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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/08/23 00:00  | アフリカ |  コメント(0)

今週の動き(8/22~28)タリバンのアフガン制圧、駐日大使と駐中国大使の指名、中国共産党中央財経委員会、マレーシアの首相交代


また真夏の暑さが戻ってきましたね。天気もすっかり良くなりましたが、日本国内でのコロナの感染は再び急拡大。1日あたり2万人という驚くべき水準に達しました。人口比では(100万人のうち160人)、米国(同430人)や英仏などよりかなり低いのですが、病床数の不足から医療体制の逼迫が深刻な問題となっています。

これだけ長くコロナ感染が続いているのに、なぜ医療体制が強化されていないのかと思いますが、ワクチンによって重症化が防げるのが救いです。ブレイクスルー感染も注目を集めていますが、厚労省によればワクチンを接種した人の感染は接種していない人の17分の1。やはりワクチン接種を完了することで、コロナとは流行病の一つとして共存しながら、経済活動を平常化する状況(ニューノーマル)を一刻も早く実現することが望まれると思います。

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先週の動き
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8/15(日)
・タリバンがアフガンのジャララバードとカブールを制圧(ガニ大統領はタジキスタンに脱出)
・香港の民主派団体「民間人権陣線(民陣)」が解散を発表
・韓国の光復節(文在寅大統領が演説)
・北朝鮮の解放記念日
・インドの独立記念日(モディ首相が演説)
・カナダのトルドー首相が9月20日に総選挙を実施すると発表
・茂木外相がエジプト、パレスチナ自治区、イスラエル、ヨルダン、トルコ、イラク、イラン、カタールを訪問(~24日)
・終戦記念日

8/16(月)
・バイデン大統領がアフガンに関する演説
・米中、米ロ外相電話会談
・米韓合同軍事演習(~26日)
・マレーシアのムヒディン首相が辞意を表明(暫定首相に就任)

8/17(火)
・米英首脳電話会談
・米運輸保安局(TSA)が米国内の公共交通機関におけるマスク着用義務を22年1月18日まで延長すると決定
・タリバンのバラダル幹部とカタールのムハンマド外相が会談(ドーハ)
・カナダのトルドー首相がタリバンをアフガンの政権として承認する予定はないと発言
・中国全人代常務委員会(北京、~20日)
・中国共産党中央財経委員会(北京)

8/18(水)
・米独首脳電話会談
・バイデン大統領が米軍のアフガン駐留を米国人の国外退避が完了するまで続ける考えをABC放送のインタビューで表明
・中・トルコ外相電話会談
・EU内相理事会(オンライン)

8/19(木)
・米仏首脳電話会談
・米連邦取引委員会(FTC)がフェイスブックを反トラスト法違反の疑いで再び提訴
・中英外相電話会談

8/20(金)
・バイデン大統領がアフガンでの退避に関する演説
・米・イタリア、米・カタール首脳電話会談
・バイデン大統領が駐日大使にラーム・エマニュエル元大統領首席補佐官、駐中国大使にニコラス・バーンズ元国務次官を指名
・アフガン情勢をめぐるNATO緊急外相会議(オンライン)
・中・イタリア外相電話会談
・中国全人代常務委員会が改正人口・計画出産法を可決(反外国制裁法の香港への導入の採決は見送り)
・カナダの上級裁判所がファーウェイの孟晩舟副会長の米国への身柄引渡しの最終審理
・独ロ首脳会談(モスクワ)

8/21(土)
・タリバンのバラダル副指導者がカブールに到着
・マレーシアでイスマイルサブリ・ヤーコブ新首相が就任
・茂木外相がイラクを電撃訪問

●タリバンのアフガン制圧

タリバンが今月初旬から電撃戦を開始し、次々に州都を攻略。先週の記事でカブールまで侵攻したことをお伝えしましたが、その直後にカブールも陥落。わずか11日間でアフガンのほぼ全土を制圧しました。

「タリバンの進撃」(8/16)

タリバンは記者会見を開くなど積極的に情報を発信。タリバンの報道官は、自国メディアで女性キャスターのインタビューに応じ、欧米メディアにも出演し、「米国とは戦わない」「すべての人に恩赦を出す」「『イスラム法の範囲内で』女性の人権を守る」などと発言。20年前とは異なり、穏健で融和的なメッセージを強調しているように見えます。

一方、国内では抗議デモが起きていますが、それに対して発砲したり、女性の市長やジャーナリストは今後、虐待にさらされることを恐れているとも述べています。カブールでは女性の写真が排除されている様子も伝わっています。また、タリバンの幹部の1人は「民主的な制度はなくなる」とロイターのインタビューで述べました。

国際社会はおおむね静観する姿勢を見せていますが、カナダのトルドー首相は「タリバンを承認する予定はない」と宣言。一方、中国の王毅外相は「タリバンには圧力を加えるよりも政権移行に向けた支援を行うべき」と発言。パキスタンのイムラン・カーン首相は「アフガニスタンは奴隷の束縛を打ち破った」と述べました。

アフガン情勢はまだまだ不透明な部分が多いです。そのため確固たる見通しを述べることは困難ですが、明日、バイデン政権に与える影響や諸外国の対応含め、現時点での分析を述べます。

●エマニュエル駐日大使とバーンズ駐中国大使の指名

バイデン大統領が駐日大使にラーム・エマニュエル元大統領首席補佐官、駐中国大使にニコラス・バーンズ元国務次官を指名しました。

以下の記事で述べたとおり、この2人はかなり早い時点から指名されることはほぼ確実と報じられていました。今回、ようやく発表に至りましたが、ずいぶん時間がかかったなという印象です。

「次期駐日米国大使」(5/13)
 
エマニュエルとバーンズの人となりや大使になることの意義については、発表が遅れていることの背景含め、上記記事で解説したとおりです。これから上院での承認公聴会が開かれます。バーンズは問題なく終わるでしょうが、エマニュエルは相当に締め上げられるのではないかと思います。見ものです。

●中国共産党中央財経委員会

中国全人代常務委員会が開催されました。1組の夫婦に3人までの出産を認める改正人口・計画出産法が可決されましたが、反外国制裁法の香港への導入の採決は見送られました。

また、同じタイミングで、中国共産党中央財経委員会の第10回会議が開かれました。中央財経委員会は、習近平体制2期目に設立されたもので、習近平党総書記をトップとし、党の経済財政政策の方針を決める重要な機構です。特に今回は一連の規制強化と今月前半に開催されたとみられる北戴河会議の後の最初の会議として重要な意味があります。ポイントを解説します(※メルマガで解説)。

●マレーシアの首相交代

マレーシアのムヒディン・ヤシン首相が辞任し、イスマイルサブリ・ヤーコブ副首相兼国防相が後任の首相に就任しました。マレーシアでは18年5月の総選挙を最後に選挙が行われていませんが、マハティール、ムヒディン、そしてイスマイルサブリと首相の交代が続いています(以下の記事参照)。

「マレーシア史上初の政権交代」(18/5/25)
「マハティール首相の辞任とムヒディン新首相の就任」(20/3/2)
 
今回の首相交代の意味と今後のマレーシア情勢についてコメントします(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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Sonny Chiba: Japan’s martial arts star and Kill Bill actor dies of Covid at 82(8月21日付BBC)

千葉真一さんの訃報。コロナ感染により82歳で亡くなったとのこと。BBCも報じています。

千葉ちゃんの映画は子どものときから見ていました。子どものときに見た『魔界転生』、『柳生一族の陰謀』(どちらも柳生十兵衛役!)、『里見八犬伝』、『戦国自衛隊』、『宇宙からのメッセージ』・・どの作品も鮮烈で、感性が豊かだった(?)幼少期の記憶とともに鮮やかに蘇ります。

それから70年代のカラテ映画を見まくりました。BBCの記事を見ると、『キル・ビル』や『ストリート・ファイター』3部作で知られると書いてありますが、「ストリート・ファイター」は「殺人拳」シリーズのことですね。海外では千葉ちゃんといえばまずカラテ映画というイメージのようです。

私が一番好きな作品は(マニアの間では定番ですが)『直撃地獄拳・大逆転』です。これを見ていない人がいたら本当にもったいない、死ぬまでに一度は見て欲しいと思うほどの大傑作です。タランティーノはこの映画を見て多大な影響を受け、自分の映画に千葉ちゃんを出演させることを夢見たと聞きました。

そういえば最近はご子息の新田真剣佑さんも活躍されていますが、今24歳ということは、千葉ちゃんが58歳のときに生まれたのですね。それであれだけの(変な言い方ですが)堂々たる体躯。DNAのすごさを感じさせます(最近では眞栄田郷敦さんという21歳のご子息も人気なのですね。こちらは61歳のときの子になるのか・・)。

私にとって永遠のヒーローといえる人が、また1人、世を去りました。ご冥福をお祈りします。

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