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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2020/07/20 00:00  | 今週の動き |  コメント(3)

今週の動き(7/19~25) 米国の対中圧力、米コロナ、バイデンの政策、カニエ出馬のその後


先週は急に涼しくなりましたね。雨もあり、ちょっと寒いくらいでした。コロナだけでなく、風邪なども引かないように注意が必要ですね。風邪対策にもマスクは有効と思いますが・・。

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先週の動き
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7/12(日)
・ポーランド大統領選挙決選投票(ドゥダ大統領が勝利)

7/13(月)
・トランプ大統領がファウチNIAID所長とはいつも意見が一致するわけではないと発言
・ポンペオ国務長官が中国の南シナ海での領有権の主張を否定し海洋進出を批判する声明を発表
・米17州とワシントンDCがICEの留学生へのビザ発給制限の停止を求めて提訴
・カリフォルニア州のニューサム知事がバー、レストラン等の屋内営業の禁止を発表
・中国外交部の華春瑩報道局長が新疆ウイグル自治区をめぐる内政干渉を理由に米共和党のマルコ・ルビオ上院議員、テッド・クルーズ上院議員、クリス・スミス下院議員、サム・ブラウンバック宗教の自由担当特別大使に制裁を科すと発表

7/14(火)
・米国で香港自治法が成立(トランプ大統領が署名)(中国は反発、ロッキード・マーチンに制裁を科すと発表)
・トランプ大統領が香港の優遇措置を撤廃する大統領令に署名
・米・トルコ首脳電話会談
・米国防総省、連邦調達庁、NASAが19年度国防授権法(NDAA)で定めた米政府機関によるファーウェイ、ZTE、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファの製品・サービスによる調達禁止の最終施行規則を官報で公表(8月13日から施行予定)
・バイデン前副大統領が気候変動問題に対応するための2兆ドルのインフラ投資を含む環境政策を発表
・アラバマ州上院選挙の共和党予備選(セッションズ前司法長官が新人タバビルに敗北)
・メアリー・トランプの著書『Too Much And Never Enough』(トランプ大統領の暴露本)が発売
・フランスの革命記念日

7/15(水)
・トランプ大統領がアトランタを訪問(UPS空港ハブでインフラ整備について協議)
・トランプ大統領がブラッド・パースケール選対本部長をシニア・アドバイザーに降格し、後任にアドバイザーのビル・ステピエンを昇格させるとツイート
・ポンペオ国務長官が中国に領有権の主張を侵害されている世界中の全ての国を支援する、ファーウェイなど中国の人権侵害に関わっているハイテク企業の従業員へのビザの発給を制限すると発言
・ジョージア州のケンプ知事がマスク着用の義務化を無効とする命令
・オクラホマ州のケビン・スティット知事が新型コロナウイルス感染を発表
・バイデン前副大統領、オバマ前大統領、ブルームバーグ前NY市長、ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、カニエ・ウェストらのツイッターが一時的に乗っ取られる(ビットコインの送金を呼びかける不正ツイート)
・韓国で新型コロナウイルス隔離違反の日本人に有罪判決(懲役6月、執行猶予2年)(ソウル)

7/16(木)
・バー司法長官が米映画産業や巨大テック企業が中国でのビジネスを重視して中国共産党と協力しすぎていると批判(ミシガン)
・ジョージア州のケンプ知事がアトランタのマスク着用義務命令は州の方針に違反しているとしてボトムズ市長に提訴
・中国の20年4~6月期の実質GDP成長率の発表(前年同期比+3.2%)
・ECB定例理事会(フランクフルト)
・欧州司法裁判所(ECJ)が米国とEUが16年に締結した「プライバシー・シールド」(欧州から米国への個人情報移転のルール)を無効とする判断

7/17(金)
・トランプ大統領がウィスコンシン州の支持者に向けたリモートの選挙集会を開催
・トランプ政権が在韓米軍の削減を検討しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報道
・エスパー国防長官が米軍関連施設で使用される旗から南軍旗を除外
・米財務省がフェンタニルの密輸に関与したとして中国の4個人と1企業に制裁を科したと発表
・公民権運動の象徴的存在だったジョン・ルイス下院議員が死去
・EU臨時首脳会議(ブリュッセル、~19日)

7/18(土)
・香港立法会選挙の立候補届出(~31日)
・G20財務相・中銀総裁会議(テレビ会議、~19日)

●米国の対中圧力(香港、南シナ海、政府調達)

トランプ大統領の署名により香港自治法が成立しました。この展開は以下の記事で述べていたとおりです。さらにトランプは香港の優遇措置を撤廃する大統領令にも署名しています。

「トランプの再選戦略と大統領選の展望」(6/30)
「香港国家安全法の制定」(7/6)

また、ポンペオ国務長官が中国の南シナ海での領有権の主張を否定し、海洋進出を批判する声明を発表しました。

さらに、米国防総省、連邦調達庁、NASAが19年度国防授権法(NDAA)で定めた米政府機関によるファーウェイ、ZTE、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファの5社の製品・サービスによる調達禁止(以下の記事参照)の最終暫定規則を官報で公表しました。8月13日から施行予定です。

「今週の動き(8/20~26)」(18/8/20)
「今週の動き(8/18~24)」(19/8/19)
 
一方、中国は、新疆ウイグル自治区をめぐる内政干渉を理由に、共和党のマルコ・ルビオ上院議員、テッド・クルーズ上院議員、クリス・スミス下院議員、サム・ブラウンバック宗教の自由担当特別大使に制裁を科すと発表しました。以下の記事で予想したとおりの展開です。すでに述べたとおり、こうした報復措置にはシンボリックな意味しかありません。

「米国の対中制裁の強化」(7/14)

これらの動きが意味するものについて、明日解説します。

●新型コロナウイルスの感染拡大(米国)

新型コロナウイルスの感染拡大については、先週も、米国、世界ともに新規感染者数が新記録を更新する厳しい一週間になりました。米国の感染者数は370万人、死者数は14万人。7月16日には1日あたりの新規感染者が初めて7万人を超えました。現状と今後についてコメントします(※メルマガに限定)。

なお、コロナをめぐるトランプ政権の対応といえば、(学校再開を実現させるための)留学生ビザ規制はやはり撤回されました。以下の記事で予想したとおりの展開です。それにしてもお粗末な迷走ぶりでした・・。

「トランプ対名門大学」(7/13)

●バイデンの気候変動対策

バイデンが2兆ドルのインフラ投資を含む気候変動対策を発表しました。先々週の製造業強化の行動計画に続く政策発表になります。

「バイデンの政策発表」(7/13)

また、バイデン陣営の4~6月期の選挙資金調達額は2億8210万ドルに上り、四半期ベースではトランプ大統領陣営の調達額を初めて上回りました。

世論調査でもバイデンのリードは広がっています。全米では、ワシントン・ポスト/ABCの最新の調査結果では実に15%、YouGov、CNBC、キニピアック、NBC/WSJでもいずれも10%前後(ラスムッセンだけは3%)、激戦州でも4~5%の差になっています。

これらの最新の動きを踏まえ、大統領選の展望についてコメントします(※メルマガに限定)。

●カニエ・ウェストの大統領選出馬のその後

カニエ・ウェストは大統領選出馬をやめたとカニエの選挙アドバイザーが発言したとの報道が流れました。しかし、オクラホマ州では立候補の届出を締切直前に行っていたことが確認されています。

その後、カニエは特にコメントを出していません(ラシュモアの画像に「2020」と書く意味深なツイートのみ)。新アルバムのプロモーションが目的ではないか・・とも噂されていますが、まだ(一部の州にせよ)出馬の可能性は残っているようです。

なお、英国の世論調査機関によれば、カニエが出馬すると、カニエは2%の票を獲り、トランプの得票率は1%下がり、バイデンの支持率は変わらないとの結果が出たのこと。以下の記事で述べた分析に沿った結果です。

「カニエ・ウェストの大統領選出馬表明」(7/13)

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今週の動き
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7/19(日)
・北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会の拡大会議が7月18日に開催され、金正恩党委員長が出席したと国営朝鮮中央テレビが報道

7/20(月)
・ポンペオ国務長官が英国とデンマークを訪問(~22日)
・ミャンマー総選挙(11月8日予定)の立候補届け出開始

7/22(水)
・国際オリンピック委員会(IOC)理事会

7/24(金)
・トルコのアヤソフィアでモスク化後初の礼拝

今週は大きな予定がないようです。大きな動きがなければ、日々の動きではなく、長期的な動きや趣向の異なるトピックを取り上げたいと思っています。

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あとがき
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愛犬も中国批判に一役? 米ポンペオ氏「くまのプーさん」の写真が話題(7月16日付AFP)

ポンペオ国務長官がプライベートのツイッターアカウントで愛犬マーサーがくまのプーさんのぬいぐるみと一緒に写っている写真を投稿しましたが、これが中国への挑発ではないか?との憶測を呼んでいます。くまのプーさんは中国では習近平国家主席の暗喩とみなされ、ネット上でも検閲の対象になっているからです。

22年の冬季五輪は北京ですが、羽生結弦が出場する場合、くまのプーさんのぬいぐるみが投げ込まれることが禁止されるかもしれない・・そんなジョークも中国では流行っていたほどです。

もっともポンペオはインタビューでそうした意図はまったくなかったと笑いながら答えています。まあ、たしかにツイートの雰囲気からして、邪気は感じられないと思いますが・・(笑)。

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3 comments on “今週の動き(7/19~25) 米国の対中圧力、米コロナ、バイデンの政策、カニエ出馬のその後
  1. KB より
    積み重ねの大切さ

    長年の分析の積み重ねの重みを感じます。統計やデータの分析、日々の情勢変化すべては一朝一夕にはいかないものだと思っています。とても根気のいる、地味で地道な作業だからこそ、それを続け、JDさんの視点で分析されているこうした記事は大変読み応えがあります。生きたデータの活用こそ、私たちに合理的な判断をもたらすと信じています。これからもよろしくお願いします。

    それにしても、マーサーがプーさんのぬいぐるみを咥えていたら(振り回していたら)どうなっていたのでしょうね?(笑)

  2. うま より
    コロナ

    「米国の感染者数は70万人」となっていますが、「370万人」が正しいのでは。ヨーロッパ諸国やカナダなどでは、新規感染者数がかなり少なくなりましたが、先進国の中で米国だけが悪化の一途というのが不思議です。CDCは世界最強と言われていたのに。

  3. JD より
    うまさん

    ご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。大変失礼しました。訂正いたします。
    メルマガにも書きましたが、欧州や東アジアが落ち着いてきた一方、米国、中南米、中東は長期化しており、明暗を分けていますね。トランプ政権のガバナンスの問題もあると思います。

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