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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/04/11 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(4/10~16)ロシアのウクライナ侵攻、ハンガリー選挙、KBJの最高裁判事就任、パキスタン首相失職、フランス大統領選挙


すっかり春の陽気になりました。朝起きると本当に気持ちよくて、冬の寒いときとは別の理由でベッドから出るのが遅くなります。私は朝型なので、早いときは4時半に起きるのですが、このところ5時半頃になっています。

さて、春のオンラインセミナーはもう来週水曜(4月20日)です。かんべえさん(吉崎達彦さん)と一緒に、最近の世界情勢について色々なお話をする予定です。

かんべえさんも溜池通信でご紹介してくれました。参加者の皆様は気楽に自由にお話をすることができます。ご関心がありましたら、ぜひ上記リンクをご覧下さい(※日時にご都合がつかない場合、録画を視聴することができます)。

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先週の動き
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4/3(日)
・ゼレンスキー大統領がキーウ周辺のブチャでの多数の民間人の殺害を受けてロシア軍はジェノサイドを行ったと非難
・ハンガリー議会選挙(与党フィデスが勝利)
・セルビア大統領選挙・議会選挙(ブチッチ大統領と与党セルビア進歩党が勝利)
・コスタリカ大統領選挙の決選投票(ロドリゴ・チャベス前財務相が勝利)
・パキスタンのアルビ大統領が下院を解散
・グラミー賞授賞式(ゼレンスキー大統領がビデオ演説)(ラスベガス)

4/4(月)
・バイデン大統領がキーウ周辺のブチャでの多数の民間人の殺害を受けてプーチン大統領を「戦争犯罪人」と非難
・米国防総省がキーウ(キエフ)周辺に集まっていたロシア軍の3分の2が再配置を始めたと表明
・ドイツ、フランス、スウェーデン、デンマークが駐在するロシアの外交官の国外退去を発表
・リトアニアとラトビアがロシアとの外交関係の格下げを発表
・米財務省が米金融機関を介したロシアのドル建て国債の元利払いのドルでの支払いを不許可
・プーチン大統領が一部の「非友好国」の国民への入国ビザの発給を制限する大統領令に署名
・中国・ウクライナ外相電話会談
・カナダがロシア追加制裁を発表
・香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が行政長官選挙への不出馬を表明
・ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)

4/5(火)
・ウクライナでのロシア軍による民間人殺害に関する国連安保理の緊急会合(ゼレンスキー大統領がオンライン演説)(NY)
・フォンデアライエン欧州委員長がロシア追加制裁案を発表(石炭輸入禁止等、4月7日にEU各国が承認)
・リトアニアがロシアからの天然ガスの完全停止を発表
・ラトビア、エストニア、イタリア、スペイン、スロベニアがロシアの外交官の国外退去等を発表
・チェコがウクライナへの戦車の供与を発表
・米英豪がAUKUSの進捗状況のレビューの首脳声明(極超音速兵器の共同開発を含む)を発表
・下院軍事委員会が23会計年度の国防予算案に関する公聴会を開催(オースティン国防長官とミリー統合参謀本部議長が証言)
・英国が原発最大8基の新設を含むエネルギー計画を発表
・EU財務相理事会(ルクセンブルク)
・オクラホマ州下院が人工妊娠中絶を「重罪」とする法案を可決
・北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長が「南朝鮮(韓国)が軍事的対決を選択するなら我々の核戦力は任務を遂行する」と威嚇する談話を国営朝鮮中央通信が発表
・ツイッターがテスラのマスクCEOの取締役就任を発表

4/6(水)
・米国がロシア追加制裁を発表(ズベルバンクとアルファバンクの資産凍結等)
・米司法省がロシアのオリガルヒのコンスタンチン・マロフェーエフを制裁違反の容疑で訴追したと発表
・NATO外相理事会(ウクライナも参加)(ブリュッセル、~7日)
・ロシア・ハンガリー首脳電話会談
・ハンガリーのオルバン首相がロシアから輸入する天然ガスの購入代金をロシアの通貨ルーブルで支払う方針を表明
・ロシア財務省が4月4日が支払期日だったドル建て債務への支払いを初めてルーブルで行ったと発表
・IEAが合計6000万バレル(米国除く)の石油備蓄の追加放出を決定
・イスラエルの与党連合から「ヤミナ」のシルマン議員が離脱
・アルメニア・アゼルバイジャン首脳会談(ブリュッセル)

4/7(木)
・ロシアのペスコフ報道官がロシア軍は多大な損失を被ったとインタビューで発言
・G7外相会合(ウクライナも参加)(ブリュッセル)
・米国がロシア追加制裁を発表(ロシアの国営企業のダイヤモンド採掘会社と軍艦を製造する造船会社への制裁)
・米商務省がアエロフロートを含むロシアの航空会社3社にロシア制裁違反を理由に罰則を科すと発表
・米上下両院がロシア制祭の2法案(ロシアとベラルーシの最恵国待遇(MFN)取消しとロシアからのエネルギー輸入禁止)を可決
・国連総会の緊急特別会合でロシアの国連人権理事会の理事国の資格を停止する決議が採択(93か国が賛成、24か国が反対、58か国が棄権)(ロシアは脱退を表明)(NY)
・ベラルーシのルカシェンコ大統領がウクライナでベラルーシ人を救出するための特別作戦を行ったと安全保障会議で発言
・ペローシ下院議長が新型コロナウイルス感染により日本と台湾への訪問を延期
・米上院がケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事の連邦最高裁判事指名を承認
・イエメンのハディ大統領が大統領権限の指導評議会への移譲を発表

4/8(金)
・ウクライナのドネツク州のクラマトルスクの駅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、52人が死亡したとキリレンコ知事が発表
・ウクライナのマリウポリの市長が少なくとも3万1000人の市民が「ドネツク人民共和国」に強制連行されたと表明
・フォンデアライエン欧州委員長がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・スロバキアがウクライナへの地対空ミサイルシステム「S300」の供与(米国はスロバキアにパトリオットをスロバキアに提供)を発表
・EUがロシア追加制裁を発表(ズベルバンクのCEOやプーチン大統領の娘2人を含む200人以上の個人、18団体を制裁対象に追加)
・日本がロシア追加制裁を発表(石炭輸入禁止等)
・ロシア中銀が政策金利を引き下げ(20→17%)
・英独首脳会談(ロンドン)
・中比首脳電話会談
・台湾独立運動の指導者の彭明敏氏が死去

4/9(土)
・英国のジョンソン首相とオーストリアのネハンマー首相がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・香港の政務官を辞任した李家超(ジョン・リー)が5月の行政長官選挙への出馬を表明
・パキスタン下院がカーン首相の不信任決議案を可決
・日比外務・防衛閣僚会合(2+2)(東京)

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(4月11日)で47日目を迎えました。

前回の記事でお伝えしたとおり、ロシアは北部キーウ(キエフ)やチェルニヒウから東部ドンバスへの再配備を行うと宣言、それに沿った動きを見せていましたが、先週、米国防総省もキーウ周辺に集まっていたロシア軍の大部分が再配置を始めたと発表。キーフ周辺は完全に解放され、主戦場は東部(マリウポリ、ドネツク、ルハンスク)、北東部(ハルキウ、イジューム)、南部(ヘルソン、ミコライウ)に集約されてきました(地図はこちらを参照)。

ロシアはマリウポリを制圧したと発表しましたが、実際にはウクライナ軍は拠点を維持しており、戦闘は続いています。東部と北東部でロシア軍はほとんど進展を見せず、南部ではウクライナ軍の反撃を受け、占領地を縮小しつつあります。

一方、ロシア軍が撤退したキーウ近郊のブチャでは410人の民間人の犠牲者が発見。拷問や虐待の跡もあり、ゼレンスキー大統領は「ジェノサイド」が行われたと非難。バイデン大統領はプーチン大統領を「戦争犯罪人」と呼びました。

ブチャでの虐殺を受けて、欧州各国や日本は、ロシアの外交官の国外退去や外交関係の格下げを相次いで発表。国連総会の緊急特別会合では、ロシアの国連人権理事会の理事国の資格を停止する決議が採択され(93か国が賛成、24か国が反対、58か国が棄権)、ロシアは脱退を表明しました。

また、EUと米国はロシア追加制裁を発表。EUは石炭輸入禁止、米国はズベルバンクアルファバンクの資産凍結等を導入しました。

さらに、ドネツク州のクラマトルスクの駅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、52人の民間人が死亡したとキリレンコ知事が発表しました。東部、北東部、南部で戦闘は継続していますが、ペスコフ報道官は、ロシア軍は多大な損失を被った、近いうちにロシアは目標を達成するか、あるいは交渉が実現すると思うとインタビューで述べました。

こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●ハンガリー議会選挙

ハンガリー議会選挙が行われ、ヴィクトル・オルバン首相率いる与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が定数199議席の3分の2を超える136議席を得て大勝しました。以下の記事で述べたとおりの展開でした。

「ハンガリー議会選挙」(4/4)
 
これにより、2010年から続くオルバンの長期政権は4期目に入ります。今回の選挙の意義と今後の展望について解説します。

●ジャクソン判事の最高裁判事就任

米上院がワシントンDCの連邦巡回控訴裁のケタンジ・ブラウン・ジャクソン(KBJ)判事の連邦最高裁判事指名を承認しました。賛成53、反対47で、共和党議員はミット・ロムニー、スーザン・コリンズ、リサ・マコウスキーが賛成票を投じました。

1月の時点で以下の記事で指摘したとおりの展開でした。KBJは初の黒人女性の最高裁判事になります。その意義についてコメントします。

「ブライヤー最高裁判事の引退」(1/31)
 
●パキスタンのカーン首相の失職

パキスタンの下院がイムラン・カーン首相の不信任案を可決し、同首相が失職しました。カーンは18年10月に首相に就任しましたが(以下の記事参照)、選挙を迎えることなく退任に追い込まれました。この意義と今後の展望についてコメントします。

「パキスタン現代史(3):イムラン・カーン新政権の展望」(18/9/28)
 
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今週の動き
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(※フランス大統領選挙など、メルマガで解説。)

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あとがき
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グッチーポストで「CRUのひとり言」のブログとメルマガを書かれているKonanさんから、拙稿「ロシアのウクライナ侵攻:国際政治の理論からの考察」(3/25)に対して、素晴らしいコメントをいただきました。

Konanさんのご指摘はすべて的確と思いました。「バランス・オブ・パワー(力の均衡)」については、オンライン講演では少し詳しく話したのですが、リアリズムの根幹ともいうべき考え方です。このアプローチによると、ロシアの攻撃的な姿勢は外的要因(西側の圧力)に起因するという結論になりやすいのですが(主流の見方)、ただ「脅威の均衡」「覇権(一極)安定型」「力の移行理論」といった発展モデルもあり、異なる結論が導かれる可能性があるとも私は思っています。

また、Konanさんは英国で国際関係論を学ばれたとのことですが、国際関係論には英国学派というものがあり、私が説明した国際関係論とはやや趣きが異なります(基本的なところは共通していますが)。ここはマニアックで説明が難しいので、オンラインセミナーなどの機会に時間があれば少し触れてみたいと思います。

それにしてもこうしてフィードバックをいただいて、さらに議論を深められるのは素晴らしいことです。メルマガ冥利に尽きます。オンラインセミナーでも、自由な意見交換の時間を十分に確保する予定なので、ぜひインタラクティブに色々な話ができればと思います。

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