とウクライナの人々だけは、この状況を予期していた、いや必ずそうなる、そうさせてみせる、と信じていたのでしょう。戦場の不確実性もありますが、やはり社会の動きを決めるのは人間の精神であって、人の営みは物理法則のように語れないものだと実感しました。

こうした社会的な関係や人間の観念を重視するアプローチも、国際政治の理論の一つにあります。先週は、ロシアだけが批判されるのはどうなのか、ウクライナにも責められる点はないのか、という議論について書く予定で、その中で国際政治の理論についても述べるつもりだったのですが、時間が作れませんでした。申し訳ありません。今週配信する予定ですので、よろしくお願いします。

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先週の動き
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3/13(日)
・ロシア軍がウクライナのリヴィウの訓練基地をミサイルで攻撃
・ウクライナのドニプロルドネの市長がロシアに拉致されたとウクライナが発表
・ロシアがウクライナ侵攻のため中国に軍事支援を要請していたとの報道
・ロシア連邦保安局(FSB)の対外諜報部門トップのセルゲイ・ベセダらが自宅軟禁に置かれたと独立系メディア「メドゥーザ」が報道
・米国人記者のブレント・ルノーがキエフの近郊でロシア軍の銃撃を受けて死亡
・米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表と中国の劉暁明・朝鮮半島事務特別代表が電話会談
・イラクのエルビルで複数の爆発(イランの革命防衛隊がイスラエルの施設にミサイル攻撃を行ったと発表)

3/14(月)
・サリバン大統領補佐官と楊潔チ共産党政治局委員が会談(ローマ)
・中国がロシアに軍事支援を行うことを示唆していたという情報を米国務省が電報で同盟国に送っていたとFTが報道
・米国防総省がウクライナへの武器供与を継続する方針を表明
・ウクライナとロシアの停戦協議(オンライン、継続中)
・ゼレンスキー大統領が国民向け演説
・ポーランドのモラウィエツキ首相、チェコのフィアラ首相、スロベニアのヤンシャ首相がキエフを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・ロシア・イスラエル首脳電話会談
・ロシアがウクライナのヘルソン州全域を制圧したと発表
・ロシアのゾロトフ国家親衛隊隊長が同国当局のサイトに載せた文章でウクライナ侵攻が計画通りに進んでいないと表明
・ロシアの主要テレビのニュース番組の生放送中に同テレビ局の女性社員がキャスターの背後で「戦争反対」「プロパガンダを信じるな」と書かれた紙を掲示
・IAEAがウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で外部電源が復旧したとウクライナから報告があったと発表
・ロシアが欧州評議会からの脱退を発表
・ドイツ・トルコ首脳会談(アンカラ)
・中国の広東省深セン市、吉林省長春市、広東省東莞市が新型コロナウイルス対策のロックダウンを導入
・ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)

3/15(火)
・ゼレンスキー大統領がカナダ議会向けにオンライン演説
・北欧の安全保障に関する10か国の連合「合同遠征軍」の首脳会議(ゼレンスキー大統領がオンライン参加)(ロンドン)
・米・ウクライナ外相電話会談
・ロシアがバイデン大統領、ブリンケン国務長官を含む米政府高官ら13人とトルドー首相を含むカナダ政府高官ら313人の入国禁止を発表
・米財務省がベラルーシのルカシェンコ大統領や妻、ロシア人判事ら6人と1団体を汚職や人権侵害への関与により制裁対象に指定
・英国とEUがロシア制裁を発表(ロシアの最恵国待遇(MFN)の取消し、高級品の輸出禁止)
・バイデン政権がFRB金融監督担当副議長へのラスキン元理事の指名の撤回を発表
・FOMC(~16日)
・米上院が23年からサマータイムを恒久化させる法案を可決
・EU財務相理事会(ブリュッセル)
・トルクメニスタン中央選挙管理委員会が3月12日に行われた大統領選でベルドイムハメドフ大統領の長男のセルダル副首相が当選したと発表

3/16(水)
・ゼレンスキー大統領が米議会向けにオンライン演説
・バイデン大統領がウクライナ支援に関する演説
・プーチン大統領が経済対策に関する会議を開催
・ウクライナとロシアが15項目の停戦合意案で交渉しているとFTが報道
・サリバン大統領補佐官とロシアのパトルシェフ安全保障会議書記が電話会談
・NATO国防相理事会(ブリュッセル)
・ウクライナがロシア軍によって3月11日に拉致されたメリトポリの市長が解放されたと発表
・メタがゼレンスキー大統領の偽動画を削除
・ロシアが3月16日が期日のドル建て国債の利払いを完了(デフォルトを回避)
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を0.25%引き上げ(0.25~0.50%))
・米上院がパウエルFRB議長の再任を承認
・英国のジョンソン首相がUAEとサウジを訪問
・イランで反体制の宣伝活動などの容疑で有罪判決を受けた英国とイランの二重国籍の男女2人が解放されたと英国が発表
・北朝鮮が平壌近郊の順安空港で飛翔体を発射したが直後に失敗したとみられると韓国軍合同参謀本部が発表

3/17(木)
・ゼレンスキー大統領がドイツ議会向けにオンライン演説
・バイデン大統領がプーチン大統領を「戦争犯罪人」と非難
・ブリンケン国務長官が中国がロシアに軍事支援を検討していることへの懸念を表明
・米・スロバキア国防相会談(ブラチスラバ)
・米下院がロシアとベラルーシの最恵国待遇を取り消す制裁法案を可決
・G7外相会議(オンライン)
・ロシア・トルコ首脳電話会談
・中国共産党政治局常務委員会(習近平総書記が「ゼロ・コロナ」政策の徹底を指示)(北京)

3/18(金)
・米中首脳電話会談
・独ロ、独仏首脳電話会談
・ロシアのクリミア併合8周年の記念集会(プーチン大統領が演説)(モスクワ)
・ロシア中銀が政策金利を据え置き(20%)
・日本がロシア制裁を発表(政権幹部やオリガルヒら15人と9団体の資産凍結)
・シリアのアサド大統領がUAEを訪問

3/19(土)
・ロシア国防省がウクライナのイワノフランコフスクの地下弾薬庫を極超音速ミサイル「キンジャール」で攻撃したと発表
・日印首脳会談(デリー)
・東ティモール大統領選挙

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(3月21日)で26日目を迎えました。

ロシア軍の攻撃は続いており、北部のキエフ、北東部のハリコフ、南東部のマリウポリ、南部のミコライフ(ヘルソン西部)、東部のドネツク、ルガンスクで主に攻勢をかけています(地図はこちらを参照)。

マリウポリでは市民が退避していた劇場が空爆を受け、市街戦も展開されていると伝えられています。キエフでも集合住宅が砲撃を受けました。また、ポーランド国境に近い西部のリヴィウも、訓練施設と航空機修理施設がミサイルによる攻撃を受けました。

一方、戦況全体としては、ロシア軍に大きな前進は見られず、停滞している状況です。ロシアはヘルソン州全域を制圧したと発表しましたが、これは確認されていません。ヘルソン州とミコライフを制圧すれば、オデッサに向かうとみられますが、そこまでは至っていません。

NYタイムズは、ロシア軍の死者が累計で7000人を超えたという米情報機関の推計を報じました(ロシアの発表は498人のまま)。ロシアのゾロトフ国家親衛隊隊長は公式サイトで、作戦が計画通りに進んでいないことを認めました。

ウクライナとロシアは停戦協議を続けており、ゼレンスキー大統領、ロシアのペスコフ大統領報道官、ラブロフ外相は、交渉に進展がみられることを示唆。ゼレンスキーは、ウクライナがNATOに加盟できないことを認める必要があるとも発言。FTは、ロシアはゼレンスキー政権の退陣を求めず、ウクライナの「中立化」について合意の余地があるようだと報じました。

しかし、プーチン大統領は、経済閣僚との会議において、ウクライナの「非軍事化」と「非ナチス化」を目指すと発言し、国内の親欧米派を「第5列」「裏切り者」「カスである」と糾弾。妥協の余地は認めない姿勢を示しました。

ゼレンスキーは、引き続き、連日、オンラインでビデオメッセージやテキストを発信。先々週の英議会に続き、先週は、カナダ、米国、ドイツの議会でオンライン演説を行いました。その演説は鮮烈で、いずれの国においてもスタンディング・オベーションを起こし、米議会からは、ゼレンスキーの要請に応じ、飛行禁止区域の設定や戦闘機の提供を行うべきとの声が上がりました。

これに対し、バイデン大統領は、飛行禁止区域の設定と戦闘機の提供の要請には応えなかったものの、8億ドルのウクライナ支援パッケージを発表。対戦車ミサイル(ジャベリン)、携帯式の地対空ミサイル(スティンガー)、ドローン、小火器などが含まれています。

また、オースティン国防長官がスロバキアを訪問。スロバキアからウクライナに地対空ミサイルシステム「S-300」を提供する方向で協議していると表明しました。

一方、米国は、中国がロシアに支援を行うことを懸念していると表明。その後、昨年11月以来となるバイデンと習近平国家主席の電話会談が行われました。バイデンは、中国がロシアに物的支援を行った場合には、結果を伴うと警告。制裁の可能性も示唆されました。しかし、中国がどのように対応するのかは明らかにされず、両国は実務レベルのチームを設置して協議を続けることで合意しました。

ロシアは、西側の制裁への報復措置として、バイデン、ブリンケン国務長官を含む米政府高官ら13人とトルドー首相を含むカナダ政府高官ら313人の入国禁止を発表。また、ドル建て国債の利払いの期日を迎えましたが、ここはドルで支払いを行い、とりあえずデフォルトは回避されたようです。

ロシア国内では、クリミア併合8周年の記念集会が開催され、プーチンが大観衆の前で演説するなど、国威を発揚する動きが見られますが、抗議活動も目立っています。ロシアの主要テレビ「第1チャンネル」のニュース番組「ブレーミャ」の生放送中に、同テレビ局の女性社員がキャスターの背後で「戦争反対」「プロパガンダを信じるな」と書かれた紙を掲示するという、異例の事態も発生しました。

こうした最新の状況を踏まえ、戦況、外交交渉、米中首脳電話会談、そして今後の展望を解説します(※メルマガで解説)。

●イラン核合意交渉

イラン核合意交渉については、以下の記事で、今年に入ってから急速な進展を見せていることをお伝えしていました。

「イラン核合意交渉」(2/14)
 
このときは、「それでもまだ五分五分」との見通しを述べましたが、その後、協議の積み重ね、原油価格の上昇、そしてロシアのウクライナ侵攻を受け、交渉はさらに加速しました。

ロシアは、ウクライナ侵攻後、核合意の再建後にロシアの利益が守られる保証を求めると述べ、交渉が複雑になるかとも思われましたが、先週、ラブロフ外相は、米国から書面で保証を得たと発表しました。

また、イランは、反体制の宣伝活動などの容疑で有罪判決を受けた英国とイランの二重国籍の男女2人を解放しました。その見返りに、英国は、イランの債務5億3,000万ドルを清算したと報じられています。

こうした状況を踏まえ、イラン核合意交渉の最新の見通しを解説します(※メルマガで解説)。イラン核合意の再建は、実現すれば、原油価格はもちろん、今後の中東の秩序や米国と地域の関係に大きな影響を及ぼすことになるので、非常に重要です。

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今週の動き
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(※ゼレンスキーの国会演説など。メルマガで解説。)

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あとがき
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アングル:ロシア全土に「Z」マーク、ウクライナ侵攻で国威発揚(3月13日付ロイター)
【解説】 なぜ「Z」がロシアで戦争支持のシンボルになっているのか(3月8日付BBC)

ロシア国内では、ウクライナ侵攻を支持するためのシンボルとして「Z」の文字が使われるようになっています。その由来は、ロシア軍の戦車や装甲車に「Z」というマークが書かれていたことです(ここから先はメルマガをご覧く下さい)。

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