2022/04/04 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(4/3~9)ロシアのウクライナ侵攻、ロシアのエネルギー輸出、予算教書、イラン核合意交渉、ハンガリー選挙
新年度になりました。桜も満開になり、入学式や入社式の光景をあちこちで見かけました。毎年のことですが、コロナでリアル開催が中断されていたので、何か新鮮に感じられますね。
私も大学に入学したとき、新社会人になったときを思い出します。新しい環境で期待と不安が交錯しているかと思いますが、応援しています。私も初心にかえって、さらに飛躍する年度にしたいと思います。
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先週の動き
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3/27(日)
・イスラエル、米国、UAE、バーレーン、モロッコ、エジプトの外相会合「ネゲブ・サミット」(イスラエル・スデボケル)
・ブリンケン国務長官とイスラエルのベネット首相、ラピド外相が会談(エルサレム)
・ブリンケン国務長官とパレスチナ自治政府のアッバス議長が会談(ラマラ)
・ドイツのザールラント州議会選挙(与党SPDが大勝)
・アカデミー賞授賞式(ハリウッド)
3/28(月)
・バイデン大統領が23会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を議会に提出
・米比合同軍事演習「バリカタン」(フィリピン、~4/8)
・カリフォルニア州の連邦地裁が連邦議事堂襲撃事件に関する民事訴訟の判決でトランプ前大統領はおそらく上下両院合同会議を不正に妨害しようとしたとの事実認定
・ロシアがガス輸出代金をルーブルで受け取る方法を策定していると表明
・ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」がウクライナにおけるロシアの軍事作戦が終わるまで一時的に新聞発行と電子版での活動を停止すると発表
・上海の東部で新型コロナウイルス対策のロックダウン(継続中)
3/29(火)
・ロシアとウクライナの停戦協議(イスタンブール)
・ロシア国防省のフォミン次官がウクライナのキーウとチェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表
・米英独仏伊首脳電話会談
・仏ロ首脳電話会談
・米・シンガポール首脳会談(ワシントンDC)
・米国で反リンチ法が成立
3/30(水)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長と米国防総省のカービー報道官がプーチン大統領はロシア軍や経済の状況について部下から誤った情報を報告されていると発言
・米国防総省のカービー報道官がキーウ周辺に位置していたロシア軍の2割近くが再配置を始めたと表明
・独ロ、イタリア・ロシア首脳電話会談
・アフガン周辺国(中国、ロシア、パキスタン、イラン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アフガン(タリバン))の外相会議(安徽省屯渓、~31日)
・中ロ外相会談(同)
・南オセチアがロシア編入の是非を問う住民投票の実施を表明
・ドイツのハベック経済・気候相が天然ガスの安定調達を巡る「早期警報」の発令を発表
・ブリンケン国務長官とUAEのムハンマド・ビン・ザイド皇太子が会談(モロッコ・ラバト)
・米財務省がイランの弾道ミサイル開発を支援したとして物資調達担当のイラン人と関連企業に制裁を科したと発表
3/31(木)
・バイデン大統領がロシア軍のキーウ周辺からの撤退について「懐疑的」と発言
・ウクライナ政府がロシア軍のチョルノービリ原子力発電所からの撤退を発表
・ウクライナ・トルコ首脳電話会談
・ゼレンスキー大統領が豪州、ベルギー、オランダの議会向けにオンライン演説
・米財務省がロシア最大の半導体メーカーなど21団体と個人13人に経済制裁を科すと発表
・プーチン大統領がロシア産天然ガスを購入する場合にルーブルでの支払いを義務付ける大統領令に署名
・ドイツ・イタリア首脳電話会談
・バイデン大統領が戦略石油備蓄を今後6か月間1日当たり平均100万バレル追加放出すると発表
・OPECプラス閣僚会議(オンライン)
・日米韓の軍トップの会談(ハワイ)
・中国とソロモン諸島が安全保障協定締結で合意したと発表
・インドネシア、タイ、フィリピン、ミャンマーの外相が中国を訪問(~4/3)
・トルコの検察がカショギ記者殺害事件の公判を停止しサウジに移管するよう裁判所に要請
4/1(金)
・欧州議会のメツォラ議長がウクライナを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・ロシア・トルコ首脳電話会談
・印ロ外相会談(デリー)
・ウクライナの軍用ヘリコプターがロシアのべルゴロド州の燃料貯蔵施設を攻撃したと同州のグラドコフ知事が発表(ウクライナは否定)
・中国・EU首脳会議(オンライン)
・米商務省がロシアとベラルーシの企業や研究所等の120団体への輸出規制を発表
・米財務省が北朝鮮のICBMの開発等に関与した5団体を制裁対象に指定したと発表
・IEA緊急閣僚会合(石油備蓄の追加放出で合意)(オンライン)
・上海の西部で新型コロナウイルス対策のロックダウン(~4/5)
・スリランカのラジャパクサ大統領が全土に非常事態を宣言
4/2(土)
・ウクライナのマリャル国防次官がキーウ州全域をロシア軍から解放したと発表
・日・ウクライナ外相会談(ワルシャワ)
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(4月4日)で40日目を迎えました。侵攻直後の時点では、おそらくゼレンスキー大統領とウクライナ国民以外には誰も予想できなかった長期戦が続いていますが、先週、戦局が大きく変わる動きが見えてきました。
まずロシアとウクライナの停戦協議がトルコの仲介によりイスタンブールで開催。ここでウクライナ代表団は、ロシアが求めていた中立化について具体的な提案を表明しました。NATO加盟を断念する代わりに、ロシア、中国、米国を含む安保理常任理事国、ドイツ、トルコ、ポーランド、イスラエル、イタリア、カナダによる安全の保証のメカニズムの構築を求めるというものです。またクリミアについては、15年間かけて交渉することを提案し、ドンバスについては首脳間で話し合うべきと主張しました。
ロシア代表団は本国に報告するとコメント。プーチン大統領は、電話会談を行ったイタリアのドラギ首相によれば、停戦や首脳会談について、「まだ機は熟していない」と述べていたとのことでした。
停戦協議の後、ロシア国防省のフォミン次官は、ロシアはキーウ(キエフ)とチェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表。米英の国防省も、キーウ周辺のロシア軍の一部が「再配置」を始めたことを確認したと発表しました。ただ、米国防総省とバイデン大統領は、「撤退」の動きは認められないとも述べています。
ウクライナ軍はキーウ周辺での攻勢を続け、奪還地域を拡大しています。英国防省はロシア軍がホストメリの空港から撤退したと発表。ウクライナのマリャル国防次官は、キーウ州全域をロシア軍から解放したと発表しました。また、ロシア軍はチョルノービリ(チェルノブイリ)原発からも完全に撤退したようです。
こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●ロシアのエネルギー輸出
プーチン大統領がロシア産天然ガスを購入する場合にルーブルでの支払いを義務付ける大統領令に署名しました。ガスを購入する企業は、制裁対象外の国営銀行であるガスプロムバンクに口座を開設し、ユーロやドルで支払われた代金をルーブルに変換してからガスプロムに送金することが要求されています。
以下の記事で述べたとおり、プーチンやロシアの政府高官はルーブル払いを求めることを示唆していましたが、その具体化となる措置になります。ロシアの欧州へのエネルギー輸出の展望については、これまで解説してきましたが、今回のロシアの措置の意義についてコメントします(※メルマガで解説)。
・「米・EUのエネルギー協力」(3/28)
●バイデン政権の予算教書
バイデン政権が23会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を議会に提出しました。歳出規模は5.8兆ドル。コロナ対策により6兆ドルに上った前年度からは減少していますが(以下の記事参照)、それでも巨大な規模です。
・「バイデン政権の予算教書」(21/6/3)
今回の予算教書のポイントを解説します(※メルマガで解説)。
●イラン核合意交渉
イラン核合意交渉については、以下の記事で、近いうちにまとまるとの見通しを述べましたが、その後も交渉は継続しています。この点についてコメントします(※メルマガで解説)。
・「イラン核合意交渉」(3/21)
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今週の動き
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(※ハンガリー議会選挙など、メルマガで解説。)
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あとがき
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■ ロシア、侵攻非難した俳優ドパルデュー氏に「説明」申し出(4月2日付AFP)
ジェラール・ドパルデューのロシア愛については、こちらの記事で紹介しましたが、ウクライナ侵攻に対しては「クレイジーで受け入れ難い」と厳しく非難したとのこと。
驚きましたが、それに対してペスコフ報道官は、ドパルデューさんは状況をよくわかっていない、必要なら我々から説明すると弁明。わざわざこんなことを言う必要もないのではと思ってしまいますが、プーチンのマブダチだけにほってはおけないと思ったのでしょうか。
一方、上記記事でも紹介したとおり、もう一人のロシア大好きセレブといえばスティーブン・セガール。彼はどんなコメントをしているのかと思ったら、こちらのインデペンデントの記事によれば、「私はロシアとウクライナを一つの家族として見ている。2つの国が対立するよう外部の組織が巨額の資金を使ってプロパガンダを行っている」と述べていたそうです。こちらは相変わらずロシアの味方のようですね。
それと、映画監督のオリヴァー・ストーン。こちらの記事でプーチンへのインタビューを紹介しましたが、彼はこれ以降、『ウクライナ・オン・ファイヤー』『Revealing Ukraine』というロシアの言い分をそのまま伝えるドキュメンタリーを制作し、ロシア擁護の論陣を張ってきました。
ロシアの侵攻前には、侵攻などあり得ない、米国が危機を煽っているだけだと主張していました。しかし実際に侵攻が起きると、さすがに、というか侵攻など米国のデマだと言ってきただけに、擁護することはできなかったのでしょう。「プーチンの侵略は正当化できない」とのコメントをフェイスブックに投稿していました。
ただ、「ロシアは米国の罠にはまり、ロシア嫌いのバイデン、ペンタゴン、CIAらを喜ばせた」「ロシアを挑発した愚か者達は恐ろしい罪を犯した」「ロシアとのパートナーシップを失ってしまったのは歴史的な悲劇だ」とも述べ、あくまでも非は西側にあると主張しています。まあ、「米国の罠」はともかく、米欧のロシアへのアプローチのリスクについては、以下の記事で述べたとおり、リアリズムの論者からも言われてきたことではあります。
・「ロシアのウクライナ侵攻:国際政治の理論からの考察」(3/25)
ただ、ストーンのプーチンへのインタビューや、先に述べたウクライナのドキュメンタリーは一見の価値があります。西側が制作したマイダン革命のドキュメンタリー『ウィンター・オン・ファイヤー』では取り上げられなかった視点や重要な事実も紹介されているからです。もちろんロシアのプロパガンダではあるのですが、すべてが虚偽の事実ではありませんし、情報戦の実像を知る上でも、やはりロシア側の主張は把握しておく必要があります。
しかし、ストーンのコメントで感心したのは、侵攻が始まって1週間程度の時点で、「ロシアは自軍を過大評価している」「ウクライナ軍を過小評価している」「欧州の反応を見くびっていた」と述べていたことです。このタイミングでこれだけ的確な指摘をしていたのは評価に値します。元々彼はロシアに洗脳されたというわけではなく、単に米国(の帝国主義的なところ)が嫌いなだけで、イデオロギー自体はそこまで強くないという印象がありました。こういう分析の鋭さはさすがというべきでしょうか。
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