2019/02/04 00:00 | 今週の動き | コメント(4)
今週の動き(2/4~10)
アジアカップ決勝、カタールは強かったですね。カタールを目の敵にする(?)UAEがカタールの帰化選手の出場資格に異議申し立てを行い、カタールの試合が無効にされるおそれがあるとも言われていましたが、さすがにそれはなかったようですね。しかし、日本代表も強かった。今後に期待ができますね。
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先週の動き
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1/26(土)
・ベネズエラが1月26日を国外退去の期限としていた在ベネズエラの米国外交官に対し30日の猶予期限を設けたと発表
・ベネズエラのホセ・ルイス・シルバ駐米大使館武官がグアイド国会議長を暫定大統領として支持する声明を発表
・米国とタリバンの和平協議が終了(2月25日の再協議で一致)(カタール)
・習近平国家主席が北朝鮮の友好芸術団の公演を鑑賞(北京)
・マレーシアのアズミン・アリ経済相が中国主導の東海岸鉄道計画(ECRL)の中止を発表
1/27(日)
・ボルトン大統領補佐官がベネズエラのマドゥロ政権に対し野党指導者や米外交官に危害を加えた場合「重大な対応をとる」と警告
・米財務省がロシアの富豪オレグ・デリパスカが所有・支配する3社(アルミ大手ルサール、複合エネルギー企業En+グループ、水力発電大手ユーロシブエネルゴ)への制裁を解除(デリパスカへの制裁は継続)
・スターバックスの実質的な創業者ハワード・シュルツが20年大統領選挙への独立系候補としての出馬を「真剣に検討している」と表明
・マレーシアのリム・グアンエン財務相が中国主導の東海岸鉄道計画(ECRL)について次週に公式見解を発表すると表明
・フィリピンのミンダナオ西部のスルー州のカトリック教会で爆弾テロ(「イスラム国」が犯行声明、ドゥテルテ大統領はアブ・サヤフの犯行と断定)
・台湾の立法委員補選(民進党と国民党が地盤維持)
1/28(月)
・米司法省がファーウェイと孟晩舟副会長をイランとの違法取引に関する金融取引への関与、米通信会社TモバイルUSの機密の窃盗等の容疑で起訴したと発表
・米財務省がベネズエラの国営石油会社「PDVSA」を制裁対象に指定したと発表
・ペローシ下院議長とトランプ大統領が一般教書演説を2月5日に実施することで合意
・サウジが新産業戦略「国家産業発展物流プログラム」(NIDLP)を発表
1/29(火)
・英議会がBREXIT協定の議員修正案2本を可決(メイ首相の代替方針を確認)
・トゥスク欧州理事会議長がBREXIT協定案の内容を修正する「再交渉」には応じないとの考えを表明
・コーツ国家情報長官が「北朝鮮が核兵器を完全に放棄する可能性は低い」「『イスラム国』は依然として脅威」「イランは現在核兵器を開発していない」と書かれた年次報告書「世界の脅威評価」を発表し上院情報特別委員会の公聴会で同内容の証言
・米上院の司法委員会が次期司法長官に指名されたウィリアム・バーの承認の採決を2月7日に延期
・FOMC(~30日)
・米国務省がグアイド国会議長にベネズエラ公的資産を動かす権限を認めたと発表
・ベネズエラの最高裁がグアイド国会議長の出国禁止と銀行口座の凍結を認める
・パレスチナ自治政府のハムダラ首相がアッバス議長に辞表を提出
・韓国の文在寅大統領が韓国経済について「失言」をした金顕哲大統領府経済補佐官の辞表を受理
・ソウル高裁が不二越に対する元徴用工の損害賠償請求の控訴審判決(不二越の控訴を棄却)
・日・カタール首脳会談(東京)
1/30(水)
・トランプ大統領が1月29日に情報機関の報告書のイランに関する見解は「誤っている」と批判するツイート
・米中閣僚級通商協議(劉鶴副首相とライトハイザーUSTR代表)(ワシントンDC、~31日)
・ベネズエラのマドゥロ大統領が野党側と交渉する用意があると発言
・ベネズエラ各地でマドゥロ大統領に対する大規模な抗議デモ
・フィリピンのミンダナオ南部のサンボアンガのモスクで爆弾テロ
・ソウル中央地裁が与党「共に民主党」の党員による不正な世論操作により起訴された金慶洙・慶尚南道知事に懲役2年の実刑判決
1/31(木)
・トランプ大統領が中国の劉鶴副首相と会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領が連邦政府の金融支援を受けて建設するインフラに米国製品の使用を促す大統領令に署名
・トランプ大統領が不法移民の流入を阻止するためメキシコとの国境に米兵を追加派遣するとツイート
・仏独英3か国がイランとの貿易を継続するための特別目的事業体(SPV)「貿易取引支援機関(INSTEX)」を正式に発足させたと発表
・レバノンのハリーリ首相が新内閣を発足
2/1(金)
・米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を正式表明
・米民主党のコーリー・ブッカー上院議員が20年大統領選への出馬を表明
・台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が郭台銘(テリー・ゴウ)董事長とトランプ大統領の電話協議を受けウィスコンシン州での投資計画を「引き続き推進する」との声明を発出
・日EU・EPAが発効
2/2(土)
・米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄をロシアに通告
・プーチン大統領が中距離核戦力(INF)廃棄条約の義務履行の停止と新型ミサイルの開発の着手を表明
・EUが米国による鉄鋼への追加関税を受けて暫定的に実施してきた鉄鋼の緊急輸入制限(セーフガード)を正式発動(クオータの超過分に25%の追加関税、21年6月末まで)
・ベネズエラ各地でマドゥロ大統領に対する大規模な抗議デモ
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(12週末連続)
●BREXIT協定の代替案と議員修正案の議会採決
1月29日に英議会は議員から提案されたメイ首相提案のBREXIT協定案の修正案7本を採決にかけ、2本を可決。その内容は「アイルランドの国境問題への対応策(バックストップ)を他の措置に置き換える」と「合意なき離脱を拒否する」というもの。以下の記事で述べた「クーパー案」と「グリーブ案」はいずれも否決されました。
・「BREXIT協定の代替案と議員修正案」(1/28)
上記記事で述べたとおり、メイ首相が1月21日に提案したBREXIT協定案の代替案(というよりも方針)は「バックストップの修正を検討する」でしたから、事実上メイ首相の方針が承認されたことになります。
これからメイ首相はバックストップを修正すべくEUとの間で再交渉を行い、合意が成立すればすぐに議会の採決を行います。合意が2月13日まで成立しなければ、同日中に今後の方針を議会に提示し、翌14日に新方針の審議と修正可能な動議の採決を行うと明言しました。
結局、先週の採決は何だったのか。何が決まったのか。そして今後どうなるのか。様々な疑問がわくと思います。この点を解説します(※メルマガに限定)。
●ファーウェイと孟晩舟副会長の起訴
米司法省がファーウェイと孟晩舟副会長兼CFOをイランとの違法取引に関する金融取引への関与、米通信会社TモバイルUSの機密の窃盗等の容疑で起訴しました。その翌日、カナダ司法省は、孟副会長の米国への正式な送還要請を受理したことを明らかにしました。
司法相は3月1日までに送還手続きを進めるかを判断し、進める場合にはまず裁判所が審理を行います。裁判所は孟副会長の審理の次回期日を2月6日に設定していましたが、3月6日に延期しました。おそらく司法相の決定を受けて、裁判所がこの期日に身柄引き渡しに関する審理を行うとみられています。引渡しの最終決定は司法相が行いますが、数か月はかかるとみられます。本件についてコメントします(※メルマガに限定)。
●米中閣僚級通商協議
米中の閣僚級通商協議では、中国の農産品の輸入拡大、金融市場の開放、知的財産権の保護では進展があったが、中国による技術移転の強要、国有企業への補助金、さらに合意の履行の検証メカニズムといった難題では課題が残ったとのこと。以下の記事等で述べてきた予想に沿った結果で、驚きはありません。
・「米中次官級通商協議」(1/14)
トランプ大統領は「中国と最終合意するとすれば習近平国家主席との合意になる」と述べ、ウォール・ストリート・ジャーナルは中国側が首脳会談を2月末に予定されている米朝首脳会談の後、中国の海南省で開くことを提案したと報じています。また香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは2月27~28日にベトナムのダナンでの開催を検討していると報じました。
トップ外交で華々しく「ディール」をぶち上げるようとする意図が見えます。3月1日の交渉期限を延期するつもりはないとも述べていますが、これはまあ、交渉が続いている間に延期の可能性があるなどと言う必要はまったくないので、当然の発言でしょう。
それにしても、2月15日には「つなぎ予算」の期限が到来するのでそれまでには「壁」をめぐる議論があり、下旬には米朝首脳会談も調整中です。この時期にモラー特別検察官の最終報告が提出される可能性もあります。いつもの「トランプ劇場」ですが、国務省、USTR、国防総省、いずれもリソースと時間の制約が厳しく、意思決定プロセスも相当タイトになるのでは・・と心配になります。
●コーリー・ブッカーの米大統領選挙への出馬表明
コーリー・ブッカーはニュージャージー州選出の上院議員(13年当選、2期目)で元ニューアーク市長。民主党の「ライジング・スター」といわれ、将来の大統領候補として有望視されていること、ブレット・カバノーの最高裁判事承認の公聴会でカマラ・ハリス、エイミー・クロブシャーら他の大統領候補の上院議員とともに派手なパフォーマンス(スタンドプレー)を見せたことは、以下の記事等でお伝えしてきました。
・「米国大統領選:副大統領候補(2)(民主党)」(16/5/25)
・「カバノー判事の最高裁判事承認の公聴会」(18/9/10)
・「2019年の展望(1)(大統領選の幕開け)」(1/4)
ちなみに49歳ですが結婚歴がありません。就任時に独身だった米国の大統領はジェームズ・ブキャナン(1857~1861)とグローバー・クリーブランド(1885~1889、1893~1897、独身だったのは1期)の二人だけです。
●ベネズエラ情勢の緊迫
ベネズエラをめぐる情勢が大きく動いています。先週の記事で、現時点で軍がマドゥロ政権から離反する可能性は低いと指摘しましたが、状況が急変してきました。
・「ベネズエラの動揺」(1/28)
まずベネズエラの駐米大使館武官が暫定大統領を宣言したフアン・グアイド国会議長を支持する声明を発表。これまでも国内では軍の兵士による小規模な反乱があり、鎮圧されてきましたが、国外で相当のレベルの軍人が明確に離反するのは新しい事態です。
マドゥロ政権は1月26日を国外退去の期限としていた在ベネズエラの米国外交官に対し30日の猶予期限を設けました。米国の原油の禁輸を含む追加経済制裁を回避するのが狙いだったとみられますが、数日後に米財務省がベネズエラの国営石油会社「PDVSA」を制裁対象に指定したと発表。
グアイドを中心とする野党勢力は反マドゥロ政権デモを呼びかけ、各地で大規模なデモが発生。首都カラカスでは数万人に上りました。マドゥロ政権はグアイドへの圧力を高めていますが、ボルトン大統領補佐官はグアイドや野党の政治家に危害を加えた場合「重大な対応をとる」と警告。
ベネズエラの最高裁がグアイドの出国禁止と銀行口座の凍結を認めましたが、米国務省はニューヨーク連邦準備銀行などが保有するベネズエラの公的資産を動かす権限をグアイドに認めました。グアイドに対しては欧州議会や南米の多数の国も支持を表明しています。
そうした中、マドゥロ大統領が野党側と交渉する用意があると発言。議会選の早期実施への支持も表明しました。ただし大統領選の再実施は否定しています。今週、今後の展望について解説します。
●日韓関係の悪化に対する海外の見方
「韓国海軍レーダー照射事件と元徴用工訴訟問題」(1/16)のコメント欄で虎虎虎さんから以下のとおりご質問がありました。
>いつも深い洞察と解説有難うございます。
>彼の国はどうしようもないとして、米国はもとより欧州や他の国々は、この件を含め以前からのトラブルが生じるたびに起こる、韓国の日本に対する態度をどのようにとらえているのか等も是非教えて下さい。
私からの回答を述べます(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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2/3(日)
・米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄をロシアに通告(条約は6か月後に失効)
・エルサルバドル大統領選挙
・ローマ法王がUAE訪問(~5日)
2/4(月)
・米州14か国の「リマ・グループ」がベネズエラ情勢に関する緊急会合(オタワ)
・中国・春節(旧正月)連休(~10日)
・ドイツのメルケル首相が訪日(~5日)
2/5(火)
・一般教書演説
2/6(水)
・フィリピン南部ミンダナオ島西部でイスラム自治政府の領域を決める住民投票(2回目)
2/7(木)
・米上院の司法委員会が次期司法長官に指名されたウィリアム・バーの承認の採決
・ベネズエラ情勢の平和的解決に向けた中立国・機関による国際会議(モンテビデオ)
2/8(金)
・トランプ大統領の元個人弁護士マイケル・コーエンが下院情報特別委員会で非公開の証言
・朝鮮人民軍創建日(建軍節)
●一般教書演説
2月末頃に予定されている米朝首脳会談の開催地と日程を発表するようです。一般教書演説は「トランプ・ショー」の格好の舞台ですが、これが大きなネタになるのでしょうか。
当然ながら「壁」についても大々的に取り上げるでしょうが、ホワイトハウスの事前発表によれば、攻撃的なトーンではなく、国の団結と未来の希望を前面に出すようです。
今回は、ペローシ下院議長がペンス副大統領(上院議長)とともにトランプ大統領の後ろに座ります。昨年はかなり辛辣な態度でしたが、今回はどうでしょうか。
・「トランプの一般教書演説」(18/2/6)
また民主党の反対演説は、中間選挙のジョージア州知事選で惜敗したステイシー・エイブラムスが行う予定とのこと。民主党の期待の表れが見てとれます。
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あとがき
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■ ファーウェイの次にTikTok「中国の情報収集ツールだ」米シンクタンクが警鐘(1月15日付大紀元)
まさか、TikTokまで!?
「米国当局が問題視しているのは、一部の若い軍人が軍服のまま基地内や航空機内などで自撮りしてTikTokに投稿していることだ。これらの情報に基づいて、中国当局による西側諸国の軍事活動の情報入手を許すほか、兵士らの顔面識別情報を提供することになる。」
なるほど、たしかに・・いや、でもそれって軍務の中でやることに問題があるのでは・・?(笑)
「各国政府に対策を講じるよう呼び掛けた。」・・まず仕事中にはやらないように、ということですね(笑)。
とはいえ、中国発のアプリは当局にどう利用されるのか分からず、基本的に使いたくはないですね。中国に関わる仕事をしているとウィーチャットなどどうしても必要になりますが、最小限にとどめる、ということですかね。
あと、これから中国発のアプリが敬遠されるのであれば、同じようなものを日本発で出せばビジネスチャンス(市場挽回の機会)になる・・ような気がしました。まずは日本版TikTokでしょうか。もうありそうですけどね。
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4 comments on “今週の動き(2/4~10)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
「日韓関係」についてのマイケル・グリーン氏の寄稿内容、寄稿掲載場所、ご本人の立場と誰に向けたメッセージか、、、こういったことまで理解しながら読むことができ、とても有意義でした!
ここまで情報をフォローできないので、JDさんフィルターを通して、こうやって見られるチャンスは、とても有益です。
BREXITはもはや素朴な疑問しか沸いていませんでしたが、状況把握にとても役立ちました。しかし、法案って、修正して再提出して・・と、何度も出せるのなのですね。
再度のメルマガでのご返答ありがとうございました。
今や世界中ポピュリズム合戦なので、専門家だけでなく一般市民にも伝わるように、今後も地味ながらも1歩ずつ、着実かつ戦略的な世界へのアピールの積み重ね継続を、外務省に対し切に願っております。
開始時間をチェックして、リリースされたSpecial Guestsを読んで準備…
ここまで楽しみになってくるとは、JDさんのメルマガとトランプ大統領のお陰ですね。
背後のペローシ 下院議長の様子とともに堪能します。
一般教書演説、英語的に理解できないところもありましたが(苦笑)、民主党の顔ぶれ含め、おかげさまでそれなりに頭に入っていたので、昨年よりも何倍も楽しみました!
オカシオ・コルテスの冷めた目、カマラ・ハリスの苦い顔、メラニア夫人の笑顔、色とりどり楽しかったです(笑)
それにしても、金正恩との2回目のミーティングは、みんな興味なさそうでしたね・・・