2018/05/15 05:00 | 中東 | コメント(2)
米国のイラン核合意離脱(1):トランプの思惑とイランの対応
■ トランプ大統領、イラン核合意からの離脱を発表 欧州説得実らず(5月9日付BBC)
■ 米国、イランに新制裁で圧力 「有害な活動」受け(5月11日付BBC)
5月9日、トランプ大統領はイラン核合意からの離脱を宣言しました。
5月12日に12年国防授権法(NDAA)のウェイバー更新期限が到来する予定だったので、そのときに判断するかと思われましたが、これに先んじて数日前に発表。
しかも7月に期限が到来する他の3つの制裁法(ISA、ITRSHRA、IFCA)に関しても一緒に制裁復活手続を開始するよう指示しています。
これにより、すべてのイラン制裁法が復活(スナップバック)します。効力の発生時期は、NDAAは90日、他の3つの制裁法は180日の猶予期間後です。原油取引、銀行取引など主な制裁はこれらの法によるものなので、180日後すなわち11月5日にスタートします。
トランプの決定を受けて、核合意後にイランでのビジネスを始めていた海外の企業は一斉に手を引き始めました。その中には欧州企業のエアバスも含まれます。
欧州は核合意を維持していますが、エアバスは米国製部品を使用しているので、米国の売却認可が必要になります。米国の制裁下でビジネスを続けられるのは中国とロシアの企業でしょう。
さらに5月11日、米財務省は新たなイラン制裁を発表。イランに対して圧力を最大限に高めようとするトランプの強いメッセージが現れています。
トランプの決定はイランはもちろん、中東の秩序、欧州との関係、さらには北朝鮮との交渉にも影響を与えることになるでしょう。すでにイランとイスラエルの衝突がシリアで本格化しつつあります。
■ イスラエル、米国が核合意離脱の表明直後にシリア攻撃か(5月8日付ロイター)
■ シリア、首都近郊でイスラエルのミサイル2機を撃墜 9人死亡か(5月9日付AFP)
■ イランがゴラン高原にロケット弾発射 イスラエル入植地(5月10日付BBC)
■ イスラエル、シリアのイラン軍基盤に攻撃 ロケット弾発射受け(5月10日付ロイター)
トランプの決断は何を意図したものなのか。これによってイランはどう動くのか。中東、欧州、北朝鮮はどうなるのか。これらについて解説した上で、米国政治と民主主義の展望について論じます。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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米国のイラン核合意離脱(1)
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●トランプの思惑
●イランの対応
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あとがき
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最近はとにかくニュースが多いですね。事実関係を整理するだけで大変です。
重要なテーマは漏らすことなくポイントをお伝えするつもりですが、あまりにも多いので(笑)、マレーシア、レバノン、イラクなどは来週以降になりそうです。とりあえずの情報は「今週の動き」でお伝えしますので、よろしくお願いします。
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2 comments on “米国のイラン核合意離脱(1):トランプの思惑とイランの対応”
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JDはアルゴリズム信奉者だから・・
トランプのヒューリスティクス行動に・・
辟易しているみたいだ。
でも経験値から割り出してくる直観は・・
進化の過程で必要な生命を守る能力だったから・・
トランプのヒューリスティクスに・・米国の運命が罹っている訳だ・・
未だにイランの米大使館占拠・外交官人質事件は・・
巨額の慰謝料を得たにせよ・・
多くの米国人にトラウマとして残っている背景がある・・・
( ^ω^)
トランプの行動について、米国世論だけでなく、さらに米国有識者の見解も踏まえて発信されていて、とても興味深いです。
国内の報道の愚痴を言っても仕方ないですが、画一的過ぎて、時に大きく偏っているので、こういった視点はとても大事と感じます。
イランの出方も、何パターンかあるようなので、国内情勢とともに気がかりですね。