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2017/03/07 00:00  | 米国 |  コメント(3)

​クレムリンゲート問題の拡大


米司法長官、大統領選中にロシア大使と接触 公聴会で語らず(3月2日付CNN)​
トランプ政権幹部、ロシア接触が次々発覚 娘婿クシュナー氏も(3月4日付AFP)​
トランプ氏長男、親ロ派主催の会合出席で5万ドル受領か(3月3日付ウォールストリートジャーナル)​

マイケル・フリン前大統領補佐官に続き、大統領選において、上院議員としていち早くトランプ支持を打ち出したジェフ・セッションズ、選挙対策本部の中核を担ったジャレッド・クシュナードナルド・トランプ・ジュニアにもロシア接触の疑惑が浮上しました。

施政方針演説で大きく株を上げた直後に水をかけるスキャンダル。このクレムリンゲート問題は、今後のトランプ政権を見る上で大いに示唆に富んでいます。

まず、大統領選へのロシアの関与については、ハッキング、ヒラリー・クリントンのEメール、トランプへの肩入れの疑惑が何度も指摘されてきましたが、今回、トランプ勝利に重要な貢献をした人々がことごとくロシアと深い関係にあったことが明るみに出てきました。

選挙対策本部については、大統領選のキャンペーンの時点で、トップを務めていたポール・マナフォートがロシアとの不適切な関係の疑惑から辞任していました。

なお、マナフォートに代わって選挙対策本部を仕切る立場になったのがスティーブ・バノンケリーアン・コンウェイ。このとき政権の陣容までつながるトランプ軍団の骨格が固まったというのも感慨深いものがあります。

こうしてみると、「ロシアによる米国乗っ取り」という恐るべき絵が浮かび上がってきます。しかし、そこまでロシアの策謀や影響力があったのかといえば、正直なところ、疑問もあります。

特にセッションズに関しては、正直なところ議員が外交団と会うことなどいくらでもあります。これをもって陰謀のように取り上げるのは気の毒なものがあります。また、当時のスケジュールの情報はスタッフも分かっていたはずですから、意図的な隠蔽の意図はなかったとみるのが自然でしょう。

とはいえ、少なくともロシアの諜報活動の恐ろしさを知る情報機関と「トランプによる共和党乗っ取り」を嘆く共和党議員からすれば、「トランプ許すまじ」という雰囲気を作り出す強力な爆弾となり得ます。

そこまでの懸念をもたない人々にとっても、これほどロシアがトランプ陣営に食い込んでいる背景には何があるのか?という点には疑問を抱かずにはおれません。やはりトランプのロシア・ビジネスに絡んでいるのか。トランプが納税申告を拒否し続けていることと何か関係があるのか。遅かれ早かれ、トランプには、こういった疑問に何らかの形で答えることが求められるでしょう。

すでに特別検察官を任命すべきという要求も出てきています。特別検察官は、ビル・クリントンを追い詰めたケネス・スター、『ハウス・オブ・カード』のヘザー・ダンバーを見てもわかる通り(笑)、絶大な権力とリソースを駆使し、任命されるとだいたい行き過ぎ(苦笑)ともいえる結果を出す恐るべき機関です。クレムリンゲートが拡大を続け、特別検察官の任命も現実味を帯びれば、トランプ失墜のトリガーになるでしょう。

もう一つ注目すべきは、一連の疑惑がリークされているタイミングです。セッションズら今回の一件は、トランプが施政方針演説で大いに株を挙げた直後。マナフォートの一件は、7月に党大会が終わり、いよいよこれから大統領本選・・・ということでギアを上げようとしていたところ。フリンの一件は、政権発足一か月が経ち、マティス国防長官、ティラーソン国務長官といった外交・安保を支える重要ポストがようやく決まって、さあこれから・・・というところ。

どうも、トランプが勢いづこうとするときにブレーキをかける効果を狙って起こっているように見えます。CIA、FBIをはじめとする米国の情報機関のことごとくがトランプに強い懸念をもっていることは周知の事実です。情報機関が組織的に連携してリークしているとまでは考えにくいですが、一連の事実をみていると、なにがしかそれに近い動きがあることを推測させます。

これに対してトランプは、従来から繰り返している情報機関の陰謀をあらためて強調するでしょう。早速というべきか、3月4日には、オバマ大統領(当時)がトランプタワーで電話盗聴を行うよう指示したと主張する驚くべきツイート

オバマとジェームズ・コミーFBI長官はすぐさまこれを否定。度重なるリークに逆上したトランプが批判をそらすために出た行動のように見えますが、こうして情報機関との対立はますます深まります。これもトランプ失墜のシナリオを後押しする大きな材料となるでしょう。

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3 comments on “​クレムリンゲート問題の拡大
  1. ペルドン より:
    トランプ対ヒラリー・民主党シンパ

    まだ大統領選が・・
    終わっていないのでしょう・・
    トランプがオバマに唾を付けたのなら・・
    遠くからず・・
    ヒラリーに手をかける可能性が高まるでしょう・・

    サンダースは地方の党幹部を・・自派で固め続けて・・功を奏している・・
    次回の大統領選・・
    トランプとサンダースとの一騎打ちの可能性・・出てきた・( ^ω^)・・・(笑

  2. 牧神の午後 より:
    終わったかも

    現地の週末が明けて、どんな反応が出てくるか観ていた。

    荒唐無稽過ぎて、取り敢えず、逃口上でその場を凌ぐ、というのが共和党の政治家達。

    当然、他に選択肢は無い。

    Intelligence community のOBの人達の反応が興味深い。

    慎重に言葉を選び、冷静に発言している人が殆どだが、静かに且つ物凄く怒っているのが観て取れた。

    自分達が、文字通り、命懸けでやってきた仕事を完全に無視された訳だから、怒って当然。彼等を敵に回してしまっては、この政権は一歩も前に進めないのではないか?

    辛いのは、安部首相。北朝鮮の挑発に対して、ホワイトハウスからは、何もメッセージが出てこない。

    電話会談の結果を報告する事しかできない。

    これでは、北朝鮮を止める事は不可能。

  3. 空の財布 より:
    マーケットが示唆することは?

    トランプ大統領には何も期待していないのか?(笑)

    利上げがどう効いてくるか、ですが、利上げが続けば、であり、3月の利上げがあってもマーケットには無関係?

    アメリカ政治の奥の院は、トランプ失脚をシナリオとして最初から持っている?

    最後に問題になる(最後まで取り残される)のは米国民の融和ですかね。

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