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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2020/07/06 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(7/5~11) 米コロナ、ロシアの米兵殺害工作、香港国家安全法


グッチーポストの三陸の生うにが届きました。味はもちろん絶品ですが、量もすごかったですね。これだけのうにが瓶詰になっているのは、あまりお目にかかったことがありません(笑)。贅沢な気分になりました。

なお、うにを瓶から出すとかなりの量の水も出てきますが、これは海水と同じ塩分濃度の「殺菌海水」で、しっかり水切りすると良いとのことです。私は最初、うにのうまみか何かが入っていて、捨てるのはもったいないのかな?と思ってしまいました・・(苦笑)。

鮮度が大事ということで、友人とも一緒にあっという間に食べました。磯部副編集長のアドバイスに従い、海苔と一緒に食べたら、さらに絶品でしたね。

今月中であればまだ間に合うようなので、リピート注文を考えているところです。

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先週の動き
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6/27(土)
・ロシアがタリバン系の武装勢力に対し米兵を殺害すれば報奨金を支払う工作活動をしたとの報道についてマクナニー大統領報道官は「トランプ大統領とペンス副大統領は情報機関から説明を受けていない」と説明

6/28(日)
・ペンス副大統領が新型コロナウイルス対策としてマスク着用を呼びかけ(ダラス)
・カリフォルニア州がLA郡含む7郡におけるバー等の営業停止を命令
・中国の全人代常務委員会(北京、~30日)
・ポーランド大統領選挙(1位ドゥダ大統領、2位チャスコフスキ・ワルシャワ市長、7月12日に決選投票)
・フランス統一地方選挙(パリで社会党の現職が勝利、EELVが躍進、国民連合はペルピニャンで勝利、共和国前進は主要都市で敗北)

6/29(月)
・トランプ政権がロシアによるタリバン系の武装勢力の米兵殺害への報奨金支払いについて共和党議員に説明
・ポンペオ国務長官が香港への防衛関連技術や軍民共用技術の輸出の優遇措置の停止を発表
・Twitchがヘイトスピーチを理由にトランプ大統領のアカウントの一時停止を発表
・Redditがヘイトスピーチを理由にトランプ大統領の支持者コミュニティ「The_Donald」の停止を発表
・米連邦最高裁がルイジアナ州の人工妊娠中絶を制限する法律を違憲とする判決
・アリゾナ州がバー等の営業停止を命令
・WHOのテドロス事務局長が来週に中国に新型コロナウイルスの調査チームを派遣すると表明
・インドが「TikTok」「微信(ウィーチャット)」を含む59のアプリの使用禁止を発表
・シリア関連の支援国会合(ブリュッセル、~30日)

6/30(火)
・トランプ政権がロシアによるタリバン系の武装勢力の米兵殺害への報奨金支払いについて共和党・民主党議員に説明
・米連邦通信委員会(FCC)がファーウェイとZTEの通信機器を国内の通信ネットワークから完全に排除すると発表
・NY市議会が市警察(NYPD)の予算削減を含む21会計年度予算を可決
・NY州の裁判所が7月28日に出版が予定されていたメアリー・トランプの著書『Too Much And Never Enough』(トランプ大統領の暴露本)の差止めの仮処分命令
・中国の全人代常務委員会の最終日(「香港国家安全維持法案」を可決、同法は施行)(北京)
・EUが7月1日から14か国(日本、韓国、タイ、豪州、NZ、カナダ、アルジェリア、ジョージア、モンテネグロ、モロッコ、ルワンダ、セルビア、チュニジア、ウルグアイ)の渡航制限を解除すると発表
・BREXIT移行期間延長申請期限

7/1(水)
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策としてマスクを着用すると表明
・ポンペオ国務長官が香港国家安全維持法の成立を受けて香港の優遇措置を撤廃する方針をあらためて表明
・USMCAの発効
・米下院が香港自治法案を可決
・米下院が1.5兆ドルのインフラ整備法案を可決
・バイデン前副大統領陣営と民主党全国委員会が6月の選挙資金の集金額が過去最高の1.4億ドルと発表(2か月連続でトランプ大統領陣営と共和党全国委員会の集金額を上回る)
・ジョージ・W・ブッシュ政権の政府高官らがバイデン前副大統領の選挙戦を支援するためのスーパーPACを設立
・香港返還23周年
・香港警察が「香港国家安全維持法」に違反した容疑で10人を逮捕
・台湾が香港国家安全維持法の成立を受けて香港市民の移住のための窓口を開設
・英国のジョンソン首相が香港国家安全維持法の成立を受けて香港市民の移住権を拡大する方針を表明
・ロシアで憲法改正法案の是非を問う全国投票(8割が賛成、改憲が成立)
・ロシア・イラン・トルコのシリア情勢に関する首脳会議(オンライン会議)

7/2(木)
・米上院が香港自治法案を可決
・北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が政治局拡大会議に出席(新型コロナウイルスの感染阻止を称賛)
・イランのナタンズの核関連施設の敷地内にある建物で火災が発生

7/3(金)
・トランプ大統領がラシュモア山における独立記念日式典に出席(サウスダコタ)
・香港国家安全維持法を執行する機関「国家安全維持委員会」が発足(中国は同委員会の顧問に香港連絡弁公室の駱恵寧主任を任命)
・フランスのフィリップ首相の内閣が総辞職(ジャン・カステックス新首相が就任)
・インドのモディ首相がラダックの係争地帯を電撃訪問
・日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の国外逃亡を手助けしたとされる7人の初公判(イスタンブール)

7/4(土)
・米独立記念日
・トランプ大統領がホワイトハウスで独立記念日式典を開催
・新型コロナウイルス対策の資金支援策「給与保護プログラム(PPP)」の申請期限を8月8日まで延ばす法律が成立
・北朝鮮の崔善姫第1外務次官が米朝対話は不要との談話を発表したと国営朝鮮中央通信が報道

●新型コロナウイルスの感染拡大(米国)

米国における新型コロナウイルスの感染者数が南部(テキサス、フロリダ、アリゾナ)と西部(カリフォルニア)で再び急増していることは以下の記事で述べたとおりですが、その状況は悪化を続けています。

「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の状況)」(6/29)

米国の感染者数は280万人、死者は13万人。1日の感染者数は、7月1日以降5万人を超えています。ここにきてコロナ感染が始まって以来最高の水準に達したことになります。ファウチNIAID所長は、上院の公聴会で「1日の感染者数が10万になっても驚かない」と発言しました。

米国における感染第1波の再拡大は、欧州や東アジアにおける第1波の後退と対照的な結果です。バイデン前副大統領の選挙陣営は、そうした状況をとらえた選挙広告も制作しています。

こうした状況の中で、先週、トランプ大統領がついに「マスクを着用する」と表明しました。着用の義務化は必要ないと述べていますが、これまでの消極的だったトーンからすれば大きな転換といえます。

なお、トランプの発言に先立ち、ペンス副大統領がダラス訪問の際にマスク着用姿を見せていました。ホワイトハウスも背に腹は代えられないと考えたのでしょう。

そして、テキサスのアボット知事がマスク着用令を発令しました。レッド・ステートの知事は、トランプのマスク着用に対する消極姿勢や、マスク着用が保守・リベラルを分けるシンボルのようになった状況から、こうした強制措置を拒んできましたが、ついに方針転換に踏み切りました。今後、多くの州で同様の措置が採られると予想されます。

テキサスは経済活動の再開の一時停止を決定しましたが、他の州も同様の措置をとるようになっています。独立記念日に向けて集会が増えることが想定されたこともあり、少なくとも17州が活動制限に踏み切りました。

一方、トランプ大統領は、サウスダコタ州のラシュモア山で独立記念日を祝うイベントに参加。独立記念日におなじみの花火が打ちあがり、7,000人が集まる大イベントになりました。

しかし、マスク着用や対人距離の徹底は不十分で、タルサ選挙集会と同様、コロナ対策の面では不安を与えるものになりました。

「トランプのタルサでの選挙集会」(6/22)
「トランプの再選戦略と大統領選の展望」(6/30)

また、ワシントンDCでも独立記念日の式典を盛大に開催。しかしマスク着用姿は見せず、ホワイトハウスの外に集まった数千人の人々も、コロナ対策をとっているようには見えませんでした。

米国のコロナ感染をめぐる最新の状況と政治への影響についてコメントします(※メルマガに限定)。

●ロシアの米兵殺害工作の疑惑

ロシア軍の情報機関である参謀本部情報総局(GRU)がタリバン系の武装勢力に対し、米兵を殺害すれば報奨金を支払う工作活動をしていたとNYタイムズが報道しました。これについて、トランプ大統領は情報機関から説明を受けていないと表明。ホワイトハウスは情報の正確性について確認中と説明しました。

しかし、その後の報道では、トランプへのブリーフィング資料に情報は含まれており、また、ロシアからタリバン系武装勢力への送金を示す証拠もあるとのこと。トランプ政権の対応に批判が集まり、共和党・民主党両党の議員は説明を要請、情報機関によるブリーフィングが行われました。

本件のポイントと今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●香港国家安全法の制定

全人代常務委員会が「香港国家安全維持法案」を可決し、習近平国家主席が同法の施行令に署名。以下の記事で述べたとおり、7月1日の香港返還記念日の直前に法の制定と施行に至りました。

「全人代常務委員会(香港国家安全法の制定)」(6/29)

民主活動家である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏らは「香港衆志(デモシスト)」からの離脱を表明。同団体も解散を発表しました。

今週、9月6日に予定される香港立法会選挙に向け、民主派が予備選を行いますが、香港国家安全維持法の施行により、どこまで立候補が認められるか不透明になっています。

これに対し米国は、ポンペオ国務長官が香港への防衛関連技術や軍民共用技術の輸出の優遇措置の停止を発表。議会では、上下両院がいずれも全会一致で香港自治法案を可決。この法案の内容は以下の記事で説明したとおりです。

「トランプの再選戦略と大統領選の展望」(6/30)

香港自治法案はトランプ大統領の署名をもって成立します。今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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7/5(日)
・ドミニカ大統領選挙
・東京都知事選挙

7/8(水)
・米・メキシコ首脳会談(ワシントンDC)

7/10(金)
・シンガポール総選挙
・韓国の朴槿恵前大統領の差戻審の判決

7/11(土)
・香港の立法会選挙に向けた民主派の予備選(~12日)

●メキシコのロペスオブラドール大統領の初訪米

メキシコのロペスオブラドール(AMLO)大統領が初訪米し、トランプ大統領と初の会談に臨みます。先週、USMCAが発効しましたが、そのためのフォローアップが主な目的になります。カナダのトルドー首相の参加も検討されています。

なお、AMLOは18年12月に大統領に就任しましたが、なんとこれが初めての外国訪問。コロナのために中止や延期を余儀なくされたためです。メキシコではトランプの移民政策や通商交渉の強引さへの反発が強く、米国を初の外遊先にしたことについて、AMLOは説明に苦慮しています。

●シンガポール総選挙

シンガポールが7月10日に総選挙。といっても与党PAPが大半の議席を獲得することは決まっており、注目点は、前回16年の選挙のときの得票率(7割)を維持できるかという次元になります。

また、リー・シェンロン首相は、70歳になる22年に引退すると公言しており、今回の総選挙では、後継者とみられるヘン・スイキャット副首相兼財務相が陣頭に立ちます。

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あとがき
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米国で人物像の撤去相次ぐ、歴史見直す動き(6月24日付ウォール・ストリート・ジャーナル)
米プリンストン大学、ウイルソン元大統領の名前を外す方針(6月27日付BBC)
13th -憲法修正第13条-(Netflix)

全米各地で人種差別の言動がみられた著名人の像を撤去ないし破壊する動きが広がっていることについては、以下の記事で取り上げましたが、最近では、ホワイトハウス近くのアンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)の像が引き倒されそうになる事件がありました。

「南軍・コロンブスの歴史をめぐる論争」(6/15)
「今週の動き(6/21~27)(あとがき)」(6/22)

ジャクソンについては、以下の記事で解説しましたが、初のフロンティア出身の大統領、殺し屋から将軍、国のトップに上り詰めた異色の人物です。

「ウォルター・ラッセル・ミード『Special Providence』(2)」(16/5/20)

米国で初めて本格的なポピュリズムを実現したリーダーともいわれ、それゆえにスティーブ・バノンは、トランプ政権が実現すると、自分たちはジャクソンをモデルにすべきとトランプ大統領に提言。トランプは就任してすぐにジャクソンの肖像画をホワイトハウスの執務室に飾りました。

以前から述べているように、私は力づくで像を破壊する行為が正しいとは思いません。冒頭記事の動画を見ても、何か悪乗りのような雰囲気も感じます。ただ、トランプのジャクソン信仰などに照らすと、像に対する攻撃の奥には、人種差別を助長するリーダーに対する抗議の意図もあるのでしょう。

また、プリンストン大学は、公共政策・国際関係論の研究機関として有名な「ウッドロー・ウイルソン・スクール」からウィルソン(第28代大統領)の名前を外すことを決定しました。ウィルソンは、第1次世界大戦に参戦し、国際連盟の創設に尽力したことで有名な大統領ですが、南部(バージニア州)出身で、人種差別的な思想の持ち主で、大統領としても人種隔離政策を進めました。

ウィルソンは、KKKを英雄として描いた映画『国民の創生』(D・W・グリフィス監督、1915年公開)に対して賛辞を送ったことでも有名です。なお、このエピソードは、Netflixドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』(エイヴァ・デュヴァーネイ監督、16年公開)でも登場します。BLMの理解を深める上でも有意義な映画です。

しかし、ウッドロー・ウイルソン・スクールは、国際政治に関わる者にとっては圧倒的なブランドで、私の友人の多くもこの大学院を修了しています。ちょっとショックな話でした。ワシントンDCにはウッドロー・ウィルソン・センターという研究機関もありますが、今後、こうした機関も再考を迫られるのでしょうか。それぞれの機関が独自の判断で決めることですが、難しいですね・・。

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One comment on “今週の動き(7/5~11) 米コロナ、ロシアの米兵殺害工作、香港国家安全法
  1. KB より
    ブレないトランプ

    人は他人から否定されたり、耳の痛い意見を言われると誰だって嫌なものですが、トランプは特にこの傾向が強いですよね。否定でなくとも、今回は「都合の悪い」話は耳に入っていない様子・・・。
    あと4年こうした状況で続いていくのかと思うと、ちょっと心配です。

    でも、実際、大統領選は非常に微妙な状況(とても興味深いですが)。支持率だけでなく、「ロシアの米兵殺害工作の疑惑」からも、トランプの選挙戦動向が窺えるとはとても面白いと思いました(自分では無理です(笑))。

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