プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/09/05 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(9/4~10)バイデンの演説、アラスカ下院補選、トランプ捜査、米中間選挙、ロシアのウクライナ侵攻、ゴルバチョフ死去、英保守党の党首選


9月になりました。心機一転、新しい職場や学業が始まることが多い時期ですね。私も今まで色々な職場や場所を移ってきたので、あちこちで新しい門出や人事異動など見ていると、感慨深くなります。

今の私は、どのような環境でどのような仕事をするかを自分で決めているので、目の前の課題に取り組んでいると、それだけで時間が過ぎてしまいがちです。新しい世界にチャレンジする人の話を聞くと、自分の気持ちも高揚するので、私も、心機一転、フレッシュな気持ちで仕事に向かい合おうと思いました。

とりあえず今月からは、何とか時間をつくって、腰を落ち着けて長期的課題に取り組みたいと思います。メルマガも、そうした考察を生かして、より深いインサイトを提供するようにしますので、ご期待下さい。

***********
先週の動き
***********

8/28(日)
・米海軍第7艦隊が2隻のミサイル巡洋艦による台湾海峡の通過を発表
・韓国の野党「共に民主党」の代表選(李在明国会議員を選出)

8/29(月)
・ウクライナ軍が南部でロシア軍への反攻を開始し、ヘルソン州でロシアの「第1防衛線」を突破したと発表
・IAEAのグロッシ事務局長率いる調査団がキーウに到着
・イラクのムクタダ・サドルが政治活動からの引退を表明、サドル支持者と親イラン勢力がバグダッドで衝突

8/30(火)
・バイデン大統領がペンシルバニア州ウィルクスバリで銃規制に関する演説
・米司法省がマール・ア・ラーゴでの押収品はFBIの捜索を妨害する目的で隠されていた可能性があることを示す裁判書類を公表
・米軍のアフガン撤退から1年
・ロシア軍の軍事演習「ボストーク(東方)2022」(ロシア極東、~9/5)
・EU外相会合(プラハ、~31日)
・EU国防相会合(同)
・ソ連のゴルバチョフ元大統領が死去
・台湾の蔡英文総統が澎湖諸島の軍の基地を視察

8/31(水)
・米・イラク首脳電話会談
・アラスカ州下院選補選の結果発表(民主党のメアリー・ペルトラ元州議会議員が勝利)
・ロシア・イラン外相会談(モスクワ)
・ノルド・ストリーム1が保守作業のため稼働停止(~9/3)
・G20環境・気候相会合(バリ)
・国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関する報告書を公表

9/1(木)
・バイデン大統領がペンシルバニア州フィラデルフィアで民主主義に関する演説
・アリゾナ州のデューシー知事が台湾の最英文総統と会談(台北)
・IAEAの調査団がザポリージャ原子力発電所に到着、現地調査(~3日)
・ロシアの石油会社ルクオイルのマガノフ会長が入院先の病院で窓から転落して死亡
・台湾軍が金門島付近で正体不明の民用ドローンを撃墜
・カザフスタンのトカエフ大統領が24年予定の大統領選挙を本年秋に前倒しで実施する方針を表明
・ポーランドが第2次世界大戦中のナチス・ドイツの侵攻と占領による損害を約6兆2,000億ズロチと試算した報告書を発表
・アルゼンチンのキルチネル副大統領が拳銃を頭に向けられる事件
・日米韓の北朝鮮問題に関する実務者会合(ホノルル)

9/2(金)
・G7財務相会合(オンライン)
・IAEAのグロッシ事務局長がオーストリアに帰国、ザポリージャ原子力発電所に調査団の専門家2人を常駐させると表明
・ウクライナ軍がザポリージャ原子力発電所に近いエネルゴダル周辺にあるロシア軍の拠点に攻撃を行ったと発表
・米国務省が台湾への11億ドル超の武器売却を承認したと国防総省が発表
・フロリダ州ウェストパームビーチ連邦地裁のキャノン判事がマール・ア・ラーゴでの押収品の詳細を示す裁判書類を公表
・中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会(応勇元湖北省党委書紀を最高人民検察院の副検察長とする人事を決定)(北京)
・イランが核合意の再建に向けた「最終文書」への米国の回答に再び意見を送ったと発表

9/3(土)
・ガスプロムがノルド・ストリーム1の稼働停止の延長を発表
・ソ連のゴルバチョフ元大統領の葬儀(モスクワ)
・G20エネルギー移行相会合(バリ)
・中国の抗日戦勝記念日
・深センが市内中心部を事実上封鎖(~4日)

●バイデンの演説、アラスカ下院補選、トランプ捜査、中間選挙

バイデン大統領がフィラデルフィアの独立記念館の前で、プライムタイムという異例の時間帯に「米国の魂をかけた戦い」と題する演説を行いました。トランプ前大統領とその支持者である「MAGA」信奉者を米国の民主主義にとっての脅威であると非難し、中間選挙に向けて、彼らの過激主義を拒否するよう呼びかけました。

トランプについては、マール・ア・ラーゴでの劇的な捜索後(以下の記事参照)、引き続き捜査が進められており、押収品の内容や捜索をめぐる状況が開示されました。トランプ側がこれまで捜索に適切に対応していなかったことや、「機密」と書かれた空のフォルダーが多数見つかったことなど(中身がどこかに消えた可能性がある)、司法妨害や機密書類の不適切な取り扱いの疑惑が新たに強まっています。

「FBIのトランプ捜査」(8/22)

アラスカ州では、下院補選の結果が発表され、民主党候補のメアリー・ペルトラ元州下院議員が共和党候補のサラ・ペイリン元アラスカ州知事・元副大統領候補らを破って勝利しました。以下の記事で書いたとおり、民主党がアラスカで勝つのは歴史的な快挙です。もっとも、来年1月に任期が満了するので、11月の中間選挙で再びペイリンらとの勝負になります。

「中間選挙の予備選(ワイオミング、アラスカ)」(8/22)
 
こうした最新の動きについて解説します。また、これらの動きを踏まえ、現時点での中間選挙の展望についてポイントを述べます(※メルマガで解説)。

なお、先週、アフガンからの米軍撤退から1年を迎えましたが、米国ではほとんどニュースになりませんでした。外交・国際政治においては大きな意味のあるイベントでしたが、米国内では、撤退前後にはバイデン政権の対応が批判され、支持率が下がったものの、時間の経過とともに米国民の関心は失われ、中間選挙への影響は皆無になりました。1年前に以下の記事で述べたとおりの展開です。

「米国のアフガン戦争の終結」(21/9/6)
「アフガニスタン現代史」総集編第12号所収)(2/22)

それどころか、泥沼化した戦争から米国を退かせ、米国民の被害を抑えたことは、バイデン政権のレガシーになり、しかもアルカイダのリーダーであるザワヒリの殺害に成功したことは、現地に米軍を置かずともテロ戦争は進められることを示しました。少なくとも米国内では、バイデン政権・民主党にとって追い風にもなり得るものです。これも、上記記事で指摘していたとおりです。

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(9月5日)で196日目を迎えました。

主戦場は引き続き東部(ドンバス)と南部(ヘルソン)ですが、先週、今後の戦況を占う上で大きな意味をもつ可能性のある動きがありました。ウクライナ軍が南部でのロシア軍への反攻を開始すると宣言し、ヘルソン州でロシアの「第1防衛線」を突破したと発表しました。

これに対し、ロシアは、ウクライナの戦果の発表はプロパガンダであり、むしろウクライナ軍は南部で進撃を止められ、かなりの損害を出していると発表しています。もっとも、多くのロシアの軍事ブロガーがコンタクトライン全体で様々な攻撃が起こっていることをレポートしています。

また、ザポリージャ原子力発電所への砲撃は引き続き原子力災害の大きなリスクになっていますが、IAEAのグロッシ事務局長が率いる調査団が現地に到着、調査を行いました。グロッシは帰国し、今週にも調査報告書を発表すると述べましたが、調査団の専門家2人を常駐させる方針だと表明しています。

また、G7財務相会合が開催され、ロシア産石油の輸入価格に上限を設ける措置を12月5日に導入することで合意しました。上限を超える石油の海上輸送に保険会社が保険サービスを提供することを禁じるとしています。以下の記事などで何度も取り上げてきた二次的制裁ですが、ようやく導入に至りました。

・「ロシアのウクライナ侵攻」(5/923) 

こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●ゴルバチョフの死去

ソ連の最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領が91歳で死去しました。レーニンスターリンら歴代のソ連指導者の葬儀が行われたモスクワの労働組合会館「円柱ホール」で葬儀が行われましたが、プーチン大統領は欠席しました(その前に病院を訪問し、棺に花を捧げました)。

ゴルバチョフの死去は、現在の国際情勢に影響を与えるものではありませんが、歴史的な役割を果たした政治家であることは言うまでもなく、またその評価をめぐって様々な意見が表明されています。これについてコメントします(※メルマガで解説)。

***********
今週の動き
***********

(※英保守党の党首選など。メルマガで解説。)

***********
あとがき
***********

日本の若者よ、もっと酒を飲もう 国が税収増狙い奨励(8月19日付BBC)

酒税収入の増加のために国民に飲酒を呼びかけるという国税庁の企画「サケビバ!」、物議を醸したようですが、海外でも物珍しさからか、メディアが取り上げる例が目立ちました。

海外では、これとは逆に、イスラム教のような宗教・道徳的な理由のみならず、社会生活上の配慮から、国が飲酒を制限ないし禁止する例もあります。

たとえばインドには現在禁酒州が4つありますが(ビハール、グジャラート、ナガランド、ミゾラム、部分的な禁止であれば他の州も)、当初の導入は、飲酒に対して不寛容なヒンドゥー文化の影響によるものでした。マハトマ・ガンディーが禁酒運動を主導し、彼の出身地であるグジャラートでいち早く導入されたのです。

モディ首相も、厳格なヒンドゥー主義者として有名ですが、酒は一切飲みません。政治指導者としても、グジャラート州首相時代から、飲酒の規制や社会道徳の唱道に熱心です。

一方、近年の飲酒規制の導入は、男性が飲酒をすると家庭内暴力をふるうとか、働かなくなると考えられたことによるものです。このため、主婦・女性たちが禁酒運動を主導してきたのです(※ここから先はメルマガをご覧下さい。この部分は無料版でも読むことができます)。

メルマガ「世界情勢ブリーフィング」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

コメントを書く

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。