2017/06/08 00:00 | 東南アジア | コメント(4)
ドゥテルテの戒厳令
■ ドゥテルテ比大統領、戒厳令の全土拡大に言及 過激派掃討で(5月25日付CNN)
フィリピンの戒厳令は第2次大戦後3度目。過去の2回は1972年のマルコス時代と2009年のアロヨ時代です。マルコスの戒厳令は9年間の長きにわたりました。
ドゥテルテの戒厳令は60日間、ミンダナオ島に限定していますが、これが延長され、フィリピン全土に拡大されることになると、国民の間ではマルコス時代の忌まわしい記憶がよみがえり、絶大なドゥテルテ人気にも影響が出る可能性があります。
もっとも、戦闘はミンダナオ島、それも一部の地域に限定されているので、おそらくそうはならないでしょう。
今回政府と交戦している武装勢力「マウテ」は新興グループで、「イスラム国」に忠誠を誓っているテロ組織であり、戦闘員にはイエメン、サウジ、チェチェンなどの外国人が含まれています。ミンダナオ島の代表的イスラム武装勢力で分離独立を目指すMNLFやMILFとは異なります。
ドゥテルテ大統領は、ご存知のとおり、ミンダナオ島の最大都市ダバオに30年にわたり君臨し、MNLFやMILFのトップは長年にわたり親交を結んでいます。
これら武装組織の幹部はふだん山にこもっているのですが、ドゥテルテが呼べば山から下りてきて、一緒にお茶を飲んで、また山に帰っていくそうです。こんなことができるフィリピンの政治家は他にはいないとのこと。
ドゥテルテはイスラム教徒に対する理解が深く、長男パオロ(現副市長)はイスラム教徒女性と結婚しています。
それだけに、ドゥテルテは、歴代政権がなしえなかったミンダナオ和平を是が非でも実現したいという志をもっています。
彼の戦略は、伝統的な勢力であるMNLFとMILFとは和解して自治権を与え、新興の勢力であるアブ・サヤフ、BIFF、マウテは徹底的にたたく、というものです。
実際、新興の3勢力は、かつてはアルカイダ、今は「イスラム国」という国際テロリズムと一体化しており、これらを容認すれば東南アジア全体にとっても脅威となります。妥当な戦略といえるでしょう。
ドゥテルテ政権は今月末に1周年を迎えますが、インフラ開発、税制改革、汚職対策、外資規制緩和といったプロ・ビジネスの政策を次々に打ち出しています。
ビジネス界の評価は極めて高く、国民の支持率もいまだ7割超という驚異的な水準。フィリピン経済は絶好調の状態を続けており、私も地元の人々や企業とよく話をしていますが、高揚感がみなぎっています。
麻薬戦争、米国批判、中国接近、そして戒厳令・・・と課題も多いですが、これらを乗り切ればフィリピンは黄金時代を迎える可能性があります。まずは戒厳令をどう乗り切るかで手腕が試されます。
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4 comments on “ドゥテルテの戒厳令”
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奥方のアミーガが・・
マニラで事業している・・
毎日怒り狂ったEメールが舞い込んでくる・・
雇用して半年経てば・・解雇が出来なくなるとか・・
当然・・半年後に・・トラブルはやってくる・・
Eメールもやってくる・・
さてさて・・
ドゥテルテ・・ドゥスルテになるか・・( ^ω^)・・・(笑
好きだなあドゥテルテ大統領。
兄貴!と呼びたくなるような頼もしさと親しみやすさを感じますね。
こんな人、なかなかいないですよ。
いつの日か、かならず映画になるような気がします。
それに気づかせてくれたJDさんには感謝です。
それは・・「ENDO」というフィリピンの労働慣行をなくそうというドゥテルテの改革の一つ・・
たしかに企業にとっては困る話ですが・・日本の契約社員の問題と同じ・・
脱法行為をなくして労働者を保護しようとする政策なので・・許してください・・笑
そう言ってもらえると、私もうれしいです。
近いうちダバオに行って、現地調査をした上で、ドゥテルテ本を出版したいと思っています。笑