2018/11/14 05:00 | 米国 | コメント(7)
米国中間選挙(1):結果の分析
■ 米中間選挙、下院は民主党が奪還の見込み トランプ政権に痛手(11月6日付ロイター)
■ 【米中間選挙】フロリダ州上院選で再集計も 他の接戦区でも可能性(11月9日付BBC)
まだ結果が確定していないところもありますが、大勢は判明しました。
上院は共和党が過半数(共和党の場合50)を維持(51)。共和党はネバダとアリゾナを失ったものの、テネシーとテキサスは死守。民主党はモンタナ、ニュージャージー、ウェストバージニアを守ったものの、ノースダコタ、インディアナ、ミズーリで議席を失い、現時点では共和党が1議席増。結果未確定のフロリダでは共和党が優勢です。ミシシッピでは11月27日に決選投票が行われる見通しです。
下院は民主党が過半数(218)を奪還(225)。現時点では民主党が32議席増。未確定議席が判明すれば230を超えるかもしれません。
州知事は民主党が7州(イリノイ、カンザス、メイン、ミシガン、ネバダ、ニューメキシコ、ウィスコンシン)を奪還し、民主党23/共和党25とほぼタイに。しかし、オハイオ、アイオワという重要州は共和党が死守しました。フロリダも共和党と思われましたが、再集計の見通しです。ジョージアも決選投票に持ち込まれる見通しです。
州議会は民主党が5議会を奪還しましたが、民主党37/共和党62と共和党が過半数を占める議会が依然として大きく上回っています。
「中間選挙のポイント(5)」(11/6)の「最後の結果予想」で述べた予想(上院:共和党+1~2、下院:民主党+25~35、知事:民主党+7~8、州議会:民主党が伸びるが共和党が過半数維持)のとおりの結果でした。
中間選挙については5回にわたり解説してきました。
・「中間選挙のポイント(1)/(2)/(3)/(4)/(5)」(10/25・26・31・11/2・6)
本日は、以上の分析で述べたポイントに照らしつつ、結果の分析をお伝えします。細かい話よりもまずは要点やトレンドを述べて欲しい、というご要望が多いので、各州や候補者のディテールは追い追い別の記事でお伝えすることにして、まずは全体像に絞ります。
なお、今回の選挙では、私を含む多くの専門家の予想がほぼ的中していますが、その大きな理由はベースになる世論調査の精度が向上したことです。米国の選挙予想専門家たちは、16年大統領選で「予想を外した」といわれて責められたことを教訓に様々な検討を重ねてきました。その努力に敬意を表します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
***********
米国中間選挙(1):結果の分析
***********
●共和党の「トランプ党」化
●民主党の多様性
●民主党の支持基盤の拡大
***********
あとがき
***********
■ 「進撃の巨人」がハリウッドで実写映画化、監督は「IT/イット」のアンディ・ムスキエティ(10月30日付Gigazine)
もはや定番になっているマンガのヒット作の実写映画化ですが、今度はハリウッド。たしかに、登場人物はほとんど欧米系なので(ドイツ系の名前が多い)、キャラクターに関しては向いているのかもしれません。ミカサや最近出てきた「ヒイズル国」は日本人キャストが使えそうですが。
ちなみに日本映画の実写版は以前、機内で見ました。あまりにも評判が悪かったので、期待値マイナスで見たら意外と楽しめましたね。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
7 comments on “米国中間選挙(1):結果の分析”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
ここまでは、重要な支流について、今日はそれが大河となるかどうか…
マイノリティや民主党の躍進が、そこそこ大きな流れになっていると思いがちでしたが、そこはより丁寧に見ていく必要があるわけですね。
今後注目すべき地区の住民のステータスや属性、加えて超党派で取り組むべき米国の課題など、、とても分かりやすく示されていて、とても有意義な記事でした!
次期大統領に立候補説が日本にまで流されている・・
可能性はどうかな・?・・・
( ^ω^)
ドットフランク法が「下院金融サービス委員会」でしばしば話題になりますが、中間選挙後、委員長が共和党のジェブ・ヘンサーリング下院議員から民主党のマキシン・ウォーターズ議員に代わるかもしれない、といわれているようです。
仮にそうなると、再び金融機関の監視強化、金融機関には向かい風、よってマーケットも軟調・・・というシナリオも見えてきたり。。。
思惑に振り回されないためにお伺いしたいのですが(笑)、
そもそも、この委員長というのはどうやって決まるのか?
委員会ではどのように法律が制定され、施行までの流れはどのようなものなのか?
既にご説明されていましたら申し訳ございませんが、お時間ありましたらぜひ教えてください。
ご質問ありがとうございます。
メルマガで回答しますので、少しお待ちください。
アメリカ中間選挙に関するJDさんの解説で一番驚きだったのは、「カバノー効果」です。
「カバノー騒動で、共和党支持者の結束が固まり、トランプ支持率アップに繋がった」ということでした。一方でメルマガでもご指摘の通り、カバノー騒動は穏健な保守層を共和党から遠ざける側面もあったはずなので、以下のような疑問を持っています。
・プラス面(支持者の結束強化)とマイナス面(穏健な保守層を遠ざける、さらにはリベラル層の結束強化も?)がある中で、何が起こったのかについて、もう少し知りたい。
・例えば「マイナス面が顕在化するのはもともと民主党が有利なところで、プラス面が顕在化するのは両党せめぎ合っているところだったので、合計するとトランプ陣営にはプラスに働いた」みたいなことがあったのか。
同じことだが「重要州の知事選においては、プラス面の顕在化が大きかった」みたいなことが?
・トランプ陣営は、こうした帰結をある程度予測していたのだろうか。
・民主党陣営がカバノー騒動において、何かしくじりをやったとすれば、それは何なのか。それはどのように有権者に響いたのか。
こうした論点について、何かご意見があれば伺いたいと思います。
ちなみに私は、カバノー氏が議会証言で感情をあらわにし、質問に答えず「あなたはどうなんですか」と逆質問で論点回避しているのを見て、「なんで普通に応対できないのだろう」「こんな人が終身の司法の最高位に相応しいのだろうか」と思っていました。私は自分が思っているよりも、リベラルなのかも知れません。
興味深いご質問とご指摘ですね。どうもありがとうございます。
こちらもちょっと複雑な話になるので、メルマガで回答いたします。お待ち下さい。
メルマガでの「カバノー効果」についての解説、ありがとうございました。
へぇ、と思ったのは「思い切って怒りで対応」の下りです。
ぐずぐずしてやり損ねた民主党と勝負に出たカバノー側(トランプ側)という構図は新しい視点でした。
『イチケイのカラス』、最高に面白いと思います。モーニングを買う理由の一つになっています。
全く分野は違いますが、いま最も楽しみな漫画は『ザ・ファブル』です。これのためだけにヤンマガを買っている状態です。ただしこれは途中からでは無く、最初から読むことをお勧めします。