2020/02/10 00:00 | 今週の動き | コメント(1)
今週の動き(2/9~15)
ぐっちーさんの遺稿集のようなものですね・・最後にこのような作品を残して下さったAERAの方々に感謝します。
AERAの連載というと、実は私はぐっちーさんから「今回の記事はお前(JD)が言っていたことをパクるからな!!」と言われたことが何度かありました。まさに「ここだけの話」ですが・・(笑)。私からは、光栄なことですから、ぜひどうぞ、と答えていました。今回の著書にそうした記事が含まれていたら、とても懐かしい気持ちになりますね。
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先週の動き
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2/2(日)
・スーパーボウル(マイアミ)
2/3(月)
・米大統領選挙民主党予備選開始(アイオワ州党員集会)
・EUのボレル外交安全保障上級代表がイランを訪問
・トルコ軍とシリアのアサド政権軍がシリアのイドリブ県で交戦
2/4(火)
・一般教書演説
・米国防総省が新型の小型核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を海軍が実戦配備したと発表
2/5(水)
・米上院におけるトランプ大統領の弾劾裁判で無罪の評決
・台湾の頼清徳次期副総統が米国のNSCを訪問(ワシントンDC)
・カンボジアのフン・セン首相が北京を訪問(習近平国家主席と会談)
・ドイツのチューリンゲン州首相に自由民主党のケメリヒ議員が就任
2/6(木)
・トランプ大統領が「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」のカシム・リミ最高指導者を殺害したと発表
・中国が米国から輸入する約750億ドル分の製品の追加関税の税率を2月14日に引き下げると発表
・ドイツのチューリンゲン州のケメリヒ首相が辞任を表明
2/7(金)
・米中首脳電話会談
・トランプ大統領が米下院のウクライナ疑惑に関する公聴会で同大統領に不利な証言をしたソンドランド駐EU大使とNSCのビンドマン陸軍中佐を解任
・米国が新型コロナウイルスの感染拡大対策として中国など影響を受けている国に対し最大1億ドルを拠出する用意があると発表
・米民主党の大統領候補者の第8回テレビ討論会(ニューハンプシャー州マンチェスター)
2/8(土)
・朝鮮人民軍創建日(建軍節)
・アイルランド総選挙
・デリー議会選挙
先週は、アイオワ州党員集会、一般教書演説、弾劾裁判、民主党候補者のTV討論会・・と米国で大きなイベントが相次ぎました。これらに先立つ週末にはスーパーボウルもあり、米国内のニュース尽くしの一週間でした。
●米大統領予備選挙(アイオワ)
大統領選挙の前哨戦ともいえる民主党の予備選が始まりました。その初戦としてアイオワ州党員集会が開催。開票率100%の結果は以下のとおりでした。
1位 ブティジェッジ 26.2%
2位 サンダース 26.1%
3位 ウォーレン 18%
4位 バイデン 15.8%
5位 クロブシャー 12.3%
ブティジェッジは予想を上回る支持を得てトップに立ちました。もっとも2位のサンダースとの差はわずか0.1%。ほぼ同率首位と言えます。ウォーレンは踏みとどまり、バイデンは予想以上に苦戦しました。
今回の結果発表は遅れに遅れました。もともと党員集会は集計が難しいのですが、今回は新たに導入した「シャドウ」という会社が開発したアプリに不具合が発生。アプリは集計作業を透明かつ効率的にするために2か月前に導入が決定されたもので、事前チェックをしないままに実施した模様。このため手作業での集計を強いられる結果になったためです。
しかも集計ミスがあったとの報道が出ました。民主党全国委員会(DNC)のペレス委員長は集計の再チェックを要求。このためいまだに最終結果は確定しておらず、2月10日正午以降にずれ込む見通しです。
この結果の意義と今後の展望について、明日、解説します。
●トランプの一般教書演説
アイオワ州党員集会の翌日にトランプ大統領が一般教書演説を行いました。この日は弾劾の無罪評決の前日でもありました。演説のポイントについて解説します(※メルマガに限定)。
●トランプ弾劾裁判の無罪評決
上院でトランプ大統領の弾劾裁判の評決が行われ、「権力濫用」と「議会妨害」のそれぞれの弾劾条項について無罪の決定がなされました。
権力濫用については共和党のミット・ロムニーだけが造反し有罪を支持しました。スーザン・コリンズも造反する可能性があるとみられていたのですが、最終的に見送りました。共和党はほぼ一致団結した姿を見せることができました。
民主党はいずれの条項についても造反は出ませんでした。ダグ・ジョーンズ(アラバマ州選出)、ジョー・マンチン(ウェストバージニア州選出)、キルステン・シネマ(アリゾナ州選出)は、保守的な州の選出であることから無罪に投票する可能性もあったのですが、ここは党の結束を優先しました。
以下の記事で述べたとおりの結果になり、これで弾劾をめぐる騒動は終わりました。今後の展望についても同記事で述べたとおりです。
・「トランプ弾劾裁判」(2/3)
●米民主党の大統領候補者の第8回TV討論会
アイオワ州党員集会を終え、すべての候補者は来週火曜に予備選が行われるニューハンプシャー州に移動。第8回テレビ討論会が同州の最大都市であるマンチェスターで行われました。
今回の討論会の参加者は以下の7人です。数字は支持率(Real Clear Politicsが算定した全米平均支持率)です。
・バイデン前副大統領 27%
・サンダース上院議員 21.8%
・ウォーレン上院議員 14.4%
・ブティジェッジ・前サウスベンド市長 7%
・クロブシャー上院議員 4%
・ヤン(実業家) 3.6%
・ステイヤー(富豪・アクティビスト) 2.2%
(参考)ブルームバーグ前NY市長 10.6%
討論会の評価については明日解説します。
●スーパーボウル
カンザスシティー・チーフスがサンフランシスコ・49ersを破り、50年ぶりとなる優勝を果たしました。
米国民が釘付けになるビッグ・イベントということで、トランプ大統領とブルームバーグ前NY市長がそれぞれ大統領選に向けて1100万ドルを投じて60秒の広告を出しました。
■ Super Bowl Ads 2020: Strange, Serious, Smaaht, And So Very Expensive(2月2日付NPR)
ブルームバーグは銃規制にフォーカスしました。黒人女性を起用しているのは、自らの弱みであるマイノリティへのアピールもあるのでしょう。一方、トランプ(30秒の広告が2点)はおおむねいつもどおりの印象でした。
スーパーボウルの広告は米国の風物詩というか名物のようなもので、毎年これを楽しみにしている人もいるほどです。USAトゥデイはランキングも発表しています。ちなみにトランプの広告は最下位でした。もっともブルームバーグも下から3番目。一般的に政治広告は不向きなのでしょう。
なお、ランキング1位の「Groundhog Day」は映画『Groundhog Day(邦題:恋はデジャ・ブ)』(ハロルド・ライミス監督、93年公開)のパロディです。米国人であれば誰でも知っている名作です。私も何度も見ました。主演のビル・マーレイや他のゲスト、広告のストーリーも映画をなぞっています。
映画を知らないとこの広告の面白さは分からないのですが、これがトップになるということは、いかにこの作品が米国人に愛されているかということですね。ちなみにグラウンド・ホッグデーは2月2日に米国の伝統行事が開催される記念日。当然、タイミングも合わせているわけです。
また、試合終了後、トランプがチーフスは「カンザス州の誇り」とツイートしたことに批判のコメントが集中しました。チーフスの本拠地であるカンザスシティはカンザス州ではなくミズーリ州にあるからです。
■ トランプ氏がチーフス優勝に祝福のツイート、ただし州を間違える(2月4日付CNN)
カンザスシティは両州にまたがっているのですが、カンザス州側は郊外の一部で、チーフスやロイヤルズのスタジアムを含めた主要部分はミズーリ州側にあります。トランプは後でツイートを訂正しました。
私も昔カンザスシティに行ってロイヤルズの試合を見たことがあり、そのときに知りました。このときはカンザス州にいる友人を訪ねましたが、彼らはカンザス州には大リーグのチームがないのでロイヤルズをホームチームのように感じているようでした(トランプを弁護する意図はないですが)。それにしてもよくここまで色々なネタを提供できるものだと感心しますね・・。
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今週の動き
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2/9(日)
・アゼルバイジャン議会選挙
・アカデミー賞授賞式(ハリウッド)
2/11(火)
・米大統領選挙民主党予備選(ニューハンプシャー)
2/14(金)
・米中の「第1段階」の通商合意の発効(米国は19年9月に発動した制裁関税第4弾の第1陣(1200億ドル相当額)の税率を引き下げ(15%→7.5%))
・中国が対米追加関税(750億ドル相当額)の税率を引き下げ(10%→5%、5%→2.5%)
・ミュンヘン安全保障会議(ミュンヘン、~16日)
●米大統領予備選挙(ニューハンプシャー)
アイオワの次はニューハンプシャーです。基本的なポイントは前回の記事でお伝えしましたが、明日、直前の展望を解説します。
・「米大統領予備選挙(アイオワ)」(2/3)
●米中の関税引き下げ
米中の第1段階の通商合意が発効し、米国は19年9月に発動した制裁関税第4弾の第1陣(1200億ドル相当額)の税率を15%から7.5%に引き下げます。一方中国も、先週、米国から輸入する約750億ドル分の製品の追加関税の税率を引き下げると発表しました。
以下の記事で述べたとおりの展開です。コメントを述べます(※メルマガに限定)。
・「米中の「第1段階」の通商合意の署名」(1/21)
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あとがき
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■ ハリウッドの伝説、カーク・ダグラスさん死去 103歳(2月6日付AFP)
カーク・ダグラス、103歳だったんですね。個人的には『スパルタカス』『突撃』(いずれもスタンリー・キューブリック監督)の反骨精神と厳格さが強烈でした。『パリは燃えているか』のパットンはなんか違うというか・・あまり印象に残らなかったですね。
なおグッチーポスト編集部のIさんは、カーク・ダグラスといえばマキシムのコーヒーのCMを思い出すそうです。「カップを指でチーンと弾くのがカッコよかった」とのこと。皆さんご存知でしょうか。私はピンとこなかったのですが(同年代なのに・・笑)。
ちなみにパットンといえば『パットン大戦車軍団』のジョージ・C・スコットがハマり役でしたね。そういえば最近見た映画『アイリッシュマン』の主人公フランク・シーラン(実在の人物)は戦時中にパットンの指揮下で戦ったことを誇りにしていました。
『アイリッシュマン』は今年のアカデミー賞の作品賞、監督賞など10件にノミネートされています。アカデミー賞授賞式は本日(2月9日)です。楽しみですね。
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One comment on “今週の動き(2/9~15)”
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お恥ずかしながら、毎回このリアリティ・ショーを見て、どこかで涙ぐみます(苦笑)。今回は、「メラニア夫人のメダル」と「軍曹」登場の場面。こうして冷静に解説されるとなんだか恥ずかしい・・・。JDさんの詳しいメルマガでの分析により興味を持ったからなのか、トランプの大衆の心を掴む巧さなのか、両方なのか・・・ついつい興味深く見ています。
しかし、ペローシの「省略(←これは解説いただかないと気付かないです)」「原稿破り」もなかなかですよね。「分断」という映画でも見させられているような、そんな気分でした。
やはり、AERAの文章にはそんな裏話が・・・(笑)東洋経済オンラインでも読んでいてデジャヴみたいなことがありましたが。それだけ、お互いにリスペクトされていたのですね。新刊楽しみです。