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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/03/22 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(3/21~27) 日米・米韓2+2、米中外相級会談、米コロナ、バイデン初の記者会見、ミャンマー国軍記念日、イスラエル総選挙


永田町ディープスロートさんが「解散」に続いて、「泡沫候補(千葉県知事選)」「総務大臣」と立て続けにブログ記事を書かれています。いやあ、どれもこれも、超面白いですね。

かんべえさんも溜池通信(3月18日)で取り上げ、絶賛されていました。たしかに、永田町さんの分析の深さとユーモアは、かんべえさんにも響くものがありそうですね。

今週はグッチーポストのオンライン講演会・懇親会があり、私のほか、経済ZAP!!のSaltさん、永田町グッチーポストさんも参加しますが、スペシャルゲストとして、なんとかんべえさんが参加してくれます。どんな意見交換になるか、私もワクワクしています。ご関心のある方はこちらをご覧下さい。

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先週の動き
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3/14(日)
・ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州とラインラント・プファルツ州の議会選(緑の党とドイツ社会民主党(SPD)が勝利)
・グラミー賞授賞式

3/15(月)
・米上院がデブ・ハーランド下院議員の内務長官指名を承認
・独仏伊がアストラゼネカが開発した新型コロナウイルスワクチンの使用を一時停止すると発表
・ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ブリュッセル)
・アカデミー賞ノミネート発表

3/16(火)
・バイデン大統領がペンシルバニア州フィラデルフィア近郊を訪問
・米国家情報長官室が「20年の米連邦選挙に対する外国勢力の脅威」と題する報告書を公表(ロシアとイランが20年11月の大統領選に影響を及ぼす活動をしたと結論)
・日米外務・防衛担当閣僚協議(2+2)、外相会談、防衛相会談(東京)
・米上院軍事委員会の公聴会でバンハーク北方軍司令官が北朝鮮は近い将来ICBM発射実験を開始する恐れがあると指摘
・ジョージア州アトランタのマッサージ店3か所で銃撃事件(アジア系米国人6人が死亡)
・FOMC(~17日)
・北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長が3月8日から始まった米韓合同軍事演習を非難する談話を党機関紙「労働新聞」に掲載
・英国が安全保障や外交の中長期計画「安保・国防・発展・外交の統合レビュー」を発表

3/17(水)
・バイデン大統領がプーチン大統領は選挙干渉について「代償を払うことになる」「(プーチン大統領は人殺しと思うかと問われ)そう思う」とABCのインタビューで発言(プーチン大統領は駐米大使を本国に召還)
・米韓外務・防衛担当閣僚協議(2+2)、外相会談、防衛相会談(ソウル)
・米FCCが中国聯合網絡通信(チャイナ・ユニコム)の米国事業免許の取消手続きを始めたと発表
・米上院がキャサリン・タイ下院歳入委員会法律顧問のUSTR代表指名を承認
・テキサスを含む18州がキーストーンXLパイプライン建設認可取消しについてバイデン政権を相手にテキサス州連邦地裁で提訴
・オランダ下院選挙
・タンザニアのマグフリ大統領が心疾患により死去(後任はサミア・スルフ・ハッサン副大統領)

3/18(木)
・バイデン大統領が3月19日には新型コロナウイルスワクチンの1億回分の接種が実現すると発表
・米国がアストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの一部をカナダとメキシコに供給する方針を表明
・米中外相級会談(アンカレジ、~19日)
・米下院が幼少時に親に連れられて不法入国した若者(ドリーマー)や農業労働者の不法移民に条件付きで永住権を与える2法案を可決
・米上院がウィリアム・バーンズ元国務副長官のCIA長官指名とハビエル・ベセラ・カリフォルニア州司法長官の厚生長官指名を承認
・北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が米国との対話に応じないとする談話を国営朝鮮中央通信が報道
・プーチン大統領がバイデン大統領の「人殺し」発言について「お互い様」「健康を願っている」と発言、バイデン大統領の公開でのオンライン会談を提案
・独仏伊がアストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの接種再開を決定

3/19(金)
・バイデン大統領がアジア系米国人への差別や暴力を非難する演説(アトランタ)
・バイデン大統領がビル・ネルソン元上院議員のNASA長官指名を発表
・中国がデータ流出による安保上の懸念を理由にテスラ車の使用を制限しているとWSJが報道
・中国の遼寧省丹東市の中級人民法院がスパイ罪で起訴されたカナダ人のマイケル・スペーバー氏の非公開の審理
・北朝鮮がマレーシアによる資金洗浄に関わった北朝鮮の男性の米国への引渡しを受けマレーシアとの外交関係の断絶を宣言
・トルコのエルドアン大統領がアーバル中銀総裁の解任を発表(後任はエコノミストのカブジュオール元国会議員)

3/20(土)
・米印国防相会談(デリー)
・パキスタンのカーン首相が新型コロナウイルスに感染

●日米・米韓「2+2」

ブリンケン国務長官とオースティン国防長官が日本と韓国を訪問し、外務・防衛担当閣僚協議(2+2)を実施しました。外相会談と国防相会談も開催されました。

日韓いずれにおいても、2+2後に共同声明が出され、米国との同盟関係の強さがアピールされました。日本の共同声明では、直前の日米豪印(クアッド)首脳会合の共同声明では中国が名指しされなかったのとは異なり(以下の記事参照)、中国の行動への懸念が前面に打ち出されました。

「クアッドとインド太平洋」(3/19)

一方、韓国の共同声明では中国への言及がありませんでした。もちろん両国の声明が同じものになるわけもないのですが、この点は対照的でした。それ以外にも、今回の2+2にはいくつもの興味深いポイントがありました。この点についてコメントします(※メルマガに限定)。

なお、クアッドについては、上記「クアッドとインド太平洋」(3/19)で解説しましたが、読者の方から、共同声明の冒頭には「自由で開かれたインド太平洋のための共通のビジョンの下で結束し」と書かれた箇所があるが、ここはインドと豪州からみて構わないのか?とのご質問がありました。この点についても述べます(※メルマガに限定)。

●米中外相級会談

ブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官が日韓の帰途に立ち寄ったアンカレジで楊潔チ政治局委員と王毅外相と会談しました。以下の記事で述べたとおり、当初から外交的な成果は期待できない会談でしたが、その冒頭のやりとりは、予想を上回る激しいものになりました。

「米中外相級会談」(3/15)

まずブリンケンとサリバンがそれぞれ2分間発言しました。同盟国である日韓と協議をしてきたところだと強調した上で、ウイグル、香港、台湾、サイバー攻撃、同盟国への経済的威圧の問題を指摘。口調は落ち着いていましたが、中国の「核心的利益」といえる部分を遠慮なく突きました(こちらで冒頭発言の動画の全部が見られます)。

これに対し、楊潔チと王毅は、それぞれ16分と4分にわたり発言。米国には米国の民主主義があるが、中国には中国の民主主義がある、米国民は自国の民主主義に信頼を失っている、中国に自分の民主主義を押し付けるのはやめろ、内政には干渉するな、サイバー攻撃については米国がチャンピオンだ・・などと厳しく反論しました。長かったので、楊潔チは通訳に「テストだな」と呼びかけ、ブリンケンは「通訳の給料を上げないと(笑)」と述べました(上記動画の24:30)。

これで双方の冒頭発言が終わり、メディアが退出しようとしたところ、ブリンケンとサリバンは、「ちょっと待て」とメディアに呼びかけ、退出を止めます(上記動画の50:10)。そして、「こちらも付け加えたい」とさらに発言。「日韓からはあなた方の説明とは異なることを聞いている」「米国は問題があっても、欠点と認めて改善できる」と述べました。

これに対し、楊潔チと王毅が再反論。「米国のやり方は外交上の儀礼に反している」「中国に対して強者の立場から話す資格はない」などと批判しました。

もともと冒頭発言は、それぞれ4分ずつという約束だったのですが、楊潔チと王毅の発言は大幅に超過。これにブリンケンとサリバンが反発し、以上のようなやりとりになったようです。結局1時間、メディアのいる公開の場で双方がノーガードの打ち合いを見せるという、異例の事態になりました。

それでも会談は2日間にわたって行われました。会談後、ブリンケンとサリバンは、様々なテーマについて率直に話し合うことができた、イラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候において米中の利益は交差している、同盟国と連携しながら、今後も中国との協議は続ける、と述べました。

今回の会談のポイントと今後の展望について、別稿で解説します。

●新型コロナウイルス(米国)

バイデン大統領が3月19日に新型コロナウイルスワクチンの1億回分の接種が実現すると発表しました。当初は政権発足から100日で達成することを目標としていましたが、それよりも42日も前倒しで実現できたことになります。米国の今後についてコメントします(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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3/22(月)
・ブリンケン国務長官がベルギーを訪問(~25日)
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・ロシアのラブロフ外相が訪中(~23日)

3/23(火)
・イスラエル総選挙
・NATO外相理事会(ブリュッセル、~24日)

3/25(木)
・バイデン大統領が就任後初の記者会見
・米下院エネルギー・商業委員会がネットのフェイクニュースに関する公聴会(FB、ツイッター、グーグルのCEOがオンラインで出席)
・EU首脳会議(ブリュッセル、~26日)
・ギリシャ独立200年記念日

3/27(土)
・ミャンマー国軍記念日

●イスラエル総選挙

昨年3月の総選挙以来、1年ぶりの総選挙になります。例によって一つの政党が過半数を獲ることはなく(以下の記事参照)、政権がどうなるかは選挙後の連立交渉によって決まります。

「イスラエル総選挙」(20/3/9)

ネタニヤフ首相の汚職容疑の裁判は続いていますが、前回の選挙も起訴(19年11月)の後だったので、これがネタニヤフにとって致命傷になることはありません。ネタニヤフにとって最大の追い風になり得るのは、新型コロナワクチンの展開の成功です。1回だけの接種も含めれば、接種率は全国民の60%に達しており、経済は全面的に再開しています。

もう一つネタニヤフがアピールできるのは、UAE・バーレーンとのアブラハム合意ですが(以下の記事参照)、その演出のために狙ったUAE訪問は、ヨルダンの反対などで断念しました。

「イスラエル・UAEの国交正常化」(20/8/19)
「イスラエル・バーレーンの国交正常化合意」(20/9/14)
「イスラエル・UAE・バーレーンの国交正常化の調印式」(20/9/21)

●バイデンの初の記者会見

以下の記事で述べたとおり、バイデン大統領は、就任してから質疑応答を伴う記者会見を一度も行っていません。これは、100年近く前のカルヴァン・クーリッジ大統領(無口で「サイレント・カル」と言われた)まで遡る最長記録とのことですが、いよいよ(というほどのことでは本来ないのですが)実施します。

「米国救済計画法の成立とバイデンの演説」(3/15)

最近も、演説でうっかり「ハリス大統領」と述べたり、プーチン大統領は「人殺しと思うか」と聞かれて「そう思う」と答えたり(「あとがき」参照)、エアフォース・ワンに乗り込む階段でコケるなど(ホワイトハウスは「大統領は100%大丈夫」と説明)、相変わらずの一面を見せています。何かやらかすのでは・・と不安を感じずにはいられません。

ただ、こうした言動はご愛嬌というか、今に始まったことではありません。多少の失言はあっても、逆に今さらという感じで驚かれず、おそらく大した問題にはならないでしょう。

バイデンは、通常、1月か2月に行うはずの議会での施政方針演説(2年目以降であれば「一般教書演説」と呼ばれるもの)もいまだに行っていません。これもタイミングを図っているのでしょうが、米国救済計画法も成立したので、そのうちに行われるのではないかと思います。

●ミャンマー国軍記念日

ミャンマー情勢は悪化を続けています。3月19日には、国連のミャンマー担当者が死者は少なくとも211人に上ると述べました。ヤンゴンの6郡区では、中国系の工場などが襲撃・放火され、戒厳令が発令されています。

今週、EU外相理事会が予定されており、EUも制裁を正式に決定し、発動することが予想されます。

NLD議員らは、クーデター直後に「連邦議会代表委員会(CRPH)」を結成し、国軍の統治機関である国家行政評議会(SAC)を「テロ団体」と呼んで非難。ミャンマーの正統な政府は今なおNLD政権であるとして、独自に大臣代行や国連特使を任命し、「臨時政府」としての動きを強めています。

また、政府と停戦協定を結んでいた10の少数民族武装勢力は、クーデター後、国軍を非難し、和平交渉を打ち切り、抗議デモを支持すると発表しています。CRPHは、これらの武装勢力とも連携しようとしています。

CRPHは、市民に対して、不服従運動と「自衛」を呼びかけています。こうした動きを受けて、国軍は、CRPHは違法に行政機関をかたる組織であり、反逆罪にあたると発表しています。

そうした中で、今週、ミャンマーは国軍記念日を迎えます。現状と今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

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あとがき
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プーチン氏「お互いさまだ」 バイデン氏の「殺人者」見解で(3月19日付AFP)

バイデン大統領の「(プーチン大統領は人殺しと思うかと聞かれ)そう思う」との発言に対し、プーチン大統領は「健康を祈る」「これは皮肉でも冗談でもない」とのコメント。

文字どおりとらえると、「おじいちゃんだから、ちょっとボケて、こんな発言をしてしまったんだね。体に気をつけてくれ、本気で心配している。」という皮肉を込めた大人の対応に聞こえます。しかし少し考えてみると、「君も命を落とすかもしれないから、気をつけろよ。私は本気だ。」という脅しにも聞こえます。

プーチンですから、おそらく両方の意味を込めて、労りにもブラックジョークにも聞こえるようにしたのでしょう。さすがというか、恐ろしいですね・・。

しかし、バイデンも軽いというか、どこまで計算してこのように話したのかよく分からないところもあります。あとでサキ報道官は「大統領の発言はまったく問題がない」とわざわざ説明していますが。

とはいえ、バイデンの発言とは関係なく、ロシア制裁が強化されることは既定方針だったので、実際のところ、双方のトップ同士の不穏な発言に大きな意味はありません。

それに、トランプ時代を経験すると、この程度の発言には動じなくなっていることに気づきます。あまりにも毎日、度を超えたサプライズが多すぎて、よほどのことでなければ驚かないようになり、言葉尻をとらえたり、細かいことであれば過去の発言との整合性をあまり気にしなくなった気もします。それが良いのか悪いのか、分かりませんが・・。

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One comment on “今週の動き(3/21~27) 日米・米韓2+2、米中外相級会談、米コロナ、バイデン初の記者会見、ミャンマー国軍記念日、イスラエル総選挙
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    国軍は何を求めているのか?

    ミャンマー情勢は目を覆うような過激な状況が拡散されるなど、ちょっと見ていて辛いですね。でも、こうしたやり方では、昨日のEUのように制裁を加えられたり、丸紅が事業を中断したように外資も撤退せざるを得ない、何と言っても国民が疲弊して話にならないし、それが世界中に拡散されて、どんどん悪いループにはまっているようにしか見えません。
    ミャンマー現代史(1)(2)(3)を読んでいた、昨年の暮れが懐かしく思い出されます・・・。

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