2022/02/21 00:00 | 今週の動き | コメント(1)
今週の動き(2/20~26)ウクライナ情勢、バイデン政権のインド太平洋戦略
今月から、ぐっちーさんの高校時代からの親友で、グッチーポストの草創期から、ブログ「CRUのひとり言」を書き続けているKonanさんが待望のメルマガをスタートしました。本日、早くも第2号を配信する予定とのこと。
Konanさんは、現在は民間で活躍していますが、もともとは公の世界で長年にわたり活躍してこられた方です。ぐっちーさんも生前におっしゃっていましたが、その言葉の一つ一つに日本の中枢におられた方ならではの重みがあります。そんな人のリアルタイムな発信を無料で読めるとは、グッチーポスト、本当に太っ腹ですね(笑)。
金融マーケットはSaltさん、日本政治は永田町ディープスロートさん、マクロ経済や経済政策のKonanさん、そして世界情勢の私と、グッチーポストの陣容は、手前味噌ですが、幅広い分野をバランス良く押さえつつ、他では見られないプロならではの情報を提供できていると思います。ウクライナやエネルギーなど分野横断的なイシューもあり、著者同士のコラボレーションも一層増えてくると思います。ご期待下さい。私も楽しみです。
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先週の動き
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2/13(日)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・カナダ警察がミシガン州デトロイトとオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋のデモ隊を排除
・ドイツ大統領の選出(シュタインマイヤー大統領が再任)
2/14(月)
・米英首脳電話会談
・ブリンケン国務長官が在ウクライナ米国大使館の閉鎖(大使館機能のリビウへの移転)を発表
・G7財務相がウクライナ情勢に関する共同声明を発出
・ロシアのプーチン大統領がラブロフ外相とショイグ国防相との協議を国営テレビで公開
・ウクライナのゼレンスキー大統領が国民向け演説(2月16日を「団結の日」にすると表明)
・独・ウクライナ首脳会談(キエフ)
・トルコのエルドアン大統領とUAE(アブダビ首長国)のムハンマド・ビン・ザイド皇太子が会談(アブダビ)
・イスラエルのベネット首相がバーレーンを訪問(~15日)
2/15(火)
・バイデン大統領がウクライナ情勢に関する演説
・米仏首脳電話会談
・米ロ外相電話会談
・米上院銀行委員会のブラウン委員長がFRBの5人の首脳人事案の承認採決の延期を発表
・独ロ首脳会談(モスクワ)
・ロシア下院がウクライナのドネツク、ルガンスク両州の独立の承認をプーチン大統領に求める決議
・ウクライナ国防省や銀行がサイバー攻撃を受けたと情報通信当局が発表
・イタリア・ウクライナ首脳電話会談
・日・ウクライナ首脳電話会談
・日・EU首脳電話会談
・イスラエルのベネット首相がバーレーンのハマド国王と会談(マナマ)
2/16(水)
・米独首脳電話会談
・NATO国防相理事会(ブリュッセル、~17日)
・米国防総省が先週末にかけてロシア軍機が地中海の国際空域で米海軍の哨戒機の進路を妨害したと発表
・USTRが中国によるWTOルールの順守状況を評価する年次報告書を公表
・中仏首脳電話会談
・北朝鮮の故金正日総書記の生誕記念日
・ロシア・ブラジル首脳会談(モスクワ)
・ASEAN外相会議(プノンペン、~17日)
2/17(木)
・バイデン大統領がロシアがウクライナに侵攻する可能性は非常に高い、数日内と思われると発言
・ブリンケン国務長官がロシアのラブロフ外相からの会談の要請をウクライナを侵攻しないことを条件に承諾したと国務省が発表
・国連安保理がウクライナ情勢に関する会合を開催(ブリンケン国務長官が演説、ロシアはドンバスでロシア語を話す住民の「ジェノサイド」が起こっているとの報告書を提出)
・G20財務相・中銀総裁会議(ジャカルタ、~20日)
・米上院が3月11日までのつなぎ予算案を可決
・ロシア外務省がロシアからのウクライナ情勢に関する要求に対する米国とNATOの回答に対する回答を文書で米国に通知
・日ロ首脳電話会談
・ロシア・イタリア外相会談(モスクワ)
・ウクライナのドネツク、ルガンスク両州で砲撃(継続中)
・英・ポーランド・ウクライナの外相がウクライナの安定を強化するための協力に関する共同声明を発出
・EU首脳会議(ブリュッセル)
2/18(金)
・バイデン大統領がウクライナ情勢に関する演説(ロシアがウクライナ侵攻を決断したと確信していると発言)
・米・大西洋各国首脳電話会談
・米ロ国防相電話会談
・バイデン政権と英政府が2月15日のウクライナ国防省や銀行へのサイバー攻撃にはロシア軍の情報機関が関与していると発言
・バイデン政権がロシアがウクライナに侵攻した場合の制裁について説明
・ミュンヘン安全保障会議(ハリス副大統領、ゼレンスキー大統領が出席)(ミュンヘン、~20日)
・米国立公文書記録管理局が1月にトランプ前大統領の別荘「マール・アラーゴ」から移送したホワイトハウスの記録の中に国家安全保障に関する機密情報が含まれていたことを確認したとの書簡を下院監視・政府改革委員会に提出
・ダンテ・ライト氏の射殺事件で第1級致死罪等で有罪となったキム・ポッター元警官に禁錮2年の量刑の言い渡し
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(モスクワ)
・ウクライナのドネツク、ルガンスク両州の一部を占領する親ロシア派武装勢力の幹部が占領地域の住民をロシアのロストフ州に避難させると発表
2/19(土)
・G7外相会合(ミュンヘン)
・AUKUS外相会合(同)
・ロシアがプーチン大統領の指揮による弾道ミサイル・巡航ミサイルの発射演習を実施
●ウクライナ情勢
ウクライナ情勢の緊張はかつてなく高まり、重大な局面を迎えました。先週金曜、バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、「我々は、ロシア軍が来週、または数日中にウクライナ攻撃を計画していると考えている。キエフがターゲットになる」「しかしロシアはまだ外交を選択することができる」と発言。
バイデンは演説後、記者から、「プーチン大統領が侵攻するかどうかの決断をしたという兆候を何か得ているのか」と質問されると、「現時点で、プーチン大統領は(侵攻を行う)決断したと確信している」「しかし外交は常に可能性がある」と回答しました。
これに先立ち、週前半には、緊張が緩和に向かうかのような動きが見えました。月曜、プーチンは、ラブロフ外相とショイグ国防相から、それぞれ米欧との交渉とベラルーシでの軍事演習について報告を受ける様子を国営テレビで公開。ラブロフは、米・NATOへの回答はドラフトができている、合意のチャンスはある、交渉を続けたいと進言。ショイグは、ベラルーシでの軍事演習の一部は終了し、撤退を始めている、2月20日には予定どおりすべて終了すると説明しました。
また、ドイツのシュルツ首相は、予定どおり、月曜と火曜にウクライナとロシアを訪問し、ゼレンスキー大統領、プーチンと会談。プーチンは、会談後の記者会見で、ドンバスでロシア語話者の「ジェノサイド」が起こっているという主張を繰り返しましたが、西側との交渉を続ける意思を表明。これにより、米情報機関からメディアにリークされていた「2月16日侵攻シナリオ」はとりあえず回避されたように見えました。
しかし、バイデンは、水曜、演説を行い、ロシア軍部隊の撤退は確認できていない、ロシアがある時点で攻撃を仕掛けてくる可能性は十分にあり、それは警告なく突然に実行され得ると発言。基本的にはこれまでの主張の繰り返しですが、侵攻が起こった場合の欧州との連携と厳しい制裁を強調しました。
また、ウクライナ国防省や銀行がサイバー攻撃を受けるという事態が発生。その後、米国防総省は、ロシア軍の情報機関が関与しているとの判断を公表しました。さらに、ロシア下院がウクライナのドネツク、ルガンスク両州の独立の承認をプーチン大統領に求める決議を採択しました。
水曜にはNATO国防相理事会がブリュッセルで開催され、ストルテンベルグNATO事務総長は記者会見で、ロシアが軍事力を使って要求を通そうとする状況を「ニューノーマル」と表現。また、EU首脳会議も開かれ、ボレル外交安全保障上級代表は、EUとしての制裁のパッケージの準備を整えたと発言しました。
そして木曜、ドンバスで砲撃が発生します。ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力は、前線での停戦違反を相互に非難。爆発など停戦違反はその後も続き、親ロシア派武装勢力のリーダー(「ドネツク人民共和国」(自称)のプシリン、「ルガンスク人民共和国」(同)のパセチニク)は、住民を攻撃から守るためにロシアのロストフ州に避難させるとのビデオメッセージを公表。「総動員令」に署名したとも発表しました。
冒頭述べたバイデンの金曜の演説は、こうした状況の中で行われたものです。ロシア軍部隊の撤退は確認できないどころか、米国のカーペンターOSCE大使は、同軍部隊の集結は19万人に達している可能性があると述べています。
金曜からミュンヘン安全保障会議が開催され、米国からハリス副大統領、ウクライナからゼレンスキーが参加。ゼレンスキーは演説で、ロシアが侵攻してくれば自衛する、ウクライナを助けるために必要なことは侵攻の可能性の日にちを話すことではない、ウクライナが西欧とロシアの緩衝地帯になることなどあり得ない、NATO加盟の回答がすぐに欲しい(次のマドリードでの6月のNATOサミットが良いタイミングでは)と発言。また、ウクライナ、ドイツ、トルコが参加する形での国連安保理常任理事国のサミットやプーチンとの会談を提案しました。
土曜には、プーチンの指揮により弾道ミサイル・巡航ミサイルの発射演習が実施されました。また、ミュンヘン安保会議の機会にG7外相会合が開催され、日本もロシアへの非難や制裁に加わることが明らかになりました。
もはやロシアのウクライナ侵攻は時間の問題のようにも見えますが、果たしてどうなるのか。先週の動きのポイントと今後の見通しを解説します。
また、読者の方から、以下の質問をいただきました。
>プーチンは西側を舐めきっている、首脳としてのキャリアが違うとの指摘がありますが、最もだと思います。バイデンやマクロンでは歯が立たないのではないでしょうか?JDさんの見解をぜひ!!
これらのご質問に対する私の見解を述べます。また、ミンスク合意とNATO不拡大の約束についても聞かれることが多く、今後の見通しと深く関わるポイントにもなるので、あらためて詳しく解説します(※メルマガで解説)。
●バイデン政権のインド太平洋戦略
2月11日にバイデン政権が初の「インド太平洋戦略」を発表しました。そのポイントを解説します(※メルマガで解説)。
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今週の動き
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(※メルマガで解説。)
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あとがき
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■ ハーフタイムショーでエミネムが膝つき、ラップのスターら共演(2月14日付ロイター)
スーパーボウルのハーフタイムショー、今年は錚々たるヒップホップのスターたちが勢揃いし、数々の名曲を披露してくれました。以下のリンクですべてのパフォーマンスが見られますが、メアリー・J・ブライジの「Family Affair」とか、懐かしすぎて涙が出そうになりましたね。
■ Dr. Dre, Snoop Dogg, Eminem, Mary J. Blige & Kendrick Lamar FULL Pepsi Super Bowl LVI Halftime Show(2月14日付NFL)
エミネムも登場し、名曲「Lose Yourself」を披露。これもまた私には思い出深い曲です。こちらの記事の「あとがき」で述べたとおり、この曲が主題歌だった映画『8 Mile』は私が米国に留学していたとき上映した作品で、当時ルームメイトの米国人たちと一緒に映画館に観に行ったものでした。
そしてエミネムは、冒頭記事のとおり、歌い終わった後に片膝つきのパフォーマンスを見せました。以下の記事で述べたとおり、片膝つきは、元サンフランシスコ・フォーティナイナーズのコリン・キャパニックが人種差別への抗議のメッセージとして行われたものです。
・「全米各地での抗議デモと暴動」(20/6/9)
この行為は物議を醸し、キャパニックは事実上追放され、NFLは一時この行為を禁止しました。トランプ大統領(当時)も、片膝をついた選手は解雇すべきとたびたび述べました。
そういった経緯があるので、エミネムがスーパーボウルという舞台でこの行為に及んだインパクトは大きいものがありました。NFLから嫌われても、「This opportunity comes once in a lifetime.」(「Lose Yourself」のクライマックスの歌詞)ということなのでしょう。さすがです(ただ、その後の報道では、NFLはエミネムがこの行為に及ぶことを事前に認識しており、止めることもなかったと伝えられています)。
さて、スーパーボウルといえば、以下の記事で述べたとおり、CMですね。
・「スーパーボウル」(20/2/10)
こちらは恒例のUSAトゥデイのランキングです。1位は住宅ローン会社のロケット・モーゲージ。仮想通貨のクリプト・ドットコムではレブロン・ジェームズ、アマゾン(アレクサ)ではスカーレット・ヨハンソンが夫と登場しました。
それにしても自動車会社のCMは、いずれもEV推し。ガソリン車を全面でアピールしたのは日産だけだったようです。バイデン大統領も、「自動車産業の未来がEVであることは明確だった」とコメントしていました。
BMWのCMでは、シュワちゃんがゼウス、サルマ・ハエックがヘラを演じていました。私はBMWのハイブリッドに乗っているので、とりあえず一番気になりましたが、こういうベタなのがやはり良いのではないかと思います。
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いち読者の質問にも丁寧にお答えくださり、ありがとうございます。新聞や雑誌等の媒体では解らない、とても正確な状況が理解出来ました。状況は流動的ですが、今後もディープ(笑)な解説を楽しみにしています。