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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2019/01/07 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(1/1~13)


先週からすでにマーケットは動いていますが、「働き方改革」もあり、多くの方にとっては本日が本格的な仕事始めでしょうか。

私の場合、暦はあまり関係ないのですが、メールのやりとりは落ち着いていました。今週からエンジン全開かな、という気持ちです。

ということで、今年初めての「今週の動き」です。

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先週の動き
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2018年
12/22(土)
・ムニューシン財務長官がトランプ大統領によるパウエルFRB議長解任の可能性の報道を否定するツイート

12/23(日)
・トランプ大統領が19年1月1日のパトリック・シャナハン国防副長官の国防長官代行就任を発表(マティス国防長官の退任は同日に前倒し)
・トランプ大統領とエルドアン大統領が電話協議
・ムニューシン財務長官が大手6銀行の首脳と電話協議して「潤沢な資金供給を続けることを確認した」と財務省が発表
・コンゴ民主共和国(旧ザイール)の大統領選挙が延期

12/24(月)
・トランプ大統領が「米経済が抱える唯一の問題はFRB」とツイート
・中国が19年1月1日から約700品目の商品の輸入関税を下げると発表
・イスラエルのネタニヤフ首相の報道官が19年4月初め(後に4月9日に決定)に総選挙を実施すると発表

12/25(火)
・米市場のクリスマス休場
・トランプ大統領がFRBの利上げを批判しムニューシン財務長官は信頼していると発言
・ワシントンDCの連邦地裁が北朝鮮で拘束され解放後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアの両親の損害賠償請求について北朝鮮に対し5億100万ドルの支払いを命令
・イラン政府が19年度予算案を議会に提出

12/26(水)
・トランプ大統領がイラクを電撃訪問、米軍の駐留継続を表明
・プーチン大統領が米国のミサイル防衛網では迎撃できないと主張する新型の極超音速ミサイルシステム「アバンガルド」を19年に配備すると発表
・ウクライナのポロシェンコ大統領がロシア国境沿いの一部地域に導入した事実上の戒厳令である「戦時状態」の停止を宣言
・南北鉄道連結事業の着工式(北朝鮮・開城)
・日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明

12/27(木)
・トランプ大統領が国内企業に対しファーウェイとZTEの通信機器の利用を禁止する大統領令を19年に発令することを検討しているとロイターが報道
・中国が中国版GPS「北斗」の運用開始を発表
・サウジのサルマン国王がジュベイル外相を外務担当の国務相に降格(後任の外相にアッサーフ元財務相を任命)、国家警備相、教育相、情報相等を交代させる勅令を発出

12/28(金)
・トランプ大統領がメキシコ国境での壁建設の予算を議会が承認しなければ国境を「完全に」閉鎖すると警告するツイート
・シリアのアサド政権軍がクルド勢力の要請に応じ北部マンビジュに進軍したと発表

12/29(土)
・米中首脳が電話協議
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(7週末連続)
・イタリアの19年度予算が成立

12/30(日)
・TPP11が発効
・バングラデシュ総選挙(与党アワミ連盟が圧勝)
・コンゴ民主共和国(旧ザイール)の大統領選挙
・アフガニスタンの選挙管理委員会が19年4月20日に予定していた大統領選を7月20日に延期すると発表

12/31(月)
・トランプ大統領がシリア撤兵はゆっくりと行うとツイート
・マティス国防長官が退任(シャナハン国防副長官が長官代行に就任)
・ポンペオ国務長官がブラジルとコロンビアを訪問(~19/1/2)
・米国で「アジア再保証推進法」が成立
・米国がUNESCOから脱退
・米韓防衛費分担金協定の期限が到来
・米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が20年大統領選挙に向けた準備委員会の設置を発表

2019年
1/1(火)
・米中首脳が国交樹立40周年を祝う手紙を交換
・ミット・ロムニー上院議員がワシントン・ポストへの寄稿でトランプ大統領を批判
・カタールがOPECから脱退
・ブラジルのジャイル・ボルソナロ新大統領が就任

1/2(水)
・習近平国家主席が「台湾同胞に告げる書」発表の40周年記念式典で台湾政策に関する演説(北京)

1/3(木)
・米議会が開会
・米下院がペローシ民主党院内総務を新議長に選出
・米下院が政府閉鎖の解除に向けた予算案を可決
・中国が打ち上げた無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側へ軟着陸
・カナダ外務省がファーウェイの孟晩舟副会長の逮捕以降、中国当局に拘束されたカナダ人が13人に上り、そのうち少なくとも8人が解放されたと発表
・北朝鮮のチョ・ソンギル駐イタリア大使代理が第三国への亡命を要請したと韓国紙が報道

1/4(金)
・トランプ大統領が政府閉鎖問題をめぐり民主党指導部と協議(ワシントンDC)
・パウエルFRB議長が「市場の状況に応じて金融政策を調整することはためらわない」と発言(アトランタ)
・米国務省が「イスラム国」掃討に向けた有志連合の調整を担当する大統領特使にシリア特別代表のジェームス・ジェフリーが就任すると発表
・中国商務部が1月7~8日に米中通商協議を次官級で実施すると発表

1/5(土)
・トランプ大統領が1月下旬のダボス会議で王岐山国家副主席との会談を検討しているとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報道
・ボルトン大統領補佐官がイスラエル、トルコを訪問
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(8週末連続)
・コンゴ民主共和国(旧ザイール)の選挙管理委員会が1月6日に予定されていた大統領選結果発表の延期を発表

●米国の新議会

1月3日に新議会が開会しましたが、下院では民主党が過半数を占めることになり、新議長には民主党院内総務だったナンシー・ペローシが選出されました。以下の記事で述べたとおり、昨年12月に民主党候補者に選出された際には民主党議員32人の反対があったのですが、最終的に造反者は15人にとどまりました。

「ナンシー・ペローシの下院議長候補選出」(18/12/12)

新議会の下院で目立つのは、民主党議員のバックグラウンドの多様性です。まず女性議員は20年前の89年の29人と比べると今年は102人に上りましたが、その内訳をみると、30年前は共和党13、民主党16、今年は共和党13、民主党89。女性の躍進は民主党が支えていることが明らかになっています。

またマイノリティについても、民主党は、初のイスラム教徒(イルハン・オマル(ソマリア系)、ラシダ・トリーブ(パレスチナ系))、初のネイティブ・アメリカン女性(シャリス・デイビッズ(同性愛者で元格闘技選手)、デブラ・ハーランド)の下院議員も誕生させています。

共和党が白人高齢層を中心とする一部の有権者を支持基盤とした偏った政党になったのに対し、民主党は米国の多様性を反映する政党になったことが明確に示されたといえます。この点については、中間選挙の直後に以下の記事で詳しく解説しました。

「米国中間選挙(1):結果の分析」(18/11/14)

一方、バーニー・サンダース派の新人議員アレクサンドリア・オカシオ・コルテスは、年明けのTVインタビューで、富裕層に70%の所得税を課し、それを気候変動問題への対応のための財源に充てるという大胆なアイデアを表明しました。また、ペローシの下院議長就任に反対した15人のほとんどは新人議員です。

こうした急進的なリベラルの動きは目立ちますが、新人議員や極端な主張の声が大きくなるのは今に始まった話ではなく、これをもって民主党全体が大きく左に傾く・・と単純に言えるものではありません。この点についても上記記事で解説しましたが、新議会の状況をふまえて説明を補足します(※メルマガに限定)。

●政府閉鎖の越年

昨年12月21日に政府機関の一部閉鎖が始まり、そのまま越年に至りました。以下の記事で予想したとおりの展開です。

「政府機関の一部閉鎖」(18/12/24)

ナンシー・ペローシ新議長の主導の下、下院は「壁」の建設を管轄する国土安全保障省(DHS)と政府閉鎖の影響を受けている他の政府機関の予算を切り離し、前者(「壁」の予算は含まない)は2月8日まで、後者は9月30日まで有効とする予算案を可決しました。

民主党は上記法案を上院とトランプ大統領に呑ませようとしています。今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●エリザベス・ウォーレンの米大統領選挙への出馬準備表明

2020年大統領選はまだ2年近く先ですが、予備選は来年2月から始まるので、民主党の候補者は今年早々から準備を開始することになります。昨年末、有力候補の一人であるエリザベス・ウォーレン上院議員が早くも出馬準備の表明を行いました。

早ければ今月にも続々と候補者が名乗りを上げると予想されます。現時点における民主党・共和党の候補者選びの展望については、以下の記事で述べたとおりです。

「2019年の展望(1)(大統領選の幕開け)」(1/4)

●ブラジルのボルソナロ新大統領就任

ついに「ブラジルのトランプ」ことジャイル・ボルソナロが大統領に就任しました。

新政権の展望は以下の記事で解説したとおりですが、今週、「2019年の展望(1)」の続編でもあらためて取り上げます。

「ブラジル大統領選挙・議会選挙」(18/10/15)

●バングラデシュ総選挙

ハシナ首相率いる与党アワミ連盟が約9割の議席を獲得して圧勝しました。以下の記事で予想したとおりの結果です。

「バングラデシュ総選挙」(18/12/24)

しかし野党は選挙の不正を主張して再選挙を要求。選挙直前には各地で衝突が発生し、少なくとも17人が死亡したと報じられています。

選挙後の展望については上記記事で解説したとおりですが、補足説明します(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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1/6(日)
・台湾与党・民進党の党首選

1/7(月)
・米中次官級通商協議(中国、~8日)
・河野外相がインド、ネパール、フランス、ロシアを訪問(〜16日)

1/8(火)
・金正恩朝鮮労働党委員長の誕生日
・世界最大の家電見本市「CES」(ラスベガス、〜11日)

1/9(水)
・英議会がBREXIT協定案の審議を再開
・安倍首相がオランダ、英国を訪問(〜11日)

1/10(木)
・ベネズエラ大統領就任式(マドゥロ大統領の2期目)

1/11(金)
・中国共産党の中央規律検査委員会第3回全体会議(〜13日)
・日仏外務・防衛担当閣僚会議(2+2)(フランス)

●台湾の民進党の党首選

蔡英文総統は昨年11月の統一地方選の大敗を受け、民進党の党首を辞任していました。その後任を決めるための党首選です。

「台湾統一地方選挙」(18/11/26)

行政院秘書長の卓栄泰と民間団体「台湾民意基金会」董事長の游盈隆の争いになります。

一方、中国では、1月2日、習近平国家主席が今年最初のスピーチにおいて、中国と台湾の統一に向けた強い意思をアピールしました。統一の時期は明言していませんが、具体化に向けた政治対話を呼びかけたのは初めてのことです。過去の演説と比べると、かつてない切迫感をもって統一を急ぐ姿勢を打ち出しています。この演説から読み取れる習近平の野望について解説します(※メルマガに限定)。

なお、中台関係と台湾情勢については、台湾の現代史を含め、近いうちに解説したいと考えています。

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あとがき
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米俳優スペイシー容疑者、性的暴行容疑で訴追 本人はビデオで否認か(18年12月25日付BBC)

これまで何度も取り上げてきたドラマ『ハウス・オブ・カード』の主演俳優ケヴィン・スペイシーのスキャンダルですが、今回は、スペイシーが「主演していたドラマの役柄になりきった様子で、身の潔白を主張するかのようなビデオをインターネットに投稿した」とのこと。以下がその動画です。

Let me be Frank(18年12月24日)

一体何がしたいのか・・タイトルは、「率直(frank)」と『ハウス・オブ・カード』の主人公フランク・アンダーウッドのダブル・ミーニングでしょう。よほどフランクのキャラクターがお気に入りだったのでしょうか。でも、秘密裏に悪事を働いてきたフランクに自分をなぞらえると、罪を認めてしまうことになる気もしますが・・何にしても、ちょっとイタイ感じがしますね(苦笑)。

『ハウス・オブ・カード』は、昨年末に最終シーズンを見終わりましたが、正直なところ、不完全燃焼な結末。政治ドラマというよりはサスペンス仕立てになっており、こうするしかなかったのかなあ・・とは思いますが、ファンとしては残念でした。まあでも、主演俳優の突然の降板があったにもかかわらず、何とか終わらせて良かった・・というところですかね。

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2 comments on “今週の動き(1/1~13)
  1. KB より
    リズムが戻ってきました

    月曜日のメルマガを見ると、ホッと安心します(笑)
    自分の視点だけで見ていると、情報そのものも、またその内容も偏ってしまうので、やはり1週間に一度のこのメルマガはとても重要と、改めて感じました。

    「トランプシャットダウン」については、このカオスな感じがいかにも。。という印象です。トランプらしいといえばそれまでですが、これはマーケットにも状況次第で影響がでそうで、気になります。それに、民主党のジレンマも興味深い内容でした。今後の変化が楽しみです。

    また、こういった米国のドタバタだけに終始しないのがJDさんのメルマガの楽しいところですが、「バングラの今」興味深く拝読しました。問題山積ながら、国民のマインドが変化している点はとても貴重な情報ですし、この国の希望だと感じます。

  2. KB より
    神のお告げがあったから

    鴻海の郭台銘氏が台湾総統選出馬表明の際に、こう言ったそうですね。それはともかく、台中はこれからどのような方向に向かうのでしょうか?予告されている台湾情勢、台湾現代史、楽しみにしています(笑)
    以前、台湾統一の可能性については懐疑的な視点を示していただいています。なるほどなと思いますが、同時にその中で仰っていた、中国との経済や貿易での双方のメリットもあるでしょうから、どう両立させていくのか。安全保障の問題もあるようですが、当事者(国)がどう考えているのか、イマイチ分かりませんので、よろしくお願いいたします!

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