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2020/06/15 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(6/14~20) 米コロナ、警察改革、南軍・コロンブスの歴史論争


すっかり夏のような気候になってきましたね・・ゴルフのときの服装は完全に真夏モードになりました。

ゴルフは、コロナ自粛でスループレーが主流になっていましたが、最近、感染の収束にともない、徐々に通常モードにシフトしているようです。個人的にはスルーの方が好きなので、仕方ないこととはいえ、少し残念です。

暑くなってくると、やはり海、ダイビングに行きたくなります。クリミアの海底には、レーニン、スターリンら旧ソ連時代の指導者の像が佇んでいるそうです。ソ連崩壊時に廃棄された像が廃棄されたものであり、「海中博物館」とも言われているとのこと。絶好のダイビングポイント、潜ってみたいものですが、今年は、旅行も出張も、どこまでできるものでしょうか・・。

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先週の動き
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6/7(日)
・ミネアポリスでの黒人死亡事件を受けて全米各地で抗議デモが継続(~現在)
・トランプ大統領がワシントンDCに配備された州兵の撤収を命令
・ミネアポリスのフレイ市長が市警察を「解体」する意向を表明
・パウエル元国務長官がトランプ大統領の抗議デモへの対応を非難し、大統領選挙でトランプ大統領を支持しないと表明

6/8(月)
・トランプ大統領が警察官の指導者たちと会談(警察改革への意欲を表明)
・米民主党がジョージ・フロイド氏の死亡事件を受けて警察改革法案を発表
・NY市の経済活動が一部再開
・モスクワ市の外出制限が解除

6/9(火)
・トランプ大統領が暴動鎮圧のための連邦軍投入に反対したエスパー国防長官の解任を検討していたとウォール・ストリート・ジャーナルが報道
・米上院がチャールズ・ブラウン太平洋空軍司令官の空軍参謀総長就任を承認(初のアフリカ系の6軍種の制服組トップ)
・米検察当局が抗議デモに参加していた女性を突き倒したNYPDの警察官を起訴したと発表
・FOMC(~10日)
・中国の全人代常務委員会の委員長会議(北京)
・香港の逃亡犯条例改正案への抗議デモ発生から1年
・北朝鮮が南北間の通信連絡線を完全に遮断すると国営朝鮮中央通信が報道
・ブルンジのヌクルンジザ大統領が6月8日に死去したと同国政府が発表

6/10(水)
・トランプ陣営がCNNに対し世論調査結果(バイデンがトランプを14ポイントリード)の撤回と謝罪を要求
・米国務省が「世界の信教の自由」に関する報告書(19年版)を発表
・米民主党全国委員会(DNC)がアリゾナ州での連邦選挙の郵送投票で署名がない場合に無効とするルールを違法として、同州の州務長官に対する訴訟を提起
・ペローシ下院議長が南部連合軍の指導者と兵士の像11体の議会からの撤去を要求
・NASCARが南部連合軍の軍旗の掲揚の禁止を発表
・韓国統一省が北朝鮮の体制を批判するビラをまいた脱北者団体を南北交流協力法違反の容疑で刑事告発する方針を表明

6/11(木)
・トランプ大統領が警察問題に関する大統領令を発令する計画を発表(ダラス)
・トランプ大統領が、アフガン戦争に従事した米兵らの戦争犯罪の捜査についての国際刑事裁判所(ICC)の承認への対抗措置として、ICCが米国民を捜査や訴追した場合に捜査責任者らに制裁を科す大統領令に署名
・米上院軍事委員会が南部連合軍の将官の名前を冠した米軍基地名の変更を国防総省に義務付ける法案を可決
・米共和党全国委員会が8月24~27日に予定している共和党大会の開催地はフロリダ州ジャクソンビルと発表
・ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが中国政府の要請を受けて天安門事件の追悼イベントを主催した在米人権活動家らのアカウント3件を一時停止していたと発表
・シリアのアサド大統領がハミス首相を罷免

6/12(金)
・トランプ大統領が6月19日に予定していたオクラホマ州タルサでの選挙集会を20日に変更すると発表
・トランプ大統領が警察官の首絞め行為は理解できるが大半のケースでは禁止することが望ましいと発言
・NY州で警察改革法が成立
・ミネアポリス市議会が市警察を解体し、新たな組織を創設する決議を可決
・ジョージア州アトランタで警官が黒人男性を射殺(ボトムズ市長は警官の対応を批判、警察署長は辞任)
・ツイッター社が中国共産党に関連する17万余りのアカウントを言論操作を理由に削除したと発表
・北朝鮮の李善権外相が初の米朝首脳会談から2年を迎えて談話を発表
・英国家統計局が4月の実質GDP成長率は前月比▲20.4%と発表

6/13(土)
・トランプ大統領が陸軍士官学校の卒業式に出席(ウェストポイント)
・北朝鮮の金与正・朝鮮労働党第1副部長が開城にある南北共同連絡事務所の破壊を予告する談話を国営の朝鮮中央通信が報道

●新型コロナウイルスの感染拡大(米国の状況)

米国における新型コロナウイルスの感染者が200万人を超えました。感染拡大が最も深刻だったNY州は最悪期を脱していますが、カリフォルニア、テキサスなど22州で新規感染者数が増加を続けています。

そうした中で全50州で経済活動の再開が進められています。さらにジョージ・フロイド氏の殺害事件を発端とする大規模な抗議デモも継続。第2波(というより、第1波の継続と深刻化)への懸念が高まっています。

こうした懸念を受けて、先週後半、株式市場が暴落。3月16日以来、過去4番目の下げ幅を記録しました。今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●全米各地での抗議デモと警察改革

ジョージ・フロイド氏の殺害事件を発端とする人種差別への抗議デモが続いています。そのポイントと今後の展望については、前回の記事で述べたとおりです。

「全米各地での抗議デモと暴動」(6/9)

上記記事で述べたとおり、政治的に大きなイシューになっているのは、警察改革です。すでに指摘したとおり、トランプ政権、共和党、民主党、それぞれがどのような対応を見せるかが注目されています。

先週、民主党指導部は、警察改革法案を発表しました。警察官が容疑者を拘束する際に首を絞める行為の禁止、警察官の小型カメラ着用の義務化、警察の違法行為のデータベース化、警察官の起訴・損害賠償請求の要件の緩和などが含まれています。

共和党指導部は、マコーネル上院内総務がティム・スコット上院議員が警察改革案を主導すると述べました。スコットは共和党唯一のアフリカ系上院議員です。今週にも法案が示される見通しです。

トランプ大統領も、警察改革への意欲を表明しています。インタビューでは、警察官の首絞め行為は理解できるが大半のケースでは禁止することが望ましいと発言。しかし、改革案の詳細は語らず、99.9%の警察官は素晴らしいと称賛し、警察組織の解体や予算削減は行わないと強調しています。

一方、事件が起きたミネアポリスやLA、NYなどでは、すでに警察改革の取り組みが始まっています。NY州では、先週、警察改革法が成立しました。警察官が容疑者を拘束する際に首を絞める行為の禁止、警察官の過去の処分記録の公開、警察官が容疑者を死亡させた場合に独立検察官が捜査を行うことなどが含まれています。

これらの動きのポイントと今後の展望について、明日解説します。

●南軍・コロンブスの歴史をめぐる論争

南北戦争時の南部連合軍(南軍)のモニュメントやシンボルをめぐる議論が激化しています。何十年にもわたり続いてきた論争ですが、「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動によって、一気に加速しました。

まずバージニアのノーザム知事がリー将軍像を撤去する方針を発表。これを皮切りに、全米の多くの地方自治体が像の撤去を命令しました。抗議活動者が勝手に像を引き倒し、破壊する例も見られました。

ペローシ下院議長は、南北戦争時の南軍指導者と兵士の像11体の議会からの撤去を要求。上院軍事委員会は、南軍の将官の名前を冠した米軍基地名の変更を国防総省に義務付ける法案を可決しました。ただし、トランプ大統領は、基地名の変更に反対しています。

また、動画配信サービス「HBOマックス」は映画『風と共に去りぬ』の配信を停止しました。米国の国民的カーレース・イベントである「NASCAR」の主催団体は、南軍旗の掲揚の禁止を発表しました。

こうした動きは、南軍にとどまらず、クリストファー・コロンブスの像にも波及。各地で撤去や破壊が相次ぎました。コロンブスは、米大陸に上陸した後、先住民に対して略奪、破壊、虐殺、奴隷取引を行っており、欧州による搾取の基礎を築いた人物とも評価されているからです。

バンクシーは、この動きをテーマにした新作を公表。奴隷商人の像の首に縄がかけられ、引き倒されようとする光景が描かれています。インスタのテキストには、「川に沈んだ像を引き揚げ、台座に戻す。像の首にケーブルを結び、倒そうとする人々の姿も等身大のブロンズ像で再現する。そうすれば、全員がハッピーになる。」と書かれていました。

こうした動きについてコメントします(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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6/15(月)
・英・EU首脳会談(テレビ会議)

6/17(水)
・NATO国防相会議(テレビ会議、〜18日)

6/18(木)
・中国の全人代常務委員会(北京、~20日)
・英仏首脳会談(ロンドン)

6/19(金)
・EU首脳会議(ブリュッセル)

6/20(土)
・トランプ大統領がオクラホマ州タルサで選挙集会

●トランプの選挙集会の再開

トランプ大統領の選挙陣営は新型コロナウイルスの感染拡大により3月に選挙集会を停止しましたが、今週から再開します。まずは6月19日にオクラホマ州タルサで開催すると発表しました。

しかし、タルサは1921年に白人暴徒がアフリカ系住民を虐殺するという歴史的事件が起こった場所。しかも6月19日は奴隷解放記念日(Juneteenth)です。

トランプ陣営はこの日時と場所の選択は意図的ではないとしています。しかし、トランプはこれまでも、フォード工場を訪問した際に(反ユダヤ主義とヒトラー礼賛で知られる)ヘンリー・フォードの「血脈」を讃えたり、「略奪が始まれば銃撃も始まる」という公民権運動弾圧のフレーズを用いるなど(以下の記事参照)、歴史的文脈を明らかに意識した発言をしています。

「ミネアポリスでの黒人男性死亡事件(抗議デモと暴動の激化)」(6/1)

今回も、タルサ虐殺と奴隷解放記念日を念頭に置いた可能性は十分にあります。そうでないとしても、選挙陣営という巨大チームがこの事実の符合に気づかないとは考えられません。

これも、以下の記事で述べたトランプの選挙戦術の一環なのでしょう。しかし、これがどこまで功を奏するのか、疑わしい状況になりつつあります。トランプ陣営も修正を図るかもしれません。タルサでの選挙集会の様子がそれを見極める上でのヒントになるでしょう。

「全米各地での抗議デモと暴動」(6/9)

・・と書いた後に、トランプは、19日から20日に日程を変更すると発表しました。批判を受けて方針の修正を図ったということです。

上記「ミネアポリスでの黒人男性死亡事件(抗議デモと暴動の激化)」(6/1)で解説した「略奪が始まれば銃撃も始まる」発言は、味方であるはずのFOXのアフリカ系の記者からも批判されていました。明日、詳しく述べますが、米国内の雰囲気の変化は、今やトランプの戦術を揺さぶるほど大きくなっている、ということです。

なお、ファウチNIAID所長は、タルサでの選挙集会はコロナ感染リスクを高めると警告しています。それでも参加するならマスクを着用すべきとも述べています。

●全人代常務委員会

先週、全人代常務委員会の委員長会議が開かれ、今週、全人代常務委員会を開催することを決定しました。「香港国家安全法」を迅速に制定すべく、法律の具体的内容や関連の制度の詳細を詰めるとみられます。以下の記事で述べたとおりの展開です。

「天安門事件31周年」(6/8)

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あとがき
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George Floyd: What we know about the officers charged over his death(6月8日付BBC)
グラン・トリノ(予告編)(09年12月16日付ワーナーブラザーズ)

フロイド氏に暴行を加えたショーヴィン元警官の妻と同じく起訴されたタオ元警官はモン族でした。モン族は東南アジア(ラオス・タイ・ミャンマー・ベトナムの地域)に住む民族で、米国のモン族の多くはラオスからの移民です。

ショーヴィンがモン族と結婚していたことで、その差別感情を相対化するような書き込みを見かけましたが、そういう単純な話にはなりません。この点について、米国におけるモン族の歴史的背景、BLMと白人ナショナリズム、映画『グラン・トリノ』との関係を含めて述べます(※メルマガに限定)。

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2 comments on “今週の動き(6/14~20) 米コロナ、警察改革、南軍・コロンブスの歴史論争
  1. 健太 より:
    扱い

     メルマガで,モン族のアメリカの扱いが述べられていましたが。アメリカですね。
    わが国は負けたから、その戦争に協力した人々をどのように扱うか?
    これば賠償で扱ったと思う。その金額は大きい。当該国においてそれを受け取った人々は協力した人ではなかった。これが大きな問題とは我が国政府は思わなかったのでは?身勝手という事でしょう。
     敗戦国、日本とアメリカとは同じにいかないけれども。アメリカ本土は残っていたから。
    もっと声を大にして、国民に敗戦国として、協力した国々に多大な賠償をしたことを政府は知らせることではないか?
     それをすると逆に賠償にたかった、ないし賠償の仕組みが暴露されて、困るかな。
    ODAの裏話を少し聞いたが、難しい。
     今回のアメリカの黒人暴動はアメリカに内在する南北戦争の元の、別な現れ方で、今もある現象の一つに過ぎないのではないか?

     アメリカの裏面史を読んだが、その裏面史を書いているのが白人であることに、欧米文化の特徴があると思う。その裏面史から思うと、簡単には言えない。

     日本はよかったなと思うが今の政府の政策を見ると、その歴史を一度読んだらいいのではと素人ながら思う。ある面アメリカは非常に怖い国だと思う。独裁者が民主主義の仮面をかぶっているのではとも思う。独裁者が独裁的に行動するのではなく民主主義的に(?)行動するように見える。

     武漢ウイルスは中共は意図していたかは不明だが、実質軍事攻撃と同じこととなった。後背地への爆撃と同じでした。前線の兵器は関係なかった。
    これに尽きる。これから反撃になるが、我が国政府はそのように認識しているのだろうか?

  2. KB より:
    昔の記憶

    大人になって「学ぶ」ことはとても大事ですね。
    コロンブスの話も、人種差別の話も、いろいろなバイアスや情報の上書き(?)でゆがんだ知識とあいまいな理解にまみれていました。改めて基本から丁寧に、今の事象を交えて分かり易く紐解いてくださるメルマガは非常に貴重です。
    JDさんのツイッターでも話題になっていた「グラン・トリノ」。かつてメルマガでも何度か登場していたので、Netflixで観ていました。しかし、まさかここまでドンピシャで再び考えさせられることになろうとは・・・。「勉強」だけではない、楽しい学びに出会えて感謝です。

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