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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/05/30 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(5/29~6/4)バイデン訪日(台湾、IPEF、クアッド)、ブリンケン中国政策演説、ロシアのウクライナ侵攻、中間選挙の予備選、豪州新政権


かんべえさんは『シン・ウルトラマン』を楽しまれたとのことですが、私は週末に『トップガン マーヴェリック』を見てきました。

『スターウォーズ』の続編と同様、古いファンをターゲットにしたことは一目瞭然、旧作のロマンをそのまま現代に持ち込むことの限界を感じなくもありませんでしたが、しかし、トップガン世代の私にはそんな潔さが逆に心地よく、「いンだよ、こういうので!」という気持ちで楽しみました。

日本と台湾の国旗も復活していて良かったですね(中国で上映する場合には台湾は消されそうですが)。世界情勢との関係でも色々思うところがありました。追って詳しい感想を書きたいと思います。

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先週の動き
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5/22(日)
・バイデン大統領が訪日
・ポーランドのドゥダ大統領がキーウを訪問(ウクライナ議会で演説)
・ウクライナ議会が戒厳令の3か月延長を決定
・世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)(ゼレンスキー大統領がオンライン演説)(ダボス、~26日)
・WHO総会(ジュネーブ、~28日)

5/23(月)
・日米首脳会談(東京)
・バイデン大統領の台湾防衛に関する発言について、ホワイトハウス当局者とオースティン国防長官が米国の政策に変更はないと表明
・米主催のインド太平洋経済枠組み(IPEF)の立上げに関する首脳級会合(東京)
・米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間会議(オンライン)
・ウクライナのキーウの裁判所でロシアのウクライナ侵攻後初めての戦争犯罪を裁く裁判でロシア兵に終身刑判決
・ポーランドがヤマル欧州パイプライン経由で輸入していたロシア産天然ガスの供給契約の解除を発表
・ズベルバンクがドル建て社債の利払いをルーブルで実施したと発表
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(ソチ)
・米国の不法越境者の即時送還措置「タイトル42」が5月20日のルイジアナ州の連邦地裁の仮差止命令を受け存続
・中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が米国上場の廃止を決定
・ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
・イランの革命防衛隊のサイアド・ホダイ大佐がテヘランで暗殺

5/24(火)
・日米豪印(クアッド)首脳会合(東京)
・米印、米豪、豪印首脳会談(同)
・日印、日豪首脳会談(同)
・モルドバ当局がドドン前大統領を国家反逆や汚職の容疑で拘束
・ジョージア、テキサス、アーカンソー、アラバマ、ミネソタ州の中間選挙の予備選
・テキサス州ユバルディの小学校で銃乱射事件
・G7労働相会合(ドイツ・ヴォルフスブルク)
・EU財務相理事会(ブリュッセル)
・中国軍とロシア軍の爆撃機計6機が日本周辺を共同飛行したと岸防衛相が発表

5/25(水)
・ロシアのプーチン大統領がウクライナのヘルソン州とザポロジエ州の住民によるロシア国籍取得の手続きを簡素化する大統領令に署名
・米国によるロシア国債取引禁止の特例の失効
・フィンランド・スウェーデンとトルコの実務者協議(アンカラ)
・G7気候・エネルギー担当閣僚会合(ベルリン、~27日)
・北朝鮮が平壌の順安地区から東方向に弾道ミサイルを含むミサイル3発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表

5/26(木)
・ブリンケン国務長官が中国政策に関する演説(ワシントンDC)
・フィジーのIPEFへの参加を米国が発表
・中国の王毅外相がソロモン諸島、キリバス、フィジー、サモア、トンガ、バヌアツ、PNG、東ティモールを訪問(~6/4)
・ロシア中銀が政策金利を引き下げ(14→11%)
・フィンランドのマリン首相がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・国連安保理が北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けた追加制裁の決議案を否決
・日米防衛相電話会談
・日経主催の国際交流会議「アジアの未来」(東京、~27日)

5/27(金)
・ロシア・オーストリア首脳電話会談
・米財務省が北朝鮮の弾道ミサイルや大量破壊兵器の開発への関与を理由にロシアの2銀行を含む3団体と北朝鮮国籍の1人への制裁を発表
・NRA年次総会でトランプ前大統領が演説(ヒューストン)

5/28(土)
・ロシア・ドイツ・フランス首脳電話会談
・ロシアで志願兵の年齢上限を撤廃する法律が成立
・北京市が新型コロナウイルス対策の緩和を発表
・中国とサモアが経済、技術、文化の協力に関する協定を締結

●バイデンの訪日(台湾発言、IPEF、クアッド)

バイデン大統領が韓国に続いて日本を訪問し、岸田首相との会談と日米豪印(クアッド)首脳会合に臨みました。またインド太平洋経済枠組み(IPEF)を発表し、参加国との首脳級会合も開催しました。

日米首脳会談後の共同記者会見では、バイデンは岸田首相の防衛費増額発言に対する敬意を表明しました。また、国連安保理改革が実現した場合には日本が常任理事国になることを支持し、23年のG7サミットを広島市で開催するという岸田首相の提案を支持するとも述べました。

しかし、最も注目を集めたのは、台湾に関する発言でした。「いざとなれば台湾を守るために軍事的に関与する意思はあるか?」と問われると、バイデンは「イエス」と明言。さらに記者が「そうなのですか?」と確認を求めると、「それは我々が行ったコミットメントだ。我々は一つの中国政策を支持している。しかし、中国が武力で(台湾を)奪うことができるという考えは適切ではない。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起こったのと同様のことが起こるだろう。だから、その負担はさらに強いものだ」と答えました。

ホワイトハウスのスタッフとオースティン国防長官は、バイデンの発言を受けて、「米国の中国に対する政策に変更はない」と表明しました。バイデンは昨年8月と10月にも同様の発言を行い、ホワイトハウスが「政策に変更はない」と釈明しましたが(以下の記事参照)、まったく同じような光景が繰り返された形です。

「バイデンの台湾防衛発言」(21/10/25)
 
また、バイデンは、トランプ前政権が通商法301条に基づき中国製品に課している追加関税の引き下げについて「検討している」と述べました(これについては、次項の「ブリンケンの対中政策演説」でコメントします)。

クアッドの対面式の首脳会合は、昨年9月(以下の記事参照)に続く2回目の開催となります。豪州からは、選挙を終え、首相に就任したばかりのアルバニージー首相が初参加。バイデンは、「選挙が終わったばかりなのにすごい。なぜ起きていられるのか。寝てしまっても大丈夫ですよ」とジョークでアルバニージーを労りました。

「クアッド首脳会合(インド太平洋と大西洋)」(21/9/29)
 
今回のバイデンの訪日の意義について、台湾、IPEF、クアッドを中心に、米中関係の今後も含め、解説します(※メルマガで解説)。

●ブリンケンの中国政策演説

ブリンケン国務長官がジョージ・ワシントン大学で開催されたアジア協会主催のイベントで、バイデン政権の中国政策を説明する講演を行いました。もともとは5月5日に行われる予定だった演説ですが、ブリンケンがコロナに感染したため延期され、今般実現に至ったものです。

バイデン政権の包括的な対中戦略が演説の形で示されるのは初めてです。待ちに待ったイベントであり、演説は45分に及びましたが、どのようなものだったのか。ポイントを解説します(※メルマガで解説)。

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(5月30日)で98日目を迎えました。

ロシア軍は引き続きドンバスの攻略に力を注いでいます。ルハンスク州のウクライナ軍の最後の拠点であるセベロドネツクの包囲を進めつつ、市街地での直接攻撃を開始しました。セベロドネツクの包囲は数日中にも完成する可能性があり、隣接するリシチャンスクにも進出しようとしています。また、ドネツク州リマンを制圧し、ここからクラマトルスク、スラビャンスク、さらにポパスナからバフムト方面でも攻勢を続けています(地図はこちらを参照)。

また、プーチン大統領がヘルソン州ザポロジエ州の住民のロシア国籍取得の手続きを簡素化する大統領令に署名しました。南部の占領地域のロシア化を進める動きです。

一方、米欧は引き続きウクライナへの軍事支援を強化しています。米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間グループ(ウクライナ・コンタクト・グループ)の第2回会合が開かれ、20か国が新たな軍事支援策を発表。デンマークは対艦ミサイル「ハープーン」を提供すると表明しました。

また、インフレと食料供給が世界的な問題となる中、黒海の港からのウクライナの農産品の輸出が止められていることを多くの国々が深刻な問題ととらえるようになり、米欧はロシアを強く非難しています。これに対しロシアは、輸出を認める可能性を示唆するようになり、週末にはプーチンがフランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相との電話会談において、米欧が制裁を解除すれば輸出の再開を検討すると表明しました。

こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●米中間選挙の予備選(ジョージア)

ジョージア、テキサス、アーカンソー、アラバマ、ミネソタの5州で中間選挙の予備選が行われました。以下の記事で述べたとおり、特に注目されたのはジョージア州の共和党予備選です。コメントを述べます(※メルマガで解説)。

「米中間選挙の予備選(ペンシルバニア、ノースカロライナ)」(5/23)
 
●豪州のアルバニージー新政権

豪州の総選挙は、以下の記事で述べたとおり、野党の労働党が勝利し、党首のアンソニー・アルバニージーが新首相に就任しました。アルバニージーは就任早々に訪日してクアッド首脳会合に出席しています(上記「バイデンの訪日」参照)。

今回の選挙と政権交代の意義、それに今後のポイントを解説します。(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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モディ印首相、コイに餌やり(5月25日付AFP)
トランプ大統領、迎賓館でコイに餌やり(17年11月6日付AFP)

モディ首相が訪日の様子をショートムービーにしていました。充実した訪問だったことが伝わってきますが、最後の締めはコイへの餌やりでした。たしかにビジュアル的に映えますね。

コイへの餌やりといえば、思い出されるのはトランプ前大統領。冒頭記事の写真にあるとおり、ドバッと枡をひっくり返す豪快さ、さすが(?)と思ったものでした。

しかしこのときの動画をあらためてみると、トランプも最初は丁寧に匙でやっていたのですが、途中で安倍首相がババッと一気に放り込み、それを見て自分も終わらせよう!という勢いでやっていたのですね。そこまで自由奔放にオレ流でやっていたわけではありませんでした。

とはいえ、枡を逆さまにするのは・・やはり日本人にはない感覚ですね。いまだにこうして話題に上ることも含め、やはりさすがと思います。

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